地方・国家公務員の難易度・合格率は?職種別にみる難易度ランキング

公務員を目指す際に最も気になるのが試験の難易度です。

国家総合職から地方公務員まで、公務員試験は職種によって筆記試験の科目数、問題の難しさ、競争倍率が大きく異なります。

この記事では、倍率データや出題科目の分析をもとに、各試験種の難易度を多角的に比較しました。

効果的な対策とあわせて解説します。

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目次
  1. 地方公務員・国家公務員試験の「難易度」とは?
  2. 地方公務員・国家公務員試験の「倍率」はどのくらい?
    1. 地方公務員の倍率
    2. 国家公務員の倍率
  3. 地方公務員・国家公務員試験の筆記試験の難易度
    1. 1.国家総合職(大卒・院卒)
    2. 2.国家一般職(大卒)、国家専門職、裁判所一般職(大卒)
    3. 3.地方上級
    4. 4.特別区Ⅰ類、東京都Ⅰ類B
    5. 5.警察官・消防官、社会人経験者(キャリア採用)、一般的な市役所
    6. 6.高卒試験
  4. 地方公務員・国家公務員試験の筆記試験の出題科目
    1. 筆記試験の内容
    2. 行政事務職の試験種における出題科目の一例
    3. 教養科目のみで受験も可能
  5. 地方公務員・国家公務員試験の面接対策も難易度を左右する
  6. 試験種別に見る!公務員試験の難易度ランキング
    1. 難易度A:国家総合職
    2. 難易度B:東京都Ⅰ類B
    3. 難易度C:国家一般職、国家専門職(財務専門官・労働基準監督官)、裁判所一般職
    4. 難易度D:国家専門職(国税専門官)、地方上級(県庁・政令指定都市)、特別区Ⅰ類
    5. 難易度E:一般的な市役所、警察官、消防官、高卒程度試験
  7. 公務員試験の難易度が高いと言われる理由は?
    1. 出題範囲が広い
    2. 採用人数に限りがある
  8. 地方公務員・国家公務員試験に合格するポイント
    1. 具体的な学習計画を立てる
    2. 出題数の多い科目から優先して学習する
    3. 過去問演習に重点的に取り組む
    4. 面接・論文対策も欠かさない
  9. 難易度に左右されすぎず「仕事として興味のある試験」を受験しよう!
  10. まとめ

地方公務員・国家公務員試験の「難易度」とは?

最初に前置きしたいのが、一口に「難易度」といっても「どの側面から見るか」によって変わるということです。

採用人数の少ない試験を多くの受験者が受験すれば、合格倍率が上がりますから、これは「難易度が高い」といえるかもしれません。

一方、受験者がそれほど集まらなくても筆記試験の問題が難しい試験も、やはり「難易度が高い」といえるかもしれません。

 

このように、「難易度」といってもいろんな側面から判断しないことには、一概には言えないのです。

そこで、ここでは「難易度が高い」と言われることが多い以下の3つの要素に絞って、それらを総合考慮した試験の難易度の目安を説明しましょう。

  • 倍率の高い試験
  • 筆記試験の科目が多い試験
  • 筆記試験の問題が難しい試験

 

地方公務員・国家公務員試験の「倍率」はどのくらい?

地方公務員・国家公務員の令和6年度(2024年度)に実施された、行政事務職の倍率を見ていきましょう。

試験や年度によっても違いはありますが、多くの試験が1桁の倍率に収まっています。

公務員試験は誰でも受けるような試験ではないので、受験生の層は限られます。

 

