公務員の技術職とは?種類・仕事内容・試験・年収を解説

公務員の「技術職」や「技術系職員」とは、理系公務員をひとくくりにした通称です。公務員試験では土木や建築などより細かい分野に分けられています。採用後は幅広い分野に配属される一般行政職(事務職)とは異なり、技術職は大学などで学んだ専門的な知識を生かして特定の分野で活躍できる点が魅力です。

この記事では公務員の技術職の種類や仕事内容、試験区分、試験内容、年収などについて解説します。
目次 Contents

公務員の技術職とは?種類・仕事内容・試験・年収を解説


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公務員の技術職の種類・仕事内容

公務員の技術職は、主に下記のように分類されます。

  • 土木系
  • 建築系
  • 機械系
  • 電気系
  • 化学系

1つずつ見ていきましょう。


土木系

土木系の技術職は、例えば下記のような業務に携わります。

  • 道路、河川、港湾、上下水道などの整備や管理
  • 市街地の再開発
  • 土地区画整理
  • 災害後の被災地復旧

東京都の場合、主な配属先は本庁の建設局・都市整備局・水道局などのほか、建設事務所、市街地整備事務所などです。

また地方によっては、建設土木と農業土木に業務が分かれる場合もあります。

農業土木では、農地整備、農業用施設、農業用水路の整備などが主な業務となります。


建築系

建築系の技術職は、例えば下記のような業務に携わります。

  • 都市整備(都市づくり・住宅政策など)
  • 都市計画に係る開発許可
  • 公共住宅の整備や管理
  • 公共建築物の確認・許可
  • 建築基準法をはじめとする所管法令への適合

東京都の場合、主な配属先は本庁の都市整備局・財務局や、建築指導事務所などとなっています。


機械系

機械系の技術職は、例えば下記のような業務に携わります。

  • 上下水道などの機械設備の維持管理
  • 道路・河川・公園などへの機械設備の建設
  • 環境保全対策に関する規制や指導

東京都の場合、主な配属先は、本庁の交通局・水道局・下水道局、車両検修場、浄水場、水運用センター、水再生センターなどです。


電気系

電気系(電気・電子・情報)の技術職は、例えば下記のような業務に携わります。

  • 上下水道などの電気設備の維持管理
  • 道路・河川・公園などへの電気設備の建設
  • 発電所の維持管理・運営
  • ハローワークなどの公共システム開発・運用

東京都の場合、本庁の交通局・水道局・下水道局、地下鉄電気管理所、浄水場などが主な配属先となります。


化学系

化学系の技術職は、例えば下記のような業務に携わります。

  • 水道水の水質管理
  • 下水処理場・クリーンセンターなどの運転管理
  • 大気・排水の監視・規制
  • 地球温暖化防止・省エネルギー施策の立案
  • 浄水処理・汚水処理の技術開発
  • 廃棄物処理や処理施設の維持・管理


その他

技術職には、上記の他にもさまざまな専門分野があります。

例えば下記のような職種です。

  • 薬剤師
  • 造園職
  • 林業職
  • 水産職
  • 物理職
  • 獣医
  • 医師(産業医)

自治体によって募集している分野や呼称は異なるため、採用案内をよく確認しましょう。

こうした技術職の公務員は、事務系(行政系)の職員と日常的に連絡調整を行い、協力して仕事を行っています。


公務員の技術職の試験区分

ここまでは、技術職の種類や仕事内容についてご紹介してきました。

次に、公務員の技術職における試験区分について解説していきます。


国家公務員・総合職(大卒程度)

下記は国家公務員・総合職(大卒程度)における試験の区分・採用予定数をまとめた表です。


▼試験の区分・採用予定数(2023年度)

試験の区分 採用予定数
デジタル 約35人
工学 約165人
数理化学・物理・地球科学 約30人
化学・生物・薬学 約45人
農業科学・水産 約60人
農業農村工学 約25人
森林・自然環境 約45人

