公務員を目指す全ての方に向けて、スタディング講師陣が動画とオリジナル記事で公務員試験の傾向と対策についてわかりやすく丁寧に徹底解説します!
公務員になるには?
1.公務員試験に合格することが必要!
公務員として働くためには、民間企業の採用試験と同様に、公務員試験を受験して最終合格することが必要です。その後、内定を得たうえで採用となります。ですから、まずは公務員試験の合格を目指して試験対策をしましょう。
公務員試験は職種ごとにさまざまな選考過程で実施されていますが、試験内容の多くは共通しています。まずは共通する対策を進めながら、並行して志望する試験を考えていくとよいでしょう。
2.筆記試験と人物試験の対策をしよう!
公務員試験の形式は、大きく筆記試験と人物試験で構成されます。多くの試験は1次試験で筆記試験、2次試験以降で人物試験が課されることになります。詳細は後述します。
3.公務員試験はどんな選考の流れになっている?
公務員試験の選考の実施時期は試験種によっても異なりますが、1次試験は5~6月が最も集中します。だいたい8~9月以降に内定が出て、原則として翌年の4月1日から採用されることになります。
なお、地方公務員試験は日程をずらして受験しやすくしているところが多く、早期選考の試験も存在します。受験を検討している試験種があれば、事前に採用ホームページで情報収集をするようにしましょう。
POINT 最終合格と内定は別物!
公務員試験では、最終合格とその後の採用は別物なので注意してください。最終合格しただけでは採用されず、その後の採用面談で内定を得る必要があります。
特に国家公務員試験は、最終合格と採用をきっちりと分けていることが多いといえます。例えば国家一般職試験では、最終合格に加えて「官庁訪問」を行って、内々定を得る必要があります。地方公務員試験でも採用面談はありますが、特別区以外の大半の自治体ではそのまま内定が出ますので、あまり気にする必要はないでしょう。
参考までに、2022年度の代表的な試験種の1次試験日程を掲載しておきます。日程は年によって変動することがありますから、ご自身が受験される年度の日程は、改めて必ず確認するようにしてください。
公務員試験は日程の重複さえなければ、いくつでも併願することが可能です。公務員の志望度が高いのであれば、平均して4〜6個程度の試験を受験するケースが多いといえます。
なお、スタディングでは全国の自治体の主要な公務員試験情報をまとめ、最新情報を随時更新しています。受験先の選定や併願計画を立てていく参考になりますので、以下のページをブックマークしていただき試験情報の収集にお役立てください。
POINT 公務員試験はいくつでも受験できる!
公務員試験は、手数料を取る一部の試験種を除いて、ほぼ全てが無料で受験できます。したがって、特定の試験種にしか興味がないということでもなければ、複数受験することをおすすめしています。複数合格したうえで、その中から将来の仕事を選ぶほうが、ベストな選択ができると思いますよ!
4.公務員試験ってどれくらい合格できる?
公務員試験を目指すとしても、現実的に合格できる試験なのか、確認しておきましょう。以下は、2022年度の代表的な試験種の試験結果をまとめたものです。なお、最終倍率は「受験者数÷最終合格者数」で算出しています。
民間企業に比べて、最終倍率はかなり低いことがわかるのではないでしょうか。特に近年は倍率が下がる傾向にあるため、最終合格までのハードルは下がっています。正しい試験対策を行えば、努力が実りやすい試験といえるでしょう。
POINT 競争相手はそこまで多くない!
公務員試験は無料で受験できることもあって、「記念受験」としてとりあえず受ける…という方も多く含まれています。上記の受験者数を見ると、数値的には多く感じるかもしれませんが、実際に試験対策をしっかり済ませた受験生は限られます。倍率はあまり気にせず、志望する試験に向けて全力で準備しましょう!
公務員試験の「筆記試験」とは?
公務員試験で最も厄介なのが、筆記試験の存在です。筆記試験で何が課されるかについては、試験種によってさまざまなので、必ず事前に確認するようにしてください。公務員試験で多いのが、教養択一試験(基礎能力試験)、専門択一試験、論文試験、専門記述試験の4つの中のいずれかが課されるというケースです。
以下は、代表的な試験種の試験形態をまとめたものです。上記4つが全て課される試験種は限定的で、教養択一試験(基礎能力試験)、専門択一試験、論文試験の3つが課される試験種が多いといえます。近年は、地方上級や市役所を中心に、専門科目を課さない試験も増加傾向にあります。
POINT SPIなどの採用テストを利用する試験種にも注意!
