公務員の役職(階級)一覧 管理職はどこから?役職ごとの給料は?

民間企業と同様に公務員にも役割や職務に応じた役職(階級)があり、役職は給料にも関係してきます。

同じ公務員でも自治体によって役職の名称・構成が異なったり、同じ役職でも給料に差があったりします。

この記事では、公務員の役職について解説します。

地方公務員の役職(階級)

地方公務員の役職(階級)について、「主事」「課長補佐」などの肩書きを耳にしたことがある方も多いでしょう。

役職は、在籍年数や能力とともに変わります。具体的な自治体の役職・等級と合わせてご紹介します。

地方公務員の役職(階級)一覧

地方公務員は、職員一人ひとりに職務のレベルに応じた「等級」が決められています。

1級からスタートし、級が上がるとともに担う職務が変わります。昇級すると業務内容の複雑さや困難度、責任の度合いも高まります。

「課長」などの管理職よりも下の職員は、年功序列で昇級することがほとんどです。

一般的な等級と役職の組み合わせは下記のとおりです。

地方公務員の等級と役職(例)

等級具体的な職名
1級主事
2級主任
3級係長
4級課長補佐、地域振興局課長
5級課長補佐、◯◯センター副所長
6級課長、児童相談所所長
7級課長、政策監、地域振興局次長
8級次長、事務局長、地域振興局長
9級部長、会計管理者、事務局長

【参考】総務省「地方公務員の給与の仕組み」

役職(階級)と級の組み合わせは自治体によって異なる

役職(階級)と級の組み合わせや具体的な職名は、自治体ごとに異なります。

例を挙げて比較してみましょう。都道府県の1つである千葉県、そして政令指定都市の1つである北九州市について見てみます。

千葉県、北九州市の等級と役職

等級千葉県具体的な職名北九州市具体的な職名
1級主事、技師係員
2級主任、技師主任
3級副主査主査
4級係長、主査係長・指導主事
5級班長、副主幹課長
6級副課長、主幹部長
7級課長局長・区長
8級次長
9級担当部長
10級部長

【参考】千葉県「千葉県の給与・定員管理等について(令和5年度)」>「一般行政職の級別職員数等の状況」

【参考】北九州市「令和5年度 北九州市の給与・定員管理等について」>「3 一般行政職の級別職員数等の状況」

千葉県の場合、10の等級に区分しています。一方、福岡県北九州市は等級を7つに分けていて、千葉県が置いている「副主査」などの役職はないようです。

同じ役職を比較してみると、「主査」は、千葉県では4級であるのに対し、北九州市の場合は3級が対象となっています。

地方公務員の管理職はどこから?

地方公務員の管理職とは、一般的に「課長補佐」より上の役職に就いている職員を指します。

管理職になることで、係員・係長らのマネジメント能力が必要となり、職務の責任もより大きくなります。

管理職になるためには、一定期間の勤務を続けるだけでなく、昇格に向けた選考を課されるケースが多いようです。

なお、「主幹」や「副課長」といった役職を課長補佐レベルに位置づける地方自治体もあります。

国家公務員の役職(階級)

国家公務員も、地方公務員と同様に等級が上がるとともに職務が変化します。

級が上がることで、各省庁でより重要な業務を担うこととなります。役職の一覧と合わせて説明していきます。

国家公務員の役職(階級)一覧

国家公務員は1〜10級で構成されます。級は、地方公務員同様、職務の複雑さや困難さに応じて決められています。

以下は省庁で勤務する職員の等級と役職です。

国家公務員の等級と役職

等級具体的な職名
1級係員
2級主任、係員(特に高度)
3級係長、主任(困難)
4級係長(困難)
5級課長補佐
6級課長補佐(困難)
7級室長
8級室長(困難)
9級課長(重要)
10級課長(特に重要)

※表中の「困難」困難な業務を受け持つ職務、「重要」は重要な業務を所管することを示す。

【参考】総務省・地方公務員の職務の級の構成について(行政職給料表(一))

地方公務員と同じように、人事評価のほか、その級での在籍年数などの要件を満たせば、等級が上がります。

国家公務員の管理職はどこから?

