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教養試験「自然科学」の攻略法

公務員試験の教養試験では「自然科学」と呼ばれる科目で、高校で学ぶ理系科目が5問程度出題されます。

苦手意識をもつ人も多く、配点も低いので最初から捨ててしまう受験生も多い科目ですが、実は攻略法があります。

自然科学は他の知識科目と比較して覚える量が少なく、さらに過去問と全く同じ出題が多いという特徴があります。
こうした特徴を踏まえて対策することで、理系科目が苦手な受験生でも数点ゲットできる可能を秘めた科目です。

本記事では、最小限の労力で自然科学で得点する作戦をご紹介します。

| 教養試験の自然科学とは?

自然科学は教養試験の「知識分野」に属する科目で、出題比率は教養試験全体の約14%です。

自然科学で出題される内容は、高校時代に学んだ理数科目で、具体的には『数学、物理、化学、生物、地学』が出題されます。

公務員試験ではこれらの全ての科目が出題され、配点はそれぞれの科目で1点~2点、合計では4点~7点分の出題となります(詳細は自治体により異なります。細かな違いは志望先の過去問などで確認してください)。

<コラム>自然科学の「数学」と数的処理の違いについて
自然科学の「数学」はいわゆる高校で学ぶ数学1A2Bの範囲から出題されます。一方、数的処理の数学は中学での学習範囲から出題されます。

教養試験の配点分布

自然科学科学の配点

国家一般職国税・財務裁判所一般職都庁特別区地方上級市役所国立大学法人
数学00000111
物理11112**111
化学11112**1~2*1~2*1
生物11112**1~2*1~2*2
地学11112**1~2*1~2*1


* 地方上級や市役所では、年度により化学、生物、地学のいずれかの出題が2点となる傾向があります。
また、市役所ではA日程~C日程まで試験日程が分かれており、試験日程によっても出題数に変動があります。

**特別区の一般知識科目は選択解答制が採られています。自由に選んで解答することが可能です。


| 自然科学出題のトレンド

近年の公務員試験全体の傾向としては知能科目(数的処理・文章理解)と時事科目が重視される傾向にあり、自然科学の出題は減少傾向です。

<コラム>知識科目が廃止される自治体も?

近年、公務員試験では筆記試験の試験負担軽減を目的として、知識系科目全般の出題が廃止になったり、自然科学や人文科学を中心として一部科目の出題をとりやめるケースがでています。
知識系科目の出題の有無は募集要項から確認できるので、必ず確認しておきましょう。

しかし、県庁・政令指定都市などの人気の高い採用先の試験では自然科学の出題は依然として続いています。
また、警察官・消防官採用試験などの公安系採用試験でも自然科学は必ず出題されます(特に、東京消防庁は自然科学の配点が高いことで有名です)。

一般的に、併願先も含めてすべての受験先で知識科目の出題がゼロであることは稀です

公務員試験に合格できるチャンスを拡げるためには、自然科学でもある程度は得点できるように準備しておくことが得策です。


| 自然科学の出題例を過去問で確認

勝負に勝つために必要なことは何事も相手を知ることからです。
ここでは、実際の過去問で自然科学の出題例を科目ごと確認してみましょう。

※数学の出題例の掲載は割愛します。

生物出題例 特別区1類[一般方式]

DNAに関するA~Dの記述のうち,妥当なものを選んだ組合せはどれか。

A.翻訳とは,2本のヌクレオチド鎖がそれぞれ鋳型となり,元と同じ新しい2本鎖が2組形成される方法である。
B.DNAの塩基には,アデニン(A),チミン(T),グアニン(G),シトシン(C)の4種類がある。
C.核酸には,DNAとRNAがあり,DNAはリン酸,糖,塩基からなるヌクレオチドで構成されている。
D.転写とは,RNAの塩基配列がDNAの塩基配列に写し取られることである。
A,BA,CA,DB,CB,D
地学出題例 特別区1類[一般方式]

