
防衛省の職員や自衛官として働くと、年収がどのくらいになるのでしょうか。
総合職・一般職(行政職)の平均年収は約673万円で、キャリアに応じて役職が上がると年収も増えます。
自衛官も民間の給与所得者を超える年収となっていて、特別な手当が支給されることも魅力です。
この記事では、防衛省に勤める職員や自衛官の平均年収、初任給、福利厚生やキャリアパスを解説します。
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防衛省の平均年収・給与
防衛省の年収・給与というと、自衛官がもらえるお金をイメージする方が多いかもしれません。
ここでは防衛省職員の総合職・一般職の平均年収・給与を紹介します。
防衛省の総合職・一般職の行政職員には、行政職俸給表(一)が適用されます。
「令和6年国家公務員給与等実態調査」によると、行政職俸給表(一)適用職員の平均給与月額は約40万5,378円です。
「給与月額12ヶ月分+ボーナス4.6ヶ月分」で計算すると、平均年収は約673万円となります。
また、防衛省には研究職の採用があり、研究職員には研究職俸給表が適用されます。
同じく「令和6年国家公務員給与等実態調査」によると、研究職俸給表適用職員の平均給与月額は約56万4,510円です。
「給与月額12ヶ月分+ボーナス4.6ヶ月分」で計算すると、平均年収は約930万円です。
【参考】人事院「令和6年国家公務員給与等実態調査報告書」
【参考】人事院「防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案の概要」

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防衛省の初任給
以下の表は、人事院が公表している国家公務員(行政職)や初任給例で、防衛省で採用された新卒者にも当てはまります。
▼行政職の初任給例(本府省採用/令和7年度)
試験 | 試験区分 | 初任給 |
---|---|---|
総合職 | 院卒者 | 30万2,560円 |
大卒程度 | 28万4,800円 | |
一般職 | 大卒程度 | 27万1,200円 |
高卒者 | 23万2,800円 |
研究職の初任給は、防衛省の外局である防衛装備庁ホームページに一例があります。
▼研究職の初任給(防衛装備庁本庁採用/2025年1月30日現在)
試験 | 試験区分 | 初任給 |
---|---|---|
総合職 | 院卒者(博士卒) | 36万9,760円 |
院卒者(修士卒) | 33万2,200円 | |
大卒程度(学士卒) | 30万4,240円 | |
一般職 | 大卒程度 | 27万8,6400円 |
高卒者 | 23万3,280円 |
また、高い語学力を活かして活躍する防衛省の専門職の初任給は、26万4,000円(2025年度採用試験の場合)とされています。
採用時の給与は本人の経験・勤務地によっても変わり、諸手当(住居手当や通勤手当など)も支給されるため、参考の一つとしてください。
【参考】国家公務員試験採用情報NAVI「国家公務員の紹介」
【参考】防衛装備庁「研究職 採用案内」
【参考】防衛省・自衛隊「2025年度防衛省専門職員採用試験について
役職ごとの年収例
次に、役職ごとの年収を紹介します。
以下の表は令和6年度のモデル給与例で、防衛省に限らず、国家公務員の給与例として公表されているものです。
モデル | 年齢 | 年間給与 |
---|---|---|
地方機関係員 | 30歳 | 421万9.000円 |
地方機関係長 | 35歳 | 487万5,000円 |
地方機関課長 | 50歳 | 687万4,000円 |
本府省課長補佐 | 35歳 | 756万8,000円 |
本府省課長 | 50歳 | 1,292万4,000円 |
本府省局長 | ― | 1,818万5,000円 |
事務次官 | ― | 2,385万3,000円 |
【出典】内閣官房「国家公務員の給与」
