※YouTube「スタディング公務員チャンネル」でも公務員に向いている人について解説していますのでぜひご覧ください。
公務員に共通して求められる要素には、奉仕の精神、責任感、堅実さなどがありますが、一言で公務員といってもさまざまな種類の仕事があるため、向いているタイプはそれぞれ異なります。
この記事では代表的な公務員として、国家公務員、地方公務員(都道府県・政令指定都市)、地方公務員(市区町村)について、どんな人が向いているかを解説します。
まずは国家公務員に向いている人の特徴です。
国家公務員は省庁、裁判所、国会などの国家機関で働き、国の運営に携わります。
国家公務員の仕事は、国民全体のため、課題を解決し国を良い方向に導くことです。
各分野の専門性が求められ、政策立案など国の将来を決める重要な役割を担います。
長期的な視点で仕事を進める必要もあるので、すぐに結果が出るとは限りません。
直接国民と接する機会が少ない職場もあるため、自分の仕事が世の中でどう役に立っているのか実感が湧きにくいことも。
そんなときでも、「世の中を良くしたい」「人の役に立ちたい」という強い気持ちがある人は、より良い未来に向けて責任感を持って仕事に打ち込むことができます。
海外とのやり取りが多い、というとまず外務省職員が思い浮かぶかもしれませんが、それ以外にも国際的な業務に関わる職種はたくさんあります。
入国審査や税関など、日々海外との間で人やモノが行き来する場所はもちろんのこと、各省庁から在外日本大使館に派遣され勤務する機会もあります。
また、海外と経済的な協定を結ぶ、日本産の農水産品を海外市場に輸出する、各国との安全保障協力体制を構築する、地球規模の気候変動問題に取り組むなど、「日本という国としてどうするか」を考える上では、グローバルな視点が必要不可欠です。
国家公務員の仕事は国の運営という大きな規模のものなので、非常にたくさんの人と関わり、協力して進めていかなくてはなりません。
普段から、一緒に働いている人とスムーズに連携できるような協調性は当然大切です。
加えて、大きなプロジェクトで多方面からメンバーが集まったような時に、「チームを束ねる」「外との調整役をする」「縁の下で支える」「困っている人をフォローする」など、チームに必要な役割を見つけて臨機応変にこなせる人は重宝されますし、どんどん仕事を任されるようになります。
次は地方公務員の中で、広域担当の都道府県の職員や、規模の大きい政令指定都市の職員に向いている人の特徴をご紹介します。
国と地方の役割分担として、国は全国的に統一して行った方がいいことや、国際社会に国として対応する役割を担うのに対し、地方自治体は各地域における行政を自主的かつ総合的に担うとされています。
地方公務員の中でも都道府県の職員(都道府県が持つ多くの権限を譲渡されている政令指定都市の職員も含む)は、都道府県全体に関わることや、市町村単位では予算・人員の関係でできないことを広く担当し、地域の発展のために尽くします。
思い入れのある地域があり、かつスケールの大きな仕事をしたい人に向いています。
都道府県職員の場合、その都道府県内の基礎自治体である各市町村とのやり取りや、それぞれの市町村間での調整業務があります。
それだけでなく、国と基礎自治体の間に調整役で入ることになります。
例えば災害が発生した時、避難所の運営は各市町村が担い、都道府県は各市町村から被害状況を聞き取ったうえで国へ支援物資や応援人員の要請、自衛隊の派遣要請などを担当するという具合です。
複数の関係者の話を聞いた上で、それぞれの立場などを考えてバランスよく進める調整力がある人は、国と市町村の間でうまくやり取りができるでしょう。
公務員は数年で異動になることが多いです。
国家公務員の場合は各府省庁を超えた人事はあまりなく、各分野のスペシャリストとしてキャリアを重ねますが、地方公務員の場合は現在の職場とは全く異なる分野への異動も多々あり、知識ゼロからのスタートということもしばしばです。
また、都道府県職員は域内全てが勤務範囲なので、遠い場所への異動もありえます。
右も左も分からないような環境でも、新しいことに興味を持って意欲的に取り組める人や、周りの人と積極的にコミュニケーションをとってすぐになじめるような順応力が高い人は、力を発揮できるでしょう。
次は地方公務員のうち、市区町村職員に向いている人の特徴です。
ここまで見てきた国家公務員、都道府県・政令指定都市職員と比べ、最も地域密着型の仕事です。
