官僚になるには?必要な試験・大学・スキル・年収をわかりやすく解説

官僚になるためには、国家公務員総合職試験に合格し、その後の官庁訪問で内定を得る必要があります。

中央省庁で国の政策を決める重要な仕事ですが、試験の難易度は高く、相当な努力と準備が求められます。

この記事では、官僚になるまでの具体的な流れから必要なスキル、キャリア・ノンキャリアの違い、年収・給与をわかりやすく解説します。

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官僚になるには?

官僚とは、中央省庁で働く国家公務員のことです。

財務省、外務省、厚生労働省などで国の政策を企画・立案し、法案の作成や予算編成など、国家の運営に関わる重要な業務を担当します。 

一般的に「キャリア官僚」と呼ばれ、総合職試験に合格した人たちが就く職業です。

国の未来を左右する政策決定に深く関わる、非常にやりがいのある重要で責任の重い仕事といえます。

国家公務員総合職試験に合格する

官僚になるには、まず国家公務員総合職試験に合格することです。

国家公務員総合職試験は非常に難易度が高く、狭き門です。

 

試験区分は「院卒者試験」「大卒程度試験」のほか、専門試験が課されない「教養区分」も設けられています。

いずれも大学卒業(見込み)や大学院修了(見込み)などの学歴要件と年齢制限があります。

 

国家総合職試験の一次試験では、基礎能力試験や専門試験が実施されます。

二次試験では政策論文試験や政策課題討議試験、人物試験が行われ、幅広い能力が問われます。

官庁訪問を経て内定を獲得する

国家総合職試験に合格しても、それだけでは官僚になれません。

次に「官庁訪問」という選考を経る必要があります。

官庁訪問とは、自分が希望する省庁を実際に訪問し、面接などの選考を受けることです。

 

各省庁が独自に選考を行い、そこで内定をもらうことで初めて官僚としての道が開けます。

官庁訪問では、人間性や適性、志望動機などがチェックされ、数日から数週間という短期間で内々定が決まる流れとなっています。

官僚になるにはどんな大学を目指すべき?

官僚になるためには、大学卒業以上または卒業見込みの学歴が求められますが、特定の大学に進学する必要はありません。

重要なのは国家総合職試験に合格する実力があるかどうかで、出身大学や文系・理系は関係ありません。

しかし、現実的には試験の難易度が非常に高いため、合格者の多くは東京大学や京都大学といった難関大学出身者が占めています。

 

一方で、北海道大学、東北大学、早稲田大学、慶應義塾大学、同志社大学、専修大学などさまざまな大学から合格者が出ています。

つまり、どの大学に通っていても、しっかりと試験対策を行えば官僚になるチャンスはあるということです。

官僚になるにはどんなスキルが求められる?

官僚として活躍するためには、高度な専門知識だけでなく、コミュニケーション力や思考力などが必要です。

  • コミュニケーション力
  • 論理的思考力
  • 政策課題への関心

特に重要とされる3つのスキルを詳しく見ていきましょう。

コミュニケーション力

官僚にとってコミュニケーション力は、必須のスキルです。

政策立案では関係者との調整や説明が行われ、国会議員や他省庁の職員、民間企業の担当者など、さまざまな立場の人と円滑にやり取りする能力が求められます。

 

また、複雑な政策内容をわかりやすく説明する力も重要です。

国家総合職試験でも、政策課題討議試験や人物試験において、コミュニケーション力や対人能力が評価されます。

グループディスカッションや面接を通じて、相手の立場を理解し、自分の考えを適切に伝える力が試されるのです。

論理的思考力

官僚の仕事では、複雑な社会問題を分析し、効果的な政策を立案する論理的思考力が不可欠です。

限られた情報から問題の本質を見抜き、筋道立てて解決策を考える能力が求められます。

また、政策の効果を予測し、予算や法的根拠を整理して説明する力も必要です。

 

試験においても、政策課題討議試験や政策論文試験で論理的思考力が重点的に評価されます。

単なる知識の暗記ではなく、与えられた課題に対して論理的に分析し、説得力のある解決策を提示できるかが問われます。

実務でも、政策立案や国会での説明責任など、論理的思考力が求められる場面があります。

政策課題への関心

官僚には、日本が抱える政策課題に対する深い関心と理解が必要です。

少子高齢化、環境問題、経済政策、国際関係など、幅広い分野の課題について自分なりの考えを持ち、論理的に説明できる力が求められます。

 

