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公務員試験の王道の「勉強法」を紹介!

公務員試験では筆記試験が課されますが、数多くの科目が出題されます。これらをどのように対策していくのか、勉強法を解説していきましょう。

なお、以下で紹介するのは、原則として行政事務職かつ公務員試験型の出題をベースにした試験です。特に近年は、SPIなどの民間企業で利用する採用テストを取り入れた試験も増えていますので、事前に必ず確認するようにしましょう。

どんな試験を受けるにしても「勉強法」はほとんど同じ!

公務員試験にはさまざまな職種があり、試験はバラバラに実施されます。そして、試験の中身もバラバラです。そうなると、「まずは受ける試験を考えないと対策が始められない…」と思われるかもしれませんが、実はそんなことはありません。もちろん、特定の試験しか志望しないという方であれば別ですが、「公務員を第一志望にしていて、さまざまな試験を受けたい」という方であれば、受ける試験を最初から明確にする必要はありません。

公務員試験の勉強のポイントとして、まずは以下の3点を押さえてください。科目が多いため、「メリハリづけと要領のよさが命の試験」になっているのですね。

【公務員試験の勉強のポイント】

1.どんな試験でも出題数の多い科目から手を付ける
2.過去問をベースにした対策を心がける
3.「全体的に得点する」という意識を持つ


「出題数の多い科目」はどんな試験でもほぼ同じ!

1.どんな試験であっても「出題数の多い科目」が共通して存在する!

公務員試験を少しでも調べた方であれば、最初に気づくのは「出題される科目の多さ」だと思います。教養科目だけみても、一般知能分野には「数的処理」と「文章理解」があり、一般知識分野には人文科学として「世界史」「日本史」「地理」「思想」「文芸」があり、自然科学として「数学」「物理」「化学」「生物」「地学」があり…と、キリがありません。専門科目も出題される試験であれば、さらに科目数は膨大になります。こんなに大量の科目が出題される試験を今までに受験した経験がある方は、おそらくいないのではないでしょうか。20~30科目は余裕で出題されてしまうのが、公務員試験なのです

こう聞くと、「まずは受験する試験を絞ってから勉強を始めないと収拾がつかないじゃないか!」と考えてしまいがちです。しかし、公務員試験を受験するにあたっては、「まずは勉強を始めてしまってから、少しずつ志望度を高めていく」のが定番なのです。なぜそれが可能かというと、科目としては確かに大量ですが、科目によって出題数が大きく異なり、しかも出題数が多い科目はどんな試験であっても基本的に共通しているからです。だからこそ、特に志望度が高い試験が決まっていなくても、メリハリをつけて勉強を開始することが可能なのですね。むしろ、勉強を早めに始めないと、本試験までに対策が間に合わない可能性も出てきてしまいます。まずは出題数の多い科目を必ず確認して、それらの科目を中心に勉強を開始しましょう

2.科目のラインナップと出題数を確認しておこう!

それでは、代表的な試験種を取り上げて、科目のラインナップと出題数を確認しておきましょう。なかには、本試験問題や出題科目を公開していない試験種もありますが、基本的に傾向は同じと考えて構いません。

(1) 教養択一試験(基礎能力試験)

公務員試験型であれば、教養択一試験(基礎能力試験)は原則としてどんな試験種でも出題されますから、必ず勉強しなければいけません。

出題される内容は以下のとおり、高校で勉強する内容に、数的処理や時事などのプラスαが加わったものになっています。なお、以下の数字の太字は必須解答であることを表します。

科目数としては20以上存在しますが、科目ごとの問題数に大きく差があることが読み取れるでしょう。高校までに勉強するような「社会」「理科」の科目も存在はしますが、出題数が1~2問程度でほとんど出ていないことがわかるはずです。ということは、ここに力を入れて勉強しても、なかなか得点には結びつきにくいわけですね。

どの試験でも共通して出題数が多く、最優先で対策が必要なのは、何より数的処理文章理解です。数的処理中学受験の算数のような内容で、知識レベルとしては中学校の数学まであれば、解くことができます。あとは解法パターンをしっかり身につけることが必要です。文章理解センター試験・共通テストのレベルの現代文と英文が出題されます。特に単語力を上げることが重要だと思います。

