公務員とは?種類・仕事内容・向いている人をわかりやすく解説

「安定して働ける」「社会に貢献できる」といったイメージから、多くの人に人気のある公務員。

「そもそも公務員ってどんな仕事?」「国家公務員と地方公務員は何が違うの?」といった疑問を持つ人も少なくありません。

本記事では、公務員という職業の基本から、国家・地方の違い、職種ごとの具体的な仕事内容、民間企業との違いや働くメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

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公務員とはどんな仕事?

公務員とは国や地方自治体で、社会の土台作りを行う仕事です。

公務員の仕事を大まかに分けると「事務系」「技術系」「その他」の3つがあります。

 

事務系は、行政事務から警察事務や学校事務など幅広い業務があり、内容は勤める機関や部署、採用区分によってさまざまです。

技術系とは、土木や建築、機械、電気など専門分野に携わる仕事で、理系の知識を生かすことができます。

その他の仕事として、警察官や消防官などの公安系、看護師や保育士などの資格免許職もあります。

公務員の数は全体で約339万5,000人、このうち国家公務員が約59万2,000人、地方公務員が約280万4,000人(令和7年度)となっています。

【出典】人事院「国家公務員プロフィール」

 

公務員の種類

公務員には「国家公務員」と「地方公務員」の2種類があります。

どちらも公の職務を行う立場である点では共通していますが、仕事内容や待遇、キャリアステップ、採用試験に違いがあります。

国家公務員と地方公務員それぞれの特徴や違いについて、簡単に紹介します。

国家公務員とは?

国家公務員とは、国の機関で勤務する公務員です。

日本の中央省庁などで働く職員のことで、法律上では「国家公務員法」で身分が扱われます。

国家公務員はスペシャリストのように働く職員で、大きく分けると「1府13省庁職員」と「国家専門職」の人がいます。

▼1府13省庁職員

  • 国家総合職
  • 国家一般職
  • 外務専門職(外交官)

▼国家専門職

  • 国税専門官
  • 財務専門官
  • 衆議院/参議院事務局職員
  • 裁判所事務官 など

仕事を通して国全体に奉仕し、日本の未来を率いていくスケールの大きな仕事を経験できます。

業務をやり遂げるために求められる能力は高いですが、待遇面でも地方公務員より平均年収が高い傾向にあります。

 

国家公務員になるためには、原則として「国家公務員採用試験」に合格しなければなりません。

制度上では国家公務員は「一般職」「特別職」に分かれていて、裁判所職員、国会職員、防衛省の職員などは特別職、それ以外の職員は一般職とされています。

【参考】内閣人事局|国家公務員制度

地方公務員とは?

地方公務員とは、地方自治体に勤務する公務員です。

各地域の役所や出先機関などで働く職員のことで、法律上では「地方公務員法」で身分が扱われます。

地方公務員は、ゼネラリストのように働く職員で、大きく分けると4つの種類があります。

  • 都道府県(広域自治体)職員
  • 政令指定都市職員
  • 特別区(東京23区)職員
  • 市町村(基礎自治体)職員

その地域に密着した仕事ができることが地方公務員の魅力で、2〜3年の周期で異動しながら、さまざまな分野の業務を経験します。

地方公務員になるためには、各自治体が行っている「地方公務員採用試験」を受けることになります。

地方公務員のうち、都道府県・政令指定都市の大卒程度試験を「地方上級」と呼ぶことがありますが、それはあくまで受験用語として使われている呼び方です。

 

公務員の職種と仕事内容

公務員の職種には、以下のような種類があります。

▼国家公務員

  • 国家総合職
  • 国家一般職
  • 国家専門職
  • 衆議院/参議院事務局職員
  • 国立国会図書館職員
  • 裁判所事務官
  • 国立大学法人等職員 ※平成16年(2004年)より法人職員

