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公務員の早期退職は退職金の割増しあり 金額やメリットは?

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公務員の早期退職とは?

まずは、公務員の早期退職とはどのような制度なのか、制度の目的や仕組みなどについて解説します。

国家公務員と地方公務員に分けて解説します。

国家公務員の早期退職

国家公務員の早期退職募集制度は、平成25年(2013年)11月1日から始まった制度です。

内閣官房は、この制度の目的を「職員年齢別の適正化を通じた組織活力の維持等」としています。

希望者が定年よりも早く退職できるようにすることで、組織における年齢の偏りの回避が期待されているのです。

細かい規定や応募条件は所属している省庁によって異なります。

ただどこの省庁も、少なくとも勤続年数が20年以上、年齢は若くとも45歳以上であることが条件となっています。

この条件を満たして早期退職制度に応募をすると、各省庁の大臣等が認定を行います。

ただ、応募をすれば必ず認定されるわけではありません。早期退職が認められれば認定通知書が交付されますが、不認定となる場合もあります。

なお、早期退職募集制度を使って退職した場合、自己都合退職した場合よりも退職金が割り増しとなります。

【参考】内閣官房「早期退職募集制度について」

地方公務員の早期退職

国家公務員と同様に、地方公務員にも早期退職募集制度があります。

地方公務員の場合、細かい実施条件などは自治体によって異なりますが、おおむね国家公務員と同様の制度です。

例えば熊本市の場合、規定の日にちまでに勤続期間が20年以上かつ年齢が45歳以上となる職員が対象となっており、退職金の割り増しが受けられます。

総務省が公開している「令和4年度 地方公務員の退職状況等調査」によると、令和4年度の離職者13万9,159人のうち早期退職者は3,653人で、全離職者中の割合は2.6%となりました。

早期退職者の年齢は40代以下が429人、50代が3,197人、60代以上が27人で、50代が中心となっています。

なお令和4年度の段階で、早期退職募集制度を実施している自治体等は全3,273団体のうち422団体あり、割合でいうと12.9%です。

【参考】熊本市「令和4年度(2022年度)早期退職に関する募集実施要項」

【参考】総務省「令和4年度 地方公務員の退職状況等調査」

早期退職の退職金

公務員の早期退職の概要がわかったところで、次に早期退職をした際の退職金について解説します。

早期退職と定年退職では退職金の金額がどれくらい変わるのかについてもご説明します。

早期退職の退職金は割増になる

国家公務員の退職金は、以下の計算式で算出されます。

退職金 = 基本額(退職日の俸給月額 × 退職理由別・勤続期間別支給割合)+調整額

国家公務員が早期退職する場合は、この計算式における俸給月額の割り増しを受けられることが国家公務員退職手当法で定められています。

地方公務員の場合、早期退職や退職金に関する制度は自治体によって異なりますが、基本的には国家公務員と同様に割り増しを受けることが可能です。

例えば熊本市(令和4年度の募集)では、勤続期間が20年以上かつ年齢が45歳以上の職員が早期退職する場合、自己都合等よりも高い支給率が適用されます。

また同時に、退職日の給料月額が定年前1年につき3%割増しで算定されます。

仮に45歳で早期退職した場合、割増率は45%となります。

【参考】熊本市「令和4年度(2022年度)早期退職に関する募集実施要項」

早期退職と定年退職 退職金を比較

国家公務員における定年退職と早期退職(応募認定)の退職金平均支給額は、次のとおりです。

全職種 行政職(※1)
定年退職 約2,106万4,000円 約2,122万7,000円
応募認定 約2,540万7,000円 約2,279万1,000円

※1:「行政職」は行政職俸給表(一)適用者

【参考】内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況(令和4年12月)」

退職金の平均額を見ると、全職種の平均額は早期退職者のほうが20%程度高い結果となっています。

行政職のみに絞った平均額は、全職種ほどの上昇幅はありませんが、7%程度高くなっています。

なお、上記の金額は内閣人事局の調査にもとづくものですが、実際の支給額は一人ひとりの状況によって異なります。

あくまでも参考程度に留めておいてください。

【あわせて読みたい】公務員の退職金はいくら?計算方法や定年延長の影響も解説

退職金と税金

退職金を受け取る際、気になるのは「税金はどうなるのか」ということです。

結論を述べると、公務員の退職金には税金がかかります。

また、退職金の税額は他の所得とは分けて計算します。

退職金を受け取るまでに「退職所得の受給に関する申告書」を提出すると、退職所得控除を受けることができ、退職金の額に応じた「課税退職所得金額」に対して課税されます(源泉徴収)。

申告書を提出しなかった場合は、退職所得控除が適用されず、退職金額に対し20.42%の税率で課税されることになります(源泉徴収)。

公務員の早期退職のメリット・デメリット

次に、公務員が早期退職をする際の主なメリットとデメリットについて解説します。

早期退職をするとさまざまなメリットを受けられますが、同時にデメリットも存在します。

メリット

まずは、早期退職のメリットについてです。

▼退職金の割り増しが受けられる

前述のとおり、公務員が早期退職をする場合は退職金の割り増しが受けられます。

なるべく退職金の手取りを増やしたい人の場合、早期退職するメリットは大きいと言えるでしょう。

▼早めにセカンドキャリアへ踏み出せる

「人生100年時代、退職後は公務員とは異なるキャリアへ進みたい」という人も多いかと思います。

実際に、早期退職を経て公務員とは異なる職業に再就職したり、退職金を元手に起業したり、興味があった分野や資格の勉強などを始めたりする人は少なくありません。

早期退職をすれば、定年よりも若い年齢のうちにセカンドキャリアへの一歩が踏み出せます。

新たに挑戦してみたいことがある人にとっては、非常に大きなメリットだと言えます。

▼ストレスが減り、自由な時間が増える

「現職の業務が大変でストレスが大きい」「生活の中で自由な時間を増やしたい」「収入が減っても精神的にゆとりのある生活がしたい」という人にとっても、早期退職は大きなメリットがあります。

