高卒公務員は生活できない?給料は高すぎ?収入事情を解説

「高卒で公務員になっても生活できない」「公務員の給料は高すぎる」

ネット上ではこんな相反する意見を見ることがありますが、一体どちらが本当なのでしょうか?

本記事では、高卒公務員の実際の給料や年収データを分析し、「生活できない」と言われる理由や、民間企業との比較、高卒で公務員になることのメリットを解説します。

将来のキャリア選択に迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

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高卒公務員は生活できないって本当?

「高卒公務員は生活できない」というのは誤解です。

「高卒区分」の職員でも、安定した収入と手厚い福利厚生が保障されており、生活に困ることはほとんどありません。

給与は年齢や経験に応じて確実に昇進・昇給していくため、長期的な視点でキャリアを築くことが可能です。

また、景気に左右されず、民間企業に比べて失業のリスクが極めて低いのも大きな特徴です。

安定を求める方にとって、高卒公務員は非常に魅力的な選択肢といえるでしょう。

高卒公務員が生活できないと言われる理由

安定した職業にも関わらず、「高卒公務員が生活できない」と言われるのは何故でしょうか。

その理由として主に挙げられるのは、下記の4点です。

  • 大卒公務員よりも初任給が低い
  • 大卒公務員よりも昇進・昇給スピードが遅い
  • 生活コストが増えてきている
  • 副業ができない

高卒公務員が生活できないと言われる4つの理由を詳しく解説します。

大卒公務員よりも初任給が低い

大卒程度の区分で採用された公務員に比べると、高卒公務員は初任給が低く、スタート時点で給与に差がついてしまいます。

例えば、人事院のデータによれば、国家公務員一般職(本府省採用)の場合の令和7年度初任給例は、以下のとおりです。

  • 高卒者試験合格者:23万2,800円
  • 大卒程度試験合格者:27万1,200円

つまり、同時期に採用され同じ職場で勤務していても、大卒公務員と比べて給与に3~4万円ほどの差がある状況が生まれるのです。

大卒公務員よりも昇進・昇給スピードが遅い

高卒公務員は、大卒公務員よりも昇進や昇給のスピードが遅い傾向にあります。

大卒者が早い段階で上位の等級に達する一方、高卒者はそこに到達するまでに時間がかかり、長期的な給与の伸びに差が生じる可能性があります。

生活コストが増えてきている

近年、物価の上昇や消費税、社会保険料の負担増など、生活コストが全体的に高まっています。

給与が緩やかにしか上がらない公務員にとって、これらの負担は大きな課題となります。

特に都市部に住んでいる場合や、結婚して家族を養うことになった場合、支出が増えるにつれて「生活できない」と感じる人もいるでしょう。

副業ができない

公務員は副業が原則禁止されており、これも高卒公務員が経済的な不安を感じる大きな理由の一つとなっています。

仮に給料だけでは生活費が足りない状況になったとしても、他の収入源を確保して補うことが難しいため、経済的な余裕が生まれにくくなるのです。

高卒公務員の年収・給料は高すぎ?安い?

