
中小企業診断士は40代・50代といったミドル世代にもおすすめしたい資格です。
日経新聞で「学び直しに役立つ資格」として1位に選ばれたこともあるほどです。
しかし、資格取得の難易度が高いため「やめとけ」という意見を聞くこともあります。
そこで、40代・50代が中小企業診断士を取得するメリット・デメリット、中高年だからこそ注意したいことを解説します。
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そもそも中小企業診断士とはどんな資格なの?
まずは中小企業診断士がどのような資格なのか、概要を解説します。
中小企業診断士は人気の資格ですが、具体的にどのようなことができる資格なのか詳しくは知らないという方もいるでしょう。
中小企業診断士の資格に興味がある方、受験を検討している方はぜひ参考にしてください。
- 中小企業の経営課題に対応する国家資格
- 「役立つ資格」として上位に挙がる資格
中小企業の経営課題に対応する国家資格
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対して診断やアドバイスをする専門家です。
具体的には企業の現状を踏まえた上での経営計画・成長戦略の策定や、計画実行のためのアドバイス、実績や環境変化を踏まえた支援などが主な業務です。
また専門知識の活用とともに、企業と行政や企業と金融機関などを繋ぐパイプ役も担います。
こうした幅広い業務や役割に対応するために、中小企業診断士には企業経営などに関する多くの知識やスキルが必要となります。
「役立つ資格」として上位に挙がる資格
中小企業診断士は、需要と人気が非常に高い資格です。
例えば新聞社などが実施する「役立つ資格ランキング」では、常に上位に挙がっています。
また日経新聞の記事では「40代からの学び直しに役立つ資格」として、中小企業診断士が1位に選ばれたこともあります。
当該記事では中小企業診断士に対し、「企業をトータルな視点で見ることができるようになり、スキルは勤め先でも生かせる」「官民で幅広く活躍できるフィールドがあり、経験が生かせる」「難しい資格だが、これまでの知識・スキルを整理でき、開業の道もある」といった声が掲載されていました。
人生変わる?40代・50代の中高年が中小企業診断士を取得するメリットとは?
40代や50代で中小企業診断士の資格を取得すれば、以下のようなメリットが得られます。
- 社会経験豊富な中高年ほど、資格を生かせる
- 転職・独立などセカンドキャリアにも有利に働く
- 社会経験で身につけた知識が、試験勉強にも生かされる
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
社会経験豊富な中高年ほど、資格を生かせる
中高年にとって中小企業診断士が魅力的な理由は、第一にこれまでの社会経験を生かせる点にあります。
中小企業診断士の職務は、企業が抱える経営上の問題点を把握し、改善に向け具体的な取り組みを通してバックアップすることです。
長年組織に属して企業の実態をつぶさにみてきた中高年ならではの視点と、経験に裏打ちされた見識を生かせる職業といえます。
これまでの業務経験や業種・職種問わず、経験豊富なビジネスパーソンには、熟練したコミュニケーション能力や深い洞察力、あるいは企業とのパイプや各業界とのネットワークなど、何かしら積み上げてきたビジネス資源があるはずです。
企業内に潜む大きな課題と向き合うには、経営知識に精通しているだけでなく、社会人としての総合力や人間力も問われるため、中高年のスペックと経験値は大きな武器となります。
また、中小企業経営者は50代・60代が多いといわれます。
年配の経営者からは、比較的年の近い世代のほうがコミュニケーションを取りやすいと思われるかもしれません。
経営者との距離の取り方や接し方なども、社会で鍛えられてきた経験と勘がものをいいます。
関連記事:中小企業診断士とは?取るべき人や取得メリット、試験のポイントなどを解説
転職・独立などセカンドキャリアにも有利に働く
中小企業診断士の資格を取得しておけば、転職あるいは独立に有利となります。
一般的に年齢が高いほど、再就職や転職などは難しいといわれるため、ビジネス実務のスキルを証明できる国家資格があるに越したことはありません。
中小企業診断士だからといって、担当できる業務は経営相談だけとは限りません。
財務分析やマーケティングに精通していることも証明できる国家資格のため、経理部門またはマーケティング部門での活躍も期待できます。
これらの業務経験を持つ方であれば、なおさら転職も有利となるでしょう。
「独立して中小企業診断士事務所を開く」という選択肢もあります。
各業界に豊富な人脈とネットワークを持つ社会人のベテランであれば、その財産を独立開業に生かせるはずです。
知名度の高い国家資格だけに、営業活動にも好影響を与えることが期待できます。
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社会経験で身につけた知識が、試験勉強にも生かされる
中小企業診断士試験には1次試験と2次試験があり、ともに合格率は20%程度です。
難関の国家資格ですが、司法試験や司法書士試験、公認会計士試験よりは合格しやすい試験といえます。
学歴や年齢などの受験条件はなく、いくつになってもチャレンジが可能です。
中小企業診断士試験の1次試験の科目は、「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・政策」の7科目です。
経営や財務・会計、生産管理などの経験がなくとも、長い社会人経験の中でこれらの概念については何となく理解があることでしょう。
この素地があるだけでも、試験勉強へのハードルを低くする効果が生まれます。
令和5年度中小企業診断士2次試験の合格者、つまり資格取得者データをみてみると、40代以降の中高年世代が全体の約51%を占めています。
60歳以上の合格者も一定数いることを考えると、年齢関係なくどの世代の受験者にもチャンスはあるとみてよいのではないでしょうか。
中小企業診断士の偏差値は?難易度が高いといわれる原因は何?
