公務員試験 法律系専門科目「行政法」の攻略法

専門試験が出題される公務員試験で、ほぼ確実に出題される行政法。
しかし、「そもそも行政法って何?」と疑問に思っている受験生も多いかもしれません。

今回は、カリスマ講師の寺本講師が「法律系専門科目 行政法の攻略法」をイチから丁寧に解説していきます。
学習法や頻出テーマも解説していますので、ぜひご参考にして下さい!

目次

  1. 行政法とは俗称である
  2. 行政法の特徴
  3. 行政法の学習法
  4. 出題されやすいテーマ
  5. 苦手にする部分は大体決まっている

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この記事を書いた人 寺本 康之

法律系専門科目主任

売れない役者の経験を持ち、大学院在学中から講師の仕事をはじめた。以降、行政書士試験、公務員試験の分野で主に活動してきた。法律系科目が専門だが、行政系科目や小論文などの指導も得意としている。ベストセラー『寺本康之の小論文バイブル』(エクシア出版)の著者としても知られており、東進ハイスクールで大学受験向けの小論文講座を担当していたこともある。

現在は、全国大学生協主催の学内講座で活躍するとともに、2つの会社(映画制作会社、不動産関連会社)の社長を兼務している。映画制作会社ではLGBTQの映画監督飯塚花笑(自身の従妹)を代表に据え、主に社会問題を題材とした映画作りに励んでいる。ほか、不動産投資マニア、太陽光投資マニアの側面も有する。




1.行政法とは俗称である


 皆さんがこれから学習する行政法という科目については、最初に知っておくべきことがあります。それは「行政法」という法規は存在しないということです。「え?どういうこと?」と思うかもしれませんが、実は、行政法という科目はいわば寄せ集めの学問体系なのです。この世には無数の行政法規が存在します。特に行政需要が肥大化した現代においては、行政に関わる法律は約1900にもなります。これら約1900の行政法規を学習することは不可能ですよね。

 そこで、行政法は、これらの行政法規に共通してみられるルールをピックアップし、それにいくつかの代表的な法規(行政代執行法、行政手続法、情報公開法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法)を付け加えて体系化しています。ですから、どこか統一感のないバラバラの科目と映るわけです。初学者はこの事実を知ってかないと挫折してしまう可能性がありますので、「行政法=一貫性のない科目」ということを認識しておきましょう。ですから、学習する際にもある意味割り切りが必要かもしれませんね。少なくとも民法のような論理的な科目ではありませんので…。


公務員試験における行政法の位置づけ

 公務員試験において、行政法は法律系科目の中核となる科目です。憲法、民法と並んで重要科目といえるでしょうただし、国家総合職(経済区分)、裁判所職員(総合職・一般職)のように、出題されない試験種もあります。そういった意味では憲法や民法よりも出題頻度は下がります。次の表で確認してください。

【各試験種の行政法出題数】

国家総合職

政治・国際区分 5問(選択)

法律区分 12問(必須)

国家一般職

5問(選択)

国税専門官

3問(選択)

財務専門官

8問(必須)

労働基準監督官

4問(選択)

特別区Ⅰ類

5問(選択)

地方上級(全国型)

5問(必須)

地方上級(関東型)

5問(選択)

地方上級(中部・北陸型)

8問(選択)

市役所A日程

6問(必須)

市役所B日程

6問(必須)

市役所C日程

6問(必須)


 国家総合職(法律区分)は12問必須解答となっていますので、民法(12問必須解答)と並び要の科目となります。また、専門職の中でも財務専門官は他の専門職(国税専門官、労働基準監督官)と比べて出題数が多めとなっています。他の専門職との共通問題が出題されますが、独自問題も出題されます。さらに、現在はあまり多くは見られませんが、市役所A,B、Cで専門試験がついている区分の場合(必須解答タイプ)は6問出題されます。地方自治法からの出題がみられる点が特徴です。




