「自衛隊で働いてみたい」と考えても、自衛隊員や自衛官がどのような身分なのか、具体的にどんな仕事をしているのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
自衛隊員・自衛官は全員が国家公務員であり、陸上・海上・航空それぞれに多様な職種が存在しています。
この記事では、自衛官の仕事内容や給料・福利厚生、学歴・経歴別の入隊方法など、自衛隊を目指す方が知っておきたい情報をわかりやすくご紹介します。

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自衛隊員・自衛官は国家公務員?
自衛隊員・自衛官は国家公務員に該当します。
正確には、特別職の国家公務員とされており、一般職国家公務員や地方公務員とは区別されます。
そのため、給与や福利厚生なども一般職とは異なり、自衛官特有の制度が設けられています。
また、「自衛隊員」と「自衛官」には次のような違いがあります。
自衛隊に所属するすべての人が「自衛隊員」であり、その中で階級(士・曹・幹部)を持つ人が「自衛官」です。
自衛官の職種・職域・仕事内容
次に、自衛官の職種・職域、そして具体的な仕事内容について紹介します。
自衛隊には、陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊の3つがあり、それぞれの中に多様な職種・職域が存在します。
自衛隊に興味がある方や、仕事内容について知りたい方はぜひ参考にしてください。
陸上自衛隊
陸上自衛隊は、自衛隊の中でも最大規模の組織です。
一部の職種・職域を紹介します。
▼普通科
機動力、火力、近接戦闘能力を有し、地上戦において中心的な役割を果たします。
▼機甲科
戦車、機動戦闘車、水陸両用車を運用する部隊で、敵の撃破を主な任務とします。
▼野戦特科
火砲などを使用して広範囲への火力支援を行う部隊です。
▼高射特科
対空火器を用いて敵の航空機などを撃墜する任務を担い、対空情報の収集・分析も行います。
▼情報科
情報の収集・処理、地図や航空写真の配布などを通じて、部隊の情報活動を支援します。
海上自衛隊
海上自衛隊は、周辺海域の防衛や海上交通の安全確保を担う組織です。
一部の職種・職域を紹介します。
▼射撃
護衛艦などで砲やミサイルを操作して、敵への攻撃を行います。
▼水雷
魚雷などの水中兵器やソナー機器を操作して、潜水艦の探知・攻撃・装備整備などを行います。
▼掃海・機雷
掃海艦などで機雷探知機や掃海具を操作し、海中の機雷の探知・処分、機材の整備を担当します。
▼航海・船務
航海は艦艇の進行方向の管理など航行業務、船務はレーダーや電波探知装置を用いて戦術行動を支援します。
航空自衛隊
航空自衛隊は、日本の航空・宇宙における防衛を担う組織です。
一部の職種・職域を紹介します。
▼操縦
各種航空機を運用し、防空任務や航空作戦を遂行します。
▼兵器管制
領空を監視し、接近・侵入する航空機などを発見・識別、必要に応じて戦闘機を誘導します。
▼高射
ペトリオットミサイルシステムなどを用い、敵の航空機やミサイルを迎撃します。
▼航空管制
飛行場で離着陸する航空機を安全に誘導する航空交通管制業務を担当します。
自衛官の給料・年収・ボーナス
ここからは自衛官の給料・年収・ボーナスについてご紹介します。
▼初任給
初任給 | |
---|---|
自衛官候補生(2等陸士任官後=3カ月経過後) | 15万7,100円(19万8,800円) |
一般曹候補生 | 20万3,600円 |
幹部候補生 防大卒・一般大卒 | 24万3,500円 |
幹部候補生 大学院卒 | 25万8,600円 |
▼年代別平均年収
年代 | 平均年収 |
---|---|
20〜24歳 | 約374万円 |
25〜29歳 | 約428万円 |
30〜34歳 | 約440万円 |
35〜39歳 | 約509万円 |
40〜44歳 | 約599万円 |
45〜49歳 | 約637万円 |
50歳以上 | 約652万円 |
▼ボーナスの平均支給額
夏の平均支給額 | 冬の平均支給額 | |
---|---|---|
自衛官候補生(2等陸士任官後) | 約46万8,200円(採用2年目) | 約46万8,300円(採用2年目) |
一般曹候補生 | 約46万8,800円(採用2年目) | 約46万8,800円(採用2年目) |
幹部候補生 防大卒・一般大卒 | 約65万8,300円(幹部任官後) | 約65万8,300円(幹部任官後) |
幹部候補生 大学院卒 | 約65万8,300円(幹部任官後) | 約65万8,300円(幹部任官後) |
自衛官は、夏(6月)と冬(12月)に月給の2.235カ月分のボーナスが支給されます。