中小企業診断士はここ数年合格率が5%前後で難易度の高い試験です。合格率で偏差値を出すと、64~67といわれています。しかし、合格に必要な勉強時間は約1,00…
中小企業診断士はここ数年合格率が5%前後で難易度の高い試験で…
「やめとけ」「後悔する」は本当?40代・50代で中小企業診断士を目指すデメリットは?
中小企業診断士は役立つ資格として人気が高く、取得するとさまざまなメリットが得られます。
一方で、「中小企業診断士はやめとけ」と言う人もいます。
中小企業診断士は、どのような理由で「やめとけ」「後悔する」と言われることがあるのでしょうか。
ここからは、40代・50代で中小企業診断士を目指す3つのデメリットを解説します。
- 勉強時間の確保が大変!仕事・家庭との両立で悩むことも
- 体力面での不安も・・・・・・。モチベーションの維持が難しい
- 独占業務がない!せっかく取得してもキャリアに生かせないことも
勉強時間の確保が大変!仕事・家庭との両立で悩むことも
1つ目は、勉強時間の確保が大変なことです。
中小企業診断士の試験合格のために必要な勉強時間は、一般的に1,000時間が目安とされています。
仮に1年で合格を目指す場合は、1週間に約20時間の勉強時間が必要です。これを実現するには、平日2時間、土日は3〜4時間勉強といった配分となります。
40代・50代は、一般的に働き盛りで業務量も多い傾向にあります。
また家族がいる場合は子育てや親の介護などがある方も多く、非常に忙しい世代かと思います。
そんな中で上記のような勉強時間を捻出するのは非常に難しいため、仕事や家庭との両立ができずに挫折してしまう人も少なくありません。
体力面での不安も・・・・・・。モチベーションの維持が難しい
2つ目は、体力面での不安があります。
40代・50代の中には、20代・30代のころと比較して体力面の不安を感じているも多いのではないでしょうか。
特に試験勉強においては、「すぐに疲れてしまって夜遅くまで思うように勉強ができない」「机に向かい続けるのが大変になった」と感じたり、暗記力や集中力などの衰えを実感したりしている人も少なくありません。
また体力面の問題によってモチベーションを維持できなくなり、途中で挫折してしまう場合もあるようです。
40代・50代になると、こうした体力面を理由として「中小企業診断士のような難しい資格に挑戦するのはやめたほうがいい」と言う人もいます。
独占業務がない!せっかく取得してもキャリアに生かせないことも
3つ目は、独占業務や設置義務がないことです。
独占業務とは、その資格を取得している人だけが行える業務のことです。
また特定の事業を行う企業において、資格保持者を所属させることが義務付けられている場合、その資格は設置義務資格と呼ばれます。
こうした独占業務や設置義務がある資格を取得していると、企業で重宝されやすくキャリアにも役立つ可能性が高まります。
しかし中小企業診断士は、ほかの士業のように独占業務や設置義務がある資格ではありません。
そのため、「中小企業診断士は試験の難易度が高い割にキャリアに生かせない資格」と言う人もいます。
やっぱり中小企業診断士はすごい資格!デメリットの乗り越え方とは?