防衛省・その他公務員・民間企業の平均年収を比較
防衛省職員と地方公務員(都道府県・政令市・市町村)、民間企業に勤める人の平均年収にはどれくらいの差があるのでしょうか。
職種 | 平均年収 | ||
---|---|---|---|
財務省職員 | 行政職 | 約673万円 | |
研究職 | 約930万円 | ||
自衛官 | 約519万円 | ||
地方公務員 | 都道府県 | 約646万円 | |
政令指定都市 | 約646万円 | ||
市町村 | 約595万円 | ||
民間企業 | 約460万円 |
防衛省の行政職職員は、地方公務員の政令指定都市職員と同等で、高水準にあるといえます。
研究職はそれを200万円以上も上回る年収で、専門性の高さが反映されています。
防衛省職員のデータは総合職と一般職が合算になっているため、昇進スピードが早い総合職職員は、より年収が高くなる可能性があります。
自衛官は地方公務員よりも年収が低く見えますが、特別な手当が複数あるため、それらを考慮すると一概に低いとはいえません。
いずれのケースでも、民間企業で働く方々の平均年収よりも有利です。
【参考】令和6年地方公務員給与実態調査
【参考】令和5年分民間給与実態統計調査
防衛省の国家公務員特別職「自衛官」の平均年収
防衛省の国家公務員特別職である自衛官には、俸給(=給与)を決める自衛官俸給表というものがあり、それに基づいた額が支給されます。
令和6年人事院勧告による採用区分別の俸給は、次のとおりです。
自衛官の俸給
採用区分 | 俸給月額 |
---|---|
一般幹部候補生(大卒任官時) | 29万6,100円 |
一般曹候補生(高卒初任給) | 22万4,600円 |
自衛官候補生(高卒初任給) | 17万9,000円(最初の3か月) 22万4,600円(4か月目以降) |
防衛大学校生防衛医科大学校学生 | 15万1,300円 |
高等工科学校生徒 | 13万8,000円 |
「給与月額12ヶ月分+ボーナス4.6ヶ月分」として計算すると、一般幹部候補生(大卒任官時)の年収は約491万円となります。
また、自衛隊が概算として公表している年代別の平均年収を見ると、20代前半から50代以降も含めた自衛官の平均年収は約519万円が目安です。
さらに自衛官は「特別職国家公務員」として、以下も支給されます。
- 手当の現物給与(食事光熱水費無料や被服一式支給、医療費無料など)
- 自衛官任用一時金(約34万円)
- 指定場所生活調整金(条件付きで120万円)
【参考】自衛官のお給料について | 防衛省・自衛隊帯広地方協力本部
【参考】自衛隊香川地方協力本部「給与改正」
自衛官の給与や年収について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
防衛省の福利厚生・ワークライフバランス
防衛省では全ての職員が柔軟な働き方ができるように、さまざまな制度があります。
以下に挙げるものがその一例で、ワークライフバランスが取れる環境が用意されています。
制度 | 内容 |
---|---|
特別休暇 | 産前特別休暇 産後特別休暇 保育時間確保のための特別休暇 短期介護休暇 など |
育児・介護支援 | 育児休業 育児時短勤務(自衛官除く) 育児時間の取得 介護休暇 介護時間の取得 早出遅出勤務 フレックスタイム制 など |
ライフイベントに応じた休暇・休業 | 職員が結婚する場合の特別休暇 総合的な健康診査を受けるための特別休暇 など |
自衛官向けには、災害派遣などの緊急時に、駐屯地へ一時的に子どもを預けることができる制度も設けられています。
【参考】防衛省・自衛隊「採用情報」
【参考】防衛省・自衛隊「女性職員活躍とワークライフバランスの推進」
【参考】防衛省・自衛隊「両立支援ハンドブック」
【参考】自衛官募集サイト「待遇・福利厚生」

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防衛省に入るには?
