公務員の地域手当の支給地域・金額は?見直しに関する情報も解説

公務員の給与に含まれる手当の1つに「地域手当」があります。どんな条件でいくらぐらい支給されるのでしょうか。

また地域手当は、令和6年(2024年)の人事院勧告を受けて、令和7年(2025年)4月から大幅な見直しが段階的に進められています。最新情報もチェックしておきたいところです。

この記事では、公務員の地域手当について解説します。

公務員の地域手当とは?

公務員の地域手当とは、都市部など民間企業の賃金水準が高い地域に勤務する職員に支給される手当です。地方と都市部の間で生じる差を補填する目的で支給されています。

それでは、実際の支給額や条件などについて見ていきましょう。

地域手当の主な支給地域・支給金額の一覧

国家公務員の地域手当は、次の計算式によって算出されます。

(俸給+俸給の特別調整額+専門スタッフ職調整手当+扶養手当)の月額×支給割合

この計算式の中にある「支給割合」は、令和7年(2025年)4月から、下記の5つの級地区分(4〜20%)に再編されています。

国家公務員の地域手当の支給地域・支給割合(令和8年4月現在)

級地都道府県で指定個別に指定する主な市支給割合
1級地―東京都特別区20%
2級地東京都横浜市、大阪市16%
3級地神奈川県、大阪府さいたま市、千葉市、名古屋市12%
4級地愛知県、京都府仙台市、静岡市、神戸市、広島市、福岡市8%
5級地茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、静岡県、三重県、滋賀県、兵庫県、奈良県、広島県、福岡県札幌市、岡山市、高松市4%

【参考】人事院「国家公務員の諸手当の概要(令和8年4月現在)」

たとえば、地域手当の算定の基礎となる月額(俸給+扶養手当など)が40万円で、東京都特別区内に勤務(支給割合20%)する場合、40万円×20%で8万円の地域手当が支給されることになります。

以前は市単位で7段階(3〜20%)に分かれていましたが、令和6年(2024年)8月の人事院勧告を受けて、都道府県単位を基本とし、県庁所在地などの中核的な市は個別に支給割合を設定する仕組みに変わりました。

ただし、支給割合が大きく変わる地域もあるため、令和10年(2028年)3月31日までは経過措置として、1年に1ポイントずつ段階的に新しい割合へ移行しています。主な都市の推移は下記のとおりです。

主な都市の支給割合の推移

都市見直し前(令和6年度まで)令和7年度令和8年度見直し後の級地
東京都特別区20%20%20%20%
大阪市16%16%16%16%
名古屋市15%14%13%12%
神戸市12%11%10%8%
福岡市10%9%8%8%
仙台市6%7%8%8%
札幌市3%3%4%4%

【参考】人事院規則9-49(地域手当)附則別表第一の改正(令和7年4月施行分・令和8年4月施行分)、人事院「国家公務員の諸手当の概要(令和8年4月現在)」

令和9年度の支給割合は、令和8年(2026年)8月の人事院勧告で設定されることが示されています。勤務予定の地域の割合は、最新の情報を確認するようにしましょう。

地域手当は退職金や残業代に影響する?

次に、地域手当は退職金や残業代に影響するのかを確認しておきましょう。

退職金

国家公務員の退職金は、下記の式で計算されます。

基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続期間別支給割合)+調整額

この計算式には地域手当は含まれません。

残業代(超過勤務手当)

国家公務員の残業代は、下記の式で計算されます。

勤務1時間当たりの給与額 × 支給割合 × 勤務時間数

この計算式の中にある「勤務1時間当たりの給与額」については、下記の式で算出されます。

(俸給の月額+俸給の月額に対する地域手当等の月額)×12カ月 ÷ (1週間当たりの勤務時間 × 52週間)
※「地域手当等」には、地域手当のほか広域異動手当・研究員調整手当が含まれます。

つまり、地域手当が残業代の支給額に影響を与えることになります。

地域手当が出るのは居住地?勤務地?

地域手当は、主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に支給されるため、計算をする際に基準となるのは勤務地です。

自宅がある地域の級地区分が高かったとしても、地域手当の計算をするうえでは関係がありませんので注意してください。

地域手当の「異動保障」とは?