国家公務員の場合、「室長級」または「課長級」の職員を管理職としています。

管理職になると、マネジメント能力はもちろん、より高い企画立案力や課題を解決する力などが求められます。

国家公務員の人事を管理する人事院によると、本省課長級への昇任の判断には、直近2回分の能力評価と、直近4回分の業績評価が活用されます。

能力評価で1回「非常に優秀」以上、業務評価で1回「優良」以上の評価を得た場合、候補となります。

公務員の役職(階級)と給料

地方公務員の給料は、職務レベルを反映させた「級」と「号給」を組み合わせて支給額が決まります。国家公務員も同様に、「級」と「号給」を組み合わせます。

号給・号俸は同一級をさらに細分化したもので、職務経験年数による職務の習熟を反映させています。

では、役職ごとにどのくらいの給料となるのかを見ていきます。

千葉県の一般行政職の級別給料表

区分標準的な職務内容1号給の給料月額最高号給の給与月額
1級主事、技師150,100円247,600円
2級主事、技師198,500円304,200円
3級副主査234,400円350,000円
4級係長、主査266,000円382,600円
5級班長、副主幹290,700円393,000円
6級副課長、主幹319,200円410,200円
7級課長362,900円444,900円
8級次長408,100円468,600円
9級担当部長458,400円527,500円
10級部長521,700円559,500円

【参考】千葉県「千葉県の給与・定員管理等について(令和5年度)」>「一般行政職の級別職員数等の状況」

千葉県の一般行政職のうち最も級が低い主事や技師の場合、1号給(最低号給)の給料月額は15万円程度、最高号給は25万円程度です。

このほか、係長クラスで27〜38万円程度、課長クラスで36〜44万円程度、部長クラスで52〜56万円程度となっています。

給料は自治体ごとに条例で定めているため、同じ職務内容でも自治体によって異なります。自治体ごとの給料にどれほど違いがあるのか、見てみましょう。

千葉県と北九州市について各部門のトップにあたる「部長」と「局長」を比較します。千葉県の部長級は52〜56万円であるのに対し、北九州市の局長級は41〜55万円程度となっています。

【Q&A】公務員に関するよくある質問

ここまでは公務員の役職(階級)・給料について紹介してきました。ここからは、公務員に関するよくある質問について解説します。

公務員にはどんな職種・仕事内容がある?

公務員は働く場所によって、仕事内容も多種多様です。

国家公務員は、1府12省庁の職員として働き、「国家総合職」が政策の企画・立案にメインで携わります。「国家一般職」は総合職のサポートや政策を実践します。

地方公務員は、行政サービス全般を担うのが「市町村職員」です。「都道府県職員」は都道府県全体の方向性を決める役割を担います。

公務員の行政職とは?

行政職は、省庁や自治体が実施する施策の企画・立案、予算編成、事務処理を担う職員です。

国家公務員の行政職は、主に中央省庁や出先機関で勤務します。

各省庁の事業などを進めるための事務処理が主な業務です。

また、出先機関では、施策の実施に関する事務手続きや職業紹介などの窓口業務も行います。

地方公務員の場合、都道府県や市区町村などの地方自治体で勤務します。

主な業務は、施策の企画・立案や予算の編成などに関する事務処理です。

公務員のメリット・デメリットは?

公務員になると次のようなメリットがあります。

  • 国や自治体を動かすような仕事ができるなど、公務員ならではのやりがいがある
  • 平均年収が民間企業より高額
  • 福利厚生制度が整っている
  • 年間休日が民間企業より10日ほど多い

一方、次のような点がデメリットとなることもあります。

  • 法律や前例に沿うことが求められ、窮屈に感じられることもある
  • 住民からのクレームに対応しなければならないことがある
  • 原則副業は認められない

まとめ

今回は公務員の役職(階級)と、役職ごとの給料を解説しました。

  • 公務員には、等級に応じて「主事」「係長」「課長補佐」などの役職がある
  • 管理職は、地方公務員が一般的に「課長補佐」以上、国家公務員は「室長」「課長」以上
  • 地方公務員は自治体ごとに給料は条例で決めているため、同じ役職でも金額が異なる

公務員は等級が上がるほど、人々の暮らしへの責任も大きくなります。長く勤めて、人のためになる仕事をしたい方におすすめです。

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