▼地方公務員

  • 都道府県職員
  • 政令指定都市職員
  • 特別区職員
  • 市町村職員
  • 警察官・消防官

それぞれどのような仕事内容なのか、働く場所や特徴もあわせて紹介します。

国家総合職

国家総合職とは、国家公務員の総合職で「キャリア官僚」と呼ばれる人たちです。

公務員の中でも難関試験であることが知られていますが、将来的に幹部職員になる「幹部候補生」とされています。

 

仕事内容は、主に重要法案の作成に関わる業務や政策の企画立案などです。

入省・入庁後の早い段階から、責任のある役割を任されることも国家総合職の特徴です。

勤務先は、基本的には東京の霞ヶ関にある中央省庁(本府庁)で、2~3年の周期で全国転勤を前提に、さまざまな部署や部局に配属されます。

国家一般職

国家一般職とは、国家公務員の一般職として採用される職種です。

主に事務処理や関係各所との調整など定型的な業務に携わり、中央省庁や出先機関にて現場の仕事を担います。

国家一般職の職員は、政策を実現するために総合職のサポートを行う立場でもあり、「中堅幹部候補生」とも呼ばれます。

 

勤務先は中央省庁(本府庁)または地方機関の区分となっていて、転勤のサイクルなど人事制度は各省庁によります。

(例:防衛省の場合は、中央と各地方を単位としたブロック型で、転勤する場合もブロック内が基本です。)

国家専門職

国家専門職とは、特定の分野で活躍する専門性の高い職種です。

例を挙げると、少年院や少年鑑別所に勤務する「法務教官」、全国の財務局で業務を行う「財務専門官」、全国の航空交通管制部や空港で働く「航空管制官」があります。

 

その他にも、国税専門官や労働基準監督官、皇宮護衛官、食品衛生監視員なども国家専門職です。

採用されたのちは、その分野のスペシャリストとして高い専門性を発揮することが期待されます。

衆議院/参議院事務局職員

衆議院/参議院事務局職員とは、特別職の国家公務員です。

衆議院と参議院にはそれぞれ事務局があり、その職員として国会運営を支える仕事があります。

 

衆議院事務局には「会議運営部門」「調査部門」「その他の議員(院)活動補佐部門」があり、これらの業務を担いながら衆議院をサポートします。

参議院事務局にも「会議運営部門」「調査部門」「総務部門」があり、担当する業務を通して参議院を支えます。

勤務地は衆議院/参議院事務局職員のどちらも、基本的に国会議事堂内およびその周辺です。

【参考】衆議院事務局「採用情報 | 国政の中心に、いざ。」
【参考】衆議院事務局「採用情報 よくある質問」
【参考】参議院「事務局職員の採用」

国立国会図書館職員

国立国会図書館職員とは、特別職の国家公務員です。

国立国会図書館の業務には「調査業務」「司書業務」「一般事務」の3つがあり、採用された職員は本人の希望や適性などにより、さまざまな仕事に携わります。

 

勤務先は、東京本館(東京都千代田区永田町)、国際子ども図書館(東京都台東区上野公園)、関西館(京都府相楽郡精華町)のいずれかで、この3施設間での異動もあります。

給料・勤務条件は、一般職の国家公務員とほぼ同じです。

【参考】国立国会図書館―National Diet Library「国立国会図書館職員採用案内パンフレット」
【参考】国立国会図書館―National Diet Library「国立国会図書館採用Q&A」

裁判所事務官

裁判所事務官とは、裁判所で働く特別職の国家公務員です。

各裁判所には「裁判部」と「事務局」があり、それぞれに裁判所事務官が在籍して適正・迅速な裁判を支えています。

 

裁判所事務官の仕事内容は、裁判部では裁判所書記官のもとで裁判事務を行います。

事務局では総務課、人事課、会計課などで事務全般に携わります。

採用時の勤務地は、希望する勤務地を管轄する高等裁判所の管轄区域内の裁判所の中から決まります。

(例:東京高等裁判所なら、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、静岡県、山梨県、長野県、新潟県の裁判所)

