国家公務員と地方公務員では、採用ルート、公務員としての役割、仕事内容などが異なるため、給料や人数にも違いがみられます。
例えば公務員の人数を見ると、種類や所属機関も多い地方公務員のほうが圧倒的に多いというのが現状です。今回は、人数・給料など数字でそれぞれの違いをみていきましょう。
国家公務員VS地方公務員 人数で比較
人事院が公表する『平成31年度国家公務員プロフィール』※1によると、国家公務員は約58万5,000人、地方公務員は約274万4,000人という規模です。現状、わが国の公職では地方公務員が全体の8割を占めています。
参考までに、平成12年度の数と比較してみましょう。平成12年の国家公務員は約113万4,000人(26.0%)、地方公務員約322万4,000人(74.0%)でした。平成12年~平成31年までの間に、公務員の数は全体で約100万人近く減少しています。
種類別でみる国家公務員の数
国家公務員は、大きく「一般職」と「特別職」に分かれます。一般職は約28万7,000人、特別職は約29万8,000人。特別職の内訳の人数は、以下のとおりです。
- 大臣・副大臣・大臣政務官・大使公使など・・・約500人
- 裁判官・裁判所職員・・・約2万6,000人
- 国会職員・・・約4,000人
- 防衛省職員・・・約26万8,000人
- 行政執行法人役員・・・約30人
ちなみに、防衛省職員の中には陸海空の自衛隊員も含まれます。一口に特別職といっても、仕事内容や働く場所、専門分野によってさまざまな種類の公務員に分かれるのです。
国家公務員VS地方公務員 給与は?
国家公務員(一般職)は人事院、地方公務員は総務省のデータをもとに、平均給与額などをご紹介します。
国家公務員の給与
国家公務員一般職に支給される基本給は、「俸給表」をもとに算出されます。平成30年4月1日現在、全俸給表の適用人員は252,882人。平均年齢は43.1歳です。※2
以下、俸給適用対象の職員の平均年齢、平均俸給額、平均給与月額の例をいくつかご紹介します。ちなみに、給与は基本給である俸給に各種手当を加算したものです。
適用職員 |
平均年齢 |
平均俸給額 |
平均給与月額 |
一般行政職員など |
43.5歳 |
329,845円 |
410,940円 |
技能・労務職員 |
50.7歳 |
286,817円 |
328,637円 |
税務署職員 |
43.0歳 |
360,745円 |
437,777円 |
海上保安官など |
40.8歳 |
340,440円 |
409,823円 |
事務次官・本府省局長・審議官など |
56.7歳 |
855,910円 |
1,026,485円 |
国家公務員には、俸給だけでなく、地域手当や特殊勤務手当、夜勤手当、期末手当などの各種手当てがつきます。
地方公務員の給与
地方公務員は、給料表に応じた給料が支給され、別途手当などが加算されます。平成29年現在、地方公務員一般行政職の平均給与月額は363,448円(平均給料319,492円・諸手当43,956円)とのことです。※3
以下は、平成30年度における地方公共団体の種別給与月額です。
団体区分 |
平均年齢 |
平均給与月額 (国比較ベース) |
全地方公共団体 |
42.2歳 |
362,973円 |
都道府県 |
43.1歳 |
369,953円 |
指定都市 |
41.8歳 |
379,849円 |
市 |
41.9歳 |
358,338円 |
町村 |
41.3歳 |
330,969円 |
特別区 |
41.2歳 |
386,614円 |
特別区とは東京23区を指します。また、指定都市とはいわゆる「政令指定都市」で、例えば横浜市や大阪市、名古屋市、札幌市といった人口50万人以上の大規模な都市のことです。
仕事の内容はどう違う?
同じ公務員でも、国家公務員と地方公務員では所属機関や役割が違うため、仕事内容も大きく異なります。
国家公務員とは、中央省庁やその出先機関で働く職員です。国会議員や裁判官なども広義の意味で国家公務員に属します。分かりやすくいうと、国家運営に関わる大きなプロジェクトやミッションを任されます。
具体的には、政策の企画立案やそのための調査、法案作成のための資料収集、国会答弁書の作成、また国際会議に関わる事務作業や根回し、外国要人との交渉など。細かい実務からスケールの大きな仕事まで、国に関するさまざまな業務を担います。もちろん、国家公務員が携わる政策や行政企画などの予算は、国家予算から割り当てられます。
対して地方公務員は、都道府県庁や市役所、町村役場など地方公共団体に属する職員です。地域の街開発プロジェクトや町おこしの企画立案・執行、観光振興、インフラ設備の管理など、こちらも多岐におよびます。そこに住む住民の生活に直結した行政サービスを提供するのが、地方公務員の役割です。
まとめ
人数や給料といった数字で比較すると、国家公務員と地方公務員の違いも分かりやすくなります。役割が違えば、職務内容も大きく異なります。公務員を目指す方は、さまざまな面で比較してその違いを理解し、自分の目指す仕事に近づけるほうを選んでください。
(出典・リンク)
※1人事院 2019年度 人事院の進める人事行政について~国家公務員プロフィール~