ですから、民間企業などと比べれば、倍率は大きく下がります。

一応の目安として参考にしてください。

いずれも「最終倍率」は「1次試験受験者数÷最終合格数」で算出しており、小数点以下第2位は四捨五入しています。

※各機関・自治体の採用ホームページより作成

地方公務員の倍率

以下は、令和6年度(2024年度)に実施された代表的な行政事務職の本試験の、倍率の一例です。

ここでいう「最終倍率」は「1次試験受験者数÷最終合格者数」で算出しており、小数点以下第2位は四捨五入しています。

申込者数1次試験受験者数1次試験合格者数2次試験受験者数最終合格者数最終倍率
東京都Ⅰ類B(行政・一般方式)2,0571,4131,2481,1399321.5
東京都Ⅰ類B(行政・新方式)7324894494002961.7
大阪府(大卒程度:22-25)1,8961,6576694251859.0
大阪府(社会人等:26-34)4252161591481022.1
福岡県Ⅰ類(行政)44829682456.6
特別区Ⅰ類(一般事務)7,5806,8686,3234,9653,0352.3
大阪市(事務行政:22-25)20079744924273083.2
大阪市(事務行政:26-34)743541118111856.4
福岡市(上級・行政一般)623414110109696.0

※福岡県の2次試験受験者数は非公開

注意してほしいのが、採用予定数は年によって大きく変動することがある点です。

例えば、令和3年度(2021年度)の東京都Ⅰ類Bは、採用予定数を従来よりも大きく減らし、倍率が13.7倍まではね上がりました。

しかし、令和6年度(2024年度)の採用予定数は一般方式が555人、新方式が210人で、倍率も1.5倍、1.7倍まで落ち着いています。

国家公務員の倍率

申込者数1次試験受験者数1次試験合格者数2次試験受験者数最終合格者数最終倍率
国家総合職(大卒・法律)7,3256,18570148529620.9
国家一般職(大卒・行政)20,72015,1238,7087,5906,0752.5
国税専門官12,1618,5555,9104,8263,3582.5
財務専門官2,4221,2779376785272.4
労働基準監督官A(法文系)2,4611,1861,0097923363.5
裁判所一般職(大卒)10,9458,3554,9424,4661,9794.2

コロナ禍などによる大きな就職環境の変化が起こらない限り、受験者数が急激に増減することはありません。

ですから、採用予定数が倍率の変動に大きな影響を与えていることがわかります。

上記に挙げなかった試験種であっても、公式の採用ホームページに過去の試験結果などが公表されていますから、ぜひ確認してみましょう。

 

特に規模の小さい行政機関などでは、採用予定数が元々少ないところや、年によっては試験を実施しないところなども存在します。

その点もふまえて、現実的に目指せる試験なのかを考えていくことも重要だと思います。

 

地方公務員・国家公務員試験の筆記試験の難易度

筆記試験の問題自体の難易度については、これも試験によって大きく変わります。

細かいことをいえば、一つの試験種の中でも、「難易度の高い科目」と「難易度の低い科目」が存在することがあります。

全てを一括りにして評価するのは難しいのですが、一応の目安を紹介しましょう。

1.国家総合職(大卒・院卒)

まず、何より公務員試験で最も問題の難易度が高いのは国家総合職(大卒・院卒)です。

例えば、基礎能力試験では数的処理が出題されますが、事前の準備はもちろんのこと、試験のその場での現場思考が大きく求められる問題になっています。

 

公務員試験全体でも最も難易度が高いといってよいでしょう。

専門択一試験や専門記述試験についても、出題科目は少ないのですが、深く掘り下げて学習する必要がある問題が出題されます。

2.国家一般職(大卒)、国家専門職、裁判所一般職(大卒)