【参考】裁判所「裁判所の仕事について」
【参考】裁判所「裁判所の組織について」
【参考】裁判所「採用Q&A」

国立大学法人等職員

国立大学法人等職員とは、全国に206機関ある国立大学法人等(国立大学法人、大学共同利用機関法人、国立高等専門学校機構、独立行政法人、特別な学校法人)で働く職員です。

仕事内容は、事務系と技術系に分かれます。

事務系では、総務・企画・人事や財務・会計のほか、学生支援、研究協力、国際交流、医療支援、図書業務などがあります。

技術系の仕事とは、キャンパスの計画や建物・設備の維持保全、研究施設での教育・研究支援です。

 

国立大学法人等職員は、かつては国家公務員でしたが、国立大学法人が平成16年(2004年)4月に法人化されたことで現在は「法人職員」となりました。

ただし、「みなし公務員」として公務員に準じた待遇が適用されます。

【参考】関東甲信越地区国立大学法人等職員採用試験「国立大学法人等について」 
【参考】国立大学協会「業務紹介」

都道府県職員

都道府県職員とは、各都道府県の役所や公的機関で働く地方公務員です。

その都道府県に住む人々が快適に暮らしていけるように、政策に関わる業務(各種計画の策定、施策の企画・立案、条例の制定など)や税金の管理、市区町村の支援にも広く携わります。

 

都道府県職員には、国と市区町村間のパイプ役となることも期待されます。

そのため、同じ地方公務員である市町村職員よりも、大きな枠組みで仕事を行うことが求められます。

【参考】東京都職員採用「採用職種|採用情報」
【参考】静岡県公式ホームページ「職種ごとの業務紹介(行政)」

政令指定都市職員

政令指定都市職員とは、政令指定都市の役所や公的機関で働く地方公務員です。

日本には20の政令指定都市(例∶さいたま市、千葉市、横浜市、大阪市、福岡市など)があり、その市で行政サービスの提供に携わります。

政令指定都市職員の仕事は、市によりますが、一例としてさいたま市では25の職種があります。

(例)さいたま市の主な職種

行政事務、福祉、学校事務、土木、建築、電気、機械、化学、農業、消防、救命救急士、心理、精神保健福祉士、獣医師、保健師、薬剤師、管理栄養士、診療放射線技師、臨床検査技師、保育士、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、技能職員

人口50万人以上の政令指定都市らしく、大都市のニーズに対応するために、さまざまな仕事があることが特徴です。

【参考】指定都市市長会「指定都市とは」
【参考】さいたま市「職種の紹介」

特別区職員

特別区職員とは、東京23区(特別区)の各区・組合で働く地方公務員です。

東京都全体に関わる東京都職員とは異なり、その特別区に密着した行政サービスを提供することが主な仕事で、区民の暮らしとインフラを支えています。

 

特別区職員の仕事には、12の職種(一般事務、ICT、土木、造園、建築、機械、電気、福祉、心理、衛生、化学、保健師)があり、それぞれの現場で職員が活躍します。

特別区職員として採用されると、23区・3組合の中から1つの区・組合への採用となり、その区・組合の中で勤務しながらキャリアを積んでいきます。

【参考】特別区人事・厚生事務組合「特別区とは」
【参考】特別区職員募集案内「特別区の仕事」

市町村職員

市町村職員とは、市町村の役所や公的機関で働く地方公務員です。

その市町村に住む人々が快適に暮らせるように、窓口業務や公共施設の運営管理、道路・公園などの管理、建築物の審査業務などの行政サービスに携わります。

 

事務系や技術系の仕事だけではなく、看護師や保育士などの資格免許を生かして、市町村が運営する施設で働く職種もあります。

市町村職員は住民にとって身近な頼れる存在であり、その地域に詳しく、「街をより良くしたい」という思いを持って仕事に取り組みます。

警察官・消防官

警察官とは治安維持や犯罪抑止・捜査、交通の取締りなど、公共の安全と秩序を守る職種です。

警察官には、国家公務員と地方公務員の2種類があります。

 

