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公務員の中途採用(経験者採用)の試験内容は?どんな人が合格する?

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公務員の中途採用(経験者採用枠)とは

公務員になる方法は、新卒採用だけではありません。

社会人が転職をして公務員を目指す場合は、「大卒程度一般枠」もしくは中途採用の「経験者採用枠」を受けることになります。

大学生や社会人でも年齢要件を満たしている人であれば、大卒程度一般枠で公務員試験での受験が可能です。

ただし、大卒程度一般枠と経験者採用枠は併願できないケースが多いため注意しましょう。

まずは、中途採用(経験者採用枠)と大卒程度一般枠の違いについて解説します。

中途採用(経験者採用枠)の特徴

自治体が中途採用(経験者採用枠)の応募者に期待することは、「即戦力」です。

民間企業などでの職務経験を公務員の業務に生かせる人が求められます。

年齢要件は上限が非常に高く、ほとんどの人が当てはまるでしょう。

ただし年齢要件以外にも職歴要件などが課されるため、一定程度の職務経験が必要となります。

また採用人数が少ないので、倍率は上がりやすい傾向にあります。

択一試験は科目数が比較的少なく、難易度も高卒程度とそれほど高くないことがほとんどです。

ただし、社会人基礎試験が課される場合もあります。

論文試験では、社会人経験を生かした「過去の職務経験を生かしてどう取り組むか」という論点や提案力、行政課題の理解などが求められます。

面接試験では、即戦力があるかどうかを確認されます。

職務経験をふまえた自己PRや、あえて公務員を目指す転職理由などを準備しておくとよいでしょう。

中途採用(経験者採用枠)のメリット・デメリットをまとめると、次のようになります。

▼中途採用(経験者採用枠)のメリット

  • 年齢制限がほとんどないと言えるくらい緩和されている
  • 筆記試験の科目数が少なく、難易度もそれほど高くない
  • これまでの職務経験を評価してもらえる

▼中途採用(経験者採用枠)のデメリット

  • 一定以上の職務経験がないと受験できない場合が多い
  • 採用人数が少ないため、倍率が高くなりやすい
  • 経験者枠を実施していない自治体もある

大卒程度一般枠の特徴

中途採用(経験者採用枠)を理解するには、大卒程度一般枠の特徴と比較すると、よりわかりやすいでしょう。

自治体が大卒程度一般枠の応募者に期待することは、今後の「伸びしろ」です。現状の経験よりも、将来的に成長できそうな人が求められます。

大卒程度一般枠は、年齢要件さえ満たしていれば、学歴要件や職歴要件などは原則としてありません。採用人数も多いため、倍率もそれほど高くない傾向です。

経験者採用枠と比べると筆記試験のボリュームが大きく、難易度も大卒程度と高めです。

また、職種や区によっては専門科目が課されることもあります。そのため、まとまった勉強時間を確保して対策をしっかり行う必要があります。

面接試験では、ポテンシャルがあるかどうかを確認されます。

面接の質問は、受験生に合わせて聞かれます。大学生であれば大学時代の話、社会人であれば前職・現職のエピソードを深掘りされるでしょう。

大卒程度一般枠のメリット・デメリットをまとめると、次のようになります。

▼大卒程度一般枠のメリット

  • 年齢要件を満たしていれば、職務経歴を気にせずに受験できる
  • 筆記試験の比重が大きいため、面接に自信がなくても受験しやすい
  • 採用人数が多いため、倍率はそれほど高くない