次に難易度が高い問題が出てくるのが、以下の国家公務員試験です。

  • 国家一般職(大卒)
  • 国家専門職(国税専門官・財務専門官・労働基準監督官など)
  • 裁判所一般職(大卒)など

国家総合職ほどではないものの、数的処理では現場思考を求める問題が多く、解答に時間がかかるものもよく出題されます。

また、国家専門職や裁判所一般職は専門記述まで出題されますから、その準備も必要になります。

3.地方上級

その次が地方上級(県庁・政令指定都市)でしょうか。

ただ、国家公務員試験の難易度に比べると、かなり開きがあるといってよいでしょう。

特殊な問題も出題されますが、過去問の焼き直しなども登場するので、対策はしやすいといえます。

4.特別区Ⅰ類、東京都Ⅰ類B

地方上級と同じレベル、もしくはそれより基本の問題も出てくるのが以下の試験です。

  • 特別区Ⅰ類
  • 東京都Ⅰ類B

特に行政事務職の試験を目指している方であれば、「まずは特別区Ⅰ類で出題される基本レベルの問題を得点できるようにする」というのが最初の目標になると思います。

科目相互間で難易度の上下が多少はあるのですが、比較的得点しやすい問題が多いといえます。

また、東京都Ⅰ類Bは出題の傾向がやや特殊ですが、特に数的処理などで過去問の焼き直しが多いため、得点しやすいといえます。

5.警察官・消防官、社会人経験者(キャリア採用)、一般的な市役所

特別区Ⅰ類・東京都Ⅰ類Bと同じか、もしくはさらに簡単になるのが、警察官や消防官の試験、社会人経験者の試験でしょうか。

このあたりの試験は、ひねりがほとんどない問題が多いため、基本知識さえあれば解けることが多いといってよいでしょう。

ただし、社会人経験者については、一般的な大卒区分の試験と同じレベルの問題を出題する試験種も存在します。

 

そうなると、難易度は地方上級に近いレベルまで上がりますので注意してください。

また、一般的な市役所もこのあたりの位置付けだと思います。

前述したとおり、民間企業の採用テストを利用している自治体も多く存在しますので、そのような自治体はここで紹介している難易度の括りには分類できないと思ってください。

6.高卒試験

高卒程度の試験については、試験種によって大きく難易度が異なることが多いため、これも一括りにするのが難しいといえます。

大卒程度の試験とほぼ同レベルの問題を出題するような試験種もありますし、明らかに難易度を下げて、中学で学習したレベルの問題を人文科学や自然科学で出題するケースもあります。

 

地方公務員・国家公務員試験の筆記試験の出題科目

公務員試験を目指す上でまず確認すべきなのが、筆記試験で課される科目のラインナップです。

大きく教養科目と専門科目に分かれます。

  • 教養科目:高校までの勉強がメインに問われる科目
  • 専門科目:大学で勉強する内容がメインに問われる科目

試験種によって異なりますが、以下のような科目が出題範囲になっています。

教養科目一般知能分野数的処理文章理解(現代文、英文)
一般知識分野人文科学(世界史、日本史、地理、思想・文芸)、自然科学(数学、物理、化学、生物、地学)、社会科学(法律、経済、政治、社会)、時事など
専門科目法律系憲法民法行政法労働法刑法など
経済系ミクロ経済学マクロ経済学財政学など
行政系政治学行政学社会学など

教養科目しか出題されない試験であれば、学習する範囲が少なくなるため、学習の分量という意味では難易度が下がります。

一方、専門科目まで出題される試験であれば、学習の分量が多くなるため、難易度は上がると評価できるでしょう。

 

