転勤がある公務員・ない公務員とは?具体例を解説

公務員も民間も「転勤」の有無を重視する人が増えています。公務員になって長く働き続けたい人は、転勤の有無も考慮したうえで志望先を決定する必要があるでしょう。

この記事では、転勤がある公務員・ない公務員とはどの職種なのかを解説します。

転勤のある公務員

国家公務員や地方公務員の異動には、勤務地の変更を伴う場合があります。ただし職種によって転勤事情には差があります。国家公務員、地方公務員に分けて見ていきましょう。

国家公務員の場合

国家総合職

例えば国土交通省の場合、総合職(事務系)の典型的なキャリアパスとして次のような流れがあります。

  • 1〜3年目:本省係員として配属
  • 4〜6年目:本省係長のほか、地方支分部局(課長)への赴任、他省庁への出向などの機会あり
  • 7年目以降:本省課長補佐のほか、地方公共団体(部課長)や地方支分部局(部長)への赴任などを経て、本省で昇進

また、厚生労働省の総合職(事務系)の場合も、係長級(4年目〜)以上が在外公館や国際機関で活躍したり、課長補佐級以上が全国の自治体へ管理職として赴任したりすることになります。

このように、国家総合職は本省を離れて国内外に転勤する機会が多い職種です。将来の幹部候補として転勤先でさまざま経験を積み、本省での政策立案に還元していくことになります。

【参考】国土交通省「キャリアパス | 総合職<事務系>」

【参考】厚生労働省「厚生労働省 総合職事務系入省案内 2024」

国家一般職

国家一般職は、本省ではなく出先機関で採用された場合、基本的に採用された地域内(関東甲信越・東海北陸・近畿などのエリア)での転勤となります。

ただし、総務省の国家一般職事務系のように、採用地以外の勤務地へ転勤となる場合もあります。

地方公務員の場合

地方公務員のうち都道府県や市区町村で働く職員は、おおむね3年程度の間隔で部署を異動することが多いようです。

異動先の勤務地も基本的にその自治体内となり、転居を伴わない場合が多いでしょう。

国家公務員と比べれば環境の変化が少なく、結婚やマイホーム購入などのライフイベントも計画しやすいといえそうです。

ただし、都道府県庁で採用された場合には市区町村よりも管轄している面積が広くなるため、出先機関への転勤により引っ越しが必要となることもあります。

希望する自治体にはどのような転勤パターンがあるのか、採用説明会などで確認しておくことが大切です。

転勤がない・少ない公務員

国家公務員・地方公務員ともに、採用機関や職種によっては転勤がない・少ない場合があります。

具体的にどのようなものがあるのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。

国家公務員の場合

下記機関に一般職(行政職)で採用となった場合、転勤がない、もしくは少なくなります。

特許庁、会計検査院、内閣府など

例えば特許庁、会計検査院、内閣府は東京にしかないため、国家公務員でありながら原則として転勤がないという特徴があります。

これらの他にも、中央省庁の中には転勤が少ない職場があります。

ただし、出向や出張もないわけではありません。例えば会計検査院は業務の都合上、年間50日ほどの出張が発生し、行き先は時には海外となります。引っ越しの必要がないとはいえ、忙しく飛び回っている感覚になるかもしれません。

経済産業局

経済産業局は、全国9都市にあります(札幌市、仙台市、さいたま市、名古屋市、大阪市、広島市、高松市、福岡市、那覇市)。

転居を伴う異動が少なく、東京にある本省への出向も2年程度と限定的な期間です。希望勤務地が該当しており、なおかつ転勤の少ない国家公務員として働きたい方に向いています。

法務局、検察庁

法務局と検察庁は、それぞれ各都府県に1つ(北海道のみ4つ)あり、基本的には採用された都道府県内(本局または支局)での勤務となります。

ただし、キャリアアップによって他の法務局や地方検察庁などへの転勤となる場合もあるようです。

労働局

労働局職員の異動は、原則として採用された都道府県内となっています。

地方公務員の場合

特別区(東京23区)

特別区は面積が非常に狭く、その中でも原則として採用された区役所での勤務となるため、転勤がほぼないといえます。

区内の出先機関へ異動することになった場合も、公共交通機関が発達しているため転居を伴うケースは少ないでしょう。

市役所、町村役場

市役所や町村役場においても、都道府県庁に比べれば管轄地域の面積が狭いため、転勤がほぼないといえるでしょう。

仮に出先機関へ異動となっても通勤には影響のない範囲であることがほとんどなので、腰を据えて働きたい方や落ち着いて将来設計を立てたい方にピッタリです。

転勤に抵抗感を示す人は少なくない

パーソル総合研究所が2024年5月に発表した「転勤に関する定量調査」によると、就活生や社会人の中には転勤への抵抗感を示す人が少なくないことがわかります。調査結果のポイントを見てみましょう。

  • 就活生・社会人のいずれも、約半数が新卒入社・中途入社において転勤がある会社を回避すると回答
  • 転勤がある企業の総合職のうち、基本給の30%以上の手当があっても「転勤を受け入れない」と回答した人が40%弱

このような意見がある一方で、転勤には異なる環境で経験を積むことで、多くの知識・スキルが身につくという大きなメリットもあります。

また、自分がどのような業務に適性があるのか、今後どのようなキャリアを歩みたいかといったことを考える機会にもなりますし、転勤先でできた人脈がキャリアにプラスの影響を与えてくれることもあります。

転勤は必ずしもネガティブなものではありません。公務員として安定して働きながらも、刺激を受けて人生をより充実させていけるチャンスと捉えてみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、公務員の転勤について解説しました。

  • 国家総合職は国内外に転勤する機会が多く、転勤先での経験を本省での政策立案に還元していく
  • 職種や採用される機関によっては、転勤がない・少ない場合がある
  • 転勤は必ずしもネガティブなものではなく、キャリアや人生をより豊かにするチャンスにもなる

「時間がないけれど、公務員試験を目指したい」という方は、スタディング 公務員講座をチェック!スキマ時間を活用してスマホで試験勉強ができます。リーズナブルな価格なのに、面接、論文、エントリーシートの対策も可能です。ご興味のある方はぜひ無料体験をチェックしてみてください。