いざ公務員試験を受験しようと思い立っても、「いろいろ調べてみると何だか厄介そう」「とりあえず勉強の比重が大きいのはわかったけど、何から手をつけたらいいのかわからない」という方もよくいらっしゃいます。
そこで、ここでは公務員試験の受験を決断した方に、まずやるべきことを紹介します。
以下の内容を参考に行動していきましょう!
まずやるべきことは、この4つ!
公務員試験の受験を決意すると、まずは多くの方が「いろいろややこしいことがありそうだ…」と感じるでしょう。それもそのはず、いろんな公務員の職種があり、しかもその選考過程がバラバラだからです。
そこで、まずやらなければいけないことは以下の4点です。この4点を明らかにしてから、今後の対策を練っていきましょう。
1.第1志望や併願先を(ある程度)決める
2.どのような対策が必要なのか、試験案内を確認する
3.勉強時間の確保・学習計画を立てる
4.学習ツールを選択する
「どこを受けるか?」を考えよう!
1.試験種によって選考過程・内容はバラバラ…
公務員試験の受験を決意するきっかけは受験生によって多種多様ですが、公務員の特定の仕事に興味があるというよりも、「なんとなく公務員になりたい」という方のほうが実際には大半です。もちろんそれを不安に思う必要はありません、最初のきっかけはそのレベルで構いません。
ただ、実際に公務員試験の中身を調べてみると気づくと思いますが、公務員試験は試験種ごとにさまざま存在しており、試験で出題される科目もバラバラ、人物試験の形式もバラバラだったりするわけです。
例えば国家公務員試験を受験するのであれば、多くの大卒レベル試験では専門科目が出題されます。ということは、専門科目まで勉強することを想定して動かなければいけません。勉強時間をしっかり確保する必要がありますね。
一方で、地方公務員試験を受験するのであれば、区分によっては教養科目だけ準備すれば受験ができるところも近年増えてきました。また、SPIやSCOAなどの民間企業が利用する採用テストを実施して、公務員試験科目の学習は不要という市役所も多くなっています。そうなると、筆記試験に割く勉強時間はそこまで確保しなくても対応可能でしょう。
2.ある程度で構わないので、どんな試験を受けるか決めておこう!
このように、試験によってかなりの違いが生じるのですね。ですから、まずはざっくりとでよいので、「どのあたりの試験を受験したいか」を考えておきましょう。最初から細かく志望先を設定する必要はありません。志望先次第で大きく対策が変わるのは、前述のとおり「教養科目だけでいいのか、専門科目も必要なのか」という部分くらいです。ですから、それだけは早めに明確にしておきましょう。あとは、各機関や自治体の採用ホームページなどを確認して、説明会やインターンに参加していくなかで少しずつ志望度の高い試験を絞っていけばOKです。
なお、併願先についてですが、公務員の志望度が高い方であれば、受験できそうなところは広く受けることになります。教養科目だけだと併願できる試験種は少なくなりますので、なるべく多く受験したいのであれば、専門科目まで勉強することをオススメします。
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3.「仕事の中身」についても今後調べていくこと!
受験のしやすさとは別に、当然のことですが「仕事として興味があるか」、「働き方が自分に合っているか」も早めに考えるようにしましょう。「住民と直接接するような仕事がしたい」とか「あまり転勤したくない」ということであれば、地方公務員かつ基礎自治体職員がいいのかもしれません。一方で、「特定の分野の専門家として仕事したい」とか「規模の大きな仕事がしたい」ということであれば、国家公務員が適しているといえるでしょう。
あくまで公務員試験は合格すればそれで終了ではなく、今後の仕事を選択する重要な場面です。仕事の中身も必ず調べたうえで、志望先を考えるようにしてくださいね。
試験案内を確認して、合格に必要な対策を考えよう!
1.過去の試験案内をチェックする!
まずは「なんとなく」で構いませんから、受験するところを想定したら、続いて試験案内を確認しましょう。ある程度勉強の進んだ受験生であっても、「今までに志望先の試験案内を一度も見たことがない」という方もいらっしゃいます。これはゴールがわからないまま走っているようなものですから、極めて危険です。もちろん、実際に受験する年度の試験案内は、本試験が近づいてからでないと公開されません。しかし、過去の試験案内を確認しなければ「どういう試験がどういう形式で課されるのか」がわかりませんよね。多くの試験種は、過去の試験案内を採用ホームページに掲載していることが多いですから、必ず確認してください。
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2.受験資格と試験形式・科目は必ず確認!