近年は特に市役所などの地方公務員試験を中心に、SPIなどの民間企業が利用する採用テストで試験を実施する自治体も増加しています。そのような試験であれば、民間の筆記試験対策と同様の準備をすることになりますから、事前に確認しておきましょう。
ただし、公務員試験を多く受験するということであれば、従来の公務員試験型の筆記試験が大半になります。以下では、これを前提に説明していきます。
筆記試験は科目数が多く、出題範囲は多岐にわたります。これまで高校や大学で勉強したことのないような、公務員試験特有の科目もありますので、重点的に勉強すべき科目を見極めて対策することが重要です。
なお、公務員試験の勉強法に特化した内容や、筆記試験対策については、別の記事でも紹介しています。そちらも目を通していただけるとよいでしょう。
1.教養択一試験(基礎能力試験)とは
どんな公務員試験であってもまず出題されるのが、マークシートで課される教養択一試験(基礎能力試験)です。地方公務員試験では「教養択一試験」、国家公務員試験では「基礎能力試験」という呼び方をしますが、どちらも内容は同じものです。
ざっくりと紹介すると、高校で学習する内容にプラスαしたものが出題範囲となります。以下のように、一般知能分野(数的処理、文章理解)と一般知識分野(人文科学、自然科学、社会科学)の大きく2つに分けることができます。
⑴ 数的処理
小学校の算数や中学校の数学の知識を使って、論理的な思考能力や情報処理能力を測るのが「数的処理」です。公務員試験特有の科目ですので、今までに勉強したという方はほとんどいないでしょう。
数的処理はどんな試験であっても出題数が多く、教養択一試験全体の30~50%程度の出題数を占めます。公務員試験の合否のカギを握る最重要科目です。数的処理は数的推理・判断推理・空間把握・資料解釈の4分野に分かれており、特に数的推理と判断推理の出題数が多くなっています。
⑵ 文章理解
センター試験・共通テストレベルの現代文と英文が出題されます。以前までは古文も出題されていましたが、近年は出題されなくなりました。出題数は数的処理についで多く、やはり教養択一試験における重要科目といえます。
特に文系の受験生が多い行政事務職の試験の場合、多くの受験生が得点できる問題が多いので、周囲の受験生に負けないように点数を稼ぐ必要があります。また、「いかに時間をかけずに解けるか」も重要なので、解答のテクニックも身につけるようにしましょう。
⑶ 人文科学
センター試験・共通テストレベルの日本史・世界史・地理・思想・文芸が出題されます。出題数は試験種にもよりますが、それぞれ1〜3問程度とかなり絞られます。出題数のわりに出題範囲が膨大なので、過去に勉強した科目などに絞って、効率的に対策していくことが必要です。
⑷ 自然科学
センター試験・共通テストレベルの数学・物理・化学・生物・地学が出題されます。出題数は試験種にもよりますが、それぞれ1〜2問程度とかなり絞られます。人文科学と同様、出題数のわりに出題範囲が広いので注意しましょう。過去に勉強した科目などを優先して、効率的に対策する必要があります。
⑸ 社会科学
法律、経済、政治、社会・時事に関する知識が問われます。大学レベルの問題だけでなく、高校で勉強するような問題も出題されることがあります。出題数はそれぞれ1〜2問程度ですが、試験種によっては時事だけ5~6問程度出題されることもあり、油断できない科目です。
専門科目の勉強も進めるのであれば、法律・経済・政治は原則としてカバーできます。教養科目しか勉強しないのであれば、社会科学も力を入れて取り組みましょう。
社会・時事は最新の内容になりますので、試験対策の終盤で勉強することになります。出題範囲は非常に広範にわたりますので、過去の本試験の出題傾向なども確認しながら、メリハリをつけて勉強することが求められます。
POINT 数的処理・文章理解から準備を始めよう!
