
地方公務員は、安定した雇用と福利厚生の充実から多くの人に人気のある職業です。
しかし、その採用への道筋は学歴や経歴、目指す職種によって異なります。
高卒者、大卒者、社会人からの中途採用と、それぞれに適した試験区分があり、事務職や技術職、警察官などの公安系といった職種別でも受験方法が変わってきます。
この記事では、キャリアに合わせた地方公務員への最適な流れを解説します。
地方公務員になるには?
地方公務員になるためには、各自治体が実施する地方公務員試験に合格し、採用される必要があります。
試験は主に筆記試験と面接試験があり、最終合格すると採用候補者名簿に登録されます。
その後、採用面接があり、内定をもらうことで地方公務員になれます。
地方公務員は都道府県や市区町村で働き、地域住民のための行政サービスを提供する大切な仕事です。

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【学歴・経歴別】地方公務員になるには?
地方公務員は学歴や経歴に応じた試験区分があります。
高卒、大卒、社会人それぞれの区分で試験内容や難易度が異なるため、自分に合った区分を選ぶことが大切です。
高卒者が地方公務員になるには?
高卒者が地方公務員を目指す場合は、「高卒程度」または「初級」と呼ばれる試験区分を受験します。
この区分は主に18歳から21歳程度(翌年4月1日時点)の方が対象で、高校卒業後すぐに公務員を目指す方向けの試験です。
ただし、一部の自治体では、21歳以上でも受験できる場合があります。
試験内容は主に教養試験と面接で、専門試験は課されないことが一般的です。
高卒程度試験の採用枠は大卒程度より少ないですが、どの自治体も毎年一定数の採用を行っています。
合格すれば、窓口業務や定型業務を中心にスタートし、経験を積みながらキャリアを形成できます。

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大卒者が地方公務員になるには?
大卒者が地方公務員を目指す場合は、「大卒程度」または「上級」と呼ばれる試験区分を受験します。
この区分は主に22歳から30歳前後(翌年4月1日時点)の方が対象で、大学を卒業した方や卒業見込みの方向けです。
年齢上限は自治体や試験区分によって異なります。
試験内容は教養試験に加え、専門試験や論文試験が課されることが多いですが、自治体によっては教養試験のみの場合もあります。
入庁後は窓口対応から政策立案まで幅広い業務を担当し、将来的には管理職として活躍することが期待されています。
社会人が中途採用で地方公務員になるには?
社会人が転職で地方公務員を目指す場合は、「社会人経験者枠」または「職務経験者枠」と呼ばれる試験区分を受験できます。
この区分は民間企業等での就業経験がある方向けで、30代や40代の方でも受験可能です。
受験資格として5年以上や7年以上といった民間企業などでの勤務経験が必要なケースが多いです。
試験内容は筆記試験の配点が低く、経験や専門性を問う論文試験や面接が重視される傾向にあります。
年齢上限に達していなければ、「大卒程度」または「上級」の試験区分で受験することも可能です。
入庁後は民間企業などでの経験が考慮され、給与や待遇は新卒入庁者よりも高めに設定されることが一般的で、即戦力として活躍することが期待されています。

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【職種別】地方公務員になるには?
地方公務員には事務系、技術職、公安系などさまざまな職種があります。
それぞれ仕事内容や試験内容が異なるため、自分の適性や希望に合わせて選ぶことが大切です。
事務系の地方公務員になるには?
事務系の地方公務員は、行政事務や一般事務とも呼ばれ、自治体のさまざまな部署で働く一般的な公務員です。
主に窓口対応や書類作成、政策立案など幅広い業務を担当します。
事務系の地方公務員になるには、各自治体の行政職として試験を受けます。
試験は教養試験が中心で、自治体によっては専門試験や論文も課されます。
高卒程度、大卒程度のどちらの枠でも採用があり、学歴に応じた試験を受けることが可能です。
社会人経験者枠もあるため、民間企業からの転職も可能です。

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技術職の地方公務員になるには?
技術職の地方公務員は、専門的な知識や技術を活かして働く公務員です。
土木、建築、機械、電気、化学、農学などさまざまな専門分野があります。
技術職の地方公務員になるには、自分の専攻に合った職種を選んで試験を受けます。
例えば土木の専門知識がある人は土木職として受験します。
試験内容は教養試験に加え、専門分野の知識を問う専門試験が課されることが一般的です。
技術職は需要が高く、採用倍率がそれほど高くないことが多いため、理系出身者にとっては狙い目の職種といえます。

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公安系の地方公務員になるには?
公安系の地方公務員には警察官と消防官があり、住民の安全と安心を守る重要な役割を担っています。
警察官は都道府県警察、消防官は市町村消防本部に所属しますが、東京都の警察官は警視庁に、消防官は東京消防庁に所属することになります。
公安系になるには、各自治体の警察官採用試験や消防官採用試験を受けます。
試験内容は教養試験や論文に加え、体力検査や身体検査があるのが特徴です。
試験を受験するには、日本国籍を有していることが条件となります。
高卒程度と大卒程度の両方の採用枠があり、社会人経験者枠が設けられていることもあります。