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自衛官の福利厚生
自衛官には、他の公務員にはない特別な福利厚生や手当が整備されています。
住居や食事、医療など生活面に関わる支援が充実しており、安心して勤務できる環境が整っています。
各種手当
駐屯地や基地内(営内)に居住している場合、家賃・食費・光熱水費・被服費などは基本的に自己負担なしで提供され、現物支給される形となります。
営内にある医務室や自衛隊病院での診療は、原則無料です。
さらに、自衛官候補生として任用された後に2士に昇任した場合は「自衛官任用一時金(344,000円)」が支給されます(支給額は変更される場合があります)。
退職金
退職時には、階級・俸給月額・勤続年数・退職理由に応じた退職手当が支給されます。
自衛官の定年は一般の公務員よりも早いため、それを補う目的で「若年定年退職者給付金」が支給される制度があります。
任期制で任用された自衛官には、任期満了ごとに「特例退職手当」が支給されます。
休暇
自衛官には、以下のような多様な休暇制度が整備されています。
- 年次有給休暇
- 年末年始休暇・夏季休暇
- 産前産後休暇・育児休業
- 介護休暇
- 配偶者同行休業(配偶者が海外勤務・留学する場合など)
- 自己啓発等休業(進学などを目的とした休業)

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【学歴・経歴別】自衛官になるには?
ここでは、自衛官になるためのルートを学歴・経歴別に解説します。
中卒・高卒・大卒・資格保有者・社会人経験者など、それぞれに合った道がありますので、自分の状況に合う進路を確認してみましょう。
中卒の場合
中卒でも自衛官を目指すことは可能です。
応募できる主な区分は、以下のとおりです。
- 自衛官候補生
- 一般曹候補生
ただし、どちらも応募年齢が18歳以上となっているため、中学卒業後すぐに入隊はできません。
学歴要件はありませんが、筆記試験や面接が課されるため、しっかりとした試験対策が必要です。
高卒の場合
高卒者も以下の区分で応募できます。
- 自衛官候補生
- 一般曹候補生
18歳になればすぐに受験・入隊が可能です。
また、幹部自衛官を目指す場合は、防衛大学校への進学という選択肢もあります。
大卒の場合
大学卒業者は、以下のコースに応募することができます。
- 一般幹部候補生:文系・理系どちらも対象で、各自衛隊の幹部自衛官を養成するコース
- 歯科幹部候補生:歯学部卒業者
- 薬剤科幹部候補生:薬学部卒業者
防衛大学校卒業生とは異なる、一般大学卒業者向けの幹部コースとなります。
特定の国家資格を取得している場合
以下のような国家資格を有している場合、専門職として応募できます。
- 医師・歯科医師:医科・歯科幹部自衛官
- 薬剤師:薬剤科幹部候補生
- 技術系資格(陸上無線技術士、航空整備士、自動車整備士、測量士など):技術曹
自衛隊では、専門資格を活かして働ける職種が多数存在します。
社会人経験がある場合
一定の学歴・専門分野の経験がある社会人は、キャリア採用幹部(専門幹部)として応募が可能です。
対象となる分野は次のとおりです。
- 装備品の研究開発・整備(航空・船舶・電子機器など)
- 情報通信
- 心理
- 法務
- 衛生(看護)など
実務経験や専門性が重視される採用枠です。
自衛官の採用試験概要
ここでは、自衛官の採用試験のうち「一般曹候補生」を例に、試験の流れと内容を解説します。
受験から入隊までの流れは、以下のとおりです。
- 志願票の提出:最寄りの地方協力本部(地本)に提出
- 第1次試験:筆記試験・適性検査
- 第2次試験:面接(口述試験)・身体検査
- 合格発表
- 入隊
なお自衛官候補生は年間を通じて募集しているため、時期を問わず応募が可能です。
受験資格
一般曹候補生は、日本国籍を有する18歳以上33歳未満の者(32歳の場合は採用予定月の末日に33歳に達していない者)であれば受験が可能です。
特別な学歴や経歴などは必要ありません。
試験科目
一般曹候補生の採用試験では、1次試験と2次試験が実施されます。
1次試験には筆記試験と適性検査、2次試験には口述試験(面接)と身体検査があります。
筆記試験には国語、数学、英語、作文の科目があり、難易度は高卒程度です。
一般曹候補生の応募に学歴は必要ありませんが、ある程度の試験勉強は必要と言えます。
また、身体検査には身長や視力といった検査項目が設けられているため、自分が基準を満たしているかあらかじめ確認しておきましょう。
試験日
ここでは参考までに、令和7年(2025年)度の一般曹候補生の募集期間、試験日、合格発表日をご紹介します。
試験回 | 募集期間 | 1次試験 | 1次試験合格発表 | 2次試験 | 最終合格発表 |
---|---|---|---|---|---|
第1回 | 3月1日(土)~5月7日(水) | 5月17日(土)~25日(日) | 6月5日(木) | 6月14日(土)~29日(日) | 7月31日(木) |
第2回 | 7月1日(火)~9月2日(火) | 9月13日(土)~21日(日) | 10月2日(木) | 10月11日(土)~26日(日) | 12月4日(木) |
第3回 | 9月16日(火)~11月21日(金) | 11月29日(土)~12月4日(木) | 12月15日(月) | 令和8年(2026年)1月6日(火)~13日(火) | 令和8年(2026年)2月5日(木) |
まとめ
今回は、自衛隊員・自衛官について解説しました。
- 自衛隊員・自衛官は全員国家公務員
- 自衛隊には陸上・海上・航空がありその中でもさまざまな職種・職域がある
- 20〜24歳の自衛官の平均年収は約374万円
- 一般曹候補生の試験は1次試験(筆記・適性検査)と2次試験(面接・身体検査)
自衛官を目指すなら、まずは公務員試験対策から始めましょう。
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