公務員試験の教養科目対策はこちら

(2) 専門択一試験

近年は専門科目が出題されないケースも増えてきましたが、依然として専門科目を課す試験は多数存在します。国家公務員試験を中心にさまざまな公務員試験を併願したいのであれば、専門科目まで勉強することをオススメします。

出題される内容は以下のとおり、大学で勉強する内容になっています。なお、以下の数字の太字は必須解答であることを表します。また、重要度の低い科目は「その他の科目」としてまとめています。

専門択一試験も科目は20以上存在します。一見しただけではわかりにくいですが、やはり出題数に偏りがあるため、集中的に対策する科目を絞り込むことは可能です。専門科目は大きく「法律系」「経済系」「行政系」の3系統に分けることができますが、ここから重要度の高い科目をピックアップしましょう。

法律系で特に優先的に学習すべきなのは憲法民法行政法です。憲法は難易度も低く、とっつきやすい科目です。一方、民法はボリュームが多く、苦戦しやすい科目なので取り扱いに注意してください。

経済系で特に優先的に学習すべきなのはミクロ経済学マクロ経済学財政学です。多くの受験生が苦手にしやすい要注意の科目ですね。出題数は多いですが、苦手な人も多いですから、くれぐれも無理をせず、基本問題を取れる程度に「守りを固める」ようにしましょう。

行政系で特に優先的に学習すべきなのは政治学でしょうか。原則として暗記中心の科目なので、記憶力に自信があるのであれば、後回しにするという戦略もあると思います。また、試験によっては苦手な経済系科目を行政系科目でカバーするなどの戦略も考えられます。このあたりの作戦も、勉強の進捗に合わせて考えていくとよいでしょう。

法律系専門科目の特徴と攻略法

3.出題数の多い「数的処理」「文章理解」「憲法」「ミクロ経済学」あたりから始める!

以上で挙げた科目が勉強の優先度は高いといえます。なるべく早めに手をつけたい科目ですね。

特に、教養科目だけが課される試験であれば、まずは数的処理と文章理解のインプットをひととおり終えることが最優先だと思います。というのも、この2つの科目はインプットよりもアウトプットの問題演習に力を入れるべきだからです。「どう解くか」が大事なのですね。解法パターンなどのインプットは早めに済ませたうえで、実際に問題を解きながら出題形式に慣れていくことが重要です。

専門科目については、法律系なら憲法、経済系ならミクロ経済学あたりが最初に手をつけるべき科目だといえます。原則として「憲法→民法→行政法」「ミクロ経済学→マクロ経済学→財政学」の順に勉強を進めるとよいでしょう。


「過去問中心主義」で対策を進める!

1.過去問演習が対策の中心!

筆記試験の対策にあたって必要不可欠となるのが過去問です。書店などで市販の参考書を見ていればすぐに気づくことだと思いますが、どんな本であっても過去問を演習問題として取り上げていて、オリジナルの問題集を見かけることはほぼないといってよいでしょう。なぜこのような状況になるかといえば、本試験は過去問の焼き直しが非常に多いからです。例えば、数的処理から以下の2組の問題例を紹介しましょう。問題にざっと目を通してみてください。

問題例1-1(2004年度・特別区Ⅰ類)

映画館で切符を売り始めたとき、既に行列ができており、毎分20人の割合で人が行列に加わるものとする。窓口が1つのときは1時間で行列がなくなり、窓口を5つにすると6分で行列がなくなる。切符を売り始めたときに並んでいた人数はどれか。ただし、どの窓口も1分間に同じ枚数を売るものとする。

1.920人   2.960人   3.1000人   4.1040人   5.1080人

(正解:2)

問題例1-2(2013年度・特別区Ⅰ類)

映画館でチケットを売り始めたとき、既に行列ができており、発売開始後も毎分10人ずつ新たに行列に加わるものとする。窓口が1つのときは1時間で行列がなくなり、窓口が3つのときは15分で行列がなくなる。チケットを売り始めたときに並んでいた人数はどれか。ただし、どの窓口も1分間に同じ枚数を売るものとする。

