【記入例あり】公務員試験の面接カード 合格する書き方とは?

公務員試験では、受験生が事前に提出する「面接カード」という書類をもとに面接が行われます。

面接カードに戦略的に取り組めば、自分が答えやすく魅力を伝えやすい質問が出てくるように流れを誘導できます。しかし書き方を間違えると、アドリブでは対応しきれない質問が飛んできてピンチに陥ることも。

この記事では、公務員試験の面接カードの書き方や記入例について解説します。

公務員試験の「面接カード」とは

公務員試験は、筆記試験に合格すると人物試験(面接)へ進みます。

面接カード(面接票など名前はさまざま)とは、面接の際に面接官が質問の参考資料にするもので、受験生が面接前に志望動機などの各項目に回答を記入して提出します。

面接カードそのものが採点の対象になることはなく、あくまで面接を行うために活用する資料としての扱いです。

面接カードの内容

公務員試験の面接カードの内容は、受験先によって異なります。どんな質問があるのか、具体例を見てみましょう。

東京都

  • これまでに学習・研究したこと
  • 力を入れて取り組んだこと(3つ)
  • 成果・達成感を得た経験
  • 志望理由
  • 採用されたらやってみたいこと
  • 希望する行政分野

神奈川県

  • 受験動機、理由
  • やってみたい仕事、希望勤務箇所、地域
  • 長所、短所
  • 力を入れて取り組んだこと
  • 趣味・特技など

【参考】東京都職員採用サイト「試験・選考情報(令和6年度実施) 1類B採用試験(一般方式)第1次試験合格者の方へ 第2次試験・提出書類等の案内」

【参考】神奈川県「第1次試験合格者向けページ」

国家公務員については、志望動機や自己PRなど記入項目は似ていますが、学生時代に力を入れたこと・達成感を得たことの欄が複数に分かれていて「学業や職務」「社会活動や学生生活」「日常生活」それぞれについて書く必要があるのが特徴です。

面接カードはいつ提出する?

面接カードをいつ提出するかは試験ごとに異なり、次のようにさまざまなパターンがあります。

  • 願書提出時に同時に提出
  • 1次試験当日に提出
  • 1次試験合格後に郵送
  • 面接当日に持参 など

国家公務員の場合は、1次試験の筆記試験終了後、人物試験前に提出することが多く、筆記試験後にカードを準備することになります。

地方公務員の場合も同じスケジュールが多いですが、願書提出の際に同時に志望動機等を書かせる自治体も増えてきています。

その場合、筆記試験勉強のラストスパートと願書提出&面接カード記入の時期が重なるので、余裕を持って準備したいところです。

公務員試験の面接カードの書き方・記入例

次は、公務員試験の面接カードをどうやって書くか見ていきましょう。書き方のコツや注意点を取り上げた後、最後に記入例をご紹介します。

(1)話す内容をありったけ書き出す

受験生にありがちなのが、ギリギリまで面接カードを確認していないパターンです。締切直前になって「こんなにたくさん項目があったのか!」と気づき、焦って埋めるため雑な仕上がりになってしまうのです。

まずは面接カードの項目を確認しましょう。

確認ができたら、面接で話す内容をありったけ書き出していきます。手書きでもPCを使ってでも構いません。

例えば志望動機の項目があれば、志望動機について思いつく限りすべてを書き出していきます。面接で使える・使えないの判断は後回しにして、まずとにかく全部書き出しましょう。

頭の中にあるだけでは整理しきれていないことがあり、面接で簡潔に答えられなかったり、面接カードに分かりやすく書けなかったりします。したがって頭の中にあるものを目に見える形にするという過程が大切です。

この時に注意したいのが、面接カードの記入欄の大きさを基準にしないということです。

質問項目によっては記入欄が2行しかないようなものもあり、それを埋めることを目的にしてしまうと、いざ面接で答えようとしても、元々用意している内容が2行分しかないため話が広がらないという事態に陥ります。

面接カードの容量は無視して、限界を設けずにありったけ書くことを念頭に置きましょう。書き出した内容は、面接準備に役立つので保存しておきます。

(2)面接で話せるトピックを抽出する 

頭の中にあることを書き出した後は、その中から面接で話せるトピックを抽出していきます。

特にポイントになるのは、相手に公務員に向いているとアピールできるエピソードを選択するということです。

面接は自分のアピールの場です。自分の都合、つまり「(給与や勤務条件など)こういう部分が自分にとってメリットになるから」という部分は省きましょう。

あくまで面接官からみて公務員にふさわしい人物だと評価されるよう、公務員として働くための

能力や情熱をもっていることや、貢献できる分野などを伝えられるように記入します。

壮大なエピソードが求められているわけではないので、些細なことでも問題ありません。

そこから公務員を目指すきっかけや自分の強みを知るきっかけになった、というように語れることが重要なので、エピソードの大小そのものは気にしなくてOKです。

(3)面接カードに記入する

書き出す内容が決まったら、最後に面接カードに記入していきます。

これまでは文章の量を気にせず書いてきましたが、この段階で面接カードに合わせて量を調整します。書く上で特に気をつけたいポイントは3つです。

意味が通じない文になっていないか? 

てにをはがおかしい、など一見して分かるミスは、文章能力が低いと判断されてしまうため、推敲は必須です。字数が少ない場合、省略しすぎて変になっていないか注意しましょう。

書きすぎていないか?

分量が多ければいいわけではありません。簡潔にまとめましょう。また、書きすぎると面接で話すことがなくなるのでその点にも気をつけます。

読みにくくないか?