では、いくつかの代表的な試験種において、課される出題形式を確認してみましょう。

以下で掲載しなかった試験種についても、各機関や各自治体の採用ホームページに過去の受験案内が掲載されていることがありますから、そちらを是非確認してください。

筆記試験の内容

筆記試験には大きく択一試験(五肢択一式・マークシート)と論述試験の2つの形式があります。

教養科目が問われるのが「教養択一」、専門科目が問われるのが「専門択一」「専門記述」です。

「論文」は、教養科目の知識というよりも、公務員として必要な問題意識をインプットした上で、「行政課題に対する取組みを論じる」という出題になります。

国家一般職国税専門官財務専門官労働基準監督官A裁判所一般職東京都 Ⅰ類B(一般方式)特別区Ⅰ類横浜市名古屋市(行政B)
教養択一
専門択一
論文
専門記述

※ 国家公務員試験では、「教養択一試験」のことを「基礎能力試験」と呼びます。

内容は同じものです。

多くの国家公務員試験では、教養科目のみならず、専門科目の学習まで要求されます。

ですから、それなりに学習時間を確保して臨む必要があるでしょう。

その点では、試験を攻略するための難易度は高いといえます。

行政事務職の試験種における出題科目の一例

では、もう少し細かく科目のラインナップを確認してみましょう。

以下は、代表的な行政事務職の試験種における出題科目の一例です。

なお、丸数字は問題数を示しています。

国家一般職(大卒・行政)基礎能力数的処理⑭、文章理解⑩、人文・自然・社会に関する時事・情報⑥(30問全問必須解答)
専門択一憲法⑤、民法Ⅰ⑤、民法Ⅱ⑤、行政法⑤ミクロ経済学⑤、マクロ経済学⑤、財政学・経済事情⑤政治学⑤、行政学⑤、社会学⑤、国際関係⑤経営学⑤、英語基礎⑤、英語一般⑤、心理学⑤、教育学⑤(16科目80問中、8科目40問選択解答)
裁判所一般職(大卒)基礎能力数的処理⑮、文章理解⑨、人文・自然・社会に関する時事⑥(30問全問必須解答)
専門択一憲法⑩、民法⑩、行政法⑩、刑法⑩、経済原論⑩(ミクロ経済学⑤、マクロ経済学⑤)(30問解答※憲法・民法必須解答、行政法・刑法・経済言論はいずれか選択)
東京都Ⅰ類B(一般方式)教養択一数的処理⑯、文章理解⑧人文科学④、自然科学④、社会科学③、時事⑤(40問全問必須解答)
専門記述憲法、行政法、民法、経済学、財政学、政治学、行政学、社会学、経営学、会計学(10科目中3科目選択解答)
特別区Ⅰ類教養択一数的処理⑲、文章理解⑨人文科学④、自然科学⑧、社会科学④、時事④(一般知能分野28問必須解答、一般知識分野20問中12問選択解答)
専門択一憲法⑤、民法Ⅰ⑤、民法Ⅱ⑤、行政法⑤ミクロ経済学⑤、マクロ経済学⑤、財政学⑤政治学⑤、行政学⑤、社会学⑤、経営学⑤(55問中40問選択解答)
大阪府(大卒程度:22-25)SPI3(ただし、論文試験で法律・経済分野の理解で書ける科目を選択可能)
大阪市(事務行政:22-25)SPI3(ただし、論文の代わりに択一式の法律科目の試験を選択可能)

上記のように、試験種によって準備の必要な科目は大きく異なるため、「筆記試験対策に割く労力」という点での難易度は試験種によって大きく変わるといえるでしょう。

志望度の高い試験種があれば、まずはどのような出題形式になっているか、どのような科目のラインナップになっているか、早い段階で必ず確認する必要があります。

教養科目のみで受験も可能

近年、地方公務員試験では教養科目のみで受験できる試験が増加しています。

この背景には、民間企業志望者も公務員試験を併願しやすくするという自治体側の狙いがあります。

教養科目のみの試験では、専門科目の学習が不要となるため、筆記対策に費やす時間を大幅に削減できます。

 

特に最近では、SPI3やSCOAなどの民間企業で広く使用されている採用テストを導入する自治体が増えており、民間企業の就職活動と並行して対策を進めることが可能です。

このような点から、筆記試験対策という観点では難易度は低いといえるでしょう。

しかし、対策が容易であることは、必ずしも「合格しやすい」ことを意味しません。

教養科目のみの試験や民間採用テストを使用する試験は、多くの民間就活生も気軽に受験できるため、受験者数が増加し競争倍率が上昇しやすいという特徴があります。

 

つまり、「対策の手間がかからない=突破しやすい」という単純な図式は成り立たないのが実情です。

筆記対策の負担は軽減できるものの、こうした競争状況も念頭に置いておく必要があります。

地方公務員・国家公務員試験の面接対策も難易度を左右する

最近は人物重視による採用が増えています。

「人物評価試験」を複数回行い、採用者を決めるため、面接対策がとても重要です。

 

