
「公務員保育士の給料って、本当はどれくらいなの?」「私立と比べてどっちが高いの?」
保育士を目指す多くの方が、こんな疑問を抱えているのではないでしょうか。
実は、公務員保育士の給料は経験や役職によって大きく変わります。
この記事では、公務員保育士の給料の実態や年収アップのコツを詳しく解説します。
将来のキャリアプランを考える上で、ぜひ参考にしてください。
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公務員保育士の給料・年収・手取りはどれぐらい?
幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査によると、常勤の公務員保育士の給与月額と年収は下記のとおりです。
- 給与月額: 30万3,113円
- 年収:363万7,356円
※給与月額は賞与込み
※年収は給与月額を×12カ月で計算した数値
手取りの金額は住んでいる自治体や年齢、前年度の収入などによって変わりますが、東京都に住んでいる30歳の方の場合は、手取り額が23万円ほどとなります。
ただし、上記の給与月額は賞与も含んだ金額のため、実際の1カ月の給料や手取り額はもう少し低くなるかもしれません。
【役職別】公務員保育士の給料・年収
幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査によると、役職別の公務員保育士の給料や年収は下記のとおりです。
役職 | 平均給与月額 | 年収 |
---|---|---|
施設長 | 63万2,982円 | 759万5,784円 |
主任保育士 | 56万1,725円 | 674万700円 |
保育士 | 30万3,113円 | 363万7,356円 |
※給与月額は賞与込み
※年収は給与月額を×12カ月で計算した数値
上記の月額給与や年収を比較すると、役職が上がるにつれて保育士の給料や年収が高くなることがわかります。
令和4年分民間給与実態統計調査によると給与所得者の平均年収は458万円のため、主任保育士になると国内の平均よりも高い給料・年収になる可能性が高くなります。
【年齢・経験年数別】公務員保育士の給料・年収
大阪市の保育士の給与を例に、年齢・経験年数別の平均給与額を紹介します。
経験年数 | 大阪市の保育士の平均給与額 |
---|---|
年齢20~29歳かつ勤続年数0~4年 | 22万7,461円 |
年齢25~34歳かつ勤続年数5~9年 | 27万2,263円 |
年齢30~34歳かつ勤続年数10年以上 | 27万6,805円 |
年齢35~39歳かつ勤続年数10年以上 | 32万6,916円 |
年齢40~44歳かつ勤続年数10年以上 | 35万2,432円 |
上記の表を見ると、年齢や経験年数が増えるとともに公務員保育士の給料も高くなっていることがわかります。
ちなみに大阪市の新卒の保育士の初任給水準は、短大卒の場合が17万3,765円、大卒の場合が18万8,600円です。
以上から20代で経験年数が0〜4年と浅い時期でも、給料は次第に高くなっていくことが読み取れます。
【保育園の規模別】公務員保育士の給料・年収
保育園の規模別の公務員保育士の給料や年収は、下記の表のとおりです。
定員区分 | 平均給与月額 | 年収 |
---|---|---|
40名以下 | 27万6,647円 | 331万9,764円 |
41〜90名 | 29万972円 | 349万1,664円 |
91〜120名 | 32万8,507円 | 394万2,084円 |
121〜150名 | 30万4,012円 | 364万8,144円 |
151名以上 | 29万5,173円 | 354万2,076円 |
※出典:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査
※給与月額は賞与込の金額
※年収は給与月額×12カ月の数値
保育園の定員区分と平均給与額が比例していないことから、保育園の規模は公務員保育士の給料や年収に影響していないことがわかります。
公務員保育士の給料や年収は保育園の規模よりも、年齢や経験年数、役職などの要因で決められるようです。
公務員保育士の初任給は?地域別に紹介
公務員保育士の初任給は学歴や職歴などによって算出されるため、一概にいくらと言い切れるわけではありません。
地域ごとに公務員保育士の初任給の例を紹介します。
▼東京都23区(特別区)
「特別区」と呼ばれる東京都23区では、区分ごとに初任給を下記のように設定しています。
- Ⅰ類:約22万5,800円
- Ⅲ類:約18万2,500円
- 経験者1級職:約25万1,700円
- 経験者2級職(主任):約29万8,900円
- 経験者3級職(係長級):約35万7,100円
- 就職氷河期世代を対象とする採用試験:約22万5,800円
▼東京都八王子市
東京都八王子市では卒業時の年齢や学歴、職歴などの要件に応じて、給料の月額を下記のように算出しているようです。