内容を詰め込みすぎて字が小さくなるのはNGです。「面接カードに印刷されている字よりは大きく」を目安に、丁寧に書くことを心がけます。特に手書きの場合に気をつけたいポイントです。

面接カードは第一印象を決める重要な要素なので、書き方には十分気をつけましょう。

(4)記入した面接カードのコピーをとっておく

記入した面接カードはそのまま提出するのではなく、必ずコピーをとっておいてください。

コピーやデータを残さずに何を書いたかわからない状態だと、面接の準備ができないため、忘れず手元に残してください。

また、完成した面接カードだけでなく、最初にありったけ項目を書き出したものも合わせて保存しておきましょう。話す内容を練る際に役立ちます。

自分では役に立たないと思った内容でも、他者の視点から見ると魅力的に映る要素があったりします。

話し方次第、伝え方次第で武器になるエピソードの可能性もあるので、模擬面接等で他者の意見を聞いたりするために保存しておきましょう。

公務員試験の面接カードの記入例

ここまで面接カードの書き方のポイントをご紹介してきました。それでは面接カードのよくある項目について、ポイントをふまえた具体的な記入例を紹介します。

「志望理由」の記入例

安心して住めるまちづくりに携わりたいと思い、◯◯市を志望しました。◯◯市は生まれ育った場所ですが、最近、実家の周囲で空き家を目にすることが増えました。同時に、建築費の高騰で若い人が家を買うのも難しくなっていることも知りました。

◯◯市では、家を貸したい人・売りたい人と移住検討者を含む新しく住みたい人を結びつける取り組みを長年続けていて、人々の家の悩みの解決に積極的だと感じました。

私が今までの経験で身につけた課題解決能力やコミュニケーション能力を生かして、◯◯市の住環境をさらに向上させたいと考えます。

「採用されたらやってみたい仕事」の記入例

空き家問題の解消に取り組みたいです。

親戚が遠方にある実家を相続した際に、売る・貸すにはどうすればいいか、家の中に残った大量の物をどう処分するかなど、調べることや必要な手続きが多く、遠いと足を運ぶのも一苦労で、これが空き家問題につながる一因だと実感しました。

家を相続した時の手続きを分かりやすく伝えるQ&Aの作成や、家財処分などの業者と連携するなど、家が放置される原因になる「面倒」を解消する方法を考えて積極的に発信したいです。

また、空き家の利活用などにも力を入れることで、さらに地域活性化も見据えて業務に取り組んでいきたいです。

「成果や達成感を得た経験や、困難を乗り越えた経験」の記入例

大学で所属するジャズダンスサークルの、定期公演の宣伝に力を入れたことです。

所属するサークルでは定期公演があるのですが、例年集客を伸ばすことができず、公演の情報がわかりにくいことが課題であると考えました。

そこで、従来の情報提供だけでは限界があると考え、他のメンバーと話し合った結果、SNSでの情報発信や大学周辺の地域のお祭りでビラを配るなど、目に触れる機会を増やしました。

その結果、今年の観客数は昨年に比べ30%増やすことができました。

【Q&A】公務員試験の面接カード・面接のよくある質問

公務員試験の面接カードや、面接に関するよくある質問について、以下で5つ取り上げます。

面接カードはどれくらい詳しく書くべき?

「どれくらい詳しく書くべきか」という疑問に関してまずお伝えしたいのは、面接カードだけを完璧にしても意味がないということです。

面接カードはあくまでも面接の参考資料であり、メインは面接での受け答えです。面接で質問にしっかり答えられないと意味がありません。

また、あまり詳しく書きすぎると質問する必要がなくなり、「他にないですか?」と準備していない答えを求められることにもなりかねません。

面接カードは面接官が質問しやすいように書くこと、そして自分が掘り下げて質問してほしいことにつながるように書くことを意識して作成しましょう。

面接カードの内容と面接で話す内容が違うのはNG?

面接カードを元に面接が行われますが、面接カードの内容と面接で話す内容がまったく同じでなくても問題ありません。

面接カード作成時期と実際に面接が行われる時期にはタイムラグがあります。面接対策等を経て、もっと適切な志望動機などが浮かぶこともありますから、カードと面接で話す内容が違ってくるのは当然考えられる事態です。

内容が180度変わってしまうと説得力のある説明が難しくなりますが、方向性が変わらなければOKですので、面接カードの内容にしばられすぎないようにしましょう。

面接カードと違うエピソードを答えた場合、面接カードの内容もプラスで聞かれることはありますので、備えることは必要です。

公務員試験の面接でよく聞かれる質問は?

公務員試験の面接でほぼ確実に聞かれる質問は、次の3つです。

  • 志望動機は?
  • 自己PRをしてください。
  • 学生時代に(前職・現職で)力を入れたことは?

志望動機は「なぜ公務員になろうと思ったか(過去)なぜこの自治体か(現在)どんなことを成し遂げたいか(未来)」の順に語ることで、自己PR等は、「結論・課題・行動・成果」とストーリー性を持たせることで、自分の体験から説得力のある回答を作ることができます。

公務員試験と民間企業、面接の違いとは?

公務員試験と民間企業の面接で大きな違いは、公務員試験の人物試験の方が「ネガティブチェック」の要素が強いという点です。

優秀な人材を確保したいのはもちろんですが、公務員として「問題を起こさないか」「個性が強すぎないか」というマイナス面のチェックが民間より重視される傾向にあります。

倍率の高い試験ではわずかなマイナス点が合否に結びついてしまうので、説得力のある志望動機や自己PRができるかが重要です。

まとめ

この記事では、公務員試験の面接カードとは何か、内容や書き方のコツについてご紹介しました。

  • 面接カードは面接官が面接の際に参考資料として使うもので、志望動機や自己PRなどを事前に記入して提出する
  • 聞いてほしい質問を引き出せるようにカードの内容を工夫するのがポイント
  • 面接カードだけ完璧でも意味がなく、面接本番でしっかり答えられるように準備するのが肝心

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