試験案内は全体にひととおり目を通したうえで、特に受験資格、試験形式や試験科目などを確認しましょう。
受験資格については、特に年齢要件に注意してください。大学生の方であれば基本的には問題ないと思いますが、特に社会人の方は年齢要件をオーバーしていないかどうか、気をつけてください。大阪府や大阪市などのように、年齢によって細かく試験区分を分けている試験などもありますから、間違えないようにしましょう。また、職務経験者向けの試験区分の場合は職歴要件なども設定されていますから、忘れずに確認が必要です。
受験資格をクリアしていれば、あとは試験に出題される形式や科目をふまえて、今後の対策の準備をしていきます。多くの試験は筆記試験が1次試験として設定されることが多いので、筆記試験の中身をチェックして、まずは筆記試験の対策が最優先になります。専門科目の対策が必要なのか、論文の対策が必要なのか、試験の申込みの段階でエントリーシートの作成が必要なのかなど、確認事項はたくさんあります。特に、論文は2次試験で課されるものと勘違いして、勉強を後回しにしてしまう方がたまにいらっしゃいます。評価は2次試験でも、実際には1次試験で書かせるところが多いですから、くれぐれも勘違いしないようにしましょう。
また、試験案内には出題科目も明示されているケースが多いので、それもチェックしましょう。第1志望の試験種であれば、出題科目は全て勉強するのが(一応の)原則です。出題科目のラインナップによって多少の違いはありますが、多くの受験生は教養科目で数的処理や文章理解、専門科目で憲法や経済学などを最初に勉強することになるでしょう。あとは、出題数や科目の特性に合わせて勉強を進めていくことになります。
勉強時間を確保して、計画を立てよう!
1.まずは「勉強時間がどれくらい確保できるか」を明確にする!
勉強する対象がある程度明確になったら、あとはどれだけの勉強時間を確保できるかがポイントになります。近年の
公務員試験は、人物試験に重きが置かれるようになったといっても、一般的には相変わらず筆記試験の比重が大きい試験です。特に公務員試験で勉強する科目は、今までに勉強したことのない初見の科目が多いはずですから、それなりに時間が必要になることは覚悟しなければいけません。
大学生であれば、大学の講義終了後や講義の空きコマなどを活用して勉強時間を確保する方が多いです。また、社会人であれば、平日は仕事開始前の朝やお昼休み、退勤後の時間、土日はなるべくまとまった時間を確保して勉強を進める方が多いように思います。以下のように、1日のスケジュールを確認して、勉強時間が確保できるタイミングを探していきましょう。
このように勉強に使える時間を前もって明確にしたら、1週間単位で勉強計画を立てるのがオススメです。週7日を全て勉強に費やすのは現実的に無理があると思いますから、週のうち1日は勉強を休む日や予備日(進捗の悪かった科目などを適宜フォローする日)を設定するとよいでしょう。1週間ごとに計画の進捗を確認して、逐一計画を変更してください。柔軟に対応するようにしましょう。
なお、計画を立てる際にくれぐれもやってはいけないのが、「やれるだけやる」のような丼勘定です。これは計画としてほとんど意味がなく、しかも「やれなかったらやらない」になってしまいがちです。どれだけ勉強時間が取れるかがわからなければ、「どの科目がどのくらい勉強が進むか」という予測もできないことになり、非常に不安定です。積極的に時間を取ることを意識して、計画として設定した以上はなるべく守ること、そして計画に無理があった場合は、次週の計画を修正すればよいのです。毎週の進捗をその都度確認しながら、学習の全体像を見据えつつ進めるようにしてください。
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2.勉強を普段の生活の中に取り入れて「習慣化」しよう!
勉強時間の目安を聞かれることがよくあるのですが、これは完全に人それぞれになってしまうでしょう。短い時間でも集中して効率よく勉強している方は合格できますし、逆に長い時間を取っても効率の悪い勉強を続けてなかなか筆記が突破できないというケースも考えられます。それでもあえて目安を示すとすれば、受験する年の前年は1日3~5時間程度、年が明けて受験する年になったらもっと増やして、直前期は1日10時間近く勉強する方も見かけます。ただ、普段あまり勉強時間が取れていない方が、突然「明日から10時間勉強しよう!」と決意しても、なかなか続くものではありません。受験勉強はどうしても長期間継続することが必要なので、「習慣化」が非常に重要なカギを握ります。ご自身のペースや生活習慣に合わせて、うまく勉強を継続できるようにしてください。
学習をどのように進めるか、対策のツールを選択しよう!
