
国の財政を支える財務省職員。
高い社会的責任を担う一方で、その年収や昇進のスピード、求められる人物像、将来のキャリアパスはどうなっているのでしょうか?
本記事では、財務省の職種の代表例として財務省総合職・財務専門官・財務技官の給与水準や業務内容、採用試験の流れをわかりやすく解説します。
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財務省の初任給・平均年収・給与
財務省の職種の代表例として今回取り上げる財務省総合職、財務専門官、財務技官は、いずれも国が定める「行政職俸給表(一)」が適用されます。
人事院の「令和6年度 国家公務員給与等実態調査報告書」によれば、行政職俸給表(一)適用職員の平均給与月額は40万5,378円です。
そこから試算される平均年収は約673万円となります。
なお、人事院が出しているモデル給与例によれば、本府省の課長クラス以上であれば年収1,000万円を超えるとされています。
人事院が公表しているデータによると、初任給は以下のとおりです。
- 本府省採用の総合職(大卒程度):28万4,800円
- 財務専門官・財務技官:26万4,000円
※平均年収は「平均給与月額12ヶ月分+ボーナス4.6ヶ月分」で算出
【参考】令和6年度 国家公務員給与等実態調査報告書

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財務省・その他公務員・民間企業の平均年収を比較
続いて、財務省とその他公務員、そして民間企業の平均年収を比較してみましょう。
それぞれの平均年収は、以下のとおりです。
職種 | 平均年収 | ||
---|---|---|---|
財務省職員(国家公務員/行政職俸給表(一)適用職員) | 約673万円 | ||
その他公務員(地方公務員) | 都道府県 | 約646万円 | |
政令指定都市 | 約646万円 | ||
市町村 | 約595万円 | ||
民間企業 | 約460万円 |
※公務員の平均年収は「平均給与月額(諸手当を含む)×12ヶ月+期末・勤勉手当」で算出
【参考】令和6年国家公務員給与等実態調査
【参考】令和5年分 民間給与実態統計調査|国税庁
この比較表からわかるように、財務省職員を含む国家公務員(行政職俸給表(一)適用職員)の平均年収は、民間企業の平均年収を大きく上回っています。
また、地方公務員と比較しても遜色ない給与水準にあり、公務員全体として安定した高い給与体系であることが伺えます。

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財務省に入るには?
財務省に入るには、希望する職種に応じた国家公務員試験に合格し、採用される必要があります。
それぞれの職種の採用までの流れをおおまかに見ていきましょう。
財務省総合職
財務省で総合職として働くには、「国家総合職試験」に合格することが第一歩です。
その後、人事院や各府省が主催する業務説明会等で情報収集を行い、志望官庁の「官庁訪問」に参加します。
官庁訪問では、省庁側と受験者の双方がマッチングの判断を行い、選考の結果として内々定が得られます。
合格者は採用候補者名簿に掲載され、名簿の有効期間内に内定を受けた場合、正式採用となります。
財務専門官
財務専門官として働くには、「財務専門官試験」に合格することが求められます。
試験に合格した後は採用面接を受け、選考を経て採用内定が決定されます。
財務技官
財務技官として働きたい場合は、国家一般職試験を受験します。
「国家一般職試験(大卒程度)」の一次試験(筆記)に合格後、二次試験(人物試験)と並行して志望官庁への訪問(官庁訪問)を行います。
官庁訪問では、各機関との面談を通じてマッチングが行われ、最終的に内々定が出されます。

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財務省職員の職種と仕事内容
財務省では、国の財政を司る重要な役割を果たすため、多岐にわたる業務を担っています。
その中での主要な職種は、前述のとおり以下の3つです。
- 財務省総合職
- 財務専門官
- 財務技官
ここからは、それぞれの職種の仕事内容を解説します。
財務省総合職
財務省総合職は、いわゆるキャリア官僚として、国の経済・財政・金融政策の根幹を担います。
主な仕事内容は、本省庁での政策の企画・立案、地方の財務局での政策の執行などです。
本省庁や全国の財務局のほかに海外での勤務もあるなど、活躍のフィールドが非常に広いという特徴があります。
財務専門官
財務専門官は、全国に設置された財務局・財務支局が活動の拠点です。
地域に密着しながら、国の財政や金融政策を現場で実行します。
具体的な仕事内容としては、地域金融機関の検査・監督、国有財産の管理・処分、地域経済情勢の調査、予算執行調査などがあります。
地域の特性を踏まえつつ、財政・金融の安定に貢献し、地域経済の発展を支える役割を担っています。
財務技官
財務技官は、財務省や各財務局の技術専門職として、主に国家公務員宿舎(合同宿舎)の管理・保全業務に携わります。
具体的には、宿舎の新築における設計や工事監理、既存施設の改修・修繕、維持管理などが主な仕事内容です。
専門知識を活かし、安全で快適な公務員宿舎の環境を確保することで、国の財産管理と職員の生活基盤を裏側から支える大切な役割を担っています。