火山に関する記述として、妥当なのはどれか。

粘性の低い溶岩が繰り返し大量に流出すると、ハワイ島のマウナロア山のような成層火山が形成される。
噴火により大量のマグマが噴出すると、マグマ溜まりに空洞が生じ、地表が陥没して凹地ができることがあるが、このような凹地をカルデラという。
溶岩や火山砕屑物が交互に積み重なると、富士山のような円錐形の盾状火山が形成される。
粘性が高いと溶岩は流れにくく、厚い溶岩流となり、盛り上がった溶岩台地と呼ばれるドーム状の高まりをつくる。
一度の噴火でできた火山を複成火山といい、休止期をはさむ噴火をくり返してできた火山を単成火山という。
化学出題例 都庁1類B[一般方式]

物質の構成に関する記述として、妥当なのはどれか。

1種類の元素からできている純物質を単体といい、水素、酸素及びアルミニウムがその例である。
2種類以上の元素がある一定の割合で結びついてできた純物質を混合物といい、水、塩化ナトリウム及びメタンがその例である。
2種類以上の物質が混じり合ったものを化合物といい、空気、海水及び牛乳がその例である。
同じ元素からできている単体で、性質の異なる物質を互いに同位体であるといい、ダイヤモンド、フラーレンは炭素の同位体である。
原子番号が等しく、質量数が異なる原子を互いに同素体であるといい、重水素及び三重水素は水素の同素体である。
物理出題例 都庁1類B[一般方式] 平成29年度

電磁波に関する記述として,妥当なのはどれか。

電磁波は,波長又は周波数によって分類されており,AMラジオ放送に利用される電磁波には,マイクロ波がある。
真空中における電磁波の速さは,周波数によって異なり,周波数が高いほど速い。
可視光線の波長は,中波の波長や短波の波長よりも長く,X線の波長よりも短い。
紫外線は,波長がγ線よりも長く,殺菌作用があるので殺菌灯に利用されている。
赤外線は,X線と比べて物質を透過しやすく,大気中の二酸化炭素に吸収されない。

いかがですか?
一部の科目は高校のときに履修したことがあり、見覚えがある内容だったと思います。

そして、見覚えのある科目はそんなに難しくないと感じられたのではないでしょうか。


| 自然科学の出題の特徴

過去問で確認した通り、公務員試験の自然科学は選択肢が非常に短くあまり深い内容は問われません
そして、計算問題はほぼ出題されず知識のみで勝負できます。

さらに、出題されるテーマはある程度限定されていて、なおかつ過去問と似たような問題が繰り返し繰り返し出題されています。

百聞は一見に如かずです。
化学の出題例で具体的に確認してみましょう。

化学出題例 都庁1類B[一般方式](平成25年度出題)

物質の構成に関する記述として、妥当なのはどれか。

1種類の元素からできている純物質を単体といい,水素,酸素及び鉄がその例である。
2種類以上の物質が混じり合ったものを混合物といい,水,二酸化炭素及びアンモニアがその例である。
2種類以上の元素がある一定の割合で結びついてできた純物質を化合物といい,空気,海水及び食塩水がその例である。
同じ元素からなる単体で,性質の異なる物質を互いに同位体であるといい,ダイヤモンド,黒鉛及びカーボンナノチューブは炭素の同位体である。
原子番号が等しく,質量数が異なる原子を互いに同素体であるといい,重水素及び三重水素は水素の同素体である。
化学出題例 都庁1類B[一般方式](平成30年度)

物質の構成に関する記述として、妥当なのはどれか。

1種類の元素からできている純物質を単体といい、水素、酸素及びアルミニウムがその例である。
2種類以上の元素がある一定の割合で結びついてできた純物質を混合物といい、水、塩化ナトリウム及びメタンがその例である。
2種類以上の物質が混じり合ったものを化合物といい、空気、海水及び牛乳がその例である。
同じ元素からできている単体で、性質の異なる物質を互いに同位体であるといい、ダイヤモンド、フラーレンは炭素の同位体である。
原子番号が等しく、質量数が異なる原子を互いに同素体であるといい、重水素及び三重水素は水素の同素体である。

いかがでしょうか?

