高卒で公務員になるには?目指せる国家・地方公務員の職種や試験を解説

高卒から目指せる公務員には国家公務員や地方公務員の中にも、さまざまな選択肢があります。

特に国家公務員では一般職や税務職員などの多彩な職種が高卒者にも門戸を開いています。

高卒程度の試験は、大卒向けと比べて試験問題の難易度は低めですが、採用枠が限られているため競争は甘くありません。

本記事では高卒者が目指せる国家公務員・地方公務員の職種や試験内容、大卒との違い、合格への効果的な対策を詳しく解説します。

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高卒で公務員になれる?

公務員として国や地方自治体に採用されるには、公務員試験を受験して最終合格する必要があります。

公務員試験にはさまざまな区分がありますが、原則として試験の難易度ごとに分けられていて、いわゆる「高卒程度」の試験も存在します。

 

高卒程度の試験は、採用される年の4月1日に原則18~21歳程度を対象にした試験になります。

ですから、大学に進学していなくても、高校卒業後の数年間は高卒程度の試験が受験できるわけです。

そして、大卒程度の試験は採用される年の4月1日に原則22歳以上であれば受験が可能ですから、高校を卒業してから数年経つと大卒程度試験が受験できる年齢になります。

その場合は大卒程度の試験を受験するのが一般的と考えておきましょう。

 

なお、公務員試験は一部を除き、原則として学歴要件が存在しません。

ですから、最終学歴が高卒であっても、年齢要件を満たしていれば「大卒程度」の試験を受けることが可能です

したがって、高卒程度の試験は、高校を卒業してすぐに公務員になりたいという方が受験するもの、と考えておくとよいでしょう。

 

このように、高卒程度は限られた年齢の間だけ受験ができる試験になっているわけです。

公務員や公務員試験の一般的な紹介については、他の記事がありますので、ぜひそちらも参考にしてください。

高卒者が目指せる国家公務員・地方公務員の職種一覧

高卒から目指せる公務員には、国の行政を支える国家公務員と、地域社会に密着して働く地方公務員の2種類があります。

ここでは、高卒者が目指せる代表的な公務員の職種と、その仕事内容や試験について解説します。

  • 国家公務員一般職
  • 税務職員
  • 皇宮護衛官
  • 刑務官
  • 入国警備官
  • 裁判所職員一般職
  • 衆議院事務局職員一般職
  • 参議院事務局職員一般職
  • 都道府県庁職員
  • 特別区職員
  • 政令指定都市職員
  • 市町村職員
  • 公安系公務員

国家公務員一般職

国家公務員一般職は、国の各省庁や各地方にある出先機関で、政策の実行やフォローアップに関する事務を担う職種です。

配属される府省庁や勤務地によって具体的な仕事内容は異なりますが、日本の行政サービスを現場で支える重要な役割を果たします。

第一次試験では基礎能力試験(多肢選択式)と適性試験(多肢選択式)、作文試験が課されます。

第二次試験は人物試験(個別面接)のみとなります。

税務職員

税務職員は、税務のスペシャリストとして働く職種です。

採用後は税務大学校に入校し、約1年間の専門研修を受けた後、税務署などで国税の調査・徴収などの事務に従事します。

第一次試験で基礎能力試験(多肢選択式)と適性試験(多肢選択式)、作文試験があり、第二次試験では人物試験(個別面接)と身体検査が実施されます。

皇宮護衛官

皇宮護衛官は、皇宮警察本部の一員として、天皇皇后両陛下や皇族の方々の護衛および皇室関連施設の警備を専門に行う公安職です。

第一次試験で基礎能力試験(多肢選択式)と作文試験が課されます。

第二次試験では人物試験(個別面接)、身体検査に加え、身体測定、体力検査が実施されます。

刑務官

刑務官は、法務省に所属し、全国の刑務所、少年刑務所、拘置所などで勤務する公安職です。

被収容者に対する生活指導、職業訓練指導、悩み事の相談対応とともに、被収容者の監視や施設の保安警備を行います。

試験区分が男女で分けられており(刑務Aが男性、刑務Bが女性)、それぞれに武道区分が設けられています。

 

