高卒公務員の年収はどれくらい?国家・地方公務員の平均給与を解説

高卒で公務員を目指す方の中には、「年収はどのくらいもらえるの?」「大卒と比べて給料は安いの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、令和6年の国家公務員・地方公務員の最新データをもとに、高卒公務員の平均給与・年収や初任給の目安、大卒との収入差、職種別の年収ランキングを解説します。

公務員試験を受験しようと考えている方に、将来の給与イメージを持っていただける内容になっています。

高卒の国家公務員の平均給与・年収

高卒で国家公務員を目指す際に最も気になるのが、「実際にどれくらいの収入が得られるのか」という点でしょう。

人事院の「令和6年国家公務員給与等実態調査」によれば、行政職俸給表(一)が適用される高卒職員の平均給与月額は41万1,067円です。

そこから「平均給与月額12カ月+ボーナス4.65カ月分」で年収を試算すると、約684万円となります。

年齢別の平均給与・年収

次に、入庁後の具体的な昇給ペースをイメージできるよう、高卒の国家公務員(行政職俸給表(一)適用職員)の年齢階層別の平均給与月額と年収をご紹介します。

年齢階層平均給与月額年収(目安)
20歳未満18万2,106円約303万円
20歳以上24歳未満20万8,829円約348万円
24歳以上28歳未満25万1,773円約419万円
28歳以上32歳未満28万2,615円約471万円
32歳以上36歳未満32万5,326円約542万円
36歳以上40歳未満35万6,168円約593万円
40歳以上44歳未満38万8,625円約647万円
44歳以上48歳未満42万0,074円約699万円
48歳以上52歳未満45万4,418円約757万円
52歳以上56歳未満47万7,121円約794万円
56歳以上60歳未満49万4,955円約824万円
60歳以上46万3,522円約772万円

※「令和6年国家公務員給与等実態調査」による
※年収は「平均給与月額12カ月+ボーナス4.65カ月分」で試算

公務員の給与は基本的に年功序列であるため、経験を重ねるごとに給与が着実に伸びていくという特徴があります。

高卒で採用された場合でも、40代前半で年収が600万円を超えるなど、魅力的な水準といえるでしょう。

高卒の地方公務員の平均給与・年収

地方公務員も国家公務員と同様に、安定した昇給が見込めます。

まずは、全地方公共団体の高卒職員(一般行政職)の平均給与と年収を確認していきましょう。

総務省が公表した「令和6年地方公務員給与の実態」によれば、高卒の地方公務員(全地方公共団体・一般行政職)の平均給与月額は39万6,799円です。

「平均給与月額12カ月+ボーナス4.65カ月分」で年収を試算すると、約661万円となります。

なお、地方公務員のボーナスは国家公務員に準じた仕組みとなっているため、ここでは4.65カ月分で計算しています。

実際の支給額は自治体によって異なります。

また、年齢階層別の平均給与月額と年収は次のとおりです。

年齢階層平均給与月額年収(目安)
18~19歳19万7,911円約330万円
20~23歳23万1,531円約385万円
24~27歳26万7,790円約446万円
28~31歳29万7,416円約495万円
32~35歳32万8,872円約548万円
36~39歳37万0,846円約617万円
40~43歳41万3,677円約689万円
44~47歳44万6,652円約744万円
48~51歳46万4,726円約774万円
52~55歳47万7,114円約794万円
56~59歳48万5,250円約808万円
60~63歳33万7,830円約562万円
64~67歳31万4,656円約524万円
68歳以上33万5,717円約559万円