(例)
- 大卒・採用時が22歳の場合:21万6,090円
- 大卒・職歴5年・採用時が27歳の場合:23万8,050円〜25万6,450円
- 大卒・職歴10年以上・採用時が39歳の場合:28万1,640円〜34万860円
- 大卒・職歴20年以上・採用時が50歳の場合:32万740円〜37万190円
※参考:令和5年度(2023年度)八王子市職員採用試験募集要項
▼大阪府大阪市
大阪市の新卒で入庁した場合の公務員保育士の初任給(給料月額+地域手当)は、学歴によって異なります。
具体的には、下記のとおりです。
ただし、経歴に応じて下記の金額に加算される場合もあります。
- 大学卒程度:21万192円
- 短大卒程度:19万6,736円
参考:勤務条件・福利厚生
これまで紹介した初任給はあくまでも目安であり、採用が決まったら必ず上記の金額になるわけではありません。
また、公務員保育士の給料には、地域によって通勤手当や住宅手当、扶養手当などの手当も含まれます。
そのため、同じ地域だったとしても、人によって受け取る初任給の額は同じではありません。
公務員保育士と私立保育士の年収はどっちが高い?
公立保育所の保育士と私立保育所の保育士の年収に、差はあるのでしょうか。
常勤の公務員保育士と私立保育士の年収は、下記の表のとおりです。
平均年収 | 公立保育所 | 私立保育所 |
---|---|---|
施設長 | 759万5,784円 | 679万740円 |
主任保育士 | 674万700円 | 507万5,592円 |
保育士 | 363万7,356円 | 362万1,876円 |
※参考:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査
※給与月額は賞与込の金額
※平均年収は給与月額×12カ月の数値
上記を比較すると、公立保育所と私立保育所の保育士の給料や年収には、それほど差がないことがわかります。
ただし、公務員保育士は勤務年数や役職に応じて給料が上がっていくため、キャリアアップすると私立保育士の収入と差が開く傾向があるようです。
私立保育所の保育士の収入は園によって異なるため、勤務年数や役職によって上がると一概には言い切れません。
公務員保育士の給料以外の待遇・ボーナスは?
公務員保育士の給料は、基本給以外にも通勤手当や扶養手当、住居手当、期末・勤勉手当(ボーナス)などが支給されます。
ボーナスの支給額は自治体の基準によって異なりますが、東京都世田谷区を例に挙げると、令和5年度のボーナスの年間支給月数は4.65カ月分となっています。
また、千葉市の令和5年度のボーナスの年間支給月数は、4.50カ月分です。
以上から公務員の保育士として働いた場合、年間のボーナス支給額は基本給の約4カ月半程度と考えておくと良いでしょう。
また、公務員の保育士には手当以外にも、夏季休暇、慶弔休暇、妊娠出産休暇、育児休業などの休暇制度もあります。
ただし、お盆休みの時期は暦通りに開所しているところが多いため、職員は時期をずらして夏季休暇を取ることになるでしょう。
公務員保育士が年収を上げるコツ
公務員保育士として働く中で、年収を上げるためにはいくつかのポイントがあります。
ここでは、3つの方法を具体的にお伝えします。
勤務年数を積む
公務員保育士の年収を上げるためには、勤務年数を積むことが重要です。
多くの自治体では、経験年数に応じて給与が段階的に上がる仕組みが採用されています。
長く働くことで、基本給が上昇し、結果として年収アップにつながります。
また、経験を積むことで専門性も高まり、より責任のある仕事を任されるようになることも、給与アップの要因となります。
公務員保育士にとって、継続的に働き経験を積み重ねることが、着実な年収アップにつながるのです。
役職に就く
公務員保育士の年収を上げるもう一つの効果的な方法は、役職に就くことです。
主任保育士や園長などの管理職に昇進すると、責任は増しますが、それに見合った収入が期待できます。
役職に就くためには、日々の業務で実績を積み、リーダーシップを発揮することが重要です。
また、自治体によっては役職者向けの研修プログラムがあり、これらを積極的に受講することで、昇進のチャンスを高められます。
キャリアアップを意識して働くことが、年収アップへの近道となるでしょう。
保育士等キャリアアップ研修を受講・修了する
公務員保育士が年収を上げるための効果的な方法の一つに、保育士等キャリアアップ研修の受講・修了があります。
保育士等キャリアアップ研修は、保育の質の向上と保育士の処遇改善を目的としており、処遇改善手当を受け取るために必要な過程です。
研修では、専門的な知識や技術を学べて、保育士としての能力向上にもつながります。
積極的に研修に参加し、新しい知識やスキルを身につけることで、より高い収入を得る機会が増えるだけでなく、保育の質の向上にも貢献できます。
公務員保育士になるには?
