中小企業診断士試験の難易度は?合格率・科目・学習スタイルから分析!

中小企業診断士 資格試験の難易度 合格率

中小企業診断士試験は、一般的に難易度の高い試験と言われています。試験は1次試験と2次試験に分かれ、それぞれ年度ごとに合格率は異なります。

この記事では、試験の難易度や合格率を過去のデータなどいくつかの視点から見てみましょう。また難易度を理解した上での、試験合格のポイントについても解説していきます。

合格率から見る中小企業診断士試験の難易度

試験の難易度というのは、さまざまな視点から想定することができます。その中でも、合格率というのは、一番端的にその試験の難易度を測ることができるでしょう。

中小企業診断士では、1次試験(マークシート・選択式試験)と2次試験(筆記・口述試験)の2回の試験があります。

平成20年度以降の合格率は以下の通りです。それぞれの合格率から、さらに全体の合格率を算出しています。

年度1次合格率
(A)
2次合格率
(B)
試験合格率
(A×B)
平成18年度22.3%20.1%4.5%
平成19年度18.9%20.2%3.8%
平成20年度23.4%19.8%4.6%
平成21年度24.1%17.8%4.3%
平成22年度15.9%19.5%3.1%
平成23年度16.4%19.7%3.2%
平成24年度23.5%25.0%5.8%
平成25年度21.7%18.5%4.0%
平成26年度23.2%24.3%5.6%
平成27年度26.0%19.1%4.9%
平成28年度17.7%19.2%3.3%
平成29年度21.7%19.4%4.2%
平成30年度23.5%18.8%4.4%
令和元年度30.2%18.3%5.5%
令和 2年度42.5%18.4%7.8%
令和 3年度36.4%18.3%6.7%
(中小企業診断協会発表の試験統計資料よりKIYOラーニング作成)

合格率は1次試験で17~42%、2次試験で18~19%で推移しています。

しかし、それぞれは別々の試験であることから、全体で計算してみるとストレートで合格するのは、わずか4%を超える程度という合格率です。

合格者数は100人試験を受けた場合に、わずか4人しか合格できないという点を考えると、かなり難易度の高い試験であるといえるでしょう。

中小企業診断士 1次試験合格率の推移

年度

申込者数

受験者数①

受験者数②
(A)

合格者数
(B

合格率
(B)÷(A)

平成18年度16,59513,68312,5422,79122.3%
平成19年度16,84514,28512,7762,41818.9%
平成20年度17,93415,24413,5643,17323.4%
平成21年度20,05416,93015,0563,62924.1%
平成22年度21,30917,90115,9222,53315.9%
平成23年度21,14517,83215,8032,59016.4%
平成24年度20,21017,16814,9813,51923.5%
平成25年度20,00516,62714,2523,09421.7%
平成26年度19,53816,22413,8053,20723.2%
平成27年度18,36115,32613,1863,42626.0%
平成28年度19,44416,02413,6052,40417.7%
平成29年度20,11816,68114,3433,10621.7%
平成30年度20,11616,43413,7733,23623.5%
令和元年度21,16317,38614,6914,44430.2%
令和 2年度20,16913,62211,7855,00542.5%
令和 3年度24,49518,66216,0575,83936.4%

注1:受験者数①は、1科目でも受験した者の人数。
注2:受験者数②は、欠席した科目がひとつもない者の人数。

1次試験の合格基準
(1) 総点数の 60% 以上であって、かつ 1科目でも満点の 40% 未満のないこと(左記を基準に試験員会が相当と認めた得点比率)
(2) 科目合格基準は、満点の60%(左記を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率)

 

<中小企業診断士 2次試験合格率の推移>

年度

申込者数

受験者数
(A)

口述試験
対象者数

合格者数
(B)

合格率
(B)÷(A)

平成18年度4,1314,01480680520.1%
平成19年度4,0603,94780079920.2%
平成20年度4,5434,41287787519.8%
平成21年度5,4895,33195595117.8%
平成22年度4,8964,73692792519.5%
平成23年度4,1424,00379479019.7%
平成24年度5,0324,8781,2201,22025.0%
平成25年度5,0784,90791591018.5%
平成26年度5,0584,8851,1901,18524.3%
平成27年度5,1304,94194494419.1%
平成28年度4,5394,39484284219.2%
平成29年度4,4534,27983082819.4%
平成30年度4,9784,81290690518.8%
令和元年度6,1615,9541,0911,08818.3%
令和 2年度7,0826,3881,1751,17418.4%
令和 3年度9,1908,7861,6051,60018.3%

2次試験の合格基準
筆記試験における総点数の 60% 以上でかつ 1科目でも 40% 未満のものがない者であって、口述試験における評定が 60% 以上

試験の結果発表について

2次試験の結果は、合格者にのみ口述試験の案内が届きます。一方、不合格者には、各自の総得点と科目別得点を数段階に区分した結果が通知されます。この得点の区分は、AからDまで4段階に分けられています。

A判定が得点の60%以上、B判定は50~60%、C判定は40~50%、D判定は40%未満です。そのため、1科目でもD判定があると不合格になります。また、合格には総得点でA判定でなければなりません。


試験科目から見る中小企業診断士試験の難易度

◆1次試験の試験科目について

中小企業診断士は、経営コンサルタント系の資格としては、唯一の国家資格となります。そのため、試験科目は経営に関する幅広い知識が必要になるのです。例えば、1次試験では全7科目に合格しなければなりません。