早期退職をすれば、退職金を受け取った上で今の仕事やストレスから離れることが可能です。

デメリット

次に、早期退職のデメリットについてです。

▼安定した収入は受け取れなくなる

公務員を早期退職すると退職金は割り増しになりますが、当然ながら毎月の安定した収入はなくなってしまいます。

早期退職者は40代後半〜50代が中心でまだ若いため、年金を受け取れるようになるのはもっと先です。

早期退職後の生活を見込んだ貯蓄や再就職の予定などがなければ、生活に支障が出てしまうかもしれません。

▼再就職が難しい場合がある

民間企業への再就職は、一般的に年齢が上がれば上がるほど難しくなります。

早期退職をする人は若くても40代以上かと思いますが、民間では40代以上の転職となると、管理職としての業務経験や一定以上のスキル・強みなどが求められます。

また、公務員特有の仕事の考え方や進め方と民間企業のやり方とのあいだで大きなギャップを感じることも多いでしょう。

自身の経験を発揮しつつ、新しい環境に適応していく努力も求められます。

▼社会的信用が低くなる場合がある

公務員は収入や雇用が安定しているため、社会的にも非常に信用性の高い職業です。

しかし早期退職をすると肩書きは「無職」となるため、ローンの契約やクレジットカードの発行などで公務員時代と同じようにはいかない場面が出てくる可能性もあります。

民間企業に再就職をした場合も、雇用形態やポジションによっては公務員ほどの高い信用は得られないかもしれません。


【Q&A】公務員に関するよくある質問

ここまでは、公務員の早期退職についてさまざまな観点からご紹介してきました。

ここからは、公務員に関するよくある質問について解説します。

公務員の年収は?

人事院の「令和5年国家公務員給与等実態調査の結果」によると、国家公務員の行政職俸給(一)適用職員(一般行政事務職員など)の平均給与月額は40万4,015円です。

れをもとに試算すると、全体の平均年収は約663万円となります。

総務省の「令和4年地方公務員給与実態調査」によると、全国(すべての地方公共団体)の地方公務員(一般行政職)の平均給与月額は40万1,372円です。

これをもとに試算すると、平均年収は約638万円となります。

【あわせて読みたい】公務員の年収・初任給・ボーナスは?年齢や勤務先による違いも解説

公務員の定年延長とは?退職金はどうなる?

定年の引き上げは令和5年度(2023年度)にスタートしました。

まず60歳が61歳に引き上げられ、その後は段階的に2年に1歳ずつ引き上げられ、令和13年度(2031年度)に65歳となります。

職員の俸給月額(いわゆる基本給)は、60歳の誕生日を迎えた後の最初の4月1日から7割水準になります。

▼公務員の定年引き上げスケジュール

年度 定年の年齢
令和5(2023) 61歳
令和7(2025) 62歳
令和9(2027) 63歳
令和11(2029) 64歳
令和13(2031) 65歳

では、退職金はどうなるのでしょうか。

公務員の退職手当の計算方法は「退職時の給料月額×支給率×調整率」です。

「基本給が7割になると、定年延長後の退職金も減ってしまうのではないか」と心配になるかもしれませんが、基本給が下がっても退職金は減りません。

これは、減額前の基本給の最高額を考慮して退職手当の支給額を計算する「ピーク時特例」が適用されることが理由です。

【あわせて読みたい】公務員の定年延長を早見表で解説 退職金やデメリットは?

公務員の離職率は?

民間では「大卒者は就職後3年以内に3割がやめる」とよく言われます。

一方、地方公務員(30歳未満)や国家公務員(20代)の離職率は2〜3%程度で、民間と比較するとその低さが際立っています。

全年齢で比較しても、離職率は民間より公務員のほうが圧倒的に低くなっています。

離職率が低い理由には、公務員には給与の保証、雇用の安定、福利厚生の充実といったさまざまな利点があることが挙げられます。

【あわせて読みたい】地方公務員・国家公務員の離職率は?民間企業との違い(近日公開)

まとめ

今回は、公務員の早期退職について解説しました。

  • 公務員の早期退職の目的は職員年齢別の適正化を通じた組織活力の維持等
  • 省庁や自治体により異なるがおおむね45歳以上、勤務期間20年以上から応募可能に
  • 公務員の早期退職は退職金の割り増しが受けられる
  • ほかにも早めに次のキャリアへ踏み出せる、自由時間が増えるといったメリットがある
  • ただし安定した収入はなくなり、再就職も難しくなる可能性がある

早期退職はメリットばかりではありませんが、公務員の柔軟な働き方やセカンドキャリアの実現に役立つ制度です。

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