高卒公務員の年収・給料は高いのか安いのか、実際の金額も気になるところです。

ここで、高卒公務員と民間企業の年収を比較してみましょう。

高卒の国家公務員の給与・年収

まずは、高卒の国家公務員(行政職俸給表(一)適用職員)の給与・年収を見ていきましょう。

人事院が公表している「令和6年 国家公務員給与等実態調査」によると、高卒職員の平均給与月額は41万1,067円です。

そこから「平均給与月額12カ月+ボーナス4.6カ月分」で年収を試算すると、約682万円となります。

【参考】令和6年国家公務員給与等実態調査報告書

高卒の地方公務員の給与・年収

次に、地方公務員(一般行政職)の高卒職員の給与・年収を見ていきましょう。

総務省「令和6年 地方公務員給与の実態」によると、全地方公共団体の高卒職員の平均給与月額は39万6,799円です。

これを元に「平均給与月額12カ月+ボーナス4.6カ月分」で年収を試算すると、約659万円となります。

【参考】令和6年地方公務員給与の実態

高卒公務員と民間企業の年収を比較

それではここで、国家公務員、地方公務員、民間企業の平均年収を比較してみましょう。

雇用形態平均年収
国家公務員(行政職俸給表(一)適用職員/高卒)約682万円
地方公務員(一般行政職/高卒)約659万円
民間企業(正社員)約530万円

※民間企業の平均年収は「令和5年分 民間給与実態統計調査」による

この比較表から、高卒公務員であっても、民間の平均年収を大きく上回る収入を得ていることが分かります。

収入の安定性を考慮すると、高卒で公務員になることは非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。

高卒公務員の初任給

あわせて、高卒公務員の初任給についても見ていきましょう。

区分初任給基準額(高卒)
国家公務員18万8,000円
都道府県職員17万535円
政令指定都市職員16万6,426円
市職員16万9,070円
町村職員16万7,597円

【参考】国家公務員の給与(令和7年版)
【参考】令和6年地方公務員給与の実態

国家公務員と地方公務員の初任給基準額に差があるように見えますが、これはデータの算出時点の違いによるものです。

また、この表にある初任給基準額には各種手当が含まれていないため、実際の支給額はこれよりも高くなる可能性があります。

高卒で公務員になるメリットはある?

給与の低さや昇進の遅さなど、不安材料ばかりが注目されがちな高卒公務員ですが、実は長期的に見れば大きなメリットもあります。

  • 早く社会経験を積める
  • 雇用環境・収入が安定している
  • 福利厚生が充実している
  • 社会的信用を得やすい

ここでは、その代表的な4つの魅力を解説します。

早く社会経験を積める

高校を卒業してすぐに公務員として働き始めると、同年代の人たちよりも早く社会人経験を積むことができます。

大学に進学した同級生が4年間学業に専念している間に、実際の職場で上司や同僚との人間関係を築き、社会人としてのマナーやコミュニケーション能力を身につけられます。

早くから実務に携わることで、仕事のスキルや知識をいち早く習得できる点は大きな魅力といえるでしょう。

雇用環境・収入が安定している

公務員は終身雇用のような安定感があり、余程のことがない限り解雇されることはありません。

経済情勢の変化や企業の業績悪化によるリストラの心配がなく、長期的な人生設計を立てやすいのが特徴です。

また、年功序列の制度が根付いているため、給与も着実に上がっていきます。

こうした抜群の安定性も、公務員のメリットの1つです。

福利厚生が充実している

地域手当や住居手当などの各種手当、さまざまな休暇制度、共済組合といった充実の福利厚生があるのも公務員の特徴です。

育児休業や介護休業なども取得しやすい環境が整っており、ワークライフバランスを重視した働き方が可能です。

また、民間では退職金の有無は企業によって異なりますが、公務員には退職金制度が確立されています。

老後の資金に不安を抱える人も多い中で、退職時にまとまった金額を受け取れるのは、大きなメリットです。

社会的信用を得やすい

公務員は非常に安定性が高いこともあり、社会的信用を得やすい職業とされています。

金融機関からの信頼度が高く、高卒で公務員になった場合でも、若いうちから住宅ローンや自動車ローンなどの審査に通りやすくなります。

そのため、マイホーム購入などを早くから検討できるようになり、同年代よりも早い段階で資産形成を始められるでしょう。

まとめ

今回は、高卒公務員が「生活できない」と言われる理由や、民間企業との年収比較、高卒で公務員になることのメリットなどについて解説しました。

  • 公務員は安定した収入と充実した福利厚生が保障されている
  • 高卒で公務員になった場合も生活に困ることはないだろう
  • 高卒公務員は、民間企業の平均年収を大きく上回る収入を得ている
  • 若いうちから社会人経験を積める、雇用・収入が安定しているなどのメリットがある

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