国家公務員の地域手当には、異動による急激な給与の減少が起こらないようにするための措置として「異動保障」があります。

異動保障の支給条件は、地域手当が支給される地域に6か月を超えて勤務した職員が、支給割合がより低い、あるいは支給されない地域等に異動することです。

【画像引用】人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み(令和6年8月)」

令和6年(2024年)の人事院勧告において、異動保障の見直しが実施されました。

異動保障の対象期間は、従来の2年から「3年」に延長されました。令和7年(2025年)4月以降に異動した職員から適用されています。

異動後の地域手当の支給割合は、1年目は異動前と同じ、2年目は異動前の支給割合の80%、3年目は60%となります。そして4年目からは異動先の級地区分に応じた支給割合が適用されます。

公務員の地域手当は見直される?おかしい?

公務員の地域手当は、「勤務地による経済格差を無くすため」という明確な理由をもって支給されていますが、制度については定期的な見直しが行われています。

また、一部では「不合理である」「不公平である」といった声もあるようです。

令和6年(2024年)の地域手当の見直し

公務員の地域手当の支給地域は、人事院規則(9-49第16条)で「十年ごとに見直すのを例とする」と定められていましたが、令和7年(2025年)4月の改正でこの規定は削除されました。

直近では令和6年(2024年)の人事院勧告で見直しが示され、令和7年(2025年)4月から下記のような内容が実施されています。

  • 支給地域を市単位から都道府県単位に変更する
  • 級地区分を7区分から5区分に再編し、支給割合は令和10年3月31日まで段階的に移行する
  • 「10年ごとに見直す」規定を削除し、級地区分の見直しの間隔を短縮する
  • 異動保障の期間を延長する

【参考】人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み(令和6年8月)」

地域手当をめぐり国を提訴する事例も

2024年7月2日、津地方裁判所の裁判官が公務員の地域手当に関する訴えを起こしました。

地域手当の支給率が勤務地によって異なる点を問題視したもので、「転勤後に実質的に給与が減額されたのは裁判官の報酬の減額を禁じた憲法に違反している」として、国に対し減額分約240万円の支給を求めて提訴しています。

地域手当の支給率は、東京都特別区と級地区分に該当しない地域との間で、最大20%の差があり、収入に与える影響は少なくありません。

現役の裁判官が国を相手に違憲訴訟を起こすことが非常に珍しいという点でも、注目されている裁判です。

この裁判官は2025年3月に退官しましたが、その後も訴訟を続けており、2026年10月時点では名古屋地方裁判所で審理が続いています。

【参考】時事ドットコム「『転勤で地域手当減額は違憲』 津地裁裁判官が国提訴―名古屋地裁」

【参考】弁護士JP「地域手当訴訟 第7回口頭弁論」

【Q&A】公務員に関するよくある質問

最後に、公務員に関するよくある質問について解説していきます。

公務員の年収やボーナスはどれくらい?

人事院の「令和8年国家公務員給与等実態調査」によると、国家公務員の各職種でもっとも人数が多い行政職俸給表(一)適用職員の平均給与月額は42万8,451円(平均年齢41.7歳)です。

これをもとに年収を試算すると、平均年収は約713万円となります。

(平均給与月額の12カ月分に、年間4.65カ月分の賞与を足して算出した目安です)

また、同じ計算で年間の賞与(ボーナス)は約199万円が目安です(いずれも平均給与月額をもとにした試算で、実際の支給額とは異なります)。なお、令和8年(2026年)の人事院勧告では、月給の引上げと賞与の年間4.70カ月分への引上げが勧告されています。

公務員でも副業できる?

公務員は、国家と国民のために働く「奉仕者」としての使命を担っている職業であり、信用・職務専念・守秘義務の観点から、副業は許可制となっています。許可を得ずに副業を行うと、懲戒処分の対象になります。

ただし、家業の手伝いや小規模農業、不動産賃貸、講演・執筆活動などは、一定の条件を満たして許可を得れば、公務員でも認められるケースがあります。また、株式や暗号資産などの資産運用は、一般に副業にはあたりません。

公務員として採用された後に副業を始める場合には、職務を全うすることを念頭に置いたうえで、勤務先に相談し、ルールの範囲内でできる副業に取り組むようにしましょう。

まとめ

今回は、公務員の地域手当について解説しました。

  • 地域手当の支給割合は勤務地によって異なり、最も高いのは東京都特別区の20%
  • 国家公務員の場合、地域手当は退職金の計算には含まれないが、残業代には影響する
  • 異動による急激な給与減少に対応するために、異動保障の制度がある

公務員を目指すなら、スタディング 公務員講座がおすすめです。忙しい人でもスキマ時間を使って効率的に公務員試験合格レベルの実力が身につくオンライン講座です。リーズナブルな費用で受講でき、民間併願の方にもぴったりです。講座は無料で体験できるので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。