防衛省に入省するには、国家公務員採用試験に合格する必要があります。
総合職では一次・二次試験を経て最終合格し、官庁訪問を通じて内々定を得た後、採用候補者名簿に登載されます。
一般職では一次試験合格後から二次試験期間中に官庁訪問が行われ、二次試験合格後に最終合格発表があり、内定が出されます。
専門職では一次・二次試験合格後に採用面談が実施され、内定が出されます。
各職種での採用フローの詳細は、防衛省の公式情報をご確認ください。
【参考】国家公務員試験採用情報NAVI「総合職試験採用情報」
【参考】国家公務員試験採用情報NAVI「一般職試験採用情報」
【参考】防衛省・自衛隊「防衛省専門職」

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防衛省で募集している職種と仕事内容
防衛省で募集している職種の中から、主要なものとして次の5つを紹介します。
- 国家公務員総合職(事務系)
- 国家公務員総合職(施設系・装備系)
- 国家公務員総合職(研究職)
- 国家公務員一般職
- 防衛省専門職
防衛省では上記以外にも、障がいのある方の選考採用や経験者採用、任期付/非常勤職員の募集もありますが、ここでは割愛します。
防衛省の採用情報をもとに、各職種の仕事内容や働く場所を見てみましょう。
国家公務員総合職(事務系)
防衛省の国家公務員総合職(事務系)として入省すると、主に以下のような行政業務に従事します。
- 政策企画・立案:防衛政策や予算編成、法令整備など、国家安全保障に関する企画業務を担当
- 調査・分析:国内外の安全保障情勢や防衛力整備に関する情報収集・分析を行い、政策決定の基礎資料を作成
- 調整業務:他省庁や自衛隊との連携・調整を行い、政策の円滑な実施を支援
- 予算管理・執行:防衛予算の編成、執行、監査など、財務関連業務を担当
このような業務を通じて、国家安全保障の実現に向けた政策形成に貢献します。
国家公務員総合職(施設系・装備系)
防衛省の国家公務員総合職「技術系」は、行政職と研究職の2種類があります。
このうち行政職が、施設系と装備系に分かれます。
- 施設系:自衛隊施設や在日米軍施設の安定的な使用を確保するため、防衛施設に関する政策の企画立案を担う
- 装備系:装備品の高度化、防衛産業の現状、国際社会などの様々な事象を総合的に捉え、防衛装備品に関する政策の企画立案を担う
施設系と装備系は、どちらも本省内部部局(新宿区市ヶ谷)に採用されます。
【出典】防衛省・自衛隊「技術系職種紹介 ~施設系/装備系とは~」
【参考】防衛省・自衛隊「総合職 採用パンフレット」
国家公務員総合職(研究職)
防衛省の国家公務員総合職「技術系」には、能力分析系と研究開発系の2つの職種があります。
能力分析系では、政策企画や部隊運用、装備品の研究開発・維持運用などを担当します。
理工学の知識を活かし、数理的分析評価を行い、陸上・海上・航空自衛隊の幕僚監部や部隊で勤務します。
その後、市ヶ谷の内部部局や統合幕僚監部などでの勤務もあります。
研究開発系は、防衛装備庁に所属し、防衛装備品の研究・開発を行います。
科学技術の知識を活かし、防衛技術の最前線で活躍します。
防衛装備庁は防衛省の内部部局とは別の機関で、市ヶ谷に本庁があり、全国に研究所・試験場・支所があります。
【参考】防衛省・自衛隊「総合職:研究職」
【参考】防衛省・自衛隊「能力分析系の仕事について」
【参考】防衛省・自衛隊「採用予定機関の紹介(防衛装備庁)」
【参考】防衛装備庁「研究職 採用案内」
国家公務員一般職
防衛省の国家公務員一般職は「事務系」と「技術系」に分かれます。
事務系は事務官として、技術系は技官として、各地で日本の安全保障の取り組みに関わります。
一般職職員の採用先は、本省内部部局、本省所在機関などがあり、仕事内容は採用先によってさまざまです。
たとえば本省内部部局に採用された一般職職員は、政策の調整役、施策の企画・立案、データ収集・分析、会議実施の調整などを担当します。
【参考】防衛省・自衛隊「職員からのメッセージ(一般職)」
【参考】防衛省・自衛隊「採用パンフレット(一般職)」
防衛省専門職
防衛省の専門職とは、高い語学力とグローバルな視野を生かして国防のために働く職員です。