公務員試験の人物試験は、民間企業の面接試験と異なり、「落とす要素」が強いところです。

「問題を起こさないか」など、「マイナス部分をみる」という視点が重視される傾向にあります。

公務員の面接試験で重視される評価は次の5つです。

  • 積極性
  • 社会性
  • 信頼感
  • 経験学習力
  • コミュニケーション力

高確率で聞かれる質問は「志望動機」で、採否のポイントは、そこでしか実現できない理由を言えるかどうかです。

必要な対策を講じた上で試験会場に向かいましょう。

試験種別に見る!公務員試験の難易度ランキング

ここまで述べてきたように、単に「難易度」といってもさまざまな要素の相関関係で決まります。

ですから、「簡単な試験」「難しい試験」という単純な評価をするのは、本来であれば不正確なのです。

ただ、そうはいっても「合格しやすい試験」「合格しにくい試験」と評価できるものはあります。

 

そこで、独断と偏見ですが、ざっくりと大きく目安を示しましょう。

ただし、くれぐれも受験する試験種は「自分自身がそこで働きたいかどうか」で決めるべきですから、以下はあくまで参考程度にとらえてくださいね。

難易度A:国家総合職

国家総合職は、いわゆる「キャリア官僚」といわれる人たちです。

公務員の中でもトップレベルの存在ですから、やはり最も難易度が高い試験種といってよいでしょう。

 

問題自体の難易度が極めて高いだけでなく、受験生の学歴的にも高い層が集まりますから、受験生のレベルもトップクラスです。

さらに、最終合格した後には、「官庁訪問」という職場訪問をして内々定を得る選考があるのですが、ここでもそれなりの人数がふるいにかけられてしまいます。

難易度B:東京都Ⅰ類B

東京都Ⅰ類Bは、問題の難易度だけならそこまで高くない試験です。

しかし、さまざまな要素を総合考慮すると、最終合格に至るまでの難易度は高めの試験といってよいでしょう。

東京都も受験生のレベルが全体的に高い試験です。

 

したがって、筆記試験のボーダーラインが高くなることが多く、問題自体は簡単でも得点率を可能な限り上げていく必要があります。

公務員試験では一般的に「教養択一試験は6割取ればよい」といわれることが多いのですが、東京都に関しては、年によっては6割だと危険ではないかと思います。

 

ただし、近年は倍率が大きく下がっており、最終合格までのハードルは非常に低くなっています。

その点では狙い目の試験といえるかもしれません。

難易度C:国家一般職、国家専門職(財務専門官・労働基準監督官)、裁判所一般職

国家公務員試験の多くは、やはり全体的に難易度が高めです。試験種によっても傾向が異なるので、簡単にポイントを説明しましょう。

▼国家一般職

国家一般職は、専門択一試験の配点割合が高いため、専門択一試験でなるべく点数を稼ぐべき試験です。

専門科目の学習にどこまで時間を割けるかがポイントです。

逆にいえば、面接試験などの配点割合は高くないので、専門択一で逃げ切りがしやすい試験です。

 

なお、国家一般職も「官庁訪問」が必要です。

こちらは国家総合職と異なり、諦めずに回っていれば、内々定はそれなりに確保できるシステムになっています。

▼財務専門官

財務専門官は、採用人数が少ないことがやや難易度を上げています。

また、最終合格発表前の時期に「職場訪問」という、前述の「官庁訪問」と似たシステムがあり、ここで内々定を確保する必要があります。

内々定を確保できない受験生が一定数出てくるため、人物試験対策にも注力する必要があります。

▼労働基準監督官

労働基準監督官は筆記試験の合格ラインがかなり低く設定されており、筆記試験で絞り込まれる受験者数が少ないため、実質的に人物試験勝負となっています。

人物試験には配点割合がなく、筆記試験に合格した人を純粋に「採用するか」「採用しないか」の2択で決定します。

人物試験の倍率だけで3倍を超えることが多いため、やはりこちらも人物試験対策が肝になりますね。

▼裁判所一般職

裁判所一般職は、国家公務員試験にしては珍しく人物試験の配点割合を高くしている試験です。

また、人物試験の倍率が高いという点でも難易度が高めです。

 

