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中小企業診断士の将来性・需要がある分野は?現役診断士の声

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資格の将来性は?現役診断士アンケート

中小企業診断士の将来性に関してはさまざまな見方があります。独占業務がないこともあり、不安を抱いている方も少なくないかもしれません。

まず、中小企業診断協会が行った現役の中小企業診断士へのアンケートの結果を見てみましょう。

【参考】一般社団法人 中小企業診断協会「中小企業診断士活動状況アンケート調査」の結果(令和3年5月)

現役診断士の6割以上が将来性を実感

問:あなたは今後、中小企業診断士のコンサルティング需要がどのようになると考えますか。

今後の中小企業診断士のコンサルティング需要についての質問に対して、現役の中小企業診断士の6割以上「伸びると思う」「徐々に伸びると思う」と回答しています。

一方、「減少すると思う」「徐々に減少すると思う」という解答はわずか1割程度でした。

現役の中小企業診断士の多くは、この資格・職業の将来性を実感できていることがうかがえます。

日本企業の99.7%は中小企業

中小企業診断士は、その名称のとおり中小企業の経営者がメインの顧客となります。

国内で活躍する企業と言えば、大手自動車メーカー、電機メーカー、メガバンクといった大きな規模の企業・組織に注目が集まりがちですが、それらの大企業は日本全体の企業のわずか0.3%に過ぎません。

日本で活躍する企業のほとんどは中小企業・小規模事業者に属します。


つまり、日本の経済は中小規模のメーカー、サービス業、流通業などによって支えられているという実態があるのです。

そんな日本の中小企業は、生産力の低下、人手不足、雇用環境の悪化、起業後間もない廃業など多くの課題を抱えています。

経営コンサルタントが果たせる役割は小さくありません。

「独占業務がない=将来性がない」とは言えない

中小企業診断士の将来性について、独占業務がないことを理由に不安視する意見があります。

しかし、資格の将来性は独占業務だけでは決まりません。


中小企業診断士には独占業務がない

独占業務とは、資格所有者のみが独占的に行える業務のことで、資格所有者以外は業務に携わることが法律で禁止されています。

例えば税理士には、税務代理、税務書類作成、税務相談という3つの独占業務があり、これらの業務を行えるのは税理士の資格保有者だけです。

一方、中小企業診断士は国家資格ですが、独占業務がありません。

中小企業診断士の資格がない人でも経営コンサルティングを自由に行えます。

この点を見て、中小企業診断士の資格バリューに疑いを持つ意見も少なからず聞かれます。

将来性は独占業務の有無だけでは決まらない

たしかに他の士業は、独占業務があることが専門家としての価値を高めている面はあるでしょう。

しかし、独占業務の有無が資格の将来性を決めるすべてかと言えば、そうでもありません。

取得した資格のメリットをどう生かし、今後のキャリアアップにどう役立てるかは、本人次第です。

中小企業診断士に独占業務はないものの、資格が持つ特性・メリットを引き出す努力をすれば足りない部分を補うだけの効果を期待できるのです。

中小企業診断士にとって将来性のある分野は?

中小企業診断士の資格を活かして活躍するには、診断士資格と「自分の得意分野(専門分野)」や「他の資格」を組み合わせて強みを作ることが大切です。

特に、独立開業で活躍していくには1つ以上の得意分野があることが望ましいと言われています。

では、特に将来性を期待できるのはどんな分野なのでしょうか。

需要が伸びる分野とは?現役診断士アンケート

中小企業診断士は総合的に企業のコンサルティングを行いますが、その分野にはさまざまなものがあります。当然、分野によって今後の伸びは変動する可能性があります。

ここでは現役中小企業診断士が考える需要が伸びる分野についてご紹介します。

この記事の冒頭で紹介した現役中小企業診断士へのアンケートにおいて、「今後需要が多くなる(伸びる)と考えている分野」に対する回答の上位は次の5つでした。

▼「需要が多くなる」という回答が多かった分野

順位 分野 割合
1 事業継承・M&A 33.6%
2 情報化・IT化 24.1%
3 事業再生 7.1%
4 医療・福祉・介護 4.4%
5 経営企画・戦略立案 4.0%