主な仕事は、国際的な防衛行政に関する政策立案、諸外国との防衛協力・交流、情報収集・分析、語学教育、通訳・翻訳、在日米軍との折衝などのフィールドで活躍することです。
主な勤務先は本省内部部局、防衛装備庁、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、情報本部および地方防衛局となっています。
専門職員には、出張・勤務・留学などで海外に行く機会もあります。
【参考】防衛省・自衛隊「防衛省専門職」
【参考】防衛省・自衛隊「採用予定機関の紹介」
【参考】防衛省・自衛隊「採用パンフレット(専門職)」
防衛省のキャリアパス
防衛省のキャリアパスについて、次の3つを職種別に紹介します。
- 総合職(事務系)
- 総合職(技術系行政職の施設系・装備系)
- 一般職
防衛省に入省した職員がどのようなポストに就いてキャリアを築いていくのか、採用情報を参考にまとめました。
総合職(事務系)のキャリアパス例
防衛省総合職(事務系)のキャリアパスは、以下のとおりです。
- 係員(入省1~2年目)
- 部隊勤務(入省3年目)
- 部員
- 班長
- 先任部員
- 課長
防衛省の内部部局から部隊での現場勤務まで多様な経験を積み重ねながら、管理職に出世していくことが特徴です。
海外留学や出向の機会もあり、総合職事務系の職員も英国留学したり、外務省に出向したりと活躍の場がひらかれています。
【出典・参考】防衛省・自衛隊「総合職 採用パンフレット」
総合職(施設系・装備系)のキャリアパス例
防衛省の総合職技術系職員は、入省後、行政官としての基礎的な実務経験を積みながら、専門的な技術力と行政感覚を養います。
入省後、1年目は本省や地方防衛局などで行政官としての実務がメインです。
この期間に、政策の企画・立案、予算編成、法令整備など、行政業務の基礎を学びます。
2年目からは、施設系や装備系の専門的な分野での実務経験を積みます。
具体的には、施設の整備や装備品の調達・維持管理などの業務に従事し、専門知識と技術力を深めます。
その後、班長として政策の企画・立案や班の運営を行い、リーダーシップを発揮していきます。
管理職である課長・室長に昇進し、組織の運営や戦略的な意思決定に関与します。
【出典・参考】防衛省・自衛隊「総合職 採用パンフレット」
【参考】防衛省・自衛隊「キャリアパス」
一般職のキャリアパス例
防衛省の一般職として入省すると、まず係員として業務を開始し、おおむね2〜3年ごとに地方ブロック内で人事異動が行われます。
入省から4〜5年程度で主任級に昇進し、さらに8〜11年程度で係長級(3級)に昇格します。
その後、30代後半から40代前半ごろには課長補佐級(4級)となり、昇進が順調な場合には40代後半以降に課長級や室長級に任用される場合もあります。
研修制度や専門研修が整っており、業務経験と併せてスキル向上を図ることも可能です。
【参考】防衛省・自衛隊:キャリアパス(一般職)
【参考】防衛省・自衛隊「採用パンフレット(一般職)」
防衛省が求める人材
防衛省では、国の安全を守る使命にふさわしい責任感と行動力を持った人材が求められています。
総合職では、高い思考力や語学力に加え、政策づくりや関係者との調整をリードできる力が重視されます。
一般職では、確かな実行力や協調性、仕事を着実に進める姿勢が求められます。
技術系では、専門性とあわせて、新しい技術にも積極的に挑戦する意欲が大切です。
いずれの職種でも、防衛行政に関心を持ち、公共のために貢献したいという熱意が最も重要とされています。
【出典】防衛省・自衛隊「総合職(事務系)相当」
【出典】防衛省・自衛隊「一般職(行政区分)相当」
【出典】防衛省・自衛隊「採用パンフレット」
まとめ
防衛省職員や自衛官の年収、福利厚生やキャリアパスについてお伝えしました。
- 防衛省の平均年収は行政職が約673万円、研究職が約930万円
- 自衛官は特別職であり、総合職や一般職とは俸給体系が異なる
- 国家公務員である防衛省職員の平均年収は、民間企業の給与所得者よりも高い
- 仕事と育児・介護などを両立するための福利厚生制度が整っている
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