国家一般職の官庁訪問とは?人気の官庁や必要な対策を解説

国家一般職試験に合格した後、最終関門となるのが「官庁訪問」です。

採用を希望する府省庁を実際に訪問し、業務説明を受けたり面接を受けたりするプロセスであり、ここで内定が決まります。

人気の官庁では競争率が高く、事前の情報収集や面接対策が合否を分けるポイントになります。

本記事では官庁訪問の流れや目的、人気官庁の一覧、成功のための対策など、内定獲得に向けて役立つ情報を詳しく解説します。

国家一般職の官庁訪問とは?

国家一般職の官庁訪問とは、第一次試験の合格発表後、第二次試験(人物試験)とほぼ同時期に行われる面接試験の一種です。

受験者が、数ある府省庁の中から「ここで働きたい」と希望する官庁を選び、直接訪問します。

内容は官庁によってさまざまですが、業務説明や複数回に及ぶ面接などを受けるのが通例です。

いわば、民間企業でいうところのリクルーター面談や採用面接などを兼ねたようなものであり、この官庁訪問を通じて内々定が決まります。

公務員試験に合格さえすれば公務員になれるというわけではなく、実際にどの府省庁で働くかは官庁訪問の結果次第です。

公務員試験における「最終関門」と位置づけられています。

官庁訪問の目的

官庁訪問は、府省庁側と受験者側の双方にとって重要な目的があります。

府省庁側にとっては、筆記試験の成績だけでは分からない、受験者の人物像や組織への適性、志望度、コミュニケーション能力などを見極める場です。

多くの受験者と直接対話し、自府省庁の理念や業務内容、職場の雰囲気を伝えることで、意欲ある優秀な人材を見つけ出し、採用に繋げることを目的としています。

一方、受験者側にとっては、志望府省庁の実際の業務内容や職場の雰囲気、そこで働く人々の話を聞くことができる貴重な機会です。

説明会だけでは分からない疑問点について質問したり、自身のキャリアプランとの一致度を確認したりすることができます。

そしてもちろん、自身の熱意や能力を志望先に直接アピールするのも、大事な目的の一つです。

官庁訪問の日程はいつ?

官庁訪問が行われる時期は、一次試験の合格発表後です。

各省庁が定める期間中に予約を取る必要があります。

2025年度の官庁訪問の日程は、以下のとおりです。

  • 一般職試験:2025年7月2日から
  • 総合職春試験:2025年6月11日から
  • 総合職教養区分:2025年12月22日から

終了日は特に定められておらず、内々定者数が採用予定数に達した時点でその府省庁の官庁訪問が終わるのが一般的です。

土日は原則として訪問や電話、メールなどの接触が禁止されています。

人気の官庁一覧

ここで、国家一般職において人気の高い官庁訪問先をいくつかご紹介します。

官庁人気の理由
労働局(厚生労働省)比較的採用数が多く内定確保を目指しやすい全国転勤がなく地元で働けるブロック転勤制である
法務局(法務省)比較的採用数が多く内々定を得やすい夜勤などがなく純粋な事務処理業務である法律に関する専門知識を活かせるため、特に法学部生に人気がある
経済産業局(経済産業省)地域の中小企業支援や新規事業創出など幅広い経済・産業関連の業務に携われる原則として地元で長く働ける
地方検察庁(法務省)検察事務官として犯罪捜査など法律専門性の高い業務に携われる公安職俸給表が適用されるので給与水準が高い内部試験を経てキャリアアップの道がある
税関(財務省)国益を守る重要な仕事にやりがいを感じられる大量採用であるため内定を確保しやすい