国家公務員の職種とそれぞれの仕事内容をわかりやすく解説
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財務省職員に求められる人物像
財務省では、国の財政や経済を支える重要な役割を担うため、以下のような資質を持つ人材を求めています。
- 財務省の仕事への強い関心と熱意
- 論理的思考力と柔軟性
- 主体性と行動力
- 協調性とコミュニケーション能力
国民の生活に密接に関わる政策を扱う財務省の業務では、「国のために働きたい」という使命感が土台となります。
その上で、複雑な課題に対処するための論理的な思考力、状況に応じて柔軟に対応できる発想力、自ら考えて動く主体性、多くの関係者と協力して物事を進めるコミュニケーション能力が求められます。
このような資質は、官庁訪問や面接においても重視されるポイントです。
財務省職員のキャリアパス
財務省では、採用される職種によって異なるキャリアパスが用意されており、それぞれの専門性や経験に応じて多様な成長が期待できます。
各職種の具体的なキャリアパスの内容は以下の通りです。
財務省総合職
財務局総合職は、財務本省・金融庁だけでなく、全国の財務局や海外など幅広い分野で活躍します。
政策の企画・立案・執行に携わる専門的な職員として、以下のようなステップでキャリアを形成していきます。
キャリアパス目安 | 内容 |
---|---|
1〜2年目 | 本省庁(係員)で行政官としての基本的素養・知識を習得。 |
3〜6年目 | 地方(財務局など)で調査官・検査官として現場経験を積み、本省庁では係長として政策立案に関与。 |
7年目以降 | 本省庁で課長補佐として政策の中心的役割を担うほか、財務局・財務事務所で課長・上席として管理職の経験を積む。 |
10年目以降〜中堅層へ | 本省庁の室長や財務局の金融監査官などとして、重要事項の企画立案や政策の方向づけに携わる。 |
管理職(部長・所長級)へ | 財務本省や各財務局において、政策全体を統括する責任者として指導的な立場を担う。 |
財務専門官
以下は、財務専門官の代表的なキャリアパスを、各段階ごとにわかりやすくまとめたものです。
キャリアパス目安 | 内容 |
---|---|
係員 | 新規採用後は地方財務局などに配属され、国有財産や予算執行などの基礎的な実務を担当する。 |
係長級 | 現場での経験を活かし、より高度な業務を担当。チームをまとめながら企画立案にも携わる。 |
課長補佐級 | 本省などで政策の企画・立案に深く関わるようになり、施策の調整や統括も担う。 |
本局課長 | 地方財務局での部門責任者として、部下を指導しつつ、地域の財政・金融行政をリードする。 |
部長、財務事務所長など | 地方局や出先機関の長として組織運営を統括し、地域行政の重要な意思決定を行う。 |
財務専門官は実務・企画の両面からキャリアを積み重ね、将来的には管理職・指導的立場で活躍することが期待されます。
財務技官
財務技官は、財務省および各財務局において、建築・土木の技術専門職としてキャリアを歩みます。
キャリアパス目安 | 内容 |
---|---|
係員 | 地方財務局などで建築・設備・用地関係の業務を担当。施設の調査・設計・監理や財産管理の基礎を学ぶ。 |
係長級 | 現場での経験を活かし、より専門的な技術支援や工事の統括など、業務の中核を担う。 |
課長補佐級 | 国有財産の有効活用や技術政策の企画・調整を行い、本省や地方財務局で全体方針に関わる。 |
本局課長 | 地方財務局の技術部門の責任者として、複数案件を管理し、職員の指導も行う。 |
部長・財務事務所長など | 組織全体を統括する立場となり、財務行政の技術面からの支援と意思決定を担う。 |
財務技官は、建築や用地の技術的専門性をもとに、国有財産の価値を最大限に引き出す役割を担います。
企画・執行の両面で技術職ならではの視点から活躍が期待されます。
財務省職員についてよくある質問
ここからは、財務省職員についてのよくある質問にお答えしていきます。
財務省職員の年収が低いって本当?
財務省職員の年収は、決して低くありません。
国家公務員としての安定した給与体系の中で、個人の評価や役職に応じた俸給が適用されています。
職種や役職、経験年数によって年収は異なりますが、人事院のデータから平均値を試算すると行政職は約673万円となります。
これは民間企業の平均年収(約460万円)と比較すると非常に高い水準にあり、その他の公務員の平均年収と比べても遜色はないといえるでしょう。
財務事務次官の年収は?
財務事務次官は、国家公務員の最高位の役職の一つであり、その年収は非常に高額です。
人事院が公表した「国家公務員の給与(令和6年版)」によると、事務次官の俸給月額は117万8,000円となっています。
ボーナスが年間で約4.6ヶ月分支給されると仮定すると、おおよその年収は1,900万円を超えることになります。
これは、国家の財政を統括する重責に対する報酬といえるでしょう。
財務省の仕事はきつい?
財務省の仕事は「国の財政」という非常に重要な分野に関わるため、責任や重圧が大きく感じられるのは事実です。
その中でも、キャリア官僚と呼ばれる総合職は、政策の企画・立案において多大な時間と労力を要するため、激務となってしまうことも少なくありません。
しかしその分、国民生活に直接影響を与えるやりがいや達成感をしっかりと感じられるでしょう。
財務専門官の採用大学は?
財務専門官は、多様な大学から採用されています。
例えば、関東財務局の公表データを見ると、愛知県立大学、愛知大学、青山学院大学、大阪大学、大阪府立大学などが挙げられています。
ただし、重要なのは、出身大学や学歴などにかかわらず、人物本位の採用が原則とされている点です。
採用試験に挑戦する際は、人物試験や官庁訪問の対策もしっかり取り組むよう心掛けましょう。
まとめ
本記事では、財務省職員の給与や平均年収のほか、仕事内容やキャリアパス、求められる人物像などについて解説しました。
- 財務省には財務省総合職、財務専門官、財務技官などの職種がある
- 財務省は民間企業と比較しても高い水準の年収が期待できる
- 特に総合職は昇進に伴い大幅な給与上昇が見込める
- 段階的なキャリアアップが用意されており、専門性を深めながら長期的に活躍できる環境である
財務省職員は、日本の財政を支えるという大きな使命感を持って働くことができる、非常にやりがいのある仕事です。
もし財務省職員を目指したいとお考えであれば、公務員試験の専門知識や面接対策など、効率的な学習が合格へのカギとなります。
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