※「令和6年地方公務員給与の実態」による
※年収は「平均給与月額12カ月+ボーナス4.65カ月分」で試算

都道府県職員の平均給与・年収

続いて都道府県職員の平均給与と年収を見ていきましょう。

総務省の「令和6年地方公務員給与の実態」によれば、高卒の都道府県職員(一般行政職)の平均給与月額は39万8,661円です。

ここから「平均給与月額12カ月+ボーナス4.65カ月分」の式で年収を試算すると、約664万円となります。

年齢階層別の平均給与月額と年収については次のとおりです。

年齢階層平均給与月額年収(目安)
18~19歳20万0,644円約334万円
20~23歳23万5,778円約393万円
24~27歳27万4,482円約457万円
28~31歳30万5,720円約509万円
32~35歳33万4,312円約557万円
36~39歳37万4,591円約624万円
40~43歳41万8,526円約697万円
44~47歳45万5,437円約758万円
48~51歳47万1,585円約785万円
52~55歳48万2,379円約803万円
56~59歳48万7,564円約812万円
60~63歳33万4,465円約557万円
64~67歳31万8,698円約531万円
68歳以上34万3,546円約572万円

※「令和6年地方公務員給与の実態」による
※年収は「平均給与月額12カ月+ボーナス4.65カ月分」で試算

政令指定都市職員の平均給与・年収

政令指定都市職員の平均給与・年収はどうでしょうか。

総務省の「令和6年地方公務員給与の実態」によれば、高卒の政令指定都市職員(一般行政職)の平均給与月額は44万3,530円です。

そこから「平均給与月額12カ月+ボーナス4.65カ月分」で年収を試算すると、約738万円となります。

これは、地方公務員の中でも特に高い水準です。

また、年齢階層別の平均給与月額と年収は次のとおりです。

年齢階層平均給与月額年収(目安)
18~19歳21万3,885円約356万円
20~23歳24万9,537円約415万円
24~27歳29万0,086円約483万円
28~31歳32万0,376円約533万円
32~35歳35万9,967円約599万円
36~39歳41万8,580円約697万円
40~43歳46万1,811円約769万円
44~47歳48万5,382円約808万円
48~51歳50万3,383円約838万円
52~55歳51万2,055円約853万円
56~59歳52万0,924円約867万円
60~63歳35万9,404円約598万円
64~67歳44万0,000円約733万円
68歳以上37万5,233円約625万円

※「令和6年地方公務員給与の実態」による
※年収は「平均給与月額12カ月+ボーナス4.65カ月分」で試算

特別区職員の平均給与・年収

次は、特別区職員(高卒・一般行政職)の平均給与と年収を確認していきましょう。

総務省の「令和6年地方公務員給与の実態」によれば、高卒の特別区職員(一般行政職)の平均給与月額は44万0,729円です。

ここから「平均給与月額12カ月+ボーナス4.65カ月分」で年収を試算すると、約734万円となります。

また、年齢階層別の平均給与月額と年収は次のとおりです。

年齢階層平均給与月額年収(目安)
18~19歳22万1,190円約368万円
20~23歳25万7,539円約429万円
24~27歳29万4,297円約490万円
28~31歳32万5,095円約541万円
32~35歳36万0,318円約600万円
36~39歳41万4,683円約691万円
40~43歳46万5,334円約775万円
44~47歳50万0,320円約833万円
48~51歳51万7,195円約861万円
52~55歳52万6,803円約877万円
56~59歳52万6,988円約877万円
60~63歳37万4,175円約623万円
64~67歳29万4,445円約490万円
68歳以上28万5,650円約476万円

※「令和6年地方公務員給与の実態」による
※年収は「平均給与月額12カ月+ボーナス4.65カ月分」で試算

市職員の平均給与・年収

続いて、市職員(高卒・一般行政職)の平均給与・年収を確認していきましょう。

総務省の「令和6年地方公務員給与の実態」によれば、高卒の市職員(一般行政職)の平均給与月額は39万0,863円です。

ここから「平均給与月額12カ月+ボーナス4.65カ月分」で年収を試算すると、約651万円となります。

なお、年齢階層別の平均給与月額と年収は次のとおりです。

年齢階層平均給与月額年収(目安)
18~19歳19万5,496円約326万円
20~23歳22万9,130円約382万円
24~27歳26万3,279円約438万円
28~31歳29万0,588円約484万円
32~35歳32万1,541円約535万円
36~39歳36万0,646円約600万円
40~43歳40万0,860円約667万円
44~47歳43万5,546円約725万円
48~51歳45万3,942円約756万円
52~55歳46万4,844円約774万円
56~59歳47万5,308円約791万円
60~63歳33万1,408円約552万円
64~67歳30万3,970円約506万円
68歳以上29万9,981円約499万円

