まず、なぜ「公務員は楽」と言われてしまうのでしょうか。
公務員の仕事が楽だと思われやすい理由は、主に以下の4つです。
1つずつ見ていきましょう。
1つ目は、ノルマのプレッシャーが少ないからです。
民間企業の場合、例えば営業部門であれば契約数、売上、テレアポ件数などのノルマが課せられる場合が多くあります。
成績が優秀な人に賞やインセンティブを与えることもよくあるため、反対にノルマ未達の場合は肩身が狭い思いをしたり、プレッシャーを感じたりしやすいでしょう。
一方で、公務員には基本的にノルマがありません。
目標数値などを設定する場合もありますが、達成できないからといって民間ほどのプレッシャーは感じにくいと言えます。
ただし、税に関係する部署の徴収目標など、部署によっては事実上のノルマが存在する場合もあります。
2つ目は、休日を確保しやすいからです。
職種や自治体などにもよりますが、公務員は休日を確保しやすい制度が整っています。
例えば、多くの自治体が年間20日の年休を付与しており、1年で使い切る人もいるようです。
この年休は、半日や時間単位で取得することもできます。
また、公務員は育児休暇や介護休暇などといった特別休暇も取得しやすい傾向です。
民間の場合、年休や特別休暇の制度があっても、実際には人手不足などの理由で取得しづらい企業もあります。
公務員は比較的休日を確保しやすいと言えるでしょう。
3つ目は、大きな問題がなければ昇給できるからです。
前述のとおり、公務員には基本的にノルマが存在しません。
目標設定や評価などはありますが、達成できなかったからといって昇給に直ちに影響が出るわけではありません。
着実に仕事をしていれば毎年順調に昇給していけるでしょう。
民間の場合、仕事の成績は公務員よりも評価に反映されやすいです。
そのため「公務員は楽だ」と思う人が多いのかもしれません。
4つ目は、倒産やリストラのリスクは高くないからです。
民間の場合は、業績によって倒産やリストラのリスクもあります。
そのため、公務員は収入や雇用の安定性という点では民間よりも高いと言えるでしょう。
もちろん地域や年度によって税収の多い・少ないの違いは発生しますが、一度公務員として就職すれば、基本的には安定して長く働けます。
ただし、北海道夕張市のように自治体が財政破綻する事例もあります。
今後は自治体のさらなる財政難は避けられない状況であり、AI活用による人員削減も予想されます。
「公務員=一生安泰」という時代ではなくなっています。
上記の理由から楽だと言われることもある公務員ですが、仕事である以上、どんな部署にも大変な部分、肉体的・精神的につらい部分はあります。
また、実際の忙しさは自治体や配属される部署などによっても異なります。
ここからは比較的楽な部署と、楽じゃない部署について解説します。
公務員の中でも、比較的「楽な部署」はどのような部署が当たるのでしょうか。
もちろん、仕事の忙しさは自治体や職種にもよるため一概には言えません。
ただ一般に、公民館、公立美術館、公立博物館、図書館、市民センターや出張所などの仕事は、定時で終了できる定例業務が多い傾向にあります。
またこれらの仕事は忙しい時期が限られていて、議会対応も少ないです。
定時で帰りやすい、有休を取得しやすいといった点では、比較的楽な部署だと言えるでしょう。
ただし、これらの部署は住民や来館者への対応が多く、クレーム対応に追われやすいのも事実です。
一方で、公務員の中でも「楽じゃない部署」にはどのような部署が当たるのでしょうか。
こちらも、仕事の忙しさは自治体や職種にもよるため一概には言えません。
ただどの自治体も、企画課(政策企画課)、財政課、人事課、保険・福祉関係の課、税関係の課などは比較的仕事が多く、忙しい傾向にあります。
これらの部署は対人業務や議会対応などが多く、仕事内容も多岐にわたります。
そのため繁忙期はもちろんのこと、普段から忙しく残業時間も多くなりがちです。
公務員は決して楽な職業ではなく、むしろ大変な仕事も多くあります。
しかし、公務員ならではのやりがいもあります。
例えば公務員になると、職種によっては国や自治体を動かす大きな仕事ができます。
規模や影響力が大きな仕事をしたい人なら、非常にやりがいを感じられるでしょう。
また、利益の追求にとらわれずに働ける点も公務員の魅力です。
例えば災害時の復興支援や行政サポートを必要としている人の支援業務など、民間では実現が難しい施策にも取り組めます。
こうした公務員ならではのやりがいについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
【あわせて読みたい】なぜ公務員は「つまらない」のか?やりがい・メリットを解説
ここまでは公務員の仕事が楽だと言われる理由や、比較的楽な部署・楽ではない部署についてご紹介してきました。
ここからは、公務員に関するよくある質問について解説します。
公務員を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
以下のような人は特に公務員に向いていると言えるでしょう。
▼国家公務員
▼地方公務員(都道府県・政令指定都市)
▼地方公務員(市町村)
詳しくはこちらの記事で解説しています。
【あわせて読みたい】あなたはどっち?国家公務員・地方公務員に向いている人の特徴
公務員には、以下のような福利厚生があります。
例えば年金制度は「3階建て」となっていて、厚生年金の保険料とは別に負担が必要ですが、民間企業の「企業年金」に相当する部分もあります。
民間ではすべての企業に企業年金があるわけではないことを考えると、手厚いと言えるでしょう。
【あわせて読みたい】公務員の主な福利厚生一覧!手当・休暇・割引などで私生活が充実
民間の一般労働者の離職率は11%程度です。
このような民間の状況と公務員の離職率を比べると、公務員の離職率はかなり低く、例えば地方公務員(一般行政職)の離職率は1%程度となっています。
また、民間では「大卒者は就職後3年以内に3割がやめる」とよく言われますが、地方公務員(一般行政職)の場合は30歳未満に限っても離職率はわずか2.27%となっています。
公務員の離職率については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【あわせて読みたい】地方公務員・国家公務員の離職率は?民間企業との違い(近日公開)
公務員の副業は原則として禁止ですが、内容によっては認められるものもあります。
また近年は、さまざまな自治体で部分的に副業を解禁する流れもみられるようになり、公務員の働き方はアップデートされています。
公務員の副業が禁止されている理由や、全国各地でさまざまな副業が解禁された事例、そして副業として認められる事例・認められない事例については、こちらの記事で解説します。
【あわせて読みたい】公務員でもできる副業とは?副業解禁の具体例も紹介
今回は、公務員が楽と言われる理由や楽な部署・楽じゃない部署について解説しました。
公務員は決して楽な仕事ではありませんが、民間にはないやりがいも多くあります。
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