▼大卒程度一般枠のデメリット

  • 年齢制限で受験できない場合がある
  • 筆記試験の負担が大きいため、試験対策の時間が必要
  • 専門科目がある場合は、さらなる勉強時間の捻出が必要となる

公務員の中途採用(経験者採用枠)の職歴要件

前述のとおり、公務員の中途採用(経験者採用枠)には職歴要件が課されます。

ここからは職歴要件がどのようなものなのか、具体例を挙げながら解説します。

職歴要件の具体例

中途採用(経験者採用枠)の職歴要件では、社会人として働いてきた経験年数などが要求されます。

例えば、令和5年度(2023年度)の名古屋市の職務経験者では、受験資格として直近10年間に通算5年以上の職務経験があることが求められています。

ただし、最低1か所で3年以上継続して就業していた期間が必要です。

対象となる職務経験は、以下のとおり試験区分によって異なります。

試験区分 職務経験
行政・社会福祉・学校事務 職種は問われない
土木・建築 各試験区分に対応する設計・施工管理または保守・維持管理の職務経験

※設計・施工管理に関する職務経験は3年以上必要

機械・電気 各試験区分に対応する設計・施工管理または保守・維持管理の職務経験

【参考】名古屋市「令和5年度 名古屋市職員採用試験案内(職務経験者)『行政・社会福祉・土木・建築・機械・電気・学校事務』」

就職氷河期採用とは

就職氷河期採用とは、1990年代から2000年代にかけて就職活動が困難だった就職氷河期世代を救うために設けられた採用枠で、職歴要件がない試験も存在します。

例えば、令和5年度(2023年度)の宮城県の就職氷河期採用では、一般事務、学校事務、警察事務、土木でそれぞれ1〜5名程度の採用枠を設けています。

主な受験資格は年齢制限のみで、昭和45年(1970年)4月1日〜昭和61(1986年)4月2日生まれの人が対象です。

【参考】宮城県「令和5年度試験案内 就職氷河期世代を対象とした職員採用試験」

公務員の中途採用(経験者採用枠)の試験内容

では、公務員の中途採用(経験者採用枠)の試験の流れを見ていきましょう。

試験の日程は自治体によって異なりますが、基本的には7月に出願→9月に1次試験→11月に2次試験以降→12月に最終合格といった流れが一般的です。

秋以降に実施される試験種が多いため、試験スケジュールに注意しましょう。

1次試験(教養一択)

1次試験は、ほとんどの自治体で筆記試験が実施されます。代表的な形式は教養択一、職務経験論文、課題式論文です。

教養一択の試験は、前述のとおり高卒程度でそれほど難易度は高くない傾向です。しかし、対策なしで誰もが突破できるほど簡単な試験ではありません。

まずは最初の筆記試験を確実に突破できるように、しっかり勉強しておきましょう。特に、数的処理文章理解の攻略がカギとなります。

1次試験(職務経歴論文)

1次試験の職務経歴論文では、過去の職務経験を活かしてどう取り組むかを重点的に論じることが求められます。

例えば、令和3年度(2021年度)の特別区経験者採用では次のような問題が出題されました。

仕事における目標設定と振り返りについて、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分(※)における立場として論じてください。
※採用区分とは、1級職は係員の業務を行う職、2級職(主任)は係長職への昇任を前提とした係長職を補佐する職、3級職(係長職)は係長、担当係長、主査又はこれに相当する職とする。

この問題の制限時間は1時間30分、文字数は1,200字以上1,500字程度です。

1次試験(課題式論文)

1次試験の課題式論文では、提示された課題に対して自分の考えを論じることが求められます。社会問題行政課題について論じる問題が多く出題される傾向です。

そのため、提案力や行政課題の理解なども必要となります。

例えば、令和3年度の特別区経験者採用では、下記のどちらかの課題を選択して論じる問題が出題されました。

・インターネットを活用した誰もが利用できる行政手続に向けた取組について

・持続可能な財政運営と区民サービスについて

この問題の制限時間は1時間30分、文字数は1,200字以上1,500字程度です。



2次試験(面接)

2次試験以降は、多くの自治体が人物試験(面接)を実施しています。

経験者採用枠は、筆記試験の難易度が高くない代わりに人物試験の配点割合が高いことが多くあります。

自分には公務員の適性があることを、しっかり伝えられるようにしておきましょう。

特に下記については重点的に聞かれる可能性が高いため、あらかじめ振り返って準備しておくとよいでしょう。

  • 現職・前職からあえて公務員への転職を目指している理由
  • これまでの職務経験を公務員としてどう生かせるか

公務員の中途採用(経験者採用枠)に合格する人とは?