時事問題への関心も欠かせません。

試験では、政策課題討議試験や政策論文試験において、国の政策課題や行政のあり方について自分の考えを的確に伝えるスキルが評価されます。

実務においても、官僚の役割は国の未来を左右する重要な政策を企画・立案し、それを実行に移すことです。

官僚の仕事内容

官僚の仕事は多岐にわたりますが、主な業務は以下のとおりです。

  • 政策の企画・立案
  • 法案の作成
  • 予算編成
  • 国会対応 など

働く場所は主に東京・霞が関の中央省庁で、財務省、外務省、厚生労働省、経済産業省、総務省など、各府省において専門分野に応じた業務に従事します。

官僚は中央省庁の幹部候補生として位置づけられ、将来的に各省庁の重要なポストに就くことが期待されています。

そのため、2〜3年の周期でさまざまな部署を異動し、幅広い経験を積みながらスキルを磨いていくのが一般的です。

キャリア官僚とノンキャリアの違い

キャリア官僚とノンキャリアには、勤務先、仕事内容、昇進スピードなどに大きな違いがあります。

キャリア官僚は国家総合職試験の合格者で、主に霞が関の本省で政策の企画・立案業務に従事します。

一方、ノンキャリアは国家一般職や専門職試験の合格者です。

地方の出先機関や管区内の本局で、キャリア官僚が企画した政策の実行・運用を担当します。

 

昇進においても大きな差があり、キャリア官僚はおおむね30代で課長補佐級、40代で課長級まで昇進するのが一般的です。

ノンキャリアは、おおむね40代半ばで本省課長補佐級になる目安となっており、昇進スピードもキャリア官僚に比べてゆるやかです。

官僚の給与・平均年収

人事院の「令和6年国家公務員給与等実態調査」によると、行政職俸給表(一)適用職員の平均給与月額は約40万5,378円です。

この平均給与月額をもとに算出すると、国家公務員の平均年収は、約673万となります。

 

ただし、国家総合職と国家一般職を合算した数字のため、実際のキャリア官僚の年収はこれよりも高くなると考えられます。

民間企業の平均年収が460万円であることを考えると、官僚の給与水準は高いといえるでしょう。

※平均年収は「給与月額12ヶ月分+ボーナス4.6ヶ月分」の式で算出
【参照】令和6年国家公務員給与等実態調査報告書

初任給

官僚の初任給は学歴によって異なります。

国家公務員総合職の行政職員の初任給は、以下のとおりです。

  • 大卒者:27万6,000円
  • 院卒者:29万3,769円

ただし、上記は東京都特別区に勤務する場合の2025年度の給与例です。

そのため、地域手当の支給されない地域に配属された場合は、上記よりも低くなる可能性があります。

上記の他、住居手当や本府省業務調整手当などの各種手当も支給されます。

給与・年収例

官僚の給与や年収は、職務の級や号俸によって大きく異なります。

「国家公務員の給与」では、国家公務員のモデル給与例は以下のようになっています。

モデル月額給与年間給与
地方機関係員25万5,400円421万9,000円
地方機関係長29万1,100円487万5,000円
地方機関課長41万8,600円687万4,000円
本府省課長75万7,920円1,292万4,000円
本府庁局長108万9,600円1,818万5,000円
事務次官142万9,200円2,385万3,000円

【参照】国家公務員の給与(令和7年版)

まとめ

官僚になるためには、国家公務員総合職試験への合格と官庁訪問での内定獲得という2つの大きなハードルを乗り越える必要があります。

本記事で解説した主なポイントは以下のとおりです。

  • 官僚は中央省庁で国の政策立案を担う重要な職業である
  • 国家総合職試験は難関試験で、大卒または院卒の学歴要件や年齢制限がある
  • 試験合格後の官庁訪問で各省庁からの内定を獲得する必要がある
  • キャリア官僚とノンキャリアでは昇進スピードや仕事内容が大きく異なる
  • 平均年収は約673万で、昇進により大幅な収入増が期待できる

官僚への道のりは決して平坦ではありませんが、国の未来を担う非常にやりがいのある仕事です。

しっかりとした準備と継続的な努力があれば、試験に合格し内定を得ることは可能です。

 

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