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公務員は人気がない?倍率はどれくらい?人気の試験種も解説

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公務員は人気がない?

近年、「公務員は人気がない」という声があります。

その理由や実際の状況、公務員を目指す際に参考にしたい情報などについて解説します。

公務員は人気がない?倍率の推移は?

まずは、「公務員は人気がない」という声が聞かれるようになっている現状や、倍率の推移について確認していきましょう。

人事院の発表によると、令和6年度(2024年度)春の国家公務員総合職試験への申込者数は1万3599人で過去最少、倍率も7.0倍で過去最低となっています。

また、国家公務員一般職試験や地方公務員試験においても、近年ではそれぞれ受験者数は減少傾向に、そして合格者数は増加傾向にあるため、全体として倍率がゆるやかに減少しています(具体的な倍率は記事後半で解説)。

このような状況から、現在では全国的に公務員のなり手不足が課題であると言われており、自治体によっては受験資格の緩和やSPI試験を活用した受験方式の採用など、課題解決に向けた様々な対策が取られています。

【参考】日本経済新聞「キャリア官僚合格、東大生が過去最少 試験倍率は最低に」

公務員の人気が低下している理由は?

なぜ、公務員の人気が低下しているのでしょうか。

理由として次のようなものが挙げられます。

  • 公務員試験対策の負担が大きい(科目数の多さなど)
  • 民間企業のほうが採用活動の時期が早い
  • 民間企業のほうが給与・待遇面で魅力度が高い
  • 民間企業のほうがより現代的な職場体質というイメージがある

公務員の志望度がかなり高い人でない限り、採用活動の段階でも働き始めた後も、民間のほうに魅力を感じやすい状況だと言えます。

公務員のメリット・やりがいは?

ここまで、公務員が人気がないといわれる現状や理由などについて解説してきましたが、もちろん公務員ならではのさまざまなメリットややりがいも存在します。

まず、代表的なメリットとして挙げられることは、次の3つです。

  • 民間よりも休日数が多く、休みやすい
  • 年収が着実に増えやすい
  • 福利厚生が充実している

公務員の年間休日日数は、国家公務員が124日程度、地方公務員が126日程度です。

厚労省が公開した「令和5年就労条件総合調査」によると、民間企業の労働者1人あたりの年間休日数の平均は115日だったため、公務員のほうが10日程度多くなっています。

給与については、国家公務員の場合であれば【俸給表の級×号俸】、地方公務員の場合であれば【給料表の級×号給】で金額が決まる仕組みであり、毎年ほぼ確実な昇給が可能です。

また、公務員は各種手当や休暇制度、共済組合の制度、互助会の給付など、福利厚生が充実しているといえます。

続いてやりがいについては、以下のような点が挙げられます。

  • 国や自治体を動かすような、規模の大きい仕事ができる
  • 利益の追求にとらわれずに働ける

国家公務員の中には、規模も予算も非常に規模の大きいプロジェクトに携わるような職種もあります。

また、民間企業ではどうしても利益の追求が必要となるため、ノルマ達成など数値を優先して考えなければならない場面も多いですが、公共の利益のために働く公務員には違った視点が求められます。

このように、安定して長く働きやすい環境があること、そして公務員だからこそ感じるやりがいがあることが、公務員の仕事の魅力であると言えるでしょう。

【あわせて読みたい】なぜ公務員は「つまらない」のか?やりがい・メリットを解説

公務員で人気の職種は?