第一次試験で基礎能力試験(多肢選択式)と作文試験があり、武道を除く刑務A(武道)・刑務B(武道)の区分のみ実技試験も行なわれます。

第二次試験では人物試験(個別面接)、身体検査、身体測定があり、刑務A・刑務Bの区分で体力検査が実施されます。

入国警備官

入国警備官は、出入国在留管理庁に所属し、地方出入国在留管理局や各入国者収容所入国管理センターなどで勤務する公安職です。

以下のような業務を担当します。

  • 不法入国や不法滞在といった出入国管理法令に違反する外国人の調査や摘発
  • 収容令書や退去強制令書が発付された外国人の収容、護送、送還
  • 収容施設における被収容者の処遇や施設の警備

第一次試験で基礎能力試験(多肢選択式)と作文試験が、第二次試験で人物試験(個別面接)、身体検査、身体測定、体力検査が課されます。

裁判所職員一般職

裁判所職員一般職は、各裁判所に勤務し、各種裁判事務や、総務・人事・会計といった業務にあたります。

採用後に一定期間勤務して試験に合格すれば、裁判所書記官になる道も開かれています。

第一次試験で基礎能力試験(多肢選択式)と作文試験、第二次試験で人物試験(個別面接)が実施されます。

衆議院事務局職員一般職

衆議院事務局職員一般職は、国会の衆議院に勤務し、会議・委員会等の運営や調査に関する事務、一般事務などを担当する職種です。

勤務地は基本的に国会議事堂およびその周辺施設です。

第一次試験で基礎能力試験(多肢選択式)と作文試験、第二次試験で人物試験(個別面接)が実施されます。

参議院事務局職員一般職

参議院事務局職員一般職は、国会の参議院に勤務し、議員に関する事務、事務局の管理運営に関する事務、会議録作成に関する事務などに従事します。

勤務地は基本的に国会議事堂およびその周辺施設です。

第一次試験では基礎能力試験(多肢選択式)と一般常識試験(短文記述式)、作文試験、事務適性試験が実施されます。

第二次試験では人物試験(個別面接)が行われます。

都道府県庁職員

都道府県庁職員は、都道府県庁の各部署で住民の生活に関わる広域的な行政サービスを担います。

国と市町村間の調整、河川や道路の整備、産業振興など、スケールの大きな仕事に関わります。

第一次試験では教養試験・作文試験が課されることが多いですが、近年は教養試験のみで受験できる自治体や、SPIなどの民間企業で使われる適性試験を導入するケースも増えています。

第二次試験では多くの自治体で人物試験(個別面接)が行われます。

特別区職員

特別区職員は、東京都23区の各区役所で住民票の手続き、子育て支援、文化イベントの企画など、住民に最も身近な行政サービスを提供します。

 第一次試験は教養択一試験・作文試験が、第二次試験は人物試験(個別面接)が実施されます。

政令指定都市職員

政令指定都市職員は、政令指定都市の各部署で、広域的な業務と住民に身近な業務の両方を担います。

一般的な市役所職員よりも規模の大きな業務に関わることが多いのが特徴です。

第一次試験では主に教養択一試験・作文試験が、第二次試験は人物試験(個別面接)が実施されます。

市町村職員

市町村職員は、市役所や町村役場などで住民サービス全般を担います。

住民票発行などの窓口対応から地域のイベント企画、福祉サービスまで、幅広い業務に携わります。

主に第一次試験では教養択一試験と作文試験が課され、第二次試験は人物試験(個別面接)が実施されます。

公安系公務員

公安系公務員は、地域社会の安全を守る役割を担う職種です。

警察官や消防士などがこれに該当します。

主に第一次試験では教養択一試験と作文試験が課され、第二次試験は人物試験(個別面接)・体力検査・身体検査が実施されます。

地方公務員・国家公務員の職種や試験については、こちらの記事でも解説しています。

「高卒程度」は「大卒程度」と何が異なる?

高卒程度の試験は、高校卒業後、すぐに公務員として仕事ができるというのが大きな特徴です。

では、大卒程度の試験とどのような点が異なるのでしょうか。ここでは代表的な特徴を挙げておきましょう。

「大卒程度」と比較!公務員試験「高卒程度」の特徴

1.高卒程度の試験のほうが問題の難易度は低い

公務員試験における「高卒程度」「大卒程度」というのは、一部の試験を除き、原則として学歴要件ではありません。

年齢要件で分けられているので、年齢要件さえ満たせば大卒程度の試験でも受験することが可能です。

ただし、基本的に問題の難易度で差をつけている点には注意しましょう。

  