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地方公務員の試験概要
地方公務員試験は一般的に、第1次試験と第2次試験(場合によっては第3次試験まで)の段階に分かれています。
第1次試験は主に筆記試験が行われ、その内容は教養試験や専門試験、論文試験などです。
第1次試験に合格すると、第2次試験に進み、面接や集団討論などの人物試験が実施されます。
最終合格者は採用候補者名簿に登載され、その後自治体から内定が出されます。
近年は筆記試験よりも面接など人物重視の傾向が強くなっているため、バランスの良い対策が必要です。

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地方公務員の試験の受験資格
地方公務員試験の受験資格は自治体によって異なりますが、一般的には年齢制限と日本国籍の有無が主な条件です。
事務職では多くの場合、学歴不問ですが、高卒程度は18〜21歳程度、大卒程度は22〜30歳程度という年齢制限があります。
一部の専門職や公安職では、国籍要件(日本国籍が必要)や身体的基準、特定の資格や免許が必要な場合もあります。
詳細は各自治体の募集要項で確認しましょう。
大卒程度と高卒程度の違いは?
大卒程度と高卒程度の違いは、主に試験で求められる学力の目安です。
名称に「卒」とついていますが、実際には学歴ではなく試験レベルを表しています。
高卒程度試験は高校卒業レベルの基礎学力が問われ、教養試験と作文試験が中心です。
一方、大卒程度試験は大学卒業レベルの学力が求められ、教養試験に加えて専門試験や論文試験が課されることが多いです。
試験の難易度は大卒程度の方が高く、合格に必要な学習時間も長くなります。
地方公務員の試験合格を目指す勉強法
地方公務員試験に合格するためには、試験内容を正確に把握し、計画的な学習が必要です。
筆記試験対策と面接対策をバランスよく行いましょう。

公務員試験の王道の「勉強法」を紹介!
公務員試験では筆記試験が課されますが、従来区分の試験となると、数多くの科目が出題されます。これらをどのように対策していくのか、勉強法を解説していきましょう。…
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試験日程と試験内容を把握する
地方公務員試験は自治体によって試験日程や内容が異なります。
まずは志望する自治体のホームページで募集要項を確認しましょう。
試験の日程、申込期間、試験会場、試験科目などを把握することが大切です。
また、複数の自治体を受験する場合は、試験日程が重ならないか確認しておくことが重要です。
自治体によっては過去の試験問題や試験結果(倍率や合格点など)を公開していることもあるので、事前にチェックして効果的に対策しましょう。
試験内容に応じた筆記試験対策をする
地方公務員の筆記試験対策は、試験内容に応じて行うことが重要です。
多くの自治体では「教養試験」「専門試験」「論文試験」が出題されますが、自治体によっては専門試験がなかったり、SPIなどの民間企業型の試験を導入していたりします。
まずは自治体のホームページなどで出題科目を確認し、対策を進めましょう。
教養試験では数的処理や文章理解の出題が多いため、出題数の多い科目を優先的に学習するのがおすすめです。
専門試験がある場合は、憲法や民法など出題数の多い分野から勉強しましょう。
過去問演習に重点的に取り組む
地方公務員試験の対策では、過去問演習が非常に重要です。
自治体のホームページなどで過去問が公開されている場合は、過去問演習を中心に学習を進めましょう。
地方公務員試験の過去問は著作権の関係上、公開されていないことも多いのですが、特別区などの同レベルの試験の過去問に取り組むことで、十分に対応が可能です。
過去問を解くことで出題傾向や難易度を把握しやすくなり、効率的に学習できます。
特に公務員試験では過去問の類似問題が出題されることが多いため、過去問を徹底的に分析して解法のパターンを身につけることが合格への近道です。
面接対策も忘れずに取り組もう
近年の地方公務員試験では人物重視の傾向が強まっており、筆記試験より面接試験の比重が高くなっています。
面接では志望動機や自己PR、地域の課題に対する考えなどが問われることが多いです。
面接対策では、自己分析を行い、志望理由や自己PRを明確にすることが大切です。
また、志望する自治体の特徴や課題について調べておくことも重要です。
面接の形式(個別面接、集団面接、集団討論など)を確認し、それぞれに合わせた対策をしましょう。
可能であれば模擬面接を行い、実践的な練習をすることをおすすめします。

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まとめ
地方公務員になる方法をお伝えしました。
- 地方公務員になるには各自治体が実施する試験に合格する必要がある
- 高卒者は「高卒程度」、大卒者は「大卒程度」など自分に合う試験区分を受験する
- 職種には事務系、技術職、公安系などがあり、それぞれ試験内容が異なる
- 試験は筆記試験と面接試験があり、近年は人物重視の傾向にある
- 筆記試験対策は過去問演習が重要で、面接対策も計画的に行うことが大切である
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