官庁訪問の具体的な内容

官庁訪問は、希望の府省庁に実際に出向く対面形式の場合と、感染症対策などの観点からオンラインで行われる形式があります。

どちらの形式であっても、官庁訪問の主な内容は以下の通りです。

  • 業務説明
  • 面接
  • 質疑応答

業務説明では、府省庁の組織概要やミッション、具体的な仕事内容などが伝えられます。

面接は複数回行われるのが一般的で、志望動機、自己PR、学生時代の経験、働く上での考え方などが深く問われます。

また、疑問点を質問したり、若手職員と気軽に話したりする時間が設けられることがあります。

当日の流れ

官庁訪問の当日の流れは、訪問する府省庁によって異なります。

ただ多くの場合、朝から夕方・夜にかけて、一日の間に複数回の面接が実施されるようです。

また、選考が進んでいく中で同じ府省庁に再訪問が必要となることもあり、その場合は訪問先の府省庁から受験者にその旨の連絡が入ります。

官庁訪問は、自身の熱意や能力をアピールすると同時に、職員の方々から仕事内容の説明や経験談を直接聞くことができる貴重な機会です。

当日は積極的に質問するなどして、リアルな業務の様子や職場の雰囲気を感じ取るといいでしょう。

もちろん、当日に向けた準備も抜かりなく行うことが大切です。

事前予約の方法や、持参すべき書類、訪問形式、オンラインの場合に用意すべきツールなど、細かい情報を各府省庁のホームページなどでしっかり確認しておきましょう。

官庁訪問までにしておきたい対策

官庁訪問は、内定獲得のための最も重要なプロセスです。

限られた期間で自分の能力を最大限アピールし、志望する府省庁とのマッチングを図るためには、事前の入念な準備が欠かせません。

ここでは、官庁訪問本番までにぜひ取り組んでおきたい対策を解説します。

志望する府省等の情報収集をする

必ず取り組んでおきたいのが、自分が志望する府省庁について徹底的な情報収集を行うことです。

府省庁のホームページはもちろん、人事院が提供するSNSやメールマガジンなどもしっかりと読み込みましょう。

以下のポイントを深く理解することが重要です。

  • その官庁がどのような業務を行っているのか
  • どのような政策に関わっているのか
  • どのような人材を求めているのか

そうすることで、より具体的で説得力のある志望理由や自己PRを伝えられるようになります。

業務説明会に積極的に参加する

各府省庁が開催する業務説明会には、積極的に参加するようにしましょう。

説明会に行かなかったからといって、必ずしも不利になるわけではありません。

しかし、インターネット上の情報だけでは得られない「生の声」を聞くことができるのは、情報収集の観点からみても非常に有益だといえます。

職員の方々の雰囲気や、詳しい仕事内容、働く上でのやりがいや大変さなど、その官庁の「空気感」をしっかりと感じ取ると良いでしょう。

面接対策を行う

官庁訪問は、言ってしまえば人物試験そのものです。

そのため、徹底した面接対策を行うことが内定獲得への鍵を握ります。

「なぜその府省庁で働きたいのか」「どのような仕事に興味があるのか」といった志望動機は、誰にでも分かりやすく、かつ熱意が伝わるように整理しておきましょう。

これまでに得た学びや成果、困難を乗り越えた経験なども、具体的なエピソードを交えて話せるように準備しておくことが大切です。

本番で自信を持って話せるようにするには、面接官からの質問を想定した模擬面接を繰り返し行うといいでしょう。

スタディング公務員講座」を使って面接対策を行うのもおすすめです。

官庁訪問で気をつけたいポイント

官庁訪問では、事前の準備だけでなく、当日の立ち振る舞いや心構えも結果を左右することがあります。

ここで、官庁訪問で気をつけたいポイントを解説します。

志望度の高い官庁は初日の官庁訪問で予約する

強く志望する官庁がある場合は、解禁日初日を狙ってできるだけ早い段階で予約を入れるように努めましょう。

訪問が遅れたからといって不利になるわけではありませんが、訪問日が早い方が、志望度が高いという熱意のサインとして受け取ってもらえる可能性があるためです。

人気の官庁ほど予約がすぐに埋まる傾向にあるため、事前の情報収集で予約方法や受付開始日時を確認し、迅速に行動することが重要になります。

業務説明会で選考が始まっていることがある

官庁訪問期間中に行われる業務説明会は、既に選考が始まっている可能性があることを意識して参加することが大切です。

説明会での質問内容や態度、他の参加者とのやり取りなども全て見られていると考えましょう。

過度に緊張する必要はありませんが、選考を意識することで気持ちが引き締まり、より良い印象を与えられる可能性が高まります。

官庁訪問と人事院面接の面接官が同じ場合がある

官庁訪問と人事院面接で、偶然同じ面接官に当たるというケースも稀にあります。

そのため、それぞれの面接で述べる志望動機や自己PRに一貫性を持たせておくことが基本ですが、もし若干異なる内容を話してしまったとしても、気にしすぎる必要はありません。

というのも、人事院面接は公務員としての適性を見極める場である一方、官庁訪問はその府省庁への適合性や熱意を見る場であり、評価の観点が異なるためです。

最も重要なのは、それぞれの面接の場で、その目的に沿った内容を誠実に伝えることだと覚えておきましょう。

官庁訪問についてよくある質問

ここからは、官庁訪問に関してよくある質問にお答えします。

官庁訪問をしないとどうなる?

国家一般職試験に合格しても、官庁訪問をしなければ採用されることはありません。

試験合格はあくまでスタートラインであり、官庁訪問が採用の可否を決めるため、必ず行う必要があります。

官庁訪問の難易度は?

官庁訪問の難易度は、一概に言えるものではありません。

採用人数が少なく志望者数が多い官庁ほど、内定を得る難易度も高くなる傾向にあります。

とはいえ、自身の適性やアピール次第で結果は変わるため、どこを受けるにせよ十分な対策をして臨むことが大切です。

まとめ

今回は、国家一般職の官庁訪問について解説しました。

  • 官庁訪問は実際に働く府省庁から内定を得るための最終関門
  • 府省庁側にとっては受験者の考え方や適性を見極める場である
  • 受験者にとっては仕事内容や雰囲気を知る貴重な機会である
  • 官庁訪問を成功させるには情報収集や業務説明会への参加、面接対策が重要である

これから公務員試験を受けるにあたり、筆記試験から官庁訪問の対策までしっかり取り組みたいとお考えなら、「スタディング公務員講座」がおすすめです。

スキマ時間で効率的に学習を進められるカリキュラムと専門講師によるカウンセリングや、充実の面接対策により、国家公務員の内定を獲得できるようサポートします。

気になった方は、ぜひお気軽に無料体験講座をお試しください。