国家公務員の警察官とは、国の警察組織である警察庁職員で、各地の警察を指揮する行政組織の官僚として働きます。

地方公務員の警察官とは、都道府県ごとに置かれた警察本部の職員で、交番勤務や犯罪捜査、交通事故防止やその処理など現場の仕事を担います。

 

消防官(消防吏員)は、火災や交通事故、地震などの災害現場に駆けつけて消火や人命救助を行う職種です。

その他にも、出火原因を調べる火災予防業務、119番通報を受ける通信指令業務、総務などの本部業務も行います。

消防官は地方公務員で、市町村ごとに採用されて消防署や消防本部に勤務します。

【参考】職業情報提供サイト(job tag)「警察官(都道府県警察)」
【参考】職業情報提供サイト(job tag)「消防官」

 

公務員と民間企業の違い

公務員と民間企業には、仕事内容と採用方法、待遇に違いがあります。

それぞれの特徴を紹介しながら表にまとめましたので、どちらがご自身にとって魅力的か、目指したいと思えるか、就職・転職活動の参考にしてください。

仕事内容

就職を考える時、まず多くの人は「公務員」になろうか?それとも「民間企業」で働こうかで悩む人は多いかもしれません。

また、民間企業で働いている人の中でもやはり「公務員=安定しているから」と転職を考える人もいるでしょう。

まずは「公務員」・「民間企業」それぞれの特色を見ていきましょう。

公務員の仕事内容

公務員は、国で働く「国家公務員」、都道府県・市町村(これらを総称して“地方公共団体”という)で働く「地方公務員」のことを指します。

職場は、各省庁や県庁、市役所といった公的機関以外に公共施設などで働きます。時々民間企業や他の公的機関への出向するケースもありますが、ほとんどが公的施設で働きます。

 

公務員の特徴としては、社会のためにより平等・公平性を持って良い社会・暮らしを追求し、行政サービスを提供することを目的として活動する非営利的組織です。

私たちが支払う税金が活動資金(公務員の給与も含む)となっています。

民間企業の仕事内容

民間企業は、その大半が「株式会社」「個人事業」です。

民間企業で働く場合の職場は、自分の所属する企業ですが、公務員同様稀に公的機関への出向や他の企業で働くケースもあります。

 

民間企業の特徴としては、モノ・サービスを提供することで自社・個人の利益を追求することを目的として活動する営利的組織です。

自社が得た利益や金融機関などからの借り入れ金等を活動資金の原資としています。

民間企業から公務員に転職する際の社会人経験者採用試験の論文・面接試験では、現場を知る者だからこその視点や判断力、解決方法の提示などが求められます。

単に長く経験すればよいものではなく、そこから何を学び、何を得たか自分の言葉で論理的に語れるようにしなければなりません。

公務員民間企業
国、地方公共団体の公的機関で働く。
行政サービスを提供。
全国民のためにより良い暮らしを追求する非営利的組織。
「株式会社」などの企業で働く。
モノ・サービスを提供。
会社や個人の利益を追求する営利的組織。

採用方法

公務員と民間企業では、採用方法がかなり異なります。ここでは2つの採用方法の違いを取り上げます。

公務員になるには?

公務員として働くには、公務員試験に合格することが前提となります。

公務員試験は、一次試験が「筆記試験」で、二次試験以降に「人物試験」として面接やグループディスカッションが課されることが大半です。

また、警察官や消防士、海上保安など公安系公務員に関しては体力試験を課す場合もあります。

 

公務員試験は、応募者数が多い一方で、毎年採用人数が決まっているため、いわゆる「落とすための面接」となります。

そのため一次試験である程度人数を絞り、面接では減点方式で行われることが多いと言われています。

さらに、ここで注意したいことは、必ずしも「公務員試験合格=採用」につながるわけではないということです。

 

公務員試験に合格すると、あくまで「採用候補者名簿」に登載されるだけで公務員になれるわけではありません。

多くの場合は「採用候補者名簿」順に内定決定の通知連絡が来てはじめて公務員として正式内定となります。

試験合格後、大半は無事内定となりますが、私がこれまで見てきた受験生には、試験に合格しても、連絡が来ることがなく、あえなく1年待っても結局採用されず、また試験を受けるという悔しい思いをした受験生もいました。

民間企業で働くには?