【参考】人事院「国家公務員採用 総合職試験(大卒程度試験)受験案内(2023年度)」


採用予定数が最も多い区分は工学系の約165人となっています。逆に最も少ない区分は農業農村工学系で、約25人となっています。


国家公務員・一般職(大卒程度)

下記は、国家公務員・一般職(大卒程度)における試験の区分・採用予定数をまとめた表です。


▼試験の区分・採用予定数(2023年度)

試験の区分 採用予定数
デジタル・電気・電子 約250人
機械 約110人
土木 約390人
建築 約70人
物理 約190人
化学 約160人
農学 約170人
農業農村工学 約40人
林学 約120人

【参考】人事院「国家公務員採用 一般職試験(大卒程度試験)受験案内(2023年度)」


前述の総合職と比べると、どの区分でも採用予定数はかなり多い傾向です。

中でも最も多いのは土木系の採用予定数で、約390人となっています。

採用予定数が最も少ないのは総合職と同じく農業農村工学系で、約40人となっています。


東京都・1類B採用試験(一般方式)

下記は、東京都・1類B採用試験(一般方式)における試験の区分・採用予定数をまとめた表です。


▼試験の区分・採用予定数(2023年度)

試験の区分 採用予定数
土木 約138人
建築 約14人
機械 約28人
電気 約36人

【参考】東京都人事委員会「令和5年度 東京都職員Ⅰ類B採用試験案内(一般方式・新方式)」


国家公務員と比べると、試験の区分自体がかなり少ない傾向です。

採用予定数は土木系が群を抜いて多く、約138人となっています。

採用予定数が最も少ないのは建築系で、約14人となっています。


地方公務員(地方上級)の一例:北海道

地方公務員(地方上級)の試験区分の一例として、北海道について見てみましょう。


▼試験の区分・採用予定数(2023年度)

試験の区分 採用予定数
環境科学A 4人
農業A 19人
水産A(第1回) 5人
林業A(第1回) 6人
総合土木A 23人
建築A(第1回) 8人
普及職員(農業)A 21人
普及職員(水産)A(第1回) 6人

【参考】北海道「令和5年(2023年度)北海道行政職員採用(警察行政A(第1回)・技術系A区分)試験案内」


東京都と比べると農林水産系などの試験区分が増えていますが、各区分における採用予定数は多くありません。

採用予定数が最も多いのは総合土木Aで、都心でも地方でも土木系の採用人数が多いことがわかります。


公務員試験(技術職)の試験内容

公務員試験(技術職)の試験では、通常の教養科目に加えて、各分野に応じた専門的な試験が実施されます。

試験内容は職種によって異なります。一例として、分野ごとに下記のような知識が問われます。

  • 土木系:構造力学、水理学、土質工学など
  • 建築系:建築史、都市計画、建築計画など
  • 機械系:物理、材料力学、熱力学など
  • 電気系:数学、電気磁気学、電気回路など

【参考】東京都人事委員会「令和5年度東京都職員Ⅰ類B採用試験案内(一般方式・新方式)」


公務員試験(技術職)を受験する際は、教養科目だけではなく、専門的な試験の過去問なども確認して対策をとるとよいでしょう。


公務員の技術職の年収

公務員の技術職の年収が最も高いのは国家公務員(総合職)です。

人事院が公開している「令和4年国家公務員給与等実態調査の結果」で、技術職が含まれる「行政職俸給表(一)」について見ると、平均年収は約628万円となっています。

年収は、国家公務員であれば総合職か一般職か、どの分野かなどによって異なり、地方公務員であれば自治体や分野、最終学歴などによっても違いがあります。


【参考】政府の統計窓口(e-Stat)「令和4年 国家公務員給与等実態調査」>「職員数、平均年齢、平均経験年数及び平均給与月額」


まとめ

今回は、公務員の技術職について解説しました。

  • 公務員の技術職には、土木系、建築系、機械系、電気系などがある
  • 試験区分や採用予定数は公務員の種類や自治体によって異なる
  • 技術職の試験では通常の教養試験以外に専門的な試験も実施される

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