
農林水産省の年収といえば「国家公務員で安定している」と思う方が多いかもしれません。
農林水産省職員の平均年収は約673万円で、総合職と一般職のどちらかにより差があります。
この記事では農林水産省の年収について、初任給からキャリア・ノンキャリアの年収例、年齢別の平均年収などを紹介します。
福利厚生やキャリアパス、採用要件に関する情報もまとめましたので、農林水産省で働きたい方はぜひご覧ください。
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農林水産省の平均年収・給与
農林水産省職員の年収は、国家公務員の給与制度に基づいて決まっており、「行政職俸給表(一)」が適用されます。
「令和6年国家公務員給与等実態調査」によると、行政職俸給表(一)が適用される職員(一般職・総合職)の平均給与は約40万5,378円です。
この給与額をもとに「給与月額12ヶ月分+ボーナス4.6ヶ月分」として計算すると、平均年収は約673万円となります。
国家公務員の給与は、俸給(基本給)と諸手当から構成され、諸手当として含まれる「期末・勤勉手当」がいわゆるボーナスです。
令和6年度時点では、ボーナスは4.6ヶ月分が支給されます。
【参考】人事院「国家公務員の給与制度の概要」
【参考】人事院「令和6年人事院勧告」
【参考】人事院「令和6年国家公務員給与等実態調査報告書」
【参考】人事院「俸給表の種類と適用人数」

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初任給
農林水産省職員の初任給は、以下の通りです。
この表は国家公務員の初任給で、本府省の一つである農林水産省に入省した場合にも当てはまります。
▼令和7年度初任給例(本府省採用の場合)
試験 | 学歴 | 初任給 |
---|---|---|
総合職 | 院卒者 | 30万2,560円 |
大卒程度 | 28万4,800円 | |
一般職 | 大卒程度 | 27万1,200円 |
高卒者 | 23万2,800円 |
総合職のほうが1万3,600円高く設定されています。
上記の他に通勤手当や超過勤務手当、住居手当、扶養手当も支給されます。
キャリア・ノンキャリアの年収例
続いて、キャリア・ノンキャリア(総合職・一般職)の年収例です。
以下の表は農林水産省に限らず、国家公務員の給与例として公表されているものです。
モデル | 年齢 | 年間給与 |
---|---|---|
地方機関係員 | 30歳 | 421万9,000円 |
地方機関係長 | 35歳 | 487万5,000円 |
地方機関課長 | 50歳 | 687万4,000円 |
本府省課長補佐 | 35歳 | 756万8,000円 |
本府省課長 | 50歳 | 1,292万4,000円 |
本府省局長 | ― | 1,818万5,000円 |
事務次官 | ― | 2,385万3,000円 |
【参考】内閣官房「国家公務員の給与」
過去に実施された農林水産省の採用試験では、総合職の本省課長補佐級と本省係長級(いずれも技術系)のモデルが紹介されています。
モデル例 | 年齢 | 年間給与 |
---|---|---|
本省課長補佐級 | 40歳 | 約790万円(期末・勤勉手当含む) 基本給(月額)約48万円(俸給+地域手当+本府省業務調整手当) |
本省係長級 | 30歳 | 約620万円(期末・勤勉手当含む)基本給(月額)約37万円(俸給+地域手当+本府省業務調整手当) |
【参考】農林水産省「農林水産省選考採用(国家総合職技術系)情報」
農林水産省の一般職については、過去の経験者採用に3パターンのモデル例が紹介されています。
モデル例 | |
---|---|
43歳で大学卒の場合(扶養家族有り、配偶者、子2人) | 約800万円(月給 約36万円) |
