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公務員試験の適性検査の全貌を大公開!

公務員試験の筆記試験は、教養択一試験や専門択一試験などが注目されがちですが、筆記試験には「適性検査」と呼ばれるものが存在します。重要性としては下がりますが、どのような内容なのか知っておくことは大切です。そこで、この記事では「適性検査」について紹介しましょう。

適性検査とは?

適性検査とは?

適性検査とは、主に地方公務員や、国家公務員でも高卒レベルの試験になると課されるもので、簡単にいうといわゆる性格検査のことを指します。ちなみに、似て非なるものとして「適性試験」というものも存在します。こちらは事務処理能力を評価する試験ですが、試験案内ではたまに「適性試験」のことを「適性検査」と呼んでいたり、逆に「適性検査」のことを「適性試験」と呼んでいたり、非常に混同されやすいので注意してください。

「適性検査」はそもそも試験とは異なり、人物試験の際に参考資料として用いられるケースが多いといえます。したがって、適性検査の結果のみで合否が決まることは原則としてありませんので、適性検査に向けて別途対策をする必要はありません

ここでは主に「適性検査」の具体例について紹介していくことにしましょう。この記事の最後に、参考までに「適性試験」の内容についても簡単に説明しておきます。


適性検査の具体例①「内田クレペリン検査」

日本で最も歴史のある適性検査の定番ともいえるのが「内田クレペリン検査」です。株式会社日本・精神技術研究所が提供している適性検査で、1920年代以降に開発されたといわれています。都道府県をはじめとする多くの地方公務員試験で採用されていますので、複数の公務員試験を受験すれば、おそらくお目にかかることになるでしょう。

仕組みは非常に単純で、3~9の1桁の数字が何列もびっしりと並んだ横長の用紙と鉛筆を用います。これらの隣り合う数字を足した数の一の位を、隣り合う数字の間に書くことを延々と繰り返していきます。1分ごとに下の列に移動して、「前半15分→休憩5分→後半15分」の合計35分で実施されます。

このようにひたすら計算を繰り返す心理検査は、いわゆる「作業検査法」と呼ばれる手法です。

この検査によって、①全体の計算量から受験生の能力(作業効率や作業のリズム)②1分ごとの作業量の変化(作業曲線)や誤答から性格や行動面の特徴を測っているのです。

多くの受験生に当てはまる傾向などもありますが、理想的な解答傾向を意識して取り組む必要はありません。何も気にすることなく臨んでいただければよいでしょう。

参考 https://www.nsgk.co.jp/uk


適性検査の具体例②「YG性格検査」

YG性格検査(矢田部ギルフォード性格検査)」も、公務員試験では利用している自治体が多い適性検査の一つです。例えば「与えられた仕事は完璧にこなさないと気が済まない」とか「いったん怒り出すと自分が抑えられない」、「時間を有効に使うことができる」といった質問項目に「はい」「いいえ」「どちらでもない」で回答していくものです。一般的に多くの方が想像される性格検査と考えてください。

原則として全部で120問あります。「協調性」や「神経質」、「一般的活動性」など、12項目の尺度について、1尺度につき10問ずつ設問が設定されています。それらの尺度から性格が判断され、A(平均型)、B(不安定積極型)、C(安定消極型)、D(安定積極型)、E(不安定消極型)の5つのプロフィールに類型化されます。

また、いわゆる「強制速度法」と呼ばれる実施形式になっており、簡単にいうと「試験監督員が質問を読み上げ、次の質問の読み上げまでに回答しなければいけない」という形をとっています。1問ごとの回答時間は5秒程度ですので、ほとんど反射的に直感で回答していくことになるでしょう。合計時間は30分程度になるようです。

なお、試験によって実施形式が異なります。全100問で実施される試験種、回答時間が15分程度などの短い試験種もあります。また、近年ではWEBテストで実施されるケースもあるようです。

参考 https://sinri.co.jp/yg


適性検査はどのような位置付けで使われる?

公務員試験 適性検査の意図は?

このような適性検査を実施する意図としては、大きく2つあると思われます。

1つは、人物試験の参考資料として利用するためです。個別面接などで面接官は受験生と直接コミュニケーションを取ることになりますが、そもそも面接にかけられる時間はごくわずかです。受験生の人となりを知るための手段として、適性検査の結果も公務員としての適性があるかどうかを判断する材料にするわけですね。その結果に合わせて、面接の質問の内容を変えることも考えられます。

もう1つは、そもそも「社会人」として正しく行動できるかどうかを判断するためでもあります。つまり、公務員以前の問題として、明らかに「社会人として適切な行動ができないと思われるような回答」をしている場合は不採用になる可能性もあります。例えば「いったん怒り出すと自分が抑えられない」のような質問に「はい」と答える人間を採用したいか…と考えれば、それは厳しいでしょう。他の長所が多くあったとしても、感情をコントロールできず、住民の前で怒り出したりするような人間を採用することはできません。ですから、明らかな「一発アウト」をふるいにかけるという意図もあります。

ただし、これらについては、事前に対策をしなくても採用する側の立場に立ってみればすぐわかることです。また、狙って高い評価を取るという類のものでもありません。あくまで最低ラインをふるいにかけるという位置付けなので、時間を取って対策する必要はありません


(参考)適性「試験」とは?

冒頭で「適性検査」と「適性試験」は異なる、という話をしましたが、簡単に「適性試験」についても説明しておきましょう。こちらは主に国家一般職(大卒程度)や税務職員、地方公務員試験などで課されます。時間は10~15分程度で100〜120問の問題を解くことになります。

前述のとおり、「適性検査」が性格検査であるのと異なり、「適性試験」は事務処理能力を測る試験になります。①計算、②分類、③照合、④置換、⑤図形把握の5分野に分かれており、これらを複合して出題することもあります。

計算単純な四則演算の式が複数並べられ、その中から最も答えが大きい式を選ばたり、答えが同じになる式を選ばせる問題、その他にも計算式の空欄を穴埋めさせる問題などがあります。
分類ある数値が分類された表があり、どの項目に該当するかを選ばせる問題です。例えば、「十の位が3、一の位が1」「十の位が4、一の位が2」「十の位が5、一の位が3」…のように細かく分類された表が与えられ、例えば「8542」がどの分類に該当するかを選ばせるというものです。
照合簡単にいうと「間違い探し」の問題です。複数の文章やデータなどが与えられ、それらを見比べて間違っている箇所や間違っている個数を探す、という問題です。
置換手本が与えられ、これにしたがって「漢字→漢字」や「漢字→カタカナ」などに置き換えさせる問題です。表が与えられるケースや、アルファベットや数字が題材になるケースもあります。
図形把握ある図形が与えられ、これと同じ形の図形を選択肢から選ばせる問題や、図形を切り分けたり図形を回転させたりする問題です。公務員試験で出題される空間把握にやや近い問題といえます。

この「適性試験」は「適性検査」と異なり点数化されることもあるので、そのような場合、配点割合は低いものの最終合格の合否にも影響します。概ねボーダーラインは6~7割程度といわれていますが、間違えると減点される方式になっているので気をつけましょう。また、例えば国家一般職(高卒程度)などでは基準点が存在します。3割以上得点しないと足切りにかかってしまいますから注意してください。

基本的に重要度は低いですが、気になるようであれば市販の問題集などに取り掛かっておくと、心構えができると思います。