どんな試験であっても出題数が多いのが数的処理と文章理解です。この2科目だけで教養択一試験(基礎能力試験)全体の出題数の半分以上を占めます。特に数的処理はすぐに点数を伸ばすのが難しく、それなりに対策に時間がかかります。まずは数的処理と文章理解の対策から始めるとよいでしょう。
2.専門択一試験とは
近年は教養科目だけで受験できる試験も増えてきましたが、多くの公務員試験を併願するのであれば、やはり専門科目の勉強まで必要になります。マークシートの形式で出題されるのが専門択一試験です。
ざっくりと紹介すると、大学で学習する内容が出題範囲となります。多くの受験生が選ぶ行政事務職の区分であれば、法律系、経済系、行政系の大きく3系統に分けることができます。
⑴ 法律系科目
法律の条文や判例(最高裁判所の見解)に関する知識を聞くものです。多くの試験で、憲法・民法・行政法あたりは出題数が多いので、少なくともこの3科目は勉強する必要があるでしょう。その他、労働法や刑法、商法(会社法)などが出題される試験種も存在します。
⑵ 経済系科目
経済の仕組みや経済活動に関する理論などの知識を聞くものです。ミクロ経済学・マクロ経済学を先に勉強して、その後に時事的要素の含まれる財政学を勉強することになります。公式やグラフなどを用いた計算が多いため、文系の受験生は苦手にしがちです。解法パターンを理解していくようにしましょう。
⑶ 行政系科目
政治や行政のあり方に関する学説や理論などの知識を聞くものです。学者の名前や学説の内容などが聞かれるため、知識科目の側面が非常に強いといえます。政治学・行政学・社会学は内容的に重複する部分が多いため、この3科目をワンセットで勉強するとよいでしょう。他の科目と内容がリンクする部分も多く存在します。
POINT 出題数が多い科目から準備を始めよう!
専門択一試験の出題科目も非常に多いので、本試験における出題数にあわせてメリハリをつけることが重要です。特に出題数が多いのが、憲法、民法、行政法、ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学、政治学などの科目です。このあたりから準備を進めていきましょう。
3.論文試験とは
行政課題や社会問題などについて、自分の考えを論じるという形式です。「どのように取り組めばよいか、あなたの考えを論じなさい」という聞き方をする、「政策系」の出題が多くなります。しかし、市役所などの地方公務員試験では、「これまでの経験を自治体職員としてどのように活かせるか」のように面接と同様の聞き方をする、「自己PR系」の出題もあります。
4.専門記述試験とは
専門科目の知識について、文章で論述するという形式です。専門記述が課される試験種は限られていますが、出題される試験種を受験する場合は準備が必要です。基本的には専門択一試験の対策が前提になります。その延長線上で、知識を論理的に文章化できるように練習しましょう。
公務員試験の「人物試験」とは?
公務員試験は民間就活と同様に就職試験ですから、人物試験も存在します。基本的に1次試験(筆記試験)合格者を対象に行われます。また、近年は公務員試験でも人物試験に重きを置く試験種が増加しています。特に地方公務員試験であれば、配点割合が最も高いのは人物試験になっています。ですから、最終合格まで油断せずに臨む必要があります。
人物試験の形式にはさまざまありますが、代表的なものは以下の3つです。
個別面接は受験生が1人で深掘りされる面接です。集団面接は受験生が複数になるもの、集団討論は特定のテーマについて受験生どうしで討論して結論を導くもので、相対評価になるのが特徴です。
どの試験種でも個別面接は必ず実施されます。個別面接1回だけという試験種も多く存在します。しかし、特に地方公務員試験になると、個別面接を複数回実施したり、個別面接の前に集団面接や集団討論・グループワークなどを課したりする試験種もあります。
POINT まずは筆記試験を突破できるだけの実力を身につける!
人物試験に苦手意識を持つ受験生は非常に多いと思います。特に近年は人物試験の比重が大きくなっていますから、なおさら不安を感じる方が多いでしょう。
しかし、公務員試験対策で最も時間がかかるのは筆記試験です。前述のとおり、科目も膨大ですから、非常に手間がかかるのですね。一方で、人物試験にかかる時間はそれほどでもありません。過去に経験したエピソードを通して、公務員としての適性があることを伝えることができれば、最終合格は可能です。特に公務員試験は筆記試験に比べて人物試験の倍率が低い傾向にあります。そもそも、筆記試験を突破できないと人物を評価してもらえないわけですから、筆記試験を突破できるようにしっかり準備しましょう!
公務員の職種とは?
今まで公務員試験の制度について説明してきました。ここでは公務員の仕事・職種についても簡単に紹介しておきましょう。
公務員は私たちの生活の基盤を支える仕事をしています。大きく国家公務員と地方公務員に分かれており、前述のように選考試験も分かれているわけですね。
国家公務員は、各省庁など国の行政機関に所属し、日本全体・国民全体に関わる業務に携わります。主に中央官庁で働き、国家全体の政策をメインに作る立場になる「国家総合職」、中央官庁や出先機関で働き、国家総合職のサポート役や現場の仕事を担う「国家一般職」、国税専門官や財務専門官といった「国家専門職」などの仕事があります。
地方公務員は、都道府県や市町村などの各自治体に所属し、住民を支える仕事に携わります。都道府県などの広域自治体職員と、市町村などの基礎自治体職員に分かれます。
また、職種もさまざまです。文系の受験生が一般的に受験する「行政事務職」は募集人数が最も多く、その他にも理系の受験生が多く受験する「技術職」、警察官や消防官などの「公安職」、一定の資格保有者が採用される「資格職」などが存在します。
POINT 筆記試験対策を進めながら、仕事内容について調べていこう!