39歳で専門卒の場合(住居手当有り、扶養家族なし) | 約660万円(月給 約30万円) |
32歳で大学卒の場合(扶養家族なし) | 約540万円(月給 約25万円) |
農林水産省においても総合職・一般職を比較すると、30代前半時点ですでに総合職のほうが年収が高いことがわかります。
【参考】農林水産省「農林水産省農産局選考採用(一般職係長級)について」
農林水産省の年齢別の平均年収
年齢別の平均年収の参考として、行政職俸給表(一)が適用される国家公務員(大卒)の平均年収を紹介します。
以下の表は、人事院の「令和6年国家公務員給与等実態調査」をもとに、「給与月額12ヶ月分+ボーナス4.6ヶ月分」で平均年収を算出したものです。
年齢層 | 平均年収 |
---|---|
20歳未満(飛び級など) | 約387万円 |
20歳以上24歳未満 | 約390万円 |
24歳以上28歳未満 | 約432万円 |
28歳以上32歳未満 | 約497万円 |
32歳以上36歳未満 | 約565万円 |
36歳以上40歳未満 | 約651万円 |
40歳以上44歳未満 | 約732万円 |
44歳以上48歳未満 | 約787万円 |
48歳以上52歳未満 | 約835万円 |
52歳以上56歳未満 | 約871万円 |
56歳以上60歳未満 | 約880万円 |
60歳以上 | 約849万円 |
農林水産省職員にも行政職俸給表(一)が適用されるため、上記の平均年収に近いものだと考えられます。
また、上記の表は一般職・総合職を合算したデータから算出しているため、総合職単体ではこの年収よりも高くなる可能性があります。
国家公務員として働き続けると、年齢が上がるにつれて、年収も増え続けていくことがわかります。
将来的な年収アップが期待できることも、農林水産省職員として働くやりがいになるでしょう。
農林水産省の福利厚生・ワークライフバランス
農林水産省で働く職員には、どのような福利厚生が用意されているのでしょうか。
ワークライフバランスの取りやすさに関わる残業時間や年休取得率なども解説します。
福利厚生
農林水産省職員の福利厚生を紹介します。
国家公務員の諸手当として、扶養手当や住居手当、通勤手当、超過勤務手当などが支給されます。
地域手当は、民間賃金の高い地域に勤務する職員に支給されるものです。
東京都特別区に勤務する職員には、月給の20%が支給されることになっています。
こうした諸手当があるほかに、子育て支援も充実しています。
育児支援制度として、産前産後休暇や育児休業の取得、短時間勤務、早出または遅出出勤の取り組みがなされています。
安定した収入と、仕事と家庭を両立した働き方を求める方にとっては魅力的な環境です。
【参考】人事院「国家公務員の給与制度の概要」
【参考】農林水産省「働きやすい環境 | 新卒採用情報 」

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ワークライフバランス
「ワークライフバランスが取りやすいか?激務ではないか?」と気になる方もいるでしょう。
農林水産省の採用案内を参考に、以下のポイントからチェックしてみます。
残業時間については、職員1人の1月あたりの超過勤務時間は22.0時間/月(令和5年・本省常勤職員)です。
平成26〜30年の残業時間は27.2時間/月でしたが、近年では減少傾向にあります。
年休取得率は、1人あたりの年次休暇取得日数が15.3日(令和5年・全職員)です。
令和1〜4年は14.7日で、年々休みが取りやすくなっています。
テレワーク・フレックスタイム制も推進され、自宅などで働くテレワークや勤務時間の調整ができるフレックスタイム制を活用できます
家族との時間やプライベートも大切にしながら、ワークライフバランスを取れる働き方ができると言えるでしょう。
農林水産省に入るには?