国家公務員は全国に、都道府県職員は都道府県全域に職場があり、広範囲での転勤を求められることもあります。
しかし、住民への行政サービスの担い手である市町村職員は、職場がその地域内に限られるため、地元が好きな人や、地元に限らずずっと同じ地域で働き続けたい人に向いています。
家族がいる人にとっても、転勤がないことは、例えば住居の確保や子どもの教育をどうするかなど、ライフプランが立てやすいというメリットがあります。
じっくりと一つの地域で、自身も住民の視点を持って業務を見つめ直せば、改善に役立てることができます。
頻繁に異動があり、たくさんの人と仕事をする公務員。
コミュニケーション能力はどの職種でも求められますが、住民と対話する機会が多い市町村職員にとっては特に重要な力です。
行政手続きが分からず困っている人や、トラブルがあって怒っている人、お金のことで相談したい人など、さまざまな立場の人がいます。
相手の気持ちに寄り添い、問題点を聞き出し、地域の課題解決に向けてやり取りを進められる人が向いているでしょう。
また、行政サービスは複雑で内容が理解しにくい場合も多いので、それを誰にでも分かりやすく伝える力も重要です。
国家公務員や都道府県職員に比べ、地域密着の行政サービスの担い手である市町村職員には、大規模で派手な業務はあまりなく、事務作業やデータ収集など地道な業務が多いと言えます。
これらは華やかな仕事ではありませんが、滞ると住民生活に支障が出ます。
雑に扱うことなく日々堅実にこなす必要があります。
大きな成果を出したい・バリバリ働きたいというタイプではなく、たとえ同じ作業が延々と続いたとしても、集中力を切らさず・手を抜かず・きっちりやり遂げるコツコツタイプの人が向いています。
国家公務員や地方公務員にはどのような仕事があるのか知りたい方は、こちらの記事をチェックしてみてください。
【あわせて読みたい】【地方公務員・国家公務員】公務員の職種と仕事内容
現在、技術の進化によって世の中はどんどん変化していて、公務員もその変化への対応が必要になっています。
ここからは、これからの公務員に求められる能力として、注目されている次の3つのポイントをご紹介します。
1つずつ見ていきましょう。
各機関・自治体が力を入れているのがデジタル・トランスフォーメーション(DX)分野の人材育成です。
総務省の自治体向けの「人材育成・確保基本方針策定指針」には、デジタル人材育成確保の項目が盛り込まれました。
時間や手間のかかる行政手続きをオンライン化して住民の利便性を高めたり、技術活用による業務効率化で人口減少による労働力不足を補ったりと、DX推進は公的機関でも急務となっています。
試験区分にDX枠を設ける自治体も増えています。
例えば令和5年(2023年)は、東京都のICT枠、埼玉県のDX枠などで試験が実施されています。
デジタル化に関連して、近年、AI技術が急速に進化して「AIで何でもできる」というイメージが広がり、人々の仕事が奪われるのではないかと不安視されたりしています。
AIは、大量のデータ処理やデータに基づく分析など得意なことも多いですが、「人の話を聞く・相手の気持ちを考える・真意を探る」ことは苦手です。
公務員は国民・住民の声を聞いて、何が求められているのか、どうすれば問題を解決できるのかを考える力がますます必要になってきます。
近年、多くの自治体が民間企業の経験者などの採用を強化しています。
その目的は、従来の公務員とは別の視点やスキル・経験、専門性を持った、多様で優秀な人材を広く確保することです。
公務員試験には年齢制限がありますが、社会人経験者採用の場合、自治体によってはその基準が59歳以下のところもあるなど、広く門戸が開かれています。
公的機関とは別の場所で経験を積み、専門性を磨いてきたという自信がある人は、その力を行政課題解決に生かせるでしょう。
【あわせて読みたい】公務員の中途採用(経験者採用)の試験内容は?どんな人が合格する?
この記事では、公務員に向いている人の特徴をご紹介しました。
今回は公務員を大きく3つに分類しましたが、職種はさらに細かく分かれて業務内容も勤務地もさまざまです。
また、目指す職種によって試験内容も異なるので、興味がある方はぜひ詳しく調べてみてください。
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