【中小企業診断士 1次試験科目】

試験科目配点実施時間試験時間
1日目A.経済学・経済政策100点09:50~10:50(60分)
B.財務・会計100点11:30~12:30(60分)
C.企業経営理論100点13:30~15:00(90分)
D.運営管理100点15:40~17:10(90分)
2日目E.経営法務100点09:50~10:50(60分)
F.経営情報システム100点11:30~12:30(60分)
G.中小企業経営・政策100点13:30~15:00(90分)

同じ士業系の国家資格である公認会計士や税理士といった試験は、基本的にお金に関わる問題が、社会保険労務士であれば労務に関わることが中心となる傾向です。

それぞれに特定分野へ深く関わっている問題であるのに比べて、中小企業診断士の試験は分野が多岐に渡っていることがわかります。

◆2次試験の試験科目について

2次試験では、事例に基づいた記述式問題になります。コンサルタントとして、対象企業の状況を理解し、課題を抽出・整理したり、対策を助言するという問題が出題されます。

試験科目出題傾向※
A. 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 I組織(人事を含む)を中心とした経営戦略に関する事例
B. 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 Ⅱマーケティング・流通を中心とした経営戦略に関する事例
C. 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅲ生産・技術を中心とした事例
D. 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅳ財務・会計を中心とした事例

※テーマ横断的問題も含まれる

経営コンサルティング業務に関わるものですから、出題される内容も単に暗記で済むようなものではなく、「考えさせるような試験」となっています。

公式などを暗記して掘り下げるような受験対策が通用しないため、このような考えさせる試験は難易度がかなり高いと感じるでしょう。

しかし、逆に論理や手法に関する知識を有していて、考えることが得意な人によっては相性の良い試験となります。

学習スタイルから見る中小企業診断士試験の難易度

中小企業診断士は、働きながら受験する人の割合が高い試験です。下記の表は令和3年度 2次試験の職業別受験者数です。

令和3年度 第2次試験 勤務先区分別人数

職種申込者数試験合格者数
経営コンサルタント自営業11614
税理士・公認会計士等自営業31256
上記以外の自営業18430
経営コンサルタント事業所等勤務25855
民間企業勤務5,7901,016
政府系金融機関勤務16733
政府系以外の金融機関勤務873162
中小企業支援機関14227
独立行政法人・公共法人等勤務12420
公務員37172
研究・教育4110
学生16936
その他(無職を含む)64369
合計9,1901,600
(中小企業診断協会発表の試験統計資料よりKIYOラーニング作成)

表を見てわかるように、中小企業診断士の受験者は、民間企業勤務者が多く、会社で仕事をしながら受験している人が多いことがわかるでしょう。その他の国家資格である司法試験や公認会計士、税理士、司法書士などでは、学生や無職の受験者数が非常に高くなります。これらのことを考えると、難易度が高い試験ではあるものの、働きながらでも、効率よく勉強時間をとることができれば資格取得することが可能な資格といえます。


働きながら短期間で合格するには

資格勉強というと受験勉強を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、資格試験は受験の試験とは大きく異なります。
誤解を恐れずに大雑把に比較すると、受験は「学力」という大きな概念で振るい落とす試験であるのに対し、資格試験は「資格保有者が知っておくべき知識」を備えている人を抽出するというイメージです。

例えば中小企業診断士の試験でいうと、頭の良さや学力の高さを測定するのではなく、中小企業診断士として知っておくべきこと・理解しておくべきことがしっかり身についているかが問われます。

したがって、受験勉強と異なり、長時間・大量に勉強すればよいわけではなく、試験に対応した勉強法で効率よく勉強することが合格への近道と言えます。

これを理解しているか否かで、短期間で合格する人と、なかなか合格できない人の個人差が大きく出てしまうのが中小企業診断士の試験です。単に合格率だけで難易度を決め付けるのではなく、試験の攻略法と効率的な勉強法を最初に理解してしまえば、上記の合格率に関係なく、大きく合格に近づくことが可能です。


中小企業診断士試験に短期間で合格するポイント

1.試験を知り、効率よく合格できる学習戦略を立てること

 

試験を知り、力を入れる部分と抜く部分を明確にした学習戦略を立て、それに沿って学習を実行することです。特に、専門知識の深みにはまらないようにします。 6割の合格点を取るためには、基本的な部分、過去問で頻繁に出題される部分に努力を集中することです。

2.効率的な学習方法・学習ツールを使うこと

どのような学習ツールを使ってどのように学習するかが学習の効率=時間を大きく左右します。テキストを読んでいるだけではなかなか頭に入りませんが、全ての内容をノートにまとめるとなると膨大な時間がかかるため、どのような学習ツールを使って勉強するかはとても重要なポイントです。知識のインプットは、目や耳などの感覚から同時に行うと効率的です。また、何度もくり返し復習することで知識が定着します。

3.2次試験を意識して知識を整理すること

短期間での合格を目指すためには、初めから2次試験合格を意識した学習法により、2次の筆記試験で役立つ知識を頭の中に整理しておく必要があります。2次試験は、知識の量ではなく、いかに整理された知識をすばやく引き出せるかがポイントです。そのためには、知識の体系や関連を整理して覚えておくことが重要です。体系図や学習マップと呼ばれる図で整理すると有効です。

4.無理なく継続すること

最も重要なのは始めた勉強をやめないことです。無理な計画は長続きしません。そのためには、日々の生活の中に無理なく学習を組み込むことです。特に、通勤時間などの「すきま時間」をうまく活用することがポイントです。

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