なお、裁判所は特に男女の合格者数を半々もしくは女子を多めに取る傾向があります。

公務員試験の大半は男子の受験者数が多いので、結果的に男子の倍率が高くなりやすいといえます。

この点も注意が必要です。

難易度D:国家専門職(国税専門官)、地方上級(県庁・政令指定都市)、特別区Ⅰ類

さらに難易度がやや下がるのが、このあたりの試験種です。

▼国税専門官

国税専門官は国家公務員試験ですが、採用されるまでの難易度はそこまで高くありません。

問題自体の難易度は高いのですが、採用予定数が非常に多く、倍率が大きく下がるのが特徴です。

特に近年は、筆記試験も人物試験も、倍率が2倍を切ることが多くなりました。

ですから、最終合格まではたどり着きやすい試験といえるでしょう。

▼地方上級

地方上級は、問題の難易度もそこまで高くありませんし、採用予定数も一定していることが多いので、それなりに合格しやすいといえるでしょう。

ただし、地方公務員試験はそもそも人物重視であることが多いので、人物試験の対策は油断せずに行いましょう。

▼特別区Ⅰ類

特別区Ⅰ類は、以下の理由から比較的合格しやすい試験です。

  • 問題の難易度が基本レベルである
  • 採用予定数が地方公務員試験の中でも最大である

ただし、注意点としては、最終合格後だけではなく、その後に区ごとの採用面接を受けて内定をもらう必要があります。

最終合格の順位がそれなりに高くても、区ごとの採用面接でなかなか内定が出ないケースが散見されます。

難易度E:一般的な市役所、警察官、消防官、高卒程度試験

▼市役所

市役所は中学レベルの簡単な問題が出てくるケースや、民間の採用テストを使って筆記試験を実施するケースもあるので、難易度は低いといってよいでしょう。

また、行政事務職と並列に説明するのは難しいところですが、警察官・消防官なども難易度は低いといえるでしょうか。

 

そもそもこのあたりの筆記試験は難易度がかなり下がります。

行政事務職の試験と共に、警察官や消防官などの公安系の職種を併願受験される方もいらっしゃいますが、基本は「大は小を兼ねる」という対策でよいと思います。

ただし、論文試験などは聞かれ方が異なることがあるので注意してください。

▼高卒程度の公務員試験

高卒程度の試験も、やはり筆記試験の難易度があまり高くないので、試験としての難易度が低いと評価できるでしょう。

ただし、採用予定が少ないために、高倍率になることもあります。

興味のある機関や自治体があれば、事前に確認するようにしてください。

公務員試験の難易度が高いと言われる理由は?

前述の通り、公務員試験は職種によって難易度が異なります。

では、一般的に「公務員試験の難易度が高い」と言われるのはなぜでしょう。

主な理由は、以下の2つです。

  • 出題範囲が広い
  • 採用人数に限りがある

その内容を詳しく見ていきましょう。

出題範囲が広い

公務員試験の出題範囲はとても広く、1,000時間の勉強が必要と言われています。

教養科目だけで見ても、「数的処理」や「文章理解」といった知能分野と、「自然科学」「人文科学」などの知識分野で科目数はかなり膨大です。

専門科目も出題される試験なら、さらに科目数が追加されます。

 

全体で20〜30科目が出題されるのが、公務員試験です。

出題される全科目を学習しようとすると、多くの時間を要するため、合格するのは簡単ではありません。

採用人数に限りがある

公務員試験は採用人数が決められており、合格者の中から選ばれます。

少子高齢化による労働人口の減少や、経費削減のため、採用予定人数は減少傾向にあります。

採用予定人数に対して、それを上回る受験者が集まるため、競争率は高くなります。

 