※「令和6年地方公務員給与の実態」による
※年収は「平均給与月額12カ月+ボーナス4.65カ月分」で試算

町村職員の平均給与・年収

最後に、町村職員(高卒・一般行政職)の全体平均を確認していきましょう。

総務省の「令和6年地方公務員給与の実態」によれば、高卒の町村職員(一般行政職)の平均給与月額は35万2,765円です。

ここから「平均給与月額12カ月+ボーナス4.65カ月分」で年収を試算すると、約587万円となります。

そして、年齢階層別の平均給与月額と年収は次のとおりです。

年齢階層平均給与月額年収(目安)
18~19歳18万7,886円約312万円
20~23歳21万3,539円約354万円
24~27歳24万3,708円約405万円
28~31歳26万8,930円約446万円
32~35歳29万7,683円約495万円
36~39歳32万3,628円約538万円
40~43歳36万9,219円約614万円
44~47歳40万6,029円約676万円
48~51歳43万0,061円約716万円
52~55歳44万2,120円約736万円
56~59歳44万6,312円約743万円
60~63歳31万8,828円約531万円
64~67歳31万7,176円約528万円
68歳以上34万0,215円約566万円

※「令和6年地方公務員給与の実態」による
※年収は「平均給与月額12カ月+ボーナス4.65カ月分」で試算

高卒公務員の平均年収ランキング

ここまでのデータをもとに、高卒公務員(一般行政職)の平均年収を比較し、高い順にランキング形式でまとめました。

順位区分平均給与月額年収(目安)
1位政令指定都市職員44万3,530円約738万円
2位特別区職員44万0,729円約734万円
3位国家公務員41万1,067円約684万円
4位都道府県職員39万8,661円約664万円
5位市職員39万0,863円約651万円
6位町村職員35万2,765円約587万円

ランキングの1位と2位は、政令指定都市と特別区です。

これらの自治体は物価が高い大都市圏であるため、地域手当が多く支給されて平均年収を押し上げていると考えられます。

一方で、6位は町村でした。

しかし、決して低い水準ではなく、高い安定性と昇給の確実性という公務員ならではのメリットもしっかりと享受できます。

高卒で公務員になる場合の初任給

ここまで平均給与や年収について見てきましたが、実際に採用後の生活に直結するのは初任給です。

国家公務員と地方公務員に分けて、高卒で公務員になる場合の初任給を確認していきましょう。

高卒で国家公務員一般職になる場合の初任給

人事院が公表している令和7年度の初任給例(一般職・高卒者試験・本府省採用の場合)は、23万2,800円です。

ただし、これは諸手当が含まれた想定での金額です。

高卒で地方公務員になる場合の初任給

地方公務員の初任給は、勤務する自治体によって異なります。

総務省が公表した「令和6年地方公務員給与の実態」によれば、高卒で一般行政職に採用された場合の、団体区分別の初任給基準額(平均)は下記のとおりです。

区分初任給基準額(平均)
都道府県17万0,535円
政令指定都市16万6,426円
特別区15万8,100円
16万9,070円
町村16万7,597円

なお、国家公務員の初任給23万2,800円に対し、地方公務員の初任給基準額にやや開きがあるように見えますが、これはデータの算出方法の違いによるものです。

一例として、横浜市の初任給を見てみましょう。

令和7年度の横浜市高校卒程度事務区分の初任給は、21万7,152円です。

上記には地域手当が含まれています。

その他条件により、扶養手当や住居手当、通勤手当などが支給されるため、実際に受け取る金額は上記よりも高くなるでしょう。

大卒に比べると高卒の公務員の給料は安い?