ここで、公務員で人気の職種について見ていきましょう。

公務員試験の受験を検討している方は、職種選択の参考にしてください。

国家公務員(大卒程度)

こちらの表は、令和5年度(2023年度)の主な国家公務員試験(大卒程度の)の試験種ごとの倍率です。

倍率は「申込者数/最終合格者数」、実質倍率は「1次試験受験者数/最終合格者数」で計算しています。

試験種 申込者数

(A)

1次試験受験者数

(B)

最終合格者数

(C)

倍率

(A/C)

実質倍率

(B/C)

衆議院事務局職員 総合職 179人 2人 89.5倍
衆議院事務局職員 一般職 623人 12人 51.9倍
参議院事務局職員 総合職 427人 15人 28.5倍
国家総合職

(「教養」区分を除く+「教養」区分)

16,900人 12,736人 1,783人 9.5倍 7.1倍
裁判所一般職 11,469人 8,575人 2,351人 4.9倍 3.6倍
労働基準監督官 2,957人 1,419人 413人 7.2倍 3.4倍
外務専門職 273人 195人 60人 4.6倍 3.3倍
国税専門官 14,093人 9,818人 3,274人 4.3倍 3.0倍
財務専門官 2,986人 1,583人 560人 5.3倍 2.8倍
国家一般職 26,319人 18,946人 8,269人 3.2倍 2.3倍

衆議院事務局職員および参議院事務局職員については、最終合格者数が少ないため非常に狭き門となっています。

これらを除くと、政策の企画立案などを担当し「キャリア官僚」とも呼ばれることで知られる国家総合職の人気が高いことがわかります。

これに続き、裁判所一般職、国家専門職(労働基準監督官・国税専門官・財務専門官)、外務専門職は概ね3倍前後、そして国家一般職は最も低くなっています。

ただし、「倍率が低いから国家一般職は不人気なのか」というとそうではなく、申込者数や受験者数を見ると表中で最も多いことにも注目すべきです。

「職種にこだわりはないけど国家公務員になりたい」と考えている人にとっては、採用枠の多い国家一般職は狙い目であると言えるでしょう。

ただし、合格者=内定者ではなく、合格後に官庁訪問(省庁ごとに行われる面接等での選考)を経て内定を獲得する必要があります。

【あわせて読みたい】【2024年最新】公務員試験の倍率を解説!

地方上級(都道府県・政令指定都市、大卒程度)

次に、地方上級公務員の試験の倍率も見ていきましょう。

これらの表は、令和5年度(2023年度)における地方上級公務員(大卒程度・行政職/新方式を除く)試験の倍率を、都道府県と政令指定都市のそれぞれ上位5つまで高い順に並べたものです。

倍率は「1次試験受験者数/最終合格者数」で計算しています。

▼都道府県

順位 都道府県 1次試験受験者数

(B)

最終合格者数

(C)

倍率

(B/C)

1 福岡県 474人 45人 10.5倍
2 佐賀県 150人 20人 7.5倍
3 大分県 218人 32人 6.8倍
4 沖縄県 709人 108人 6.6倍
5 大阪府 1,032人 169人 6.1倍

▼政令指定都市

順位 都道府県 1次試験受験者数

(B)

最終合格者数

(C)

倍率

(B/C)

1 名古屋市 1,473人 146人 10.1倍
2 堺市 893人 99人 9.0倍
3 横浜市 1,451人 180人 8.1倍
4 福岡市 511人 65人 7.9倍
5 仙台市 505人 79人 6.4倍

都道府県で見ると、九州・沖縄地方の倍率が高い傾向です。

政令指定都市は、中部や関東など各エリアで人口の多い都市で倍率が高くなっています。

いずれも上位の倍率は10〜6倍でした。

地方公務員を目指す場合、現在の居住地や自分が生まれ育った地域などを希望する人が多いかと思いますが、慎重に下調べした上で「どの自治体で試験を受けるのか」を決めると良さそうです。

【あわせて読みたい】【2024年最新】公務員試験の倍率を解説!

東京都・特別区の倍率は?