一方、民間企業で働くには、まず書類選考に通過しなくてはなりません。

また、応募者数の多い大手企業などでは足きりがあったり、最近主流となったインターンシップへ参加した学生には選考試験を数回免除したりなど企業によって選考方法はさまざまです。

一般的には、書類選考通過後、筆記試験(SPI3やWEBテスト)と面接を受け、内定が決定します。

 

最近では、公務員同様グループディスカッションやプレゼンテーションを取り入れる企業も増えてきています。

また、民間企業の選考は、より自社にマッチした人材・即戦力となる人材・将来活躍が見込める人材などを見つけるための選考です。

そのため面接では、会社によって質問内容が異なってきますし、評価基準も異なります。

 

公務員民間企業
特色公務員試験のほとんどは形式が同じ企業によって選考方法は異なる
試験内容▼1次試験
筆記試験

▼2次試験以降
面接、グループディスカッションなど※警察や消防に関しては体力試験もあり
▼1次試験
書類選考

▼2次試験以降
筆記試験、面接、グループディスカッション、個人面談など採用方法
採用方法試験合格後、「採用候補者名簿」に登載される

内定決定の通知連絡後、内定が決定。
最終選考合格後、内定が決定。

待遇

公務員は安定して給料が多いとのイメージがありますが、果たしてそうなのでしょうか。

ここでは、公務員と民間の待遇の違いを見ていきましょう。

公務員の待遇

公務員の給与は「俸給表(国家公務員)・給料表(地方公務員)」であらかじめ職務内容・職務経験によって決定しているため、給与が上がりにくいのが特徴です。

そのため、民間企業から転職した人にとっては、年収が100万円ほど下がったというケースもあります。

 

しかし何より公務員のメリットは、手当や福利厚生の充実性倒産・リストラによる解雇の可能性が極めて低く、長期的に考えると安定して働き続けられる職場環境といえます。

残業代の支給は制限されているため、いくら長時間残業をしても一定額しかもらえません。

民間企業の待遇

民間企業については、企業規模により異なります。実際に公務員より給与が高い企業もあれば、低い企業もあります。

民間企業は、業績が上がると、社員に還元され給与や賞与が上がりますが、業績が伸び悩むと、その分給与が下がる・賞与がなくなるといった場合もあります。

最悪の場合、リストラや早期退職を促される可能性もあります。

 

民間企業のメリットは、何より頑張ったら頑張った分だけその成果や業績を上げることです。

一気に昇給することも可能なため、目に見えるカタチで自分の頑張りが感じられることが一番の魅力ではないでしょうか。

公務員民間企業
メリット安定した生活の保証(失業・リストラが基本的にない)
手当や福利厚生が充実
成果が昇給につながる(つながりやすい)
待遇は企業により異なる
デメリット給与が上がりにくい
大企業に比べ給与は低い
業績悪化だと、減給や失業、リストラの恐れあり

公務員になるメリット

公務員になるメリットには、主に以下の4つがあります。

  • 民間企業では味わえないやりがいがある
  • 平均年収が民間企業よりも高い
  • 雇用環境が安定している
  • 福利厚生制度が充実している

具体的にどのようなメリットがあるのか、1つずつ紹介します。

民間企業では味わえないやりがいがある

公務員の仕事では、民間企業では味わえないやりがいを感じられます。

公務員は、国や地方自治体を動かす大きな仕事に関わる機会に恵まれています。

仕事を通して「日本の未来をより良くしたい」「自分が生まれ育った地域に貢献したい」といった夢を持つ方には、その思いを実現しやすいでしょう。

 