農林水産省の総合職を志望する場合は、国家公務員採用総合職試験に合格しなければなりません。
一次試験と二次試験があり、最終合格者のみが官庁訪問(採用面接)の選考を経て、採用内定を得られます。
一般職の場合は一次試験後に官庁訪問・人物試験を受け、最終合格すれば採用されます。
どちらも採用内定を得た後は、正式な手続きを経て農林水産省で国家公務員として働くことになります。
職種は事務系、技術系、林野庁や水産庁の職員など幅広く用意されています。
国家公務員試験の日程や試験内容については、以下の記事をあわせてご覧ください。

公務員試験の種類一覧|日程・試験内容・併願について解説
一口に「公務員試験」と言っても職種によって日程や内容は大きく違います。公務員の志望度が高い人は併願について計画しておく必要があるので、情報をよく確認しておき…
一口に「公務員試験」と言っても職種によって日程や内容は大きく…
【参考】国家公務員試験採用情報NAVI「総合職試験採用情報」
【参考】国家公務員試験採用情報NAVI「総合職試験(大卒程度試験)」
【参考】国家公務員試験採用情報NAVI「一般職試験採用情報」
【参考】農林水産省「採用案内|新卒採用情報」
農林水産省の仕事内容
農林水産省では主な政策として、食料安全保障、環境・技術政策、産業振興、地域振興を担っています。
食の消費・安全、森林・林業政策、水産政策も農林水産省が行っている領域です。
これらの取り組みを担う一員として、事務系・技術系それぞれで仕事内容も分かれます。
事務系の仕事は、政策の企画・立案の中核を担うものです。
幅広い視点から政策の企画⽴案を⾏う、ゼネラリストとしての活躍が期待されます。
一方、技術系の仕事は、専⾨的な知識を活かして政策の企画・立案・実施までに関わるものです。
農林水産業におけるスペシャリストとして、その分野でご自身の専門性を発揮します。
【参考】農林水産省「内定者ガイドブック」
【参考】農林水産省「採用案内|新卒採用情報」
農林水産省に入った後の研修・キャリアパス
農林水産省に入った後にどのような研修制度でスキルを磨けるか、キャリアパスはどうなっていくのか、未来のキャリアを考える上で気になるところです。
入省後の研修制度とはどういったものか、キャリアパスの一例について紹介します。
農林水産省の研修制度
農林水産省にはキャリア支援のために、次の研修制度が設けられています。
- 初任者研修
- 農村研修
- 語学研修
- 海外・国内留学
- 職階研修
- 能力開発研修
初任者研修では、農林水産省職員に必要な知識を身につけるために、総合職試験等採用者研修と一般職試験等採用者研修が行われます。
農村研修とは、入省2年目に本省に在籍する職員などを対象とした研修です。
全国各地の農家・漁家のもとで農林水産業をリアルに学ぶという、農林水産省ならではの研修です。
【参考】農林水産省「キャリア支援・若手活躍 | 新卒採用情報」
農林水産省のキャリアパス
農林水産省で働く職員がどのようなキャリアパスをたどっていくのか、一例を紹介します。
▼総合職(農業工学系)
1年目に本省係員(農村振興局配属)として入省し、2年目より国営事業所係員(地方農政局など配属)になります。
5年目からは本省係長になり、9年目に国営事業所課長や海外勤務へ。
16年目には本省課長補佐として従事します。
▼一般職行政(本省採用)
主に本省(霞ヶ関)を中心に異動します。
おおむね2年程度で人事異動があり、政策の企画・立案業務、人事、経理事務などさまざまなポストを経験します。
係長、課長補佐へと昇進するにあたり、特定分野のスペシャリストを目指していきます。
▼一般職農業技術系
現場で政策の実行にあたる地方農政局と、政策の企画・立案を行う本省(霞ヶ関)のどちらにも勤務する機会があります。
おおむね2年程度で人事異動があり、専門分野を深めながら係長、課長補佐へと昇進していきます。
キャリアパスについてさらに詳しく知りたい方は、農林水産省が開催している説明会に参加して情報収集しましょう。
【参考】農林水産省「農林水産省の御紹介」
【参考】人事院「農林水産省 ~食と環境を未来に継承する~」
【参考】農林水産省「採用案内|新卒採用情報」
農林水産省が求める人材
農林水産省が求める人材とは、次の3つを満たす人です。
- 広い視野と問題意識を持つ人
- 前向きでチャレンジ精神のある人
- 食や環境に強い関心がある人
具体的にどのような人物像が求められているのか、農林水産省の採用情報にもとづいて紹介します。
広い視野と問題意識を持つ人
農林水産省では、「社会と世界を動かす原動力となる『食』と『環境』を未来に繋ぐこと」をミッションとしています。