2.行政法の特徴


 行政法は、他の憲法や民法に比べると、暗記の要素が強くなります。「げっ、嫌だな~」と思う人もいるかもしれませんが、得点のしやすさという観点では、憲法、民法よりは満点を狙いやすいと思います。行政法にあだ名をつけるとしたら、次のようになります。

意味不明だけど、解ける科目

理解が後付けの科目


 学習をしたことのある人なら、おそらく納得していただけるあだ名だと思います。

 まず①についてですが、行政法は、上述したように、法体系としての統一感がありません。行政法規の共通するルールのようなものを最初に学ぶことになるわけですが、その時点ですでに無理があるわけです。「約1900の法律のルールをまとめるなんてできるわけないじゃん…」と誰もが突っ込みたくなりますよね(笑)。したがって、無理やり感が出てきますし、場合によっては理論の矛盾も起こります。さらに、講学上(学問上)の用語と法令用語がずれるという現象も多く見られます。例えば、自動車運転免許は、道路交通法では「免許」と規定されていますが、講学上は「許可」と呼ばれます。こんなことが当たり前に起こる科目なので、決して理論的な科目ではないのです。判例でもこっちではこう言っているのに、こっちではこう言っている…みたいな感じで、整合性に疑問符が付くこともしばしばです。ですから、受験生の皆さんは、細かいことは無視して、ぜひ割り切った学習を心がけてください正直、これで十分なのですね。試験では「はい、ここはこのまま覚えて下さい」と我々講師が言ったところが本当にそのままの形で出ます。学問的に行政法を極めようとするとおそらく軽く10年はかかると思いますので、あくまでも「試験の場で〇×がつけられればいいのだ」と割り切ってください。

 次に②についてです。行政法ではテクニカルワードがたくさん登場します。専門用語の嵐という意味では、民法と同じです。ただ、行政法の場合は、意味をあまり理解しなくても問題が解けてしまいます。先ほど申し上げたように、そのままの形で出題されるからです。ですから、受験生としては、理解は後付けでOKと考えるのがベストです。「意味不明だな~」と思いつつも、ひたすら覚えるという作業を繰り返しているとまずもって問題が解けるようになります。そして、問題が解けるようになるとようやく意味が分かりようになるといった感じです。こう考えると、行政法はかなり特殊な科目だといえますね。意味も分からずにとりあえずガンガン覚えていくと、そのうち意味がわかるようになる、などといった経験はほかの科目では絶対に経験できませんので。「意味の分からないものを覚える経験なんてしたことないよ」と思う方がいらっしゃったら、それは間違いです。英単語を覚えるときに、「なんで机はデスクっていうのだろう?」と考えたことはありますか?古文単語も同じですね。このように、英単語、古文単語を覚えたときの感覚で行政法の用語を覚えていくとよいでしょう。

行政法は実務科目

 では、なぜ行政法が公務員試験に出題されるのでしょうか?それは、皆さんが実際に公務員になった後で日常的に使うからです。もちろん、部署によって学習した行政法規自体を直接使うことはないかもしれませんが、行政の活動は法律に基づいて行われるわけなので、何らかの行政法規に触れる機会は多いと考えられます。そして、大体行政法規の作りは同じような形になっていることから、行政法の中で複数の法律を試験対策として学ぶことで、基礎的な法的思考を養うことができるのです。法律科目の中では少々面白くない科目かもしれませんが、将来使う科目となればやる気が出るかもしれないですね。

行政法の体系

 行政法の体系は、さまざまなものがありますが、以下のような分け方が一般的です。ただ、私の講義はこの体系をあまり意識しませんので、試験対策的には覚える必要はまったくありません。何かの理解の足しになればという意味で掲載します。

①行政組織法

行政の活動をする主体について規律する法体系です。具体的には、国家行政組織法、内閣法、国家公務員法、地方公務員法などがあります。

②行政作用法

行政が抽象的に行いうる作用である行政作用について、幅広く規律を設けている法体系です。公務員試験では、行政代執行法や行政手続法などを学習します。

③行政救済法

行政の活動で国民が侵害を被った場合に不服を申し立てるためのルールを規定している法体系です。公務員試験では、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法を学習します。