民間企業でも、スケールの大きな仕事を行う機会がないわけではありませんが、国や地方自治体に直接関わることができるのは一部の企業であり、利益追求が求められます。

営利を求めない公務員になるからこそ、公共性の高い仕事を行う中で「全体の奉仕者」としてのやりがいを実感できます。

平均年収が民間企業よりも高い

公務員になるメリットは、平均年収が民間企業よりも高いことにもあります。

国家公務員については、人事院の「令和6年国家公務員給与等実態調査の結果」をもとに計算すると、行政職俸給(一)適用職員の平均年収は約672万円です。

 

地方公務員は、総務省の「令和6年地方公務員給与実態調査結果」をもとに計算すると、一般職員の平均年収は約669万円です。

一方で民間企業については、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与が460万円でした。

職種平均年収
国家公務員(全ての俸給表の対象者)約672万円
地方公務員(全国の一般職員)約669万円
民間企業460万円

国家公務員・地方公務員ともに民間企業より平均年収が高くなっています。

年間200万円近く差が出るほどに経済的な安定が得られることは、公務員になるメリットです。

【出典】人事院「令和6年国家公務員給与等実態調査報告書」
【出典】総務省「令和6年地方公務員給与の実態」
【出典】国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」

雇用環境が安定している

公務員には、雇用環境が安定しているというメリットがあります。

国家公務員も地方公務員も、基本的に法律上で決まっている事由以外で、仕事を辞めさせられることはありません。

 

民間企業では、会社が倒産したり、リストラされたりするリスクがゼロではありません。

最近は日本の大手企業であっても、持続的な成長のために、リストラ策が進められているのが現状です。

景気に左右されることなく、倒産リスクや解雇・減給される心配も原則ないことは、安定した公務員ならではの強みです。

福利厚生制度が充実している

公務員は福利厚生制度が充実していることもメリットです。

諸手当の支給があるだけでなく、組合や互助会の会員向けに祝金・見舞金の給付、さらには公務員独自の年金制度も設けられています。

仕事と出産・育児・介護を両立しやすい環境でもあり、育児休業や介護休業など各種制度を利用しながら柔軟に働くことができます。

 

民間企業では、福利厚生制度があるかどうかは会社によってまちまちです。

退職金制度も民間には導入されていないケースがありますが、公務員は法律で退職手当(いわゆる退職金)の支給が決まっているため、老後の生活も安心です。

【参考】内閣官房「育児・介護との両立支援」
【参考】総務省「地方公務員両立支援パスポート」

公務員になるデメリット

公務員になるデメリットも、公務を扱うという仕事の性質上あります。

例として挙げると、以下の3つはデメリットだと感じる方がいるかもしれません。

  • 法律や前例に沿うことが求められ、窮屈に感じられることもある
  • 住民からのクレームに対応しなければならないこともある
  • 原則として副業は認められていない