1.1200人   2.1300人   3.1400人   4.1500人   5.1600人

(正解:1)

問題例2-1(2013年度・国家一般職(大卒))

体育館にいたA、B、C、図書館にいたD~Gの計7人が次のような発言をしたが、このうちの2人の発言は正しく、残りの5人の発言は誤っていた。正しい発言をした2人の組合せとして最も妥当なのはどれか。ただし、7人のうちテニスができる者は2人だけである。

A:「私はテニスができない。」
B:「テニスができる2人はいずれも図書館にいた。」
C:「A、Bの発言のうち少なくともいずれかは正しい。」
D:「Eはテニスができる。」
E:「Dの発言は誤りである。」
F:「D、Eの発言はいずれも誤りである。」
G:「図書館にいた4人はテニスができない。」

1.A、C   2.A、G   3.B、F   4.C、E   5.E、G

(正解:5)

問題例2-2(2016年度・特別区Ⅰ類)

サッカー場にいたA、B、C、Dと野球場にいたE、F、Gの計7人が次のような発言をした。このうち2人の発言は正しく、残りの5人の発言は誤っているとき、正しい発言をした2人の組合せとして、確実にいえるのはどれか。ただし、7人のうちラーメンが好きな人は2人である。

A「Cの発言は誤りである。」
B「サッカー場にいた4人はラーメンが好きではない。」
C「Aはラーメンが好きである。」
D「A、Cの発言はいずれも誤りである。」
E「ラーメンが好きな2人はいずれもサッカー場にいた。」
F「私はラーメンが好きではない。」
G「E、Fの発言のうち少なくともいずれかは正しい。」

1.A B   2.A G   3.B F   4.E D   5.F G

(正解:1)

数的推理の「ニュートン算」と、判断推理の「嘘つき」の問題をピックアップしました。特に勉強をしたことがない人であっても、一見して明らかに「焼き直してそのまま出題しているのでは…?」と気づけると思います。もはや数値やシチュエーションを変えただけですね。

上記の例はほぼそのままの焼き直しですが、ここまで極端にそのままではなかったとしても、「よく出されるテーマでよく出される形式」というのは数多く存在します。ということは、そのような問題を集中的に演習しておけば、そのまま出題された場合に同じように解くことができるわけです。過去問演習の重要性がおわかりいただけるのではないかと思います。

【あわせて読みたい】公務員試験対策での過去問の使い方を徹底解説

2.やみくもに解くのではなく、「分析」をする!

過去問演習が重要だとしても、ただひたすら解けばよいわけではありません。どのように出題されるのかを分析する必要があります

例えば前述のような数的処理であれば、「聞き方がほぼ同じ」「ただの数値替え」で出題されることもあれば、「一見すると見た目は違うが聞いていることが同じ」という出題の仕方もあります。ですから、必ず聞き方の定番を押さえることです。そうすれば、「定番の聞き方だから、これは得点しないと他の受験生と差がついてしまうだろう」とか、「定番の聞き方ではないから、難易度が高い問題だろう」とか、だいたいの判断ができるわけですね。他の受験生が解けない問題であれば、自分が解けなくても差はつかないのですから、時間をかける必要はありません。このあたりの判断力を身につけるためにも、過去問演習は必須といえるのです。

もちろん、数的処理や経済系科目などの計算系だけではありません。人文科学や自然科学などの一般知識分野でも、法律系科目・行政系科目でも過去問演習は必須です。たまに見かける勉強の仕方なのですが、「答え合わせで選択肢の内容を確認するときに、正しい選択肢だけに着目して誤りの選択肢をほとんど気にも留めずに次の問題に進んでしまう」という受験生の方がいます。これは過去問を全く活用できていないと思います。当然ですが、誤りの選択肢からでも得られるものはたくさんあります。「誤りの選択肢の作り方」にも傾向があるので、「何度もこの聞き方で引っ掛けようとしてくるなあ…」という作り方の癖があるのです。ですから、誤りの選択肢は「どの部分が誤りなのかを明確にして、それを正しい記述に書き換える」という勉強の仕方をオススメしています。どこが特に聞きたいポイントなのか、作問者の意図もふまえて勉強を進められるようになると効果的な勉強ができると思います。

いろいろと説明しましたが、とにかく過去問はしっかり潰し切ることです。「正解していたからさっさと次の問題に行こう」で済ませてはいけません!