こうした中途採用(経験者採用枠)に合格できるのは、どのような人なのでしょうか。合格できる人の特徴は、主に以下の3つです。

  • 働きながら勉強時間を確保できる人
  • 数的処理と文章理解で確実に得点できる人
  • 論文・面接で公務員への適性をアピールできる人

1つずつ見ていきましょう。

働きながら勉強時間を確保できる人

1つ目は、働きながら勉強時間を確保できる人です。

現職の仕事が忙しいと、つい勉強を後回しにしてしまったり、まとまった時間がとれなくなったりして挫折してしまうことがあります。

「時間ができたら勉強する」というスタンスでは、合格は難しいでしょう。

働きながら中途採用(経験者採用枠)を目指すなら、勉強の時間を生活習慣に組み込んでしまうのがおすすめです。

出勤前にカフェで30分勉強する、昼休みに15分テキストを開くといったように、1日の中で勉強する時間をあらかじめブロックしておきましょう。

また勉強を始める際は、事前に学習計画を立てて、いつまでに何をどれくらい習得すべきかを意識しながら取り組みましょう。

なるべく複数の科目を並行して進めると、ムラなく勉強できます。

とくに通勤時間や休憩時間など、日々のスキマ時間を無駄にせず勉強の時間に当てると無理なく時間を確保できます。

【あわせて読みたい】公務員試験の勉強時間は1,000時間!合格者と不合格者の違いは?

数的処理と文章理解で確実に得点できる人

2つ目は、数的処理と文章理解で確実に得点できる人です。

1次試験の筆記試験を通過できなければ、次の試験には進めません。

そのため、まずは筆記試験を確実に突破できる実力を身につけましょう。

経験者採用枠の筆記試験では、数的処理と文章理解の攻略がカギとなります。

対策はどちらも問題演習が中心となるため、毎日のスキマ時間を使って少しずつでも問題演習を進めましょう。

一般知識分野など暗記が中心の科目は、一度集中して勉強したらしばらく寝かせて記憶を定着させるとよいでしょう。

またインプットとアウトプットを並行して行うと、短時間で効率よく学習を進められます。

【あわせて読みたい】公務員試験最重要科目!「数的処理」の攻略法

【あわせて読みたい】教養試験「文章理解(現代文)」の攻略法

論文・面接で公務員への適性をアピールできる人

3つ目は、論文・面接で公務員への適性をアピールできる人です。

論文をうまく書けるようになるには、「実際に書く」練習を重ねるのが一番です。

書いたあとは、なるべく周囲の人に読んでもらって意見を聞きましょう。

自分の文章を客観的に見るのは難しいため、一人で書いているだけではなかなか上達しません。

誰かに読んでもらって意見をもらったほうが、客観的に自身の文章を分析できます。

また、前述のとおり経験者採用枠は人物試験の配点割合が高いことが多くあります。

そのため、自分の公務員としての適性を伝えられるようなエピソードを準備しておきましょう。

職務経験論文と面接は対策の方向性が近いため、過去の経験をしっかり振り返っておくことがカギとなります。

【あわせて読みたい】【公務員・人物試験】面接対策のポイントや回答のNG例を解説

公務員の中途採用(経験者採用枠)の倍率

この表は、令和4年(2022年)における各種公務員試験の中途採用(経験者採用枠)の倍率などをまとめた表です。

▼令和4年度(2022年度)公務員試験 経験者採用枠の倍率

自治体 試験区分 採用予定数 受験者数 1次合格者数 最終合格者数 最終倍率
東京都 財務 5人 48人 17人 7人 6.9倍
東京都特別区 事務

(1級職)

143人程度 1,287人 436人 215人 6.0倍
埼玉県 一般行政 5人 81人 16人 6人 13.5倍
大阪府 行政 60人程度 305人 211人 76人 4.0倍
愛知県 行政

(4月募集)

10人程度 390人 71人 14人 27.9倍

これらはあくまで一部の例ですが、採用人数が少ない割に受験者数が多く、倍率が上がりやすい傾向にあることがわかります。

自治体や職種にもよりますが、公務員の経験者採用枠は狭き門だと言えるでしょう。

【合格者の声】スタディングで合格!

