
中小企業診断士はどの程度すごい資格なのでしょうか。
経営全般に関する知識を証明できる難関資格ですが、具体的にどの程度難しいのかわからないという方もいるでしょう。
本記事では、中小企業診断士はすごい資格なのか、難易度や必要な勉強時間の目安、年収、将来性などさまざまな観点で解説します。
中小企業診断士の取得を目指している方、検討している方はぜひ参考にしてみてください。
中小企業診断士はすごい資格?
中小企業診断士がどの程度すごい資格なのか、ここでは以下6つのポイントで見ていきましょう。
- さまざまなジャンルの知識を備えている
- 会社員としての業務にも活かせる
- 資格の活用方法が多岐にわたる
- 年収1,000万円以上を得る人が一定数いる
- 資格試験の合格率が低めである
- 一定期間にわたる勉強が必要である
1つずつ解説します。
さまざまなジャンルの知識を備えている
中小企業診断士の試験では、会計や物流、ITなど幅広くさまざまなジャンルを学ぶため、知識が広がります。
コンサルタントとしての活躍はもちろん、一般的なビジネスパーソンとして業務に取り組む際にも幅広い知見をもとに解決策や戦略を考えられるため、活躍の機会が増えるでしょう。
会社員としての業務にも活かせる
中小企業診断士といえば、コンサルタントとしての活動や独立といったイメージがあるかもしれません。
しかし、一般企業での業務に知識を活かすことも十分可能です。
「競合他社や取引先の経営状況を分析する」「自社のマーケティング戦略を見直す」「新規事業の組織体制を考える」など、中小企業診断士の知識が役立つ機会は少なくありません。
このような場面で幅広い知見をもとに提案できれば、「すごい」といわれることも珍しくないでしょう。
資格の活用方法が多岐にわたる
中小企業診断士の取得後、そのキャリアには以下のようにさまざまな選択肢があります。
- コンサルティング会社に勤務
- 企業内診断士として活躍
- コンサルタントとして独立
- 起業して診断士の知見を活かす
- 副業で診断士の知見を活かす
コンサルティング会社での勤務はもちろん、一般企業で企業内診断士として働くことも可能です。
キャリアを積み重ねたあとは、独立や企業といった選択肢もあります。
中小企業診断士は、キャリアの幅を大きく広げてくれる資格だといえるでしょう。

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年収1,000万円以上を得る人が一定数いる
一般社団法人中小企業診断協会が令和3年に公表した「中小企業診断士活動状況アンケート調査」によると、アンケートに回答した中小企業診断士の45.4%が年間売上または年収801万円以上となっています。
また、1,000万円以上の割合も3割以上であり、中小企業診断士は高収入を得る人が多いといえるでしょう。
年収の観点でも、中小企業診断士は十分すごい資格だといえそうです。
なお、これは「年間売上または年収」の金額であり、年間売上の場合はその金額がそのまま収入となっているわけではありません。
しかし、経営コンサルティング業務には大きな経費がかからないケースが多いため、利益も大きく残っていることが想像できます。

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資格試験の合格率が低めである
中小企業診断士試験は、1次試験(筆記)と2次試験(筆記と口述)で構成されています。
近年の中小企業診断士試験の合格率は、次の表のとおりです。
▼中小企業診断士試験の合格率
年度 | 1次合格率(A) | 2次合格率(B) | 一発合格率(A×B) |
---|---|---|---|
令和元(2019) | 30.2% | 18.3% | 5.5% |
令和2(2020) | 42.5% | 18.4% | 7.8% |
令和3(2021) | 36.4% | 18.3% | 6.6% |
令和4(2022) | 28.9% | 18.7% | 5.4% |
令和5(2023) | 29.6% | 18.9% | 5.6% |
令和6(2024) | 27.5% | 18.7% | 5.1% |
年度によって異なるものの、最終的な合格率はおおむね5%前後で推移しています。

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一定期間にわたる勉強が必要である
中小企業診断士試験の合格に必要な勉強時