次に、東京都や特別区の行政職の倍率はどうなっているのかも、併せて確認しておきましょう。

▼東京都

東京都職員の試験は地方公務員の中でも非常に人気が高い試験であり、大学卒業程度で主流のI類B採用試験(一般方式/行政区分)の受験者数は例年1,000〜2,000人前後で推移しています。

近年では、令和3年度(2021年度)のみ採用枠が大幅に減らされた影響で、例外的に倍率が13.7倍となりましたが、それを除いた状態で倍率を見るとゆるやかな減少傾向にあり、令和5年度(2023年度)においては2.4倍となりました。

▼特別区

特別区職員の試験においても、大学卒業程度で主流であるI 類採用試験(事務区分)の倍率は減少傾向にあり、令和元年度(2019年度)が5.7倍であったのに対し、令和5年度(2023年度)は2.5倍まで下がっています。

「東京都で公務員として働きたい」と考えている方にとって、今が挑戦する良いタイミングであると言えそうです。

【参考】東京都職員採用「試験選考情報 試験選考実施状況」

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【Q&A】公務員試験に関するよくある質問

最後に、公務員試験に関するよくある質問について解説します。

公務員の職種別の難易度は?

公務員試験の難易度は、さまざまな要素の相関関係で決まるため一概には言えませんが、おおよその目安としては下記のとおりです。

難易度A:国家総合職

難易度B:東京都Ⅰ類B

難易度C:国家一般職、国家専門職(財務専門官・労働基準監督官)、裁判所一般職

難易度D:国家専門職(国税専門官)、地方上級(県庁・政令指定都市)、特別区Ⅰ類

難易度E:一般的な市役所、警察官、消防官、高卒程度試験

ただし上記はあくまで目安のため、参考程度としてください。

こちらの記事で詳しく解説しています。

【あわせて読みたい】目指す公務員の難易度・合格率は?職種別にみる、試験難易度

公務員と民間企業の違いは?

公務員と民間企業の違いは次の通りです。

▼公務員

  • 公共の福祉のために行政サービスを提供する
  • 公務員試験のほとんどが同じ形式で実施される
  • 福利厚生が充実している
  • 大企業に比べると給与は低い
  • ほぼ毎年確実に昇給する
  • 失業やリストラが基本的にない

▼民間企業

  • 利益を追求する
  • 企業によって選考方法が異なる
  • 企業によって待遇が異なる
  • 業績や仕事の成果が給与に反映されやすい
  • 毎年昇給するとは限らない
  • 業績によっては失業の恐れがある

公務員と民間企業、どちらもそれぞれメリット・デメリットがあります。

自分にとっての理想の働き方や優先したいポイントをイメージしながら、どちらを目指すかじっくり検討してみてください。

【あわせて読みたい】公務員と民間企業の違い?就職や転職を目指す上で知っておきたいこと

SPIを使って受験できる公務員試験は?

近年では、より多くの受験者を確保しようとする自治体の動きにより、SPIを使って受験できる公務員試験が増えています。

科目数が多く準備が大変な教養試験や専門試験などを受ける必要がないため、公務員を目指す大学生はもちろんのこと、民間企業と併願したい人や社会人からも非常に人気のある試験です。

しかし、次のような注意点もあります。

  • 採用枠が少ない場合が多く、倍率が高い
  • すべての自治体で実施されているわけではない
  • 職種が限られている、経験者のみが対象とされているなど、応募できない場合がある
  • 人物試験(面接)が重視されるため、面接対策が重要となる

SPIだけで受験できる公務員試験は一見するとハードルが低いように思われますが、上記の注意点にも充分留意しながら、自分に合った受験方法を選択するようにしましょう。

【あわせて読みたい】SPIだけで受験可の公務員試験は?知っておきたい注意点と対策(近日公開)

まとめ

今回は、公務員試験の人気がないと言われる理由や実際の倍率、公務員の魅力、人気の高い職種などをご紹介してきました。

  • 公務員試験の倍率は全国的にゆるやかな減少傾向にある
  • 安定性や公務員ならではのやりがいなど、公務員の魅力は健在
  • 国家公務員を目指すうえで職種にこだわりが無ければ、倍率の低い国家一般職が狙い目
  • 地方公務員の中で人気の東京都や特別区でも倍率が減少傾向なので、応募のチャンスといえる

公務員試験は必要な準備も多く合格が難しい試験ですが、近年では倍率が減少傾向にあるため以前よりも挑戦しやすくなっています。

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