地方上級とは、都道府県・政令指定都市・特別区で採用されている大学卒業程度の学力を要する試験の総称です。
あくまで一般的なレベル分けのために用いられている総称であり、自治体側が「地方上級」という名称の試験を行っているわけではありません。地方上級に該当する試験は、「上級職」「I類」「I種」など自治体によって名称が異なります。
高卒レベルの「初級」、短大卒レベルの「中級」と同様、地方上級の「大学卒業程度」というレベル設定はあくまで試験レベルの目安であり、受験の(学歴)要件ではありません。高卒の受験者が地方上級に合格するケースもあります。ただし、一部の自治体では学歴を受験の要件に設定しています。
上級の地方公務員になると、行政や地域振興へと積極的に貢献するポストに配置されます。責任の大きさから、待遇面での優遇も少なくありません。出世のスピードも速いといわれています。公務員を目指す大学生の間では、とりわけ人気の高い試験となります。
初級・中級と同様に地方上級の試験内容も自治体と受験する区分によって異なります。1次試験は大まかに、教養科目と専門科目に分類可能です。自治体によっては、教養科目のみ、あるいは専門科目のみの試験を実施しています。
教養科目 |
一般知能:文章理解・数的推理・判断推理・資料解釈 一般知識:社会科学・人文科学・自然科学 |
専門科目 |
行政系:政治学・行政学・社会政策・社会学・国際関係 法律系:憲法・行政法・民法・刑法・労働法 経済系:経済原論・ミクロ経済・マクロ経済・財政学・経済史・ 経済政策・経済事情 商学系:経営学 |
教養科目、専門科目それぞれの問題数は自治体によって多少異なります。効率よく勉強するためには、自治体の問題配分をあらかじめ調べておくことが大切です。
1次試験を通過すると、面接または討論、論作文、適性試験などが行われる2次試験が控えています。こちらも、実施される内容は自治体によって細かく異なるため確認が必要です。
地方上級のレベルは国家公務員一般職の試験と同程度だと考えられています。どちらも学習するボリュームが大きく、それなりに多くの学習時間の確保が大切です。また、国家公務員の総合職試験と比較すると、地方上級のほうが簡単だと考えられています。
国家公務員試験も地方公務員試験も、複数の区分を設けて実施されている試験です。国家公務員試験はインフラ整備を中心に多くの区分を設けていますが、地方公務員試験で実施されている区分は自治体の規模によって異なります。区分は採用職種の豊富さにもかかわってくるため、あらかじめ確認が必要です。
以下は国家公務員一般職の1次試験で出題される内容です。
自治体によって内容が異なる地方上級に対し、上述した国家公務員一般の試験内容は基本的に共通です。また、自治体によっては地方公務員の専門科目試験を実施していないこともありますが、国家公務員試験では一部の例外を除いて専門科目の試験が行われます。
地方公務員上級に合格して採用された場合、地方行政に貢献する幹部候補生として活躍を期待されます。かかわる仕事の多さから、非常にやりがいのある仕事です。試験で勉強しなければならないボリュームが大きい一方、採用されればそれに見合った充実感が待っているでしょう。