
公務員保育士として働きたいと考えている方の中には、年齢制限が気になる方も多いのではないでしょうか。
実際、多くの自治体で年齢制限が設けられていますが、近年では制限を緩和したり撤廃したりする動きも見られます。
本記事では、公務員保育士の年齢制限の実態や、制限のない自治体の例などを詳しく解説します。
保育士資格を取得予定の方や公務員保育士を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
公務員保育士の採用試験には年齢制限がある
公務員保育士の採用試験には、応募に際しての年齢制限が設けられている場合があります。
年齢制限の有無や受験可能な年齢は自治体によって異なりますが、20〜35歳前後での制限を設けているケースが多いです。
例えば、東京都大田区の令和5年度の募集においては「昭和61年4月2日から平成16年4月1日までに生まれた方」とされています。
採用試験への応募を検討するにあたって、年齢制限に引っかからないか気になる方は応募を考えている自治体の募集要項をよくご確認ください。
なお、会計年度の採用であれば、年齢制限がない場合も多くあります。
公務員保育士採用試験の年齢制限なしの自治体は?
以前は年齢の上限が35歳前後の自治体が大半でしたが、近年は地域や採用枠によっては年齢制限が(定年までの範囲で)設けられていないようなケースも増えてきています。
例えば、大阪市や横浜市の社会人採用枠であれば、定年で定められている60歳まで受験可能なので、実質年齢制限が設けられていないといえます。
近年では多様な人材を集めたいというニーズから、他業種での経験が豊富な人材を広く募集するためにも年齢制限をあえて設けないようなケースも増えてきました。
また、健康寿命が延びたことや、一定の年齢でも働き続けたいニーズがあることから、中高年層の採用にも柔軟になってきているのです。
このような様々な状況の変化から、年齢制限がない自治体は今後も増えることが予想されます。
年齢以外の公務員保育士採用試験の受験資格
公務員保育士採用資格の受験資格について、年齢以外の要素についても見ていきましょう。
まず、当然ながら保育士の資格を取得し、都道府県知事の登録を受けていることが前提となります。
ただし、保育士養成学校に通っているなど、卒業と同時に資格取得、登録ができる場合には「見込み」の状態での申し込みも可能です。
また、特別な受験資格を必要とする要素ではありませんが、地方公務員法等で選考を受けることができない場合は受験資格がありません。
例えば「禁固以上の刑」に処されており、執行猶予期間もしくは刑期が終了していない場合などが該当します。
当然ながら既に志望先の自治体の現常勤職員である場合も、受験資格の対象者とはなりません。
公務員保育士になるには?
公務員保育士になるための具体的な流れについて簡単に解説します。
まず、受験するにあたって受験の申請を行います。
申請が無事受け付けられると、採用試験を受験することが可能です。
採用試験は多くの場合複数回(多くは2回)に分かれ、筆記試験、面接試験、専門分野に関する実技試験などが実施されます。
試験の回数や内容については自治体によって異なるため、受験を検討する自治体の要綱をよく確認するようにしましょう。
試験に合格すると、自治体の採用候補者としてリストに掲載されます。
その後、そのリストから求人を必要とする公共の保育機関が本採用の連絡を行い、実際に職に就くことができます。
すぐに働けるわけではなく、少し期間が空く点についてはご注意ください。
公務員保育士の採用試験に受かる人の特徴
公務員保育士の採用試験を突破できる人の特徴は、次の3つです。
- 情報収集ができる
- 計画的に試験対策ができる
- 明確な目標・志望動機がある
それぞれ解説します。
情報収集ができる
まず自分で情報収集できることが重要です。
採用試験の内容は各自治体によって異なります。そのため、しっかりと情報収集を行い、自発的に対策できることが求められるのです。
計画的に試験対策ができる
また、自ら調べた情報をもとに計画的に試験対策を行う必要があります。
試験内容がどんなものであったとしても、試験に合格するためには事前の準備が欠かせません。
そのため、実際に試験を迎えるまでの間、計画的・戦略的に対策を進めることも欠かせないのです。
明確な目標・志望動機がある
最後に、明確な目標や志望動機を持っていることも必須です。
目標や志望動機は選考の中で必ず問われると思っておきましょう。
目標や志望動機が明確で他の候補者と比べて差別化を図れると、採用担当者や面接官の目に留まりやすく、試験に受かる可能性も高くなります。
保育士資格取得に年齢制限はある?
保育士の資格取得そのものには、年齢制限がありません。資格の取得要件を満たせば何歳であっても資格を取得することが可能です。
一方で資格を得るための方法は複数あり、それぞれの方法により最短で保育士資格を取得できる年齢は異なります。
方法別に保育士になることができる最低年齢について解説します。
保育士試験を受験する
保育士試験を受験し、合格することで保育士の資格を取得できます。
保育士試験の受験の条件は最終学歴により異なり、例えば大卒の場合はそのまま受験資格がありますが、中卒の場合は一定の期間、保育所等での勤務経験を要します。
そのため、最短で受験資格を得られる年齢も条件によって異なりますが、多くの場合は「20歳以上」で受験資格を得られます。
保育士養成学校を卒業する
保育士養成学校を卒業すると、保育士試験を受験しなくても資格の取得が可能です。
保育士養成学校とはその名の通り、保育士を輩出することを目的とした学校です。
カリキュラムが保育士になることをゴールに組まれているため、卒業することで保育士に必要な知識、スキルが身につきます。
保育士養成学校には短期大学や四年制大学、専門学校などがあり、最短20歳で資格取得できます。
職業訓練校の保育士養成コースを受講する
職業訓練校の保育士養成コースを修了することでも、保育士の資格を取得可能です。
2年間のカリキュラムを修了すれば、民間の保育士養成学校と同様に試験を受けずに保育士の資格が得られます。
保育士養成コースの受講資格が高校卒業以上であり、2年間の職業訓練を経て保育士資格を得るため、保育士養成コースを経ての資格取得は最短で20歳です。
公務員保育士の定年は何歳まで?
公務員保育士の定年は2024年現在、60歳です。
他の地方公務員と同様、地方公務員法で定められた定年が適用されます。
したがって、募集における年齢制限が撤廃されている自治体においても、実質的な年齢制限としては60歳のラインが設定されていると考えて良いでしょう。
60歳を過ぎたあとは民間企業でいう「嘱託社員」のように定年を超えて最大3年間、勤務を延長できる「再任用」という仕組みもあります。
ただし、2025年からは法改正により定年が65歳にまで引き上げられます。
それに伴い再任用の制度は終了される見通しです。
再任用の場合、定年後の再雇用の形態はフルタイムかパートタイムか選択することができますが、定年延長の制度においては原則としてフルタイムでの雇用継続が前提とされています。
まとめ
公務員保育士の年齢制限について解説しました。
- 多くの自治体における受験の年齢制限は20〜35歳前後
- 近年は制限の緩和や撤廃を行う自治体も増え始めている
- 年齢制限のほか、資格や法律によっても受験の制限が定められている
- 保育士の資格を取れるのは最短で18〜20歳前後
- 現在の公務員保育士の定年は60歳だが、今後は65歳に引き上げられる予定
公務員保育士の受験資格には、現在は緩和・撤廃の動きもあるものの、年齢制限が設けられているケースもあります。
制限の有無や内容は自治体によって異なるため、興味がある自治体については事前によく調べた上で受験に臨んでください。