そのための広い視野や問題意識を持つ人であることが必須です。
広い視野や問題意識を活かして仕事に励むことで、日本が抱える農林水産分野への課題に対応し、農林水産省の取り組みや各プロジェクトに貢献することに繋がります。
活躍するフィールドも地方から海外まで多岐にわたるため、広い視野と問題意識を持つ力はどのようなキャリアを歩むにも大切です。
前向きでチャレンジ精神のある人
農林水産省が取り組む領域には、食料安全保障や環境技術政策、農林水産・食品産業の振興などのプロジェクトがあり、各分野に課題があります。
課題に対して、前向きに立ち向かえるチャレンジ精神があることも農林水産省が求めている人材の条件です。
転換期にある農林水産業に関わり、その中で新しいアイデアを考えながら果敢に挑戦していくことで、今の日本だけではなく、未来にわたって持続的な発展へ導く人が求められています。
【参考】農林水産省「採用案内|新卒採用情報」
【参考】農林水産省「農林水産省で働くとは」
食や環境に強い関心がある人
農林水産省の公務は、日々の業務を通じて日本の食や環境を担うものです。
日本の食や環境に対して強い関心があり、使命感を持って貢献できる人材が求められます。
入省案内の若手職員アンケートにある「公務員を目指したきっかけは?」にも、食・農林水産分野への関心が第1位として挙げられています。
「日本の農業や食を支えたい」という強い思いを持ち、体現できる積極性や行動力、学び続ける姿勢を備えていることも重要です。
【参考】農林水産省「採用案内|新卒採用情報」
【参考】農林水産省「農林水産省農産局選考採用(一般職係長級)について」
農林水産省に関してよくある質問
最後に、農林水産省に関してよくある質問をまとめました。
学歴フィルターがあるかどうか、人気・不人気の傾向、転勤・海外勤務についてのQ&Aを紹介します。
農林水産省に学歴フィルターはある?
農林水産省の採用試験において、選考基準に出身大学は関係ありません。
採用案内のQ&Aでも明言されています。
採用に際しては、成績の善し悪しや性別、当然ながら出身高校・大学にもとらわれるつもりは全くありません。
引用:農林水産省「採用案内|新卒採用情報」
また、農林水産分野と無関係な学部からの採用も多く、実際にさまざまなバックグラウンドを持つ職員が活躍しています。
いわゆる「学歴フィルター」はなく、選考では個人の能力や適性が重視されていると考えられます。

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農林水産省は不人気?
農林水産省が人気か不人気かというと、省庁ごとの倍率は公開されていないため、明確にどの省庁が人気かとは言えません。
ただし、採用試験の実施状況が参考の一つになります。
採用人数を見ると、農林水産省は採用予定人数が多く設定されています。
2026年度採用では、総合職試験で130名(事務系30名/技術系100名)採用予定です。
他の省庁ではたった数名~数十名の採用予定であることと比べると、100名以上の採用予定がある農林水産省は「入りやすい」と考えて志望する方もいるのではないでしょうか。
【参考】国家公務員試験採用情報NAVI「総合職試験採用情報」
農林水産省に転勤・海外勤務はある?
農林水産省職員には、転勤・海外勤務の可能性があります。
総合職については、農林水産省が紹介しているキャリアパスの一例に地方勤務や海外勤務が含まれています。
入省案内のパンフレットでも「総合職で入省し、国際機関への出向や国際交渉担当を目指すために海外留学している」という職員の活躍ぶりが掲載されています。
【参考】農林水産省「農林水産省の御紹介」
【参考】農林水産省「採用案内|新卒採用情報」
まとめ
農林水産省職員の年収や福利厚生、キャリアパスについてお伝えしました。
- 農林水産省職員の平均年収は約673万円である
- 諸手当や子育て支援など福利厚生が充実している
- テレワーク・フレックスタイム制が導入されている
- 各機関への異動や海外勤務など専門性を高めながらキャリアを築ける
- 農林水産省に入省するにあたり学歴フィルターはない
安定した給与や、福利厚生の充実、ワークライフバランスが取りやすい環境は、農林水産省職員としてキャリアを築く上で心強いポイントです。
日本の農業・林業・水産業を担う農林水産省への入省を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
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