40代・50代で中小企業診断士を目指すデメリットは前述の通りです。
ただ、中には工夫や対策次第で乗り越えられることもあります。
ここからは、中小企業診断士を目指す3つのデメリットの乗り越え方について解説します。
- 勉強時間の確保:職場と家族の理解は必須!
- モチベーションの維持:スキマ時間を積み重ねて勉強に集中!
- キャリアに生かせる?:副業で年収アップ&セカンドキャリアに生かすことも!
勉強時間の確保:職場と家族の理解は必須!
1つ目は、職場や家族の理解を得ることです。
前述の通り、40代・50代は職場や家庭内での役割や責任が大きくなる世代です。
それに加えて、中小企業診断士の勉強までこなすのは非常に大変なことでしょう。
すべてを一人で抱え込もうとしたり、試験勉強以外のことに支障が出たりしてしまうと、挫折や周囲への負担増大に繋がってしまうかもしれません。
これを防ぐには、資格取得を目指していることを公言して理解と協力を得るのが重要です。
例えば、家族には「毎晩この時間だけは勉強したい」「何月何日が試験日なので直前の◯日間は勉強時間を増やしたい」といったスケジュール感を明確に伝えましょう。
また試験を乗り越えて資格を取得できれば収入アップの可能性があることなど、メリットも説明しておくと理解が得やすくなるかもしれません。
モチベーションの維持:スキマ時間を積み重ねて勉強に集中!
2つ目は、スキマ時間を積み重ねて勉強することです。
前述の通り、仕事や家庭で忙しく体力面でも不安のある40代・50代が、毎日まとまった勉強時間を捻出して机に向かうのは難しいでしょう。
しかし通勤時間や待ち時間、昼休みなどといったスキマ時間ならあるはずです。
こうしたスキマ時間でも、例えばスマホで講義動画を見る、問題を1問でも解く、単語を1つでも覚えるといった勉強はできます。
どんなに忙しい人でも、こうしたスキマ時間を積み重ねれば1日1〜3時間程度の勉強時間が捻出できるはずです。
またスキマ時間での勉強なら机に向かい続けたり睡眠時間を削ったりする必要もないため、体力的にも無理がなく、集中力やモチベーションも維持しやすくなります。
キャリアに生かせる?:副業で年収アップ&セカンドキャリアに生かすことも!
3つ目は、副業で年収アップ&セカンドキャリアに生かすことです。
前述の通り、中小企業診断士は独占業務や設置義務がある資格ではありません。
ただ、だからといって需要がない資格というわけではありません。
むしろ中小企業診断士は企業や商工会議所、自治体など幅広い顧客からのニーズがある仕事です。
また普段は会社員として働きながら、副業として中小企業診断士の仕事をしている人も少なくありません。
例えば補助金の申請業務などはリモートでもできるため、本業が終わっている平日の夜や週末に業務を行っている人もいます。
こうした副業に取り組むことで、無理なく年収アップを叶えられるのが中小企業診断士の魅力でもあります。
40代・50代が中小企業診断士を目指すときに知っておきたい前提情報
ここからは、40代・50代が中小企業診断士を目指すときに知っておきたい前提情報をご紹介します。
合格率や同世代の割合などについても解説しますので、40代・50代から中小企業診断士を目指している方、受験を検討している方はぜひ参考にしてください。
- 中小企業診断士の合格率はどのくらい?
- 中小企業診断士は独学で合格できる?
- 実際に中高年の受験者は多い?少ない?
- 中小企業診断士は取ったけど維持できない?
中小企業診断士の合格率はどのくらい?
近年の中小企業診断士試験の合格率は、1次試験で17~42%、2次試験で18~19%で推移しています。
全体で計算してみると、ストレートで合格するのは4〜7%程度という合格率です。
▼中小企業診断士試験の合格率
| 年度 | 1次合格率(A) | 2次合格率(B) | 一発合格率(A×B) |
|---|---|---|---|
| 令和元(2019) | 30.2% | 18.3% | 5.5% |
| 令和2(2020) | 42.5% | 18.4% | 7.8% |
| 令和3(2021) | 36.4% | 18.3% | 6.6% |
| 令和4(2022) | 28.9% | 18.7% | 5.4% |
| 令和5(2023) | 29.6% | 18.9% | 5.6% |
| 令和6(2024) | 27.5% | 18.7% | 5.1% |
| 令和7(2025) | 23.7% | – | – |
中小企業診断士は独学で合格できる?