民間企業で働いても上記に当てはまる場合はありますが、公務員は仕事柄避けられない状況もあるため、人によってはデメリットに感じる可能性があります。

なお、公務員の副業は「国家公務員法」「地方公務員法」で原則禁止されていますが、最近では一部認められている事例も出てきています。

公務員に向いているのはこんな人

公務員に向いているのは、以下の3つが当てはまる人です。

  • 社会貢献・地域貢献にやりがいを感じる
  • 使命感・責任感がある
  • 安定思考がある人

公務員に向いているタイプの人の特徴について、簡単に解説します。

社会貢献・地域貢献にやりがいを感じる

社会貢献・地域貢献にやりがいを感じる方は、公務員に向いている人です。

公務員の仕事では、国や地方自治体の組織に属して社会全体に広く影響を与える業務や、その地域に欠かすことのできない公共サービスの提供を行います。

こうした公務に携わる職員として、公共の利益のために働ける方は公務員に向いているタイプです。

逆に言えば、個人や組織の利益を追求したい方には、公務員ではなく民間企業のほうが合っているかもしれません。

使命感・責任感がある

使命感・責任感があることも、公務員に向いている人の特徴です。

公務員の仕事とは、国や国民・住民に対して直接影響するもので、仕事の大きさや感謝の声からやりがいを感じられる一方で、重い責任を負うこともあります。

そうした重圧や困難を乗り越えるために、使命感や責任感の強さが問われます。

プレッシャーに打ち勝てる精神力を備えていることも、公務員に向いている人の特徴です。

【参考】人事院中部事務局「地方×国家公務員トークサブ」

安定志向がある人

安定志向がある人も、公務員に向いているタイプです。

公務員は法律で定められている事由以外では、免職・降任にはなりません。

身分が保障されていて、一度公務員になれば長期勤務がしやすい制度になっています。

 

給与は俸給表によって決まるため、短期間での大幅な昇給は見込めませんが、ボーナスを含む諸手当や退職金支給も法律で定められており、福利厚生も充実しています。

収入や雇用が安定している環境なので、そのような職場を望む方にとっては理想的な働き方が叶いやすいでしょう。

【参考】人事院規則一一―四(職員の身分保障) | e-Gov 法令検索
【参考】総務省「総務省「地方公務員制度」
【参考】人事院「国家公務員の給与制度の概要」
【参考】総務省「地方公務員の給与の体系と給与決定の仕組み」

公務員についてよくある質問

公務員についてよくある質問をまとめました。

  • 女性が働きやすい公務員の職種は?
  • 公務員はどうあるべきか?

多様な職種がある中で働きやすいのはどれなのか、公務員が果たすべき役割とは何なのか、1つずつ見てみましょう。

女性が働きやすい公務員の職種は?

前提として、公務員は性別に関係なく働ける仕事であり、どのような職種でも公務員として活躍している女性はいます。

その中でも例を挙げると、働きやすいのは以下の職種です。

  • 地方公務員の一般行政職
  • 裁判所事務官(一般職)
  • 国立大学法人等職員
  • 小中学校事務職員

以上の4つは「収入の男女差が少ない」「勤務地の見通しを立てやすい」「女性職員の活躍を応援する制度がある」という特色があります。

給与データや働き方の概要は、以下で紹介していますのでぜひご覧ください。

公務員はどうあるべきか?

「公務員はどうあるべきか?」という観点で、国家公務員と地方公務員に共通するのは、「国民全体の奉仕者」として高い使命感と倫理観、優れた能力をもって仕事に取り組むことです。

その上で国家公務員には、行政に対する国民のニーズと行政課題に対応し、国全体を見渡す広い視野をもって中長期的な観点から継続的に仕事をやり遂げることが、行動規範の一つとして国から示されています。

一方の地方公務員には、住民目線で考えて行動すること、行政のプロフェッショナルとして専門知識や技能を生かして業務遂行に努めること、豊かな人間性を持って他の職員・住民らと協調する姿勢が求められます。

【参考】内閣官房「II 人事評価システムの見直しの基本的視点」
【参考】宮城県市町村自治振興センター/宮城県市町村職員研修所「市町村職員に必要とされる能力の解説」
【参考】富田林市公式ウェブサイト「私たちのめざすべき職員像です!!」
【参考】熊谷市ホームページ「【Q6】市が求めている職員とは、どんな人ですか?」

まとめ

公務員とはどのような仕事なのか、種類や民間企業との違い、メリット・デメリットを解説しました。

  • 公務員とは、国や地方自治体で「全体の奉仕者」として働く仕事
  • 公務員は「国家公務員」と「地方公務員」の2種類がある
  • 職種には国家総合職・国家一般職・国家専門職・都道府県職員・政令指定都市職員・市町村職員・警察官・消防官などがある
  • 公務員になるメリットは、仕事のやりがいや年収の高さ、安定した雇用環境と福利厚生にある

公務員になりたい方は、採用試験に向けて公務員試験の対策が必要です。

1次試験は筆記、2次試験では面接と論文試験を受けることになるため、効率的な学習を行うことが重要なポイントです。

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