前述のとおり、筆記試験のボリュームが大きいのが公務員試験です。「まずは志望する試験を絞ってから勉強を始めよう」と考えていると、筆記試験対策に費やす時間がなくなってしまって、結局「本試験までに勉強が間に合わなかった!」ということにもなりかねません。
公務員試験は、選考はさまざま分かれていても、重複する部分が多くあります。ですから、どの試験でも出題数の多い科目など、重複部分の対策に力を入れて、それと並行して公務員の仕事について調べていくことをおすすめします。
公務員の魅力とは?
公務員試験を目指すにあたって、きっかけは人それぞれですが、多くの受験生が「安定感」を理由に公務員を選ぶケースが多いようです。なぜ福利厚生を手厚くして働きやすい環境を作っているかといえば、公務員の仕事がそれだけ重要で、住民の生活に必要不可欠だからなのですね。
公務員を目指す段階で、公務員の仕事の魅力についても知っておいてほしいところです。ここではいくつか紹介しましょう。もちろん、公務員の職種によって仕事の中身もバラバラです。皆さんの今までの生き方や仕事観・価値観などもふまえて、「公務員としての理想的な仕事のあり方」を考えてみるとよいでしょう。
国家や自治体の運営に関与できる!
世界一の長寿国を維持するための医療行政、安心安全の水道水の提供、都市部でも低い犯罪率など、私たちが日本という国で住みやすさを感じられる背景には、公務員の地道な仕事があります。治安のよさや便利な公共サービスを体感できるのも、法律や規制が整備され、国家運営・自治体運営のための仕組みが整っているからです。
行政の施策は公務員の特別職が企画立案し、それを理解して現場で実行するのは一般職や技術職、土木職と呼ばれる公務員です。公務員の働きは、平和で豊かな生活を維持するうえで欠かせないものなのですね。
もちろん、民間企業も住みよい社会形成に貢献しています。役割の違いをいえば、官公庁や自治体の仕事は民間企業・団体が働きやすい環境を整備することにあります。そのやりがいは、公務員という働き方独特のものといえるでしょう。
地域の活性化に貢献できる!
公務員は、地方行政を通して住民生活の向上や課題の解決を目指します。人口の流出や医療の過疎化など、地域が抱える社会的課題はさまざまです。地域で活躍する地方公務員たちは、そのような課題と向き合い、魅力的なまちになるような行政サービスの提供に取り組んでいます。
また、街灯の整備や老朽化した道路・橋の修繕などを行う際は、地方自治体が必要な予算を組んで公共事業を行います。必要な事業が行われなければ、住民生活に支障が出てしまいます。公務員には住民の生活を守るという大きな役割があるのです。これもまた、公務員ならではの魅力とやりがいでしょう。
景気や雇用に好影響を与える!
国の政策をわかりやすく表現すると、「国民生活を豊かにする」ために立案・実行されるものといえます。つまり、国民が幸せになることが目的です。政策の立案作成に携わる公務員は、この点にも大きなやりがいを感じられます。
多くの人々が幸せを感じるには、一定の経済水準のレベルが維持されていなければなりません。そのためには「経済をよくする」必要があります。「景気がよくなる」「就職しやすくなる」「地方の経済が回る」「起業のための補助金がでる」などの経済政策も、国の大きな仕事の一つです。現在の景況に照らし、「今打つべき経済対策は何か」を考えるとき、それぞれの専門家たちが知力を結集してアイディアを生み出します。これらは国家公務員の中でも特別職といわれる人たちの仕事ですが、その意図を汲んで実行に移すのは事務職や技術職の職員たちなのですね。
公務員についてもっと調べよう!
ここまで公務員試験の概要、仕事の概要について紹介してきました。少しでも興味のある試験があれば、各機関や自治体の採用ホームページを確認してみましょう。仕事のやりがいや試験の詳細な仕組みなど、さまざま説明されています。
また、採用ホームページを確認したら、説明会やインターンシップなどの採用イベントもチェックしてください。公務員試験は民間就活と異なり、説明会やインターンシップに参加したからといって選考が有利になる…ということは基本的にありません。しかし、公務員試験に向けてのモチベーションを上げるきっかけにもなりますし、面接で話すネタにもなります。面接官から「説明会に参加しましたか?」と質問されることもあります。志望度が高い試験種であれば参加してみましょう。
なお、スタディングでは公務員試験についてさまざまな記事を発信しています。以下のリンクから是非覗いてみてください!