東京都Ⅰ類B部門の専門試験は、択一に加え記述形式で行われる試験もあります。ほかの地方公務員試験にはない特徴で、合否の決め手となるのは「選択科目の見極め」と「時間内に完答するための準備と対策」です。
|東京都Ⅰ類B・専門記述の概要
専門記述は、その名のとおり記述式で実施されます。
全10題(憲法・民法・行政法・経済学・財政学・政治学・行政学・社会学・会計学・経営学)のなかから3題を選択。1題につき解答を750~800字程度の文章にまとめるというものです。
東京都は採用試験の配点結果を公表しないため、各種試験の配点率は不明です。ほかにも教養試験や専門試験、論文試験などがあり、どれも重視しなければならないのはいうまでもありません。そのなかで専門記述対策を考え、万全の準備を整えたうえで本番を迎えましょう。
| 問題特徴・選び方のポイント
自由選択形式で行われる専門記述は、どの問題を選ぶかで合否が分かれます。分野によって問題の難易度が多少異なりますが、3題選ぶ必要があるので、自分が得意な分野の問題は確実に解答できるようにすることが大切です。
以下は、令和元年度試験「行政(一般方式)」の出題内容です。
憲法 |
日本における二院制の存在意義について述べた上で、衆議院の優越について説明せよ。 |
行政法 |
行政行為の職権取消し及び行政行為の撤回について、それぞれ説明せよ。 |
民法 |
消費貸借の意義について述べた上で、その成立要件及び効力についてそれぞれ説明せよ。 |
経済学 |
外部不経済の下での市場均衡について説明せよ。また、外部不経済の内部化の方法のうち、課税による方法及び補助金による方法について、それぞれ説明せよ。なお、説明には図を用いること。 |
財政学 |
公債の負担に関するリカードの等価定理について、予算制約式を用いて説明するとともに、バローの中立命題について併せて説明せよ。 |
政治学 |
政党が成立するための条件及び政党の機能を述べた上で、サルトーリが分類した政党制の類型について説明せよ。 |
行政学 |
フリードリッヒとファイナーとの行政責任論争について、論争の主な論点を述べた上で、それぞれの行政責任論について説明せよ。 |
社会学 |
マートンのアノミー論について、五つに分類される個人的適応様式に言及して説明せよ。 |
会計学 |
企業会計原則の一般原則について説明せよ。 |
経済学 |
動機づけ理論における内容理論及び過程理論に言及した上で、マグレガーのX理論・Y理論及びハーズバーグの2要因理論について説明せよ。 |
| 専門記述の対策は?
専門記述といっても、その基礎知識は専門試験択一対策で習得できる内容です。記述試験では、その応用レベルの解答力が試されると思ってください。
10のテーマをすべて深く掘り下げて勉強するほどの時間的余裕は、おそらくほとんどの方はないでしょう。まずは、選択科目を絞ることから始めましょう。東京都の場合、3題選択ですが、自分の得意な4~5テーマくらい目安に勉強していると安心でしょう。
※上記は試験区分が「行政(一般方式)」ですが、土木、建築など専門によってテーマが異なります。専門試験の出題テーマは「採用試験案内」に予め明記されていますので、事前に確認しましょう。
選択科目を絞ったら、各科目の過去問にあたり、頻出の論点を確認しましょう。独創性や表現力を問うのではなく、専門知識を理解し論理立てて述べられているかが記述試験のポイントとなります。キーワードを押さえ、重要論点をチェックしながら、答案例を読んで自分で解答文を作成しましょう。勉強方法としては、解答例を読みこんで、自作の解答例を作成・入力し、何度も読み返すという作業を繰り返すことでより頭の中にインプットされるでしょう。
《POINT》
◆選択科目を絞る(5科目がベスト)
◆過去問を見て頻出論点を把握する
◆論点を理解し、自作の解答例を作成する
(出典・参考:リンク)
東京都人事委員会 行政(一般方式)専門問題
(http://www.saiyou.metro.tokyo.jp/saiyou2019/31mondai/1-b/senmon/31gyosei.pdf)