
子育て中の公務員が時短勤務をしたい場合、子どもが小学校に入学するまでは、育児時間(地方公務員は部分休業)や育児短時間勤務などの制度を利用できます。
1日あたりの働く時間を減らすのか、それとも働く日数を減らすのか。また、給与・ボーナスへの影響や業務の負担感をどれくらい許容するのか。各制度をよく理解して、自分の目指すライフスタイルに合ったものを選択したいところです。
この記事では、公務員の育児時間・部分休業や育児短時間勤務について解説します。
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公務員の育児のための時短勤務制度(1)育児時間・部分休業
公務員の育児のための時短勤務制度には、国家公務員の育児時間や地方公務員の部分休業があります。
これらは未就学児を育てる職員を対象としたもので、勤務時間の始めか終わりに1日あたり2時間を超えない範囲で勤務しないことができる制度です。30分単位で利用できます。
このほか、1歳未満の子どもを育てる職員を対象として、1日2回それぞれ30分以内の休暇を取得できる「保育時間」という制度もあり、
保育時間と育児時間・部分休業を併用する場合は、取得できる時間は合計2時間以内となります。
育児時間・部分休業で給与・ボーナスはどうなる?
育児時間・部分休業は休暇ではなく「勤務しない時間」を設ける制度であるため、取得した時間の分だけ給与が減額されます。
ボーナス(期末手当・勤勉手当)については、期末手当は全額支給ですが、勤勉手当は育児手当を一定期間以上取得した場合に減額となります。
たとえば国家公務員の場合、育児時間の総時間数を日数に換算した結果30日を超える場合に、その全期間分が勤勉手当から除算されます。
育児時間・部分休業のメリット・デメリット
育児時間や部分休業は、仕事と育児を両立したい公務員にとってプライベートの時間を増やせる嬉しい制度です。上手に活用すれば、下記のようなメリットがあります。
- 時間に余裕を持って保育園の送迎などができる
- 家族との時間を増やせる
- 親の疲労を軽減できる
一方で、デメリットとしては下記の点が挙げられます。
- 取得した時間分だけ給与が減額される
- 総取得時間によってはボーナスにも影響が出る
実際の生活リズムと給与面とのバランスを見ながら、自分が納得できる範囲内で取得していくといいでしょう。
公務員の育児のための時短勤務制度(2)育児短時間勤務
公務員の育児のための時短勤務制度として、育児短時間勤務もあります。これは未就学児を育てる職員を対象とし、いくつかある勤務形態の中から1つを選択して短時間勤務を行うことができる制度で、男女ともに取得可能です。
取得を希望する場合は、取得期間(1カ月以上1年以下)と勤務形態、勤務する曜日および時間帯を決めて申請します。子どもが小学校に上がる前であれば、期間の延長も可能です。
勤務パターン例:週5日働くがフルタイムより短くする
勤務パターンのひとつとして【週5日×3時間55分】という働き方があります。
勤務日は月曜日~金曜日の5日間、1日あたり3時間55分勤務し、合計で週19時間35分働くというものです。
類似パターンとして、【週5日×4時間55分】という形もあります。
勤務日は月曜日~金曜日の5日間、1日あたり4時間55分勤務し、合計で週24時間35分働きます。
勤務パターン例:週3日だけ働き平日に2日休む
1日あたりの勤務時間を減らさない代わりに、週休日を増やして【週3日だけ働く】という勤務形態もあります。
週休日は土日に加えて平日の2日、勤務日は残りの3日とし、1日あたり7時間45分(フルタイム)勤務すると、合計で週23時間15分働きます。
類似パターンとして、「週3日の勤務日のうち、2日は7時間45分、残り1日は3時間55分勤務する」という形もあります。
この働き方を選択した場合は、合計で週19時間25分働くことになります。
育児短時間勤務で給与・ボーナスはどうなる?
育児短時間勤務を利用した場合、勤務時間数に応じた給与額に減額されます。具体的には、下記の計算式により算出された額が支給されます。
基本給×(短時間勤務での勤務時間÷正規の勤務時間)
たとえば【週5日×3時間55分】の場合、フルタイム勤務(週5日×7時間45分)と比べると勤務時間が約半分となるため、基本給も約半額となります。
ボーナス(期末手当・勤勉手当)については下記の通りに計算され、減額されます。
- 期末手当:短縮された勤務時間のうち、50%を勤務期間から除算
- 勤勉手当:短縮された勤務時間の全てを勤務期間から除算
上記については国家公務員の支給条件ですが、地方公務員においてもこれらの条件に準じて支給されています。
育児短時間勤務のメリット・デメリット
育児短時間勤務のメリットとしては、下記の点が挙げられます。
- 育児時間や部分休業に比べ、より多くの時間を育児・家事に充てることができる
- 正規職員の立場を維持したまま、パートタイマーのような働き方ができる
- 週3日だけ働く(週休4日)ライフスタイルも実現できる
それに対してデメリットは、下記のとおりです。
- 給与やボーナスが減額となり、収入が大きく下がる
制度利用中のみのこととはいえ、収入が大きく下がる点には注意が必要です。しかし、「子どもが小さいうちは家族との時間を特に大切にしたい」「子どものケアの時間を優先したいが、長期的には公務員として働き続けたい」という方にとっては、ワーク・ライフ・バランスの可能性を広げてくれる制度であると言えるでしょう。
【Q&A】公務員の仕事と子育てに関するよくある質問
最後に、公務員の仕事と子育てに関するよくある質問について解説していきます。
公務員の育休はいつまで?給料・ボーナスへの影響は?
公務員の育児休業は最長3年、具体的には子どもの3歳の誕生日の前日まで取得可能です。
育休期間中、給与は支給されませんが、子どもが1歳に達する日まで共済組合等から育児休業手当金が支給されます。
ボーナスについては支給基準日前の6カ月間における勤務実績で計算されるため、育休を取得するタイミングによっては支給される場合もあります。

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公務員は勤務する時間帯を変更することは可能?
公務員は、フレックスタイム制、早出遅出勤務、休憩時間の短縮・延長などを活用して、フルタイムのまま勤務する時間帯を変更することも可能です。
これらを活用した場合、給与を減らすことなく「朝だけ送迎を担当する」「子どものお迎え時間までに帰る」といったことを実現できます。
さまざまな制度で柔軟に勤務時間を変更できるからこそ、家族ともしっかり相談しながら自分にピッタリの制度を選択していきましょう。
公務員の年間休日日数や有給休暇・特別休暇は?
公務員の年間休日日数は年によって前後しますが、およそ125日程度と言われています。
また、有給休暇として年次休暇があり、これは多くの民間企業と異なり1年目の最初から付与されるという特徴があります。
さらに、結婚・産前・産後・忌引・夏季休暇など、さまざまな特別休暇も取得可能です。

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まとめ
今回は、公務員の育児のための時短勤務制度について解説しました。
- 育児時間・部分休業を使えば、始業または終業時に1日2時間まで勤務しないこととできる
- 育児短時間勤務を使えば、「週5日×3時間55分」や「週3日×7時間45分」などで働ける
- 各種時短勤務制度を使っている期間は収入に影響が出るものの、プライベートの時間を確保して仕事と育児の両立に役立てることができる
公務員は、仕事も育児も頑張りたい職員への支援制度が手厚く、ワークライフバランスを充実させたい方にはおすすめの職業であるといえます。
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