高卒程度の試験は、高校卒業見込み、もしくは高校卒業直後の受験生が受験することになるため、試験問題自体の難易度は大卒程度に比べて低く設定されています。

問題の作りが単純になっていることが多く、一般的に対策しやすいといえるでしょう。

一方で、大卒程度の試験は問題の難易度を高く設定していますし、専門科目まで課される試験種もあります。

対策に手間がかかることは覚悟しなければいけません。

この点は高卒程度と大卒程度の大きな違いといえるでしょう。

  

しかし、近年は公務員型の試験ではなく、民間の採用テストなどを利用している自治体も増加していますので、筆記試験の対策の負担はあまり変わらなくなっています

試験の難易度が簡単だから…というのは、高卒程度の試験を選ぶ判断基準にはあまりならないと考えてよいでしょう。

純粋に年齢要件で判断すべきだと思います。

2.年収や待遇の差があり、高卒程度ではキャリアアップしづらい可能性がある

試験問題の難易度よりもむしろ影響が大きいのが、年収や待遇の差だと思います。

高卒程度で採用された場合と大卒程度で採用された場合とでは、初任給も変わりますし、キャリアプランも変わると考えたほうがよいでしょう。

生涯年収は大卒程度より高卒程度のほうが低くなってしまう可能性があることは意識しなければいけません

 

また、キャリアパスについても制限が加わることがあります。

例えば地方公務員の場合、自治体の政策にまつわる仕事に関われるのは原則として地方上級試験(大卒程度の試験)で採用された職員であり、この人たちが自治体の将来の幹部候補生としてさまざまなキャリアを積むことになります。

 

ただし、実際にどのようなキャリアプランが描けるかについては、機関や自治体によっても差が大きいため、仕事の中身と合わせて調べていくことをおすすめします。

例えば、東京都の高卒程度の試験である「東京都Ⅲ類」で合格した場合、昇任試験は学歴等に関係なく、能力・業績主義に基づいて選考が行われることになっています。

主任級職選考はⅢ類で採用された場合でも、採用後9年目から受験が可能です。

3.高卒程度の試験のほうが採用人数は少ない

高卒程度の試験はそもそも限られた年齢の間でだけ受験できる試験であり、受験者数もそこまで多くはありません。

したがって、採用人数は大卒程度の試験と比べて絞られていることが多いです。

以下は、代表的な高卒程度の試験結果をまとめたものです。

▼代表的な高卒区分の試験結果(2024年度)

採用予定申込者数受験者数1次合格者数最終合格者数最終倍率
国家一般職(高卒・事務・全国)1,4208,1136,9903,4042,3793.4
税務職員(全国)7484,2893,3152,3811,4033.1
裁判所一般職員(高卒・全高裁)613,4962,79870523112.1
特別区Ⅲ類(事務) 1631,8851,6091,1615193.1

【参考】国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)
【参考】税務職員採用試験
【参考】試験の実施結果 | 裁判所
【参考】令和6年度特別区職員採用試験(選考)実施状況

試験種によって大きく異なりますが、なかには最終倍率が大きく上がるものも存在します。

特に採用予定数が安定しない試験種の場合は、注意が必要でしょう。

「高卒程度」はどんな試験?

それでは、実際に「高卒程度」の試験がどのような内容なのか、紹介しましょう。

ここでは、代表的な試験種として①国家一般職(高卒・事務)②特別区Ⅲ類の2つを取り上げます。

1.国家一般職(高卒・事務)

⑴ 受験資格

2025年度の試験であれば「2025(令和7)年4月1日において高等学校又は中等教育学校を卒業した日の翌日から起算して2年を経過していない者(2023(令和5)年4月1日以降に卒業した者が該当します。)及び2026(令和8)年3月までに高等学校又は中等教育学校を卒業する見込みの者」となっています。

具体例として「高校、中等教育学校の卒業から2年を経過していない者、卒業見込み者」が挙げられています。

試験案内に詳細がフローチャートで掲載されていますので、必ず確認するようにしてください。

⑵ 試験日程

2025年度の試験日程は、以下のとおりです。

申込期間6月13日(金)9時〜6月25日(水)
1次試験9月7日(日)
1次試験合格10月9日(木)9時
2次試験10月15日(水)〜10月24日(金)
最終合格11月18日(火)9時

試験日程はほぼ変動せず、1次試験は例年9月第1日曜日に実施されています。

【POINT】国家一般職(高卒)は、省庁ごとの採用面接も受験すること!