3.行政法の学習法

 行政法は、インプットよりアウトプットを重視した学習法をとることが大切です。理解よりも暗記の要素が強いため、講義を見たり、テキストを読んだりした後は、ひたすら該当箇所の過去問演習を積み重ねることをお勧めします。その際、気を付けていただきたいのが、判例の取り扱いです。憲法を学習した後に行政法を学習するとよく起こる現象があります。それは、事案の理解をしようとしてしまう、という現象です。憲法の場合は、事案の概要をつかんでから判旨の大切なところを押さえていったと思います。しかし、行政法の場合は、そんなことをしなくて構いません。つまり、

判旨の大切なところだけ押さえればいい

ということになります。事案は正直どうでもいいですし、そもそも行政法の事案は複雑なので、理解しようと思っても完全には理解できないと思います。したがって、受験対策という意味においては、事案を無視するようにしてください。ただ、事案を理解した方がいい判例はいくつかありますので、それはその時の講師の指示に従うようにしてください。

 また、行政法で一度暗記した知識は、あまり理解を伴っていないこともあり、笊のごとく抜け落ちていきます。おそらく憲法、民法の比ではありません。したがって、意識的に繰り返しのスパンを短めにとるようにしてください。間髪入れずに3回繰り返すことが目標です。

新判例が出やすい

 行政法は、憲法と同じくたくさんの判例を学習しますが、とりわけ新しい判例が出題されるテーマがあります。ただ、その場合も結局のところ結論だけ押さえておけば対応できるわけですが、過去問演習を行う中で新しい判例が出てきたら、その都度チェックするようにしてください。後で詳細については触れますが、行政事件訴訟法の「処分性」「原告適格」「狭義の訴えの利益」の3テーマは特に新しい判例がバンバン出題される傾向にあります。




4.出題されやすいテーマ


 以下で、これから行政法を学習する皆さんに向けて、出題されやすいテーマをまとめてみます。ここだけ押さえておけば、おおむね合格点はとれるはずです。学習する際の参考にしてみてください。

(1)行政立法

 頻出です行政立法とは、行政が行う立法作用をいいます。立法を行うのは通常は国会の役目なのですが、法律の委任(授権)を受けて、行政が立法を行う場合があるわけです。用語の意味が問われますので、単純暗記で対応できます。多くの受験生が得意にしてくるテーマといえますね。

(2)行政行為の種類

 頻出です行政法をマスターするために欠かせない概念(用語)が「行政行為」です。詳細は講義の中で扱いますが、行政が一方的に個人の権利義務を規律する具体的な行為です(「行政処分」ということもあります)。ここでは講学上の種類を学びます。たくさんありますので嫌気がさすと思いますが、試験での出題はかなり多いので、必ずマスターする必要があります。法律用語とのずれを意識しながら、定義と具体例を暗記していきます。

(3)行政行為の効力

 頻出です上述した行政行為には特殊な効力があります。私的な行為とは異なる点を意識しながら学習するとわかりやすいと思います。特に「公定力」という恐ろしい効力がありますので、ここを皮切りに学習を進めていきます。「違法なのに有効」と扱われる効力で、これがあるがゆえに国民は大変な思いをします。

(4)行政行為の附款

 やや頻出です。行政行為の効果をより発揮するために、行政行為につけるおまけを「附款」といいます。おまけというと通常はうれしいものですが、この附款というおまけは国民の側からすると迷惑なものもあります。ここも暗記で対応可能なので難しくはありません。

(5)行政裁量

 行政行為をする際に、行政が裁量を発揮する場合があります。これを「行政裁量」といいます。判例がたくさんありますので、判例学習がメインになります。多くの受験生は苦手にする分野なので、ここを得意になれば他の受験生に差をつけることができます。裁量が広く認められたもの、そうでないものという基準でまとめていくとわかりやすいでしょう。

