
新しい働き方の1つとして話題の「週休3日制」について、人事院は国家公務員にも導入しようと動いています。
「週休3日」となると、労働時間や給料はどうなるのでしょうか?また、地方公務員への影響は?この記事では、公務員の週休3日制について解説します。
公務員の週休3日はいつから?
2023年7月に、「国家公務員の週休3日制が制度化される」というニュースが報道されました。
これまで週休3日は、介護や育児などの事情がある人にだけ適用される制度でした。
人事院では、この制度の対象を2025年4月から職員全般へ広げることが検討されています。
また、千葉県や東京都など地方公務員にも週休3日制が広がりつつあります。
国家公務員の週休3日制
国家公務員の選択的週休3日制は、1週間の総労働時間の維持を条件に、土日のほか任意の平日に1日の休日を増やせる制度です。
例えば、月曜日から木曜日までの労働時間を延長したうえで金曜日を休みとし、土日とあわせて3日間を休日にする、といった働き方ができます。
こうした勤務体制は、これまで育児や介護などといった事情がある人に限られていましたが、今後は原則として誰でも活用できるような改正が検討されています。
背景には、国家公務員の働き方改革や人材確保といった目的があるようです。
人事院は選択的週休3日がすべての希望者に適用されることで、国家公務員の多様な働き方の拡大を期待しています。
具体的には単身赴任者の帰省や通院などがしやすくなるほか、資格取得や大学院進学などによるリスキリング、家庭や趣味に使う時間の増加によるワークライフバランスの促進などを想定しているそうです。
地方公務員の週休3日制
国家公務員だけでなく、地方公務員の週休3日制も各地で検討されています。
2023年10月、総務省は地方公務員制度のあり方を議論する有識者検討会を設置し、週休3日制の拡充などについて議論する会合を開きました。
地方公務員の働き方に関する条例は自治体により異なりますが、すでに週休3日制を導入したり、試行したりしている自治体も存在します。
千葉県
週休3日が可能になるフレックスタイム制を、2024年6月から導入しています。週休3日を試行をしている自治体はいくつかありますが、全職員を対象とした本格的な導入は全国的にも珍しい事例です。
東京都
2025年度から、フレックスタイム制をより柔軟にし、週休3日が可能に。各職員は4週間で155時間の勤務時間を自分の都合に応じて配分できます。
宇都宮市
2023年に管理部門や窓口部門を対象に週休3日制を試行。2025年度から本格導入の予定です。各職員は4週間で155時間の勤務時間を自分の都合に応じて配分できます。
前橋市
2023年に週休3日制を試行。9時間45分の勤務を3日、9時間30分の勤務を1日としています。施行後の職員アンケートでは55%が満足と回答したそうです。
週休3日は義務化される?
現在、議論や導入が進んでいる公務員の週休3日制は、あくまで希望者のみに適用される制度です。
希望しない人に対しても週休3日が義務化されるといった話はありません。
週休2日で働きたい人は、これまで通り週休2日で働くことが可能です。
週休3日で給料はどうなる?
週休3日になった場合、休日が増えるぶん給料が減るのではないかと不安を感じる人もいるかと思います。
前述のとおり、現在議論や導入が進んでいる公務員の週休3日は1週間や4週間といった一定期間の総労働時間の維持が条件となっています。
そのため週休2日でも3日でも合計の労働時間は変わらず、給料の金額も変わりません。
【Q&A】公務員の働き方に関するよくある質問
ここまでは、公務員の週休3日制についてご紹介してきました。
ここからは年間休日や勤務時間など、公務員の働き方に関するよくある質問について解説します。
公務員を目指している方はぜひ参考にしてください。
公務員の年間休日は?
公務員の年間休日は毎年125日程度で、民間に比べて10日ほど多い傾向にあります。
また有給休暇は民間と違い入庁直後に付与されますし、各種特別休暇や病気休暇などの休暇も充実しています。
こうした休暇の多さは公務員のメリットです。

公務員の年間休日は125日程度!有給・夏季休暇の日数は?
公務員の年間休日は125日程度で、土日や祝日の他に下記休暇や年末年始休暇もあります。また、これらの休日とは別に有給休暇や特別休暇といった制度もあり、ワーク・…
公務員の年間休日は125日程度で、土日や祝日の他に下記休暇や…
公務員の勤務時間は?
現在、国家公務員の勤務時間は1日7時間45分、週38時間45分です。
地方公務員の勤務時間は各自治体の条例によって定められますが、多くの自治体で国家公務員と同じ時間が採用されています。

公務員の勤務時間は7時間45分 1日の流れ・残業・休日は?
「公務員=9時5時の仕事」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。この記事では公務員の勤務時間や、元公務員の講師が語る「県庁職員の1日の流れ」、残…
「公務員=9時5時の仕事」というイメージを持つ方が多いのでは…
公務員の福利厚生は?
公務員の福利厚生は地域手当や住宅手当などの諸手当、休暇、医療保険、年金、祝金などがあります。
年金制度は「3階建て」となっていて、厚生年金の保険料とは別に負担が必要ですが、民間企業の「企業年金」に相当する部分もあります。
民間ではすべての企業に企業年金があるわけではないことを考えると、手厚いと言えるでしょう。

公務員の主な福利厚生一覧!手当・休暇・割引などで私生活が充実
公務員のメリットの1つに「福利厚生の充実」があります。福利厚生が充実していると、仕事とプライベートを両立しやすくなったり、経済面でサポートを受けることができ…
公務員のメリットの1つに「福利厚生の充実」があります。福利厚…
公務員の育休は?
公務員は、原則子どもが3歳になる誕生日の前日まで育休を取得できます。
育休は1人の子どもについて2回まで取得でき、産後パパ育休やパパ・ママ育休プラスなどの制度を活用すればさらに柔軟な働き方が可能です。
なお、公務員の育休中は給与の支給がありませんが、育児休業手当金が支給されます。
ただし育休は子どもが3歳になるまで取得できても、育児休業手当金の支給があるのは1年間のみのため注意が必要です。

公務員の育休中の給料(手当)・ボーナスは?男性の育休取得率は…
公務員が育休を取得した場合、給料(給与)はありませんが「育児休業手当金」を受け取ることができます。復帰のタイミングによってはボーナスが支給されるケースも。ま…
公務員が育休を取得した場合、給料(給与)はありませんが「育児…
まとめ
今回は、公務員の週休3日制について解説しました。
- 国家公務員の週休3日制は、2025年4月から全職員への適用に向けて検討中
- 地方公務員の週休3日制も、導入や試行を進める自治体が出てきている
- 週休3日制が始まっても義務化されるわけではない
- 週休3日制でも総労働時間は変わらないため給料も変わらない
週休3日制が始まれば、公務員はより柔軟な働き方が可能となるでしょう。
「スタディング 公務員試験講座」は、公務員を目指す人におすすめのオンライン講座です。
スタディングなら、スキマ時間で効率的に合格レベルの実力を身につけられます。
講座の内容は地方公務員だけでなく国家公務員試験にも対応しています。
無料体験もできますので、ご興味のある方はぜひお試しください。