国家一般職は、大卒程度の試験の場合、官庁訪問を行う必要があります。簡単にいうと「採用を希望する省庁に職場訪問をすること」で、ここで内々定を得る必要があるわけですね。

一方、高卒程度の試験でも、採用面接は存在します。採用を希望する官庁の採用面接を受験して、内定を得なければいけません。人事院的には「官庁訪問」という言い方をしていませんが、各省庁では便宜的に「官庁訪問」という言い方で採用面接を実施しています。2022年度の例をいくつか挙げておきましょう。

【参考】経済産業省「一般職(高卒者試験)の官庁訪問について(2024年度版)

なお、文部科学省の本省など、省庁によっては高卒程度の試験で採用を行なっていないところもあります。特に志望度の高い省庁がある場合は、そもそも採用を実施しているのか、事前に確認するようにしましょう。

【参考】一般職試験採用情報|国家公務員試験採用情報NAVI

⑶ 1次試験の概要

1次試験は基礎能力試験適性試験作文試験が実施されます(理系の試験区分の場合、さらに専門択一試験も課されます)。

基礎能力試験とは、いわゆる教養択一試験のことで、高校で勉強する内容+αについて、五肢択一式のマークシートの試験が課されるものです。

内容は以下のとおりです。

ちなみに、「課題処理」とは判断推理のことを指します。「課題処理」には非言語分野として空間把握も含まれています。

公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての筆記試験(出題数合計40題)
知能分野20題:文章理解⑦、課題処理⑦、数的処理④、資料解釈②
知識分野20題:自然科学⑤、人文科学⑨、社会科学⑥

適性試験とは、事務処理能力を測る試験で、知識は不要です。

ただし、配点割合が設定されていて最終合格にも影響しますので、市販の参考書を利用するなどして、それなりに出題形式に慣れておく必要があります。

速く正確に事務処理を行う能力についての筆記試験(出題数120題)
置換・照合・計算・分類などの比較的簡単な問題を限られた時間内に番号順にできるだけ多く解答するスピード検査

なお、以下の記事は適性検査をメインに説明したものですが、記事の最後に適性試験についても簡単に紹介しています。ぜひ参考にしてください。

作文試験とは、「文章による表現力、課題に対する理解力」などを測る論述試験です。

自分の意見を論述する試験なので、あまり文章を書く機会がなかったり、文章を書くのが苦手だったりする方は書く練習をする必要があるでしょう。

▼国家一般職(高卒)試験の過去の出題例

2021年度物事を継続するために必要だと感じたことについて、具体的に述べなさい。
2022年度我が国の社会生活において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前と比較して大きく変わったと感じたことを具体的に挙げ、それについてあなたの思うことを述べなさい。
2023年度誰もが生きやすい社会をつくるために必要なことについて、あなたの思うことを述べなさい。
2024年度一つしかないこの地球で皆が暮らし続けられる「持続可能な世界」を実現するために、あなたが心掛けていることを述べなさい。

⑷ 2次試験の概要

2次試験は人物試験(個別面接)が実施されます。

ここでの面接は特定の省庁の選考ではないので、原則として「国家公務員として」の自己アピールを心がけましょう。

なお、前述した採用面接(官庁訪問)は、2次試験の前後の時期に実施されることになります。

先に官庁訪問で内定を得られたとしても、2次試験が不合格になると、採用されません。油断せずに臨みましょう。

【参考】国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)

2.特別区Ⅲ類

⑴ 受験資格

2025年度の試験であれば「平成15年4月2日から平成19年4月1日までに生まれた人」となっています。

純粋に年齢要件のみが設定されています。

⑵ 試験日程

2025年度の試験日程は以下のとおりです。

申込期間6月20日(木)10時〜7月11日(木)17時
1次試験9月8日(日)
1次試験合格10月18日(金)10時
2次試験10月31日(木)、11月1日(金)のうち指定する1日
最終合格11月15日(金)10時

例年であれば、試験日程はほぼ変動しません。例えば、1次試験は例年9月第2日曜日に実施されています。

【参考】令和7年度Ⅲ類採用試験のご案内

【POINT】特別区Ⅲ類は、区ごとの人物試験も受験すること!