この中から、上位2つの分野についてピックアップしたいと思います。

事業承継・M&A 

国内の多くの中小企業が近年直面している課題の1つが事業承継です。

事業承継とは会社の経営権を次の世代へ渡すことで、大きく分けて「人」「資産」「知的資産」という3つの要素の引き継ぎを行います。

経営者の親族や従業員に後継者がいない場合は、第三者が引き継ぐM&Aも選択肢となります。

経営者の高齢化に伴って事業承継のタイミングを迎えている中小企業が多いものの、「何から着手すればいいのか」「誰に相談すればいいのか」といった悩みを抱えているケースは多いです。

後継者がいないと業績が好調であっても廃業を選択するケースもあり、貴重な雇用の機会や技術・ノウハウが失われると地域や社会にとって大きな損失にもなります。

中小企業庁もさまざまな支援策を打ち出している重要テーマであり、経営者に寄りそう中小企業診断士の活躍が望まれています。

情報化・IT 化 

情報化・IT化は、経営課題を解決する手段としてなくてはならないものとなっています。

しかし、すべての経営者が十分なITリテラシーを備えているわけではなく、社会全体においてもIT人材が不足しているため、中小企業には「専門知識と知見を求めて外部人材を活用したい」というニーズがあるのです。

情報化やIT化といった分野のコンサルティングを行うためには、専門性や知識のアップデートが欠かせません。

中小企業診断士の資格に加えてIT関連の資格を取得しておくのもいいでしょう。

需要が伸びない分野とは?現役診断士アンケート

ここまで「伸びる分野」に着目しましたが、同アンケートでは現役の中小企業診断士に今後需要が少なくなる(減少する)と考えている分野についても聞いています。

回答が多かったものは次のとおりです。

▼「需要が少なくなる」という回答が多かった分野

順位 分野 割合
1 商店街支援 37.6%
2 財務 8.4%
3 海外展開・国際化 6.7%
4 生産管理 6.5%
5 農林水産振興 5.9%

中小企業診断士におすすめのダブルライセンス

中小企業診断士という資格・職業には将来性がありますが、現代という時代を生き抜き、しっかりと稼ぐためには「強み」を持つことが重要となります。

強みを作る方法の1つは、他の資格を取得してダブルライセンスになることです。

ここでは中小企業診断士と相性のいい資格として、社労士、税理士、公認会計士について解説します。

中小企業診断士と社労士

社労士(社会保険労務士)は、その名のとおり社会保険労務のスペシャリストであり、企業の人事労務管理をサポートする専門職です。

ダブルライセンスを取得すれば、中小企業診断士として経営コンサルティングを行うと同時に社会保険や労務管理のサポートも提供できます。

業務の幅を広げたり、「労務管理に詳しい中小企業診断士」といった強みを持てたりすることで、顧客に提供できる価値が高まることがメリットです。

中小企業診断士と税理士

税理士税金に関するスペシャリストで、税務代理、税務書類作成、税務相談を独占業務とする国家資格です。また、税に関することだけでなく会計業務、会計参与、経営コンサルティングも守備範囲としています。

経営コンサルティングを依頼する余裕がない中小企業は、経営のさまざまな課題について顧問税理士にアドバイスを求めることが多いです。

ダブルライセンスを取得すれば、税務に関する相談をスタートに、最終的には経営コンサルティングも提案するということが可能になります。

中小企業診断士と公認会計士

公認会計士会計・監査のスペシャリストです。

会計に携わる資格の中でも最高峰に位置付けられ、独占業務(財務諸表監査)がある国家資格です。

中小企業診断士として経営コンサルティングを行うには、会計に関する知識も欠かせません。公認会計士とのダブルライセンスで、会計に強く、専門的な知識を有していることを顧客に強くアピールすることができます。

一方、公認会計士や税理士の中には、「数字から判断はできるが、具体的にどのような施策を実施すればいいのかアドバイスができない」という人もいます。

この壁を乗り越えるために中小企業診断士の資格を取得するケースも多いようです。

中小企業診断士のダブルライセンスについては、こちらの記事でも解説しています。

【あわせて読みたい】社労士・税理士・公認会計士など!中小企業診断士のダブルライセンス

まとめ

今回は中小企業診断士の将来性について解説しました。ポイントをおさらいしましょう。

  • 中小企業診断士の将来性について、現役診断士の6割以上が「需要が伸びる」と予測
  • 中小企業診断士には独占業務がないが、資格の将来性は独占業務の有無だけでは決まらない
  • 特に将来性が見込める分野は「事業承継・M&A」「情報化・IT化」など
  • ダブルライセンスで強みを持つことで将来性を高めることもできる

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