公務員保育士になるためには、まず保育士資格を取得し、受験の条件を満たさなければいけません。
その上で、希望する自治体の採用試験を受験し、合格する必要があります。
採用試験の内容は自治体によって異なりますが、一般的に筆記試験と面接が行われます。
公務員保育士の採用時期は地域によって異なりますが、6〜8月頃が多いようです。
筆記試験では一般教養や専門知識が問われ、面接では保育士としての適性や意欲が評価されます。
試験に向けては、保育に関する専門知識はもちろん、時事問題や一般常識も広く学習することが大切です。
また、各自治体の採用情報をこまめにチェックし、募集要項や試験日程を確認することも重要です。
早めの準備と計画的な学習が、公務員保育士への道を開くカギとなります。
公務員保育士の採用試験に受かる人の特徴
公務員保育士の採用試験に受かる人の特徴は、下記のとおりです。
- 自分で情報収集できる
- 真面目で誠実である
- 子どもや保育に関心が高い
- 臨機応変に対応できる
公務員保育士の採用情報や試験内容、過去の傾向などは自治体ごとに異なるため、受験予定の地域の情報を自ら調べ、試験合格に向けて計画的に対策する必要があります。
また、保育の現場では子どもたちの安全と健全な成長を守る責任があるため、採用試験の面接では信頼性や誠実さも評価されるポイントです。
子どもへの愛情や保育への高い関心を持ち、それを適切に表現できる人も採用担当者から好印象を持たれる可能性が高いでしょう。
さらに、柔軟な思考力と問題解決能力を持つ人も採用されやすい傾向にあります。
保育の現場では予期せぬ事態も多いため、臨機応変に対応できる能力が重視されるのです。このような特徴を意識して自己アピールすることが、採用試験合格への近道となります。
公務員保育士の仕事はなくなる?
公務員保育士の仕事が完全になくなる可能性は低いものの、近年の傾向として公立保育所の民営化が進んでいることは事実です。
自治体の財政負担軽減や、より柔軟なサービス提供を目的としています。
そのため、公務員保育士の採用数が減少傾向にある地域もあります。
しかし、この変化は必ずしも公務員保育士の仕事がなくなることを意味しません。
多くの自治体では、民営化された場合でも、勤務している保育士を他の公立施設に異動させる対応を取っています。
また、完全に民営化するのではなく、公設民営方式を採用し、自治体が一定の関与を続ける形態も増えています。
さらに、保育需要自体は依然として高く、質の高い保育サービスへのニーズも強いため、公務員保育士の役割は今後も重要であり続けると考えられます。
ただし、より専門性の高いサービスや効率的な運営が求められる傾向にあるため、常に保育について学び、変化に適応する姿勢が必要です。
まとめ
公務員保育士の給料や年収についてお伝えしました。
- 公務員保育士の給料は経験年数や役職に応じて高くなる
- 公務員保育士の初任給の金額は地域や経歴などによって異なる
- 公務員保育士はボーナスや休暇制度などの待遇も充実している
- 保育士等キャリアアップ研修の修了により収入アップが期待できる
公務員保育士は、安定した雇用と待遇が魅力の職業です。
しかし、年収を上げるためには継続的な努力が欠かせません。また、変化する社会情勢に応じて、常に自己研鑽を続けることが重要です。
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また、公務員保育士になるには、まずは保育士資格を取得する必要があります。
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