特別区Ⅲ類の選考は、Ⅰ類(大卒程度)と同様で、最終合格後に区ごとの人物試験を受験する必要があります。要するに、「最終合格だけではどの区の職員になるかが決まっていないので、さらに採用面接を受けて内定を得る必要がある」というわけです。

基本的にシステムはⅢ類もⅠ類と同じです。簡単に説明すると、区ごとの人物試験は自由に受験できるわけではないのですね。まずは、願書を提出する際に希望区を書くことになります。そして、最終合格すると採用候補者名簿に名前が得点順に掲載され、区の側から、原則として名簿が上位の受験生から順に面接に呼ぶ形になります。

ちなみに、どの区からも内定が得られず、採用漏れになる可能性もあります。最終合格したからといってくれぐれも油断せずに臨みましょう。

⑶ 1次試験の概要

1次試験は教養択一試験作文試験が実施されます。

教養択一試験とは、高校で勉強する内容+αについて、五肢択一式のマークシートの試験が課されるものです。内容は以下のとおりです。

知能分野(28題必須解答)文章理解(英文を含む)、判断推理、数的処理、資料解釈及び空間把握
知識分野(22題中17題選択解答)社会:現代社会、日本史、世界史、地理、倫理及び政治・経済
理科:物理、化学、生物及び地学
その他:国語及び芸術

作文試験とは、特定のテーマについて、自分の意見を論述する試験です。

抽象的な問題が出題されますから、あまり文章を書く機会がなかったり、文章を書くのが苦手だったりする方は書く練習をする必要があるでしょう。

▼特別区Ⅲ類採用試験の過去の出題例

2021年度正確に仕事を進めるために必要なことについて
2022年度5年後になりたい自分とそれに向けて実行していくこと
2023年度未来の区役所! あなたはどうつくる?
2024年度区民の声を聴くことの大切さ

⑷ 2次試験の概要

2次試験は人物試験(個別面接)が実施されます。

ここでの面接は特定の区の選考ではないので、原則として「特別区職員として」の自己アピールを心がけましょう。

なお、前述したとおり、最終合格後には区ごとの人物試験も受験しなければいけません。

最終合格できたとしても、区ごとの人物試験で内定が得られないと、採用されません

油断せずに臨みましょう。


「高卒程度」の試験を目指す場合のポイント

公務員試験「高卒程度」の特徴

最終学歴が高校卒業の方であっても、数年経てば大卒程度の試験を受験することは可能です。

しかし、なるべく早く公務員としてのキャリアを積みたいという方もいらっしゃるでしょう。

また、試験によっては大卒程度になると専門科目も課されてしまって、一気に負担が大きくなるので高卒程度の試験で合格したい、という方もいらっしゃると思います。

そのような方は、ぜひ高卒程度の試験を目指すことをオススメします。

 

高卒程度の試験を目指す場合、対策のポイントは何より教養択一試験の対策をしっかり進めることです。

公務員試験は民間企業の選考と異なり、筆記試験のウェイトが非常に大きくなっています。

特に高卒程度の試験の場合、教養択一試験(基礎能力試験)の比重が大きくなりますから、ここを必ず突破しなければいけません。

高卒程度の試験であっても、大卒程度の試験と傾向は同じで、特に数的処理と文章理解の出題数が多くなります

 

一方で、人文科学や自然科学などの一般知識分野の出題数は少なく、選択解答ができる仕組みになっているところも多いです。

したがって、数的処理と文章理解の準備はなるべく早い段階で始めるようにしてください。

 

また、これも高卒大卒問わず、公務員試験は人物試験を重視する傾向にあります。

特に地方公務員を目指している方は、人物試験の対策も油断せずに行うようにしましょう。

まずは筆記試験の対策に重点的に力を入れ、それと並行して採用ホームページをチェックしたり、説明会に参加したりするようにしてください。

高卒の公務員の平均年収・給料の目安

ここからは、高卒で公務員になった場合の年収や給料の目安について解説します。

国家公務員一般職

国家公務員一般職は、「行政職俸給表(一)」が適用されます。

人事院が公表している「令和6年国家公務員給与等実態調査の結果」によると、行政職俸給(一)適用職員の平均給与月額は40万5,378円です。

これをもとに「平均給与月額12ヶ月分+ボーナス4.6ヶ月分」の式で平均年収を試算すると、約673万円となります。

 

ただし、これは行政職俸給(一)適用職員全体の平均であり、いわゆるキャリア官僚と呼ばれる国家公務員総合職や大卒程度の国家一般職のデータも含まれているため注意が必要です。