近年は人物重視の自治体が増えているため、面接試験の比重が大きくなってきています。

どんなに筆記試験で高得点を取っても、面接で不合格になってしまうことも少なくありません。

筆記試験だけでなく、面接試験も油断せずに対策しましょう。

地方公務員・国家公務員試験に合格するポイント

ここからは、地方公務員・国家公務員試験に向けた対策のポイントを説明します。

  • 具体的な学習計画を立てる
  • 出題数の多い科目から優先して学習する
  • 過去問演習に重点的に取り組む
  • 面接・論文対策も欠かさない

公務員試験は筆記試験の出題科目が多いことに加え、面接試験の対策も欠かせません。

学習計画をしっかり立てて、合格を手にしましょう。

具体的な学習計画を立てる

公務員試験対策は、平日と休日のバランスを考慮した具体的な学習計画を立てることが合格のカギです。

前述の通り、公務員試験の勉強には1,000時間が必要と言われています。

試験1年前から勉強する場合、平日に2時間ずつ時間を確保すると、休日には5時間の勉強が必要となります。

 

計画を立てる上でのポイントは、試験本番直前に終わるようなスケジュールにしないようにすることです。

試験の5カ月前までに全体の学習を終え、精度を上げていく期間を設けましょう。

出題数の多い科目から優先して学習する

前述の通り、公務員試験は出題される科目が多いです。

まずは出題数の多い科目を確認して、それらの科目を中心に勉強を開始しましょう。

どの試験でも共通して出題数が多く、最優先で対策が必要なのは「数的処理」「文章理解」です。

 

数的処理は、中学校の数学が身についていれば解くことができます。

解法パターンをしっかり把握しておきましょう。

文章理解は、センター試験・共通テストのレベルの現代文と英文が出題されます。

特に英文は単語力を上げることが重要です。

過去問演習に重点的に取り組む

筆記試験の対策にあたって必要不可欠となるのが過去問です。

本試験は過去問の数値やシチュエーションを変えただけの出題が多いためです。

自治体によっては過去問・例題を公開しているところもあります。

受験する自治体の過去問や、市販の参考書を解いて慣れましょう。

 

どのように出題されるのかを分析し、聞き方の定番を押さえることも大切です。

「定番の聞き方ではないから、難易度が高い問題だろう」という判断力を身に付けるためにも、過去問演習が必須となります。

面接・論文対策も欠かさない

先に述べたように、近年の公務員試験は人物重視の傾向があるため、面接や論文対策が重要です。

面接対策では、想定される問題をいくつかピックアップし、本番で簡潔かつ論理立てて答えられるように練習しましょう。

論文は、いきなり書くのではなく、構成を考えることが重要となります。

 

ただ、面接・論文対策は独学で進めるのは難しいです。

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難易度に左右されすぎず「仕事として興味のある試験」を受験しよう!

公務員試験の難易度についてさまざま述べてきましたが、結局のところは、「捉え方は人それぞれ」になってしまいます。

どうしても働きたい職種なのに、一般的に「難易度が高い」と言われているからといって諦めるのはもったいないことです。

 

逆に、全く学習時間が取れない状況なのに、多くの科目を学習しないといけない試験を目指すのも過酷かもしれません。

そもそも一部の試験を除けば、公務員試験は年齢要件さえクリアしていれば、どの試験でも受験することができます。

確かに難易度も気になるかもしれませんが、やはり一番大切なのは、以下の2点です。

  • どのような仕事をしたいのか
  • どのような働き方を望んでいるのか

ここを明確にした上で志望先を検討するようにしましょう!

まとめ

今回は地方公務員・国家公務員試験の難易度や、試験対策について紹介しました。

  • 地方・国家公務員試験の多くは倍率が1桁台だが、採用予定人数によって変化する
  • 目安として難易度が最も難しいのが国家総合職で、一般的な市職員は難易度が低い
  • どんな試験でも「数的処理」「文章理解」の出題数が多い
  • 公務員試験は人物重視の傾向にあるため、論文・面接対策も欠かせない

公務員試験対策は、筆記試験・面接試験ともに計画的に進めることが大切です。

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