(6)行政強制

 頻出です。行政上の強制執行と即時強制の2つを学びます。体系の理解が非常に重要なテーマで、種類がたくさんあります。行政上の強制執行は、国民が義務を履行しない場合に、無理やり義務を履行させる作用をいいます。有名なものとして「行政代執行」があります。違法建築物や危険な空き家を強制的にぶっ壊すときに使うやつです。ここでは、行政代執行法という法律の知識を学ぶことになりますが、たった6条しかない法律なので、はっきりいって簡単です。即時強制は、義務を課さずにいきなり国民の身体や財産に実力を加える作用です。行政上の強制執行のように義務を課さないので、法律で縛っておかないとかなり危険ですよね。

(7)行政手続法

 頻出です。行政処分をする際のルールや行政指導をする際のルールが書かれている法律です。ルールブックなので、無味乾燥で面白くありません。しかし、公務員になったら使う可能性が高い法律ですので、将来のためにしっかりと学習しておくことをおすすめします。対象は「処分」「行政指導」「届出」「命令等の制定」の4つです。したがって、頭の中をこの4つの柱に沿って使い分けていけば、意外とスッと理解できると思いますよ。

(8)行政不服審査法 

 行政処分や不作為によって不利益を受けた国民が、行政側に文句を言うための手続が規定されている法律です。具体的には、「審査請求」と呼ばれる手続が用意されているので、この制度を理解することが学習の中心となります。ただ、行政処分をしてきた、あるいは不作為をしている「行政側」に文句をいっていくので、中立性・公平性の観点からするとやや難しいところがあります。行政側が「すいません、私たちが間違っていました…」とミスを認めることは通常ないからです。ただ、訴訟で争う場合と比べて、簡易、安価、迅速というメリットがあります。

(9)行政事件訴訟法

 超頻出です必ず毎年一問出題されると思ってくださいこの法律は、行政処分や不作為によって不利益を受けた国民が裁判所に訴訟を提起できる旨規定しています。それゆえ、さまざまな「訴訟類型」が用意されています。また、行政処分を取り消してもらう際に提起する「処分の取消しの訴え」では、適法に訴えを提起するために「訴訟要件」を備えなければなりません。そして、その中に「処分性」「原告適格」「狭義の訴えの利益」なるものがあります。ここで皆さんは数多くの判例を学習していただくことになります。最新判例を含めてかなりの量を暗記しなければなりませんので、気合を入れて臨んでください。いわば行政法の中では天目山的な位置づけになりますので、何度も何度も目を通して確実に暗記するように努めてください。

(10)国家賠償法

 超頻出です。行政事件訴訟法と同じく、毎年出題されると思っておきましょう。ただ、受験生とっては朗報です。非常にわかりやすい法律で、条文数も6条しかありません。判例学習がメインになりますが、他の行政法の分野における判例と比べて、理解しやすいものばかりです。この法律は国又は公共団体に対して損害賠償を請求するために用意されたものなので、難しい議論はあまりありません。いわば「通常の感覚」で学習できる数少ない分野なので、ぜひ得点してもらいたいと思います。




5.苦手にする部分は大体決まっている

 上記のように出題されやすいテーマを理解したら、多くの受験生が苦手にする分野をあらかじめ把握しておくと学習する際に有益です。学習する前からバイアスをかけるのもあれですが、これを知ることで、当該テーマを学習する際に注意深く見ていこうと思うのではないでしょうか。それを期待しての指摘だと思ってください。

ずばり、結論から申し上げると以下の3点です。

① 行政手続法

② 行政不服審査法

③ 行政事件訴訟法


 この3法は、学習を進めていくと、似たような概念や制度が出てきますので、頭の中が混乱すると思います。解決策は、各法律の「目的」を意識することにつきます。何のための法律なのか、ということを意識しながら学習を進めていくと、頭の中のすみわけがうまくいくでしょう。また、意識的にこれら3法は繰り返しの回数を増やしていください。そうすると、後付けではありますが、理解がついてくるようになると思いますよ。


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