高卒で採用された国家一般職単独でのデータは公表されていないため、あくまでも参考程度に留めてください。

また、内閣官房内閣人事局が公表している「国家公務員の給与(令和7年版)」によれば、国家公務員一般職(高卒者)の初任給例は23万2,800円となっています。

【参考】令和6年国家公務員給与等実態調査の結果

地方公務員

総務省が公表している「令和6年地方公務員給与実態調査」によると、全地方公共団体の一般行政職(高校卒)の平均給与月額は39万6,799円です。

これをもとに「平均給与月額12ヶ月分+ボーナス4.6ヶ月分」の式で平均年収を試算すると、約659万円となります。

ただし、勤務する自治体(都道府県、市町村など)や役職によって実際の支給額に差がある点に注意しましょう。

また、同資料によれば、一般行政職(高卒者)の平均初任給額は下記のとおりです。

団体種別平均初任給額
都道府県17万535円
政令指定都市16万6,426円
16万9,070円
町村16万7,597円

【参考】令和6年地方公務員給与の実態

高卒で公務員を目指す場合によくある質問

ここからは、高卒で公務員を目指す場合によくある質問にお答えしていきます。

高卒公務員では生活できない?

高卒公務員では生活できない、ということはありません。

確かに、高卒の公務員は大卒の公務員に比べて初任給が低く、昇進のスピードが遅い傾向にあります。

しかし、公務員の給与は基本的に毎年昇給するのが特徴であり、景気の影響も受けにくく、民間の平均年収よりも高めで安定しています。

さらに福利厚生も充実しているため、安心して働き続けることができるでしょう。

高卒で公務員になって後悔することは?

高卒で公務員になって後悔するかどうかは、個人の価値観や人生観に大きく左右されます。

例えば、高校卒業後すぐに就職することで、大学生としてキャンパスライフを送る経験はできなくなります。

また、大卒の職員と比べて給与や昇進に差が生じることも、人によっては後悔につながるかもしれません。

しかし、デメリットばかりに目を向けるのではなく、早くから社会に出て経験を積み、安定した収入を得られるといったメリットも考慮し、総合的に判断することが大切です。

高卒程度の公務員試験にどのぐらいの学力が必要?

高卒程度の試験は、一般的に高校卒業レベルの学力があれば受験可能です。

試験は教養試験や作文試験が中心で、高校で学ぶ内容+αの基礎知識が問われます。

まずは日々の授業に真剣に取り組むことが、試験対策として重要です。

高卒程度の公務員試験は受かりやすい?

「高卒程度の試験は簡単」と思われがちですが、決して受かりやすいわけではありません。

問題自体の難易度は大卒程度よりも低いものの、採用枠が限られているため、合格を勝ち取るための競争率は非常に高くなります。

合格するには、徹底した対策と、強い意志を持って勉強に臨む必要があります。

公務員試験を受けるなら高卒程度・大卒程度どっちがいい?

どちらの試験を目指すべきかは、個人の将来の目標によって異なります。

国家公務員総合職のように高度な専門知識を求められる職種も存在するため、特定のキャリアパスを考えている場合には、大学などでしっかりと学んでから大卒程度試験を受ける方が自然な流れと言えるでしょう。

一方で「できるだけ早く社会に出て安定した職に就きたい」という場合は、高卒での公務員を目指す方がより早く目標を達成できます。

自身の興味関心や希望のキャリアをよく考えて、自分に合った試験を選択することが大切です。

高卒の公務員は勝ち組に含まれる?

高卒公務員が「勝ち組」と呼ばれることは珍しくありません。

その理由は、「高い競争率を突破して安定した雇用を手に入れたこと」「安定した環境で長く働き、着実にキャリアを築いていけること」が考えられます。

公務員という職業の安定性や社会的な信用は、多くの人にとって魅力的に映る要素のようです。

まとめ

今回は、高卒から目指せる公務員について解説しました。

  • 公務員試験には「高卒程度」の区分があり、年齢制限の範囲内であれば受験が可能
  • 高卒から目指せる公務員には、一般行政職から公安職までさまざまな職種がある
  • 公務員は景気に左右されず、安定した収入と充実した福利厚生が魅力である
  • 高卒程度試験の難易度は大卒程度より低い傾向にあるが、採用枠が少なく競争率は高い傾向にある
  • 高卒で早く社会に出て経験を積むか、大卒で特定のキャリアを目指すか、個人の目標に合わせて選択することが大切である

公務員試験の合格を目指すなら、計画的かつ効率的な学習が不可欠です。

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