「全体から幅広く」点数を取れるようにする!

1.勉強法は人それぞれだが、常に「全体」を意識するのを忘れないこと!

よく聞かれる質問に、「効率のいい勉強法はないですか?」というのがあります。この質問は、回答する側からすると非常に困ります。結論からいうと、唯一絶対の「効率のいい勉強法」なんてものはないからです。人それぞれ多様な合格の仕方があり、合格した人の数だけ勉強法は存在するのです。ですから、まずは勉強を始めてみて、ご自身の得意科目・不得意科目を認識したうえで、どうやって点数を稼いでいくのか、戦略を考えるのが大前提だと思います。勉強を始めてみなければ、どういうやり方が「効率がいい」といえるのかはわからないのです。

ただし、明らかに「効率が悪い勉強法」はあります。それは、「全体」を意識しない勉強です。公務員試験は科目がたくさんあるにもかかわらず、好きな科目やとっつきやすい科目にばかり時間を割いてしまう、そして勉強した「つもり」になってしまうケースですね。これは多くの受験生に見られます。

当然のことですが、1問しか出ない科目にいくら勉強時間を割いたとしても、そこで取れるのはどう頑張っても1点だけです。極端なことをいえば、「1問しか出ない=勉強した範囲がたまたま出題されることを祈る」という程度なのです。このような「勉強した成果を発揮しにくい科目」に時間を割く余裕があれば、「勉強した成果を発揮しやすい科目」に時間を割くべきなのは当たり前のことです。この記事の冒頭で「出題数の多い科目から勉強しましょう」という話をしましたが、要はここに通じるわけですね。

2.全体的に幅広く得点できる可能性を高めて、合格ラインを超える!

ですから、どんな受験生にも妥当するような「効率のいい勉強法」があるとすれば、「全体を意識して、少しでも多く得点できるような勉強をする」ことだと思います。基本的には「出題数の多い科目から勉強する」やり方でいきましょう。

もちろん、だからといって他の科目は完全に放置してよいわけでもありません。問題数が少なく重要度の低い科目であっても、「出題数の多い科目で大きく失点した部分を補う」という役割が発揮されることがあるからです。過去の合格者でも、数的処理が苦手でなかなか点数が取れなかった受験生が、一般知識分野に全力で取り組んで、数的処理の失点をカバーして合格したというケースをよく見てきました。1問しか出ない科目であっても、得点できる可能性を残しておけば、いざという時に合格の手助けになることがあります。

これは裏を返せば、出題数の多い科目だからといって、全てを完璧に取り組もうとすれば、勉強の進捗を悪化させてしまうことにもなるということです。ですから、全体的に点数が取れる可能性を高めていくことトータルで合格ラインを超えることを意識して勉強を進めてほしいと思います。

3.複数の科目を並行して進める!

全体的に点数が取れる可能性を上げていきたいのであれば、やはり複数の科目を同時並行で勉強するのがよいと思います。もちろん、「1つの科目だけを続けたほうが、集中力が続くんです!」という方もいらっしゃるでしょうし、勉強のペースが掴めているのであれば、それを継続すべきだと思います。ただ、1科目だけを集中的に進めると、どうしても他の科目が長い期間放置されてしまいます。「1科目全部終わってから、次の科目に進める」というやり方をすると、「最初に勉強した科目を次に触れるのは何か月も先になってしまって、結局全部忘れていた…」ということにもなりかねません。これは効率が悪い勉強法ですよね。

まんべんなく点数を取ることを考えれば、「広く浅く」勉強するのが最適ではないかと考えます。例えば「1時間ごとに科目を変えて勉強する」とか、「教養1科目+専門2科目で毎日進める」とか、勉強のサイクルを考えるとよいでしょう。ずっと同じ科目を勉強し続けると中だるみしやすくなりますし、気分転換の意味でもオススメです。ひとまず計画を立てて、実践してみるとよいでしょう。上手くいかなければ修正すればよいだけですから、「まずは実際に試してみる」という姿勢で取り組んでくださいね。