中小企業診断士に合格するには、1次試験7科目、2次試験4科目の合計11科目で合格点をとる必要があります。
出題範囲は非常に幅広いため、すべてを完璧に覚えようとするといくら時間があっても足りません。
特に独学の場合、合格レベルの実力を身につける難易度は非常に高いと言えるでしょう。
しかし工夫次第では、独学での合格も不可能ではありません。
社会人が独学で中小企業診断士を目指す場合、完全な独学ではなく通信講座などを利用する人が多い傾向です。
中には忙しい社会人向けにカリキュラムが工夫されていたり、スマホなどを使って手軽に学べるものもあるため、自分にあった講座を探してみるとよいでしょう。
実際に中高年の受験者は多い?少ない?
年齢別の傾向を見ると、申込者数が最も多いのは40代です。
一方、合格者の28.5%が40代、28.2%が30代となっています。

| 申込者数(名) | 試験合格者数(名) | |
| 20歳未満 | 166 | 12 |
| 20~29歳 | 3,579 | 574 |
| 30~39歳 | 6,828 | 1,227 |
| 40~49歳 | 7,360 | 1,236 |
| 50~59歳 | 6,181 | 973 |
| 60~69歳 | 1,893 | 300 |
| 70歳以上 | 204 | 22 |
| 合計 | 26,211 | 4,344 |
中小企業診断士は取ったけど維持できない?
中小企業診断士の資格は、登録日を起点として5年間有効です。その後も資格を保有し続けるには、更新手続きが必要となります。
更新をするには、申請日までに専門知識補充要件と実務要件の両方を満たす必要があります。
一般的には、下記の項目で要件を満たすことが多い傾向です。
・専門知識補充要件
理論政策更新(理論政策)研修を修了したこと。
・実務要件
診断助言業務等に従事したこと。
なお中小企業診断士の「更新研修」と呼ばれるものは、「(1)専門知識補充要件」における「1)理論政策更新(理論政策)研修」を指します。
この研修を資格の登録日から5年間に5回修了すれば、専門知識補充要件を満たせます。
理論政策更新研修の受講料は6,300円(税込)で、支払い方法は口座振込です。
こうした更新を資格の有効期間の満了日までに行わなかった場合は、中小企業診断士としての登録が削除され、有資格者と名乗れなくなります。
ただし更新に必要な専門知識補充要件と実務要件を有効期間満了日までの5年間で満たしている場合は、登録を削除された日から1年を超えなければ再登録申請が可能です。
スタディングを利用して中小企業診断士合格した人の声
【実例】S.Dさん 2024年合格
・受験勉強で工夫されたこと
1次試験は練習問題と過去問セレクトを繰り返し解きました。解説を見てから応用もきくように心がけました。
・モチベーションの保ち方
先に計画を立てて、期限までに学習を終えるように心がけました。なるべく早く過去問演習に入った方が、解けるようになる感覚を持てるので良いと思います。
・スタディングの活用方法
動画を2倍速で聞くと集中もできておすすめです。
※一部抜粋
出典:スタディング「動画を2倍速で聞くと集中もできておすすめです。」
【実例】tyさん 2023年合格
▪️受験勉強で工夫したこと
一次試験に向けてはスタディングのみを実施しました。トータル350時間程度の学習量でした。昨年二月から開始し、早く2周回すことを目標に五月までに予定通り進捗しました。六月からは中だるみしましたが、記憶が曖昧な点はノートに書き出して記憶の定着を図りました。
二次試験はスタディングに加え、インターネット動画、ブログを参考にして、事例4対策で市販の問題集を実施しました。
▪️スタディングの活用方法
基本的な使い方は推奨されているとおり、動画を高速で見て、問題集でアウトプットしました。また用意されているテキストを繰り返し読んで理解する、覚えることを実施しました。
※一部抜粋
出典:スタディング「基本的な使い方は推奨されているとおり、動画を高速で見て、問題集でアウトプットしました。」
まとめ
この記事では40代・50代が中小企業診断士を取得するメリットなどについて解説しました。
- 中小企業診断士は役立つ資格として常に上位に挙がる資格
- 取得するメリットは社会経験が生かせる、セカンドキャリアで有利になるなど
- デメリットは仕事・家庭との両立が大変、体力面での不安など
- 家族の理解を得て勉強時間を確保する、スキマ時間で学ぶなど工夫次第で対策可能
中小企業診断士は難易度の高い資格ですが、取得できればさまざまなメリットを得られます。
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