ここまでは公務員の中途採用(経験者採用枠)の試験内容や勉強方法、倍率などについて解説してきました。

ここからは「スタディング 公務員試験講座」を受講して経験者採用枠で合格した方の声をご紹介します。

経験者採用に求められることを理解して対策できた

N.M.さん:特別区経験者採用 2級職 最終合格

最初は完全に独学で取り組むことも検討しましたが、スタディングなら価格面でもハードルが低く、筆記・面接・論文の対策を網羅できるため受講を決めました。

苦手な判断推理と数的処理は、少しずつ理解を進めながら動画を一コマずつ消化していきました。

特に判断推理は、1人ではなかなか理解できなかった内容がおもしろいように理解でき、得点にもつながったと思います。

面接・ES対策についても、キャリアの棚卸しを最初に行ったことが、論文や最終面接まで活用できました。

筆記試験で成果を出して、短期間でも合格できたことは非常に自信になりました。

結果として独学で取り組むよりも、経験者採用試験に求められることを理解して対策できたと感じます。

コツコツ勉強して4カ月で合格!

▼ I.Sさん:長井市(行政 U・Iターン枠 職務経験者)最終合格

2月頃から試験対策を始め、4カ月ほどの短い勉強期間でしたが、仕事をしながらでも効率よく勉強を進められました。

結果、短期間でも県庁や市役所の筆記試験を通過できる実力が身につきました。

SPIやSCOAといった形式の試験でも、スタディングで勉強した内容をそのまま活かせてありがたかったです。

机に向かうのが苦しい時期もありましたが、横になりながらでもスマホで知識をインプットできた点は、非常に助かりました。

スタディングのおかげで時間や場所を気にせず、コツコツと知識を身につけられました。


【コーチング付き】スタディングの経験者採用専用コース

「スタディング 公務員試験講座」社会人経験者向けコースは、経験者採用枠の対策に特化した効率的な学習コース。

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【Q&A】中途採用(経験者採用)のよくある質問

最後に、公務員試験の中途採用(経験者採用)のよくある質問について解説します。

「社会人基礎試験」とは?

社会人基礎試験は、従来の教養択一試験に代わる新しいタイプの試験種目です。現段階では情報が少なく、実施している自治体もまだ少数です。

社会人基礎試験は「職務基礎力試験」と「職務適応検査」で構成されています。

職務基礎力試験 「社会的関心と理解(時事)」「言語的な能力(文章理解)」「論理的な思考力(数的処理)」が問われる。
職務適応検査 いわゆる性格検査で、別途対策は不要。積極性、共感性、柔軟性、自我強度、規範性が評価される。

「職務基礎力試験」の対策は、通常の経験者枠における教養試験と同様です。ただし試験本番では、出題数などから判断して時間配分に注意しましょう。

公務員の経験は職務経歴要件を満たしますか?

基本的には、公務員の経験も職務経験として扱うことが可能です。

例えば、令和5年度の千葉市における民間企業等職務経験者の職務要件には「民間企業等での職務経験が直近10年中に6年以上ある人」とあり、職務経験の要件に「公務員等」も含まれています。

多くの自治体が同様の職務要件を記載しているため、公務員の経験も職務経歴要件を満たすと言えるでしょう。

ただし、民間企業での職務経験に限定している自治体も一部あるため、受験の際はよく確認しましょう。

まとめ

今回は、公務員の中途採用について解説しました。

  • 経験者採用枠の年齢制限はほとんどないが、一定程度の職務経験が求められる
  • 経験者採用枠は採用人数が少ない割に受験者数が多く、倍率が上がりやすい
  • 経験者採用枠の筆記試験の難易度は高くないが、人物試験の配点割合が高い

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