「大卒に比べると高卒の公務員の給料は安い」という声がありますが、実際はどうなのでしょうか。

公務員の給与は基本的に採用時の試験区分によって初任給が決定されるため、スタートの時点で大卒と高卒の差が出ます。

また、高卒公務員は大卒公務員よりも昇進や昇給のスピードが遅い傾向にあるため、給与の差がさらに開いていくといったことも少なくありません。

それでは実際に、国家公務員と地方公務員それぞれの、大卒・高卒の給与を比較してみましょう。

国家公務員の給料を比較

人事院の「令和6年国家公務員給与等実態調査の結果」によると、行政職俸給表(一)が適用される高卒職員と大卒職員の平均給与月額は以下のとおりです。

高卒大卒
年齢平均給与月額年齢平均給与月額
20歳未満18万2,106円20歳未満23万3,219円
20~24歳未満20万8,829円20~24歳未満23万4,741円
24~28歳未満25万1,773円24~28歳未満26万0,485円
28~32歳未満28万2,615円28~32歳未満29万9,430円
32~36歳未満32万5,326円32~36歳未満34万0,619円
36~40歳未満35万6,168円36~40歳未満39万2,082円
40~44歳未満38万8,625円40~44歳未満44万0,772円
44~48歳未満42万0,074円44~48歳未満47万3,981円
48~52歳未満45万4,418円48~52歳未満50万3,144円
52~56歳未満47万7,121円52~56歳未満52万4,900円
56~60歳未満49万4,955円56~60歳未満53万0,044円
60歳以上46万3,522円60歳以上51万1,725円

この比較表から、全ての年齢階層において大卒の方が高い給与水準にあることがわかります。

地方公務員の給料を比較

総務省の「令和6年地方公務員給与の実態」によれば、全地方公共団体 一般行政職の高卒職員と大卒職員の平均給与月額は以下の通りです。

高卒大卒
年齢平均給与月額年齢平均給与月額
18~19歳19万7,911円18~19歳
20~23歳23万1,531円20~23歳25万0,662円
24~27歳26万7,790円24~27歳28万8,290円
28~31歳29万7,416円28~31歳32万0,300円
32~35歳32万8,872円32~35歳35万0,737円
36~39歳37万0,846円36~39歳38万9,976円
40~43歳41万3,677円40~43歳43万7,231円
44~47歳44万6,652円44~47歳46万9,392円
48~51歳46万4,726円48~51歳48万8,816円
52~55歳47万7,114円52~55歳50万6,450円
56~59歳48万5,250円56~59歳52万3,810円
60~63歳33万7,830円60~63歳35万7,400円
64~67歳31万4,656円64~67歳36万1,301円
68歳以上33万5,717円68歳以上34万9,230円

こちらも国家公務員と同様に、年齢を問わず大卒職員の方が給料が高いことがわかります。

とはいえ、高卒で公務員になった場合、「大学の学費が不要となる」「大卒者より4年早く社会人としての経験を積み、給与を得られる」という利点があります

早期の貯蓄形成や社会人スキルの獲得という点において、重要なポイントと言えるでしょう。

まとめ

今回は、高卒公務員の給与や年収について解説しました。

  • 学歴に関わらず公務員の給与は安定しており、年功序列で着実に昇給していく
  • 政令指定都市や特別区職員は給与水準が高い傾向にある
  • 高卒は大卒と比べて給料が低い傾向にあるが、その他のメリットもある

高卒から公務員を目指すことは、将来の安定と成長を両立できる現実的な選択です。

そのためには、早めに計画を立てて効率よく試験対策を進めることが大切です。

独学での対策が不安なら、「スタディング公務員講座」がおすすめです。

スマートフォンやタブレットを使って学習を進められるため、スキマ時間を活用しながら合格に必要な知識を着実に身に付けられます。

無料の体験講座もご用意していますので、ぜひ一度チェックしてみてください。