過去問とほぼ同じ問題が出題されていますね。

この問題は「物質の分類」という、試験の種類を問わず公務員試験の化学での頻出テーマです。
そして、このテーマは高校化学の出題ですが、中学の理科第一分野で学ぶ内容+αで得点することが可能なので、とても簡単なテーマです。

<コラム>自然科学は覚える量が社会系科目よりも少ない?

自然科学の各科目は、社会科学や人文科学などの社会科系科目と比較すると覚える量は非常に少なくて済みます。
また、社会科系科目と比べても公務員試験で頻出の分野は限定的であるという特徴もあります。
このことから、しっかりと過去問分析をしてやるべきことを明確にしさえすれば、社会科系科目よりもコストパフォーマンスの高い科目であると言えます。


| 自然科学の学習戦略

ここまでに説明した自然科学の特徴を踏まえて、効率よく対策するための学習方法を解説していきます。

文系・理系のバックグラウンドに応じて学習する科目を決めよう

自然科学は少しでも経験がある科目については、ちょっとの努力で得点できるようになります。

そのため、まず最初に個々人のバックグラウンドや得意不得意に応じて、対策する科目を決めてしまうことがコツです。

以下に、文系/理系、得意/不得意に分けてオススメの学習法を提案します。

① 理系の方や得意な科目がある方

ご自身の専攻科目や得意科目を最優先で対策します。

公務員試験の問題は難易度が低いため、少し問題を解くだけでもコツと傾向がつかめてくると思います。

ただし、理系の方でもすべての科目についてバックグラウンドがある方は少数です。
自身になじみのない科目については、以下の②の説明を参考にしてください。

② 文系の方や得意な科目がない方

まずは、自分が取り組めそうな科目を見つけましょう
自分が取り組むと決めた科目はしっかりと対策し、そうではない科目は割り切って捨ててしまいます。

おすすめの科目は生物と地学です。
これらの科目は知識だけで勝負が決まり、なおかつ社会科などよりも覚える量が少ないため、文系の方にもおすすめの科目です。

他の科目については個々のバックグラウンドや科目との相性によるところも大きいと思うので、以下の<コラム>自然科学はどの科目が攻略しやすい?を参考に取り組む科目を決めてみてください。

<コラム>自然科学はどの科目が攻略しやすい?

公務員受験生の傾向・試験の難易度・科目の性質を総合的に踏まえると、以下のような傾向があります。

(対策しやすい) 生物=地学<化学<<物理 (対策しにくい)

得意な科目が無い方は、生物・地学はきちんと得点しその上で化学まで得点できると、教養試験全体として優位に立てると思います。
なお、物理については、科目との相性の要素が非常に強く、また、得点力が身につくまで時間がかかる科目です。
バックグラウンドが無い場合、深追いは厳禁です。
ただし、近年の公務員試験では物理の難易度が低下している傾向があります。対策しやすいオススメの分野はいくつかありますので、分野をピンポイントで対策しておくのも有効な作戦です。

出題傾向を把握して重点対策しよう

自然科学は一部の分野から繰り返し出題がされています。

これは他も科目と比較しても顕著な特徴で、新規の問題の方が少ないのではないかと感じられるほどです。

受験生としてはこの傾向を逆手に利用しない手はありません。
志望先の過去の出題傾向をチェックし、頻出テーマを把握して最優先でマスターしましょう。

<コラム>自然科学で一部の分野から繰り返し出題される理由

理由はずばり、得点調整のためです。
自然科学は最初から捨ててかかる人が多いため、平均点がとても低い傾向にあります。
あまりにも平均点が低いと選抜試験としての機能を果たさないため、出題者側は平均点が高くなる問題を選んで出題するような調整を行うようになります。
こうした調整を繰り返していった結果、一部の分野のみから繰り返し出題されるようになると考えられています。

いかがでしょうか?

自然科学をイメージだけで全て捨ててしまうのではなく、自分ができそうな科目や過去によく出題されている分野だけでも取り組んでみることが大切です。

自然科学は多くの受験生が苦手とする科目なので、1点でも2点でも得点することができればそれだけ教養試験で優位に立つことができます!
是非とも取り組んでみてくださいね。

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