ここまでくれば、あとは公務員試験に向けて対策を進めるだけです。この記事をご覧になっている方の中には、すでに勉強を進めている方も、これから対策を始めようと検討している方もいらっしゃると思います。そこで、対策の仕方にはどのようなものがあるか、簡単に紹介しましょう。
1.市販の参考書や問題集を利用して、独学で対策を進める
公務員試験受験生全体で見れば、おそらく独学で対策を進めている方が最も多いのではないかと思います。書店ではさまざまな参考書や問題集が豊富に揃っていますから、これを使って対策を進めるという方法ですね。
メリットとしては、何より金銭的に負担が軽いということがあるでしょう。ご自身の志望する試験に必要な科目だけ参考書・問題集を購入すればよいので、最も安く済ませることができると思います。また、講義などと異なり、自分のペースで進められるというのもメリットでしょう。特に予備校などに通っていて、対面講義の日程が決まっているような状況だと、いったんペースに乗り遅れると一気にやる気が下がってしまう…という方もいます。そのようなモチベーションの低下が起きにくい、というのはメリットですね。
デメリットとしては、対策方法など全てを自分自身で情報収集しなければならないため、かえって手間がかかるというのが非常に大きいです。特に公務員試験は大学受験などと違って対策しなければならない科目が広く、受験生によって取り組む科目の優先順位も変わります。書籍だけとなると、「自分にとってはどういう対策の進め方がよいのか」が把握しにくい部分があるでしょう。しかも、公務員試験は志望する試験の最新情報や最新の出題傾向など、勉強以外の情報収集の側面も非常に大きくなります。これを全て自分でやらなければならないのが最もネックになるといえますね。その他にも、疑問点を質問することができない、対策がどうしても長期間になるためにモチベーションを維持するのが難しい、ということも挙げられます。
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2.公務員試験対策の予備校に通う
受験を決意して、初めて「公務員試験予備校」の存在を知る方もたまにいらっしゃいます。民間就活は基本的に予備校がないですからね…確かに当然のことかもしれません。このような予備校を利用して対策する方法もあります。
メリットとしては、何より予備校のカリキュラムにそのまま乗っていけば対策ができる、という点です。ある意味、情報収集を全て予備校に「丸投げ」できるので、自分自身で情報収集をする必要がなく、その時間を試験対策に充てることができるのは最大の利点だと思います。疑問点を質問することもできますし、講師や他の受験生とコミュニケーションを取ることでモチベーションの維持もしやすいでしょう。
デメリットとしては、やはり受講料が高額だということが挙げられます。どの予備校であってもだいたい受講料は30万円前後からとなっており、経済的に厳しい人にとって、予備校を試験対策ツールとして選択するのはなかなか難しいでしょう。また、予備校のカリキュラムが合わず、自分のペースで勉強できずにモチベーションが下がる可能性や、一括のコースなどを受講すると余計な科目も含まれてしまって結果的に無駄な科目を勉強することになってしまう可能性もあります。
3.公務員試験対策の通信講座を利用する
上記の独学と予備校のちょうど折衷的な位置付けになるのが、通信講座を利用する方法です。特に近年はコロナ禍の影響もあり、「対面で講義を受けるよりも自宅でスマートフォンやパソコンなどを利用して講義を受講したい」というニーズは非常に高まっている印象があります。
メリットとしては、金銭的な負担をそこそこに抑えつつ、合格までのカリキュラムに乗ってご自身のペースで進めることができるという点です。ちょうど独学と予備校のメリットを「いいとこ取り」をしたようなイメージですね。スキマ時間を使って講義を視聴する、苦手分野は講義を繰り返し視聴するなど、自分の理解度に合わせて進めることもでき、疑問点の質問もできます。
デメリットとしては、いくらカリキュラムが設定されているといっても、やはり対面講義の日程が設定されているわけではありません。つまり、「講義に出席しなければいけない」という心理的な強制力がないため、モチベーションを維持したうえで、講義を受講しなければいけません。フォローシステムなどを利用して補うようにしましょう。
公務員試験受験のポイントは「要領よく」「継続する」こと!
公務員試験の対策を始めたばかりの時期は、特に多くの受験生が不安を抱えがちです。「こんなにたくさんの科目をこなせるだろうか…」と思ってしまうのも当然のことです。しかし、公務員試験は出題科目を全て完璧に学習することを求めているわけではありません。「いかに要領よくこなすか」が見られていると考えてください。
また、公務員試験は長期的な対策が必要です。私も今まで途中でドロップアウトしてしまう受験生の方をたくさん見てきました。大学や仕事が忙しかったりすると、なかなか勉強を継続するのが難しい状況になることもあるでしょう。そんなときは、じっくり学習時間が取れなくても構いません。「問題を1問でも解いてみよう」「講義を10分でも見てみよう」という地道な努力の積み重ねが実を結ぶのだと思います。「いかに継続できるか」も大事です。
公務員試験の受験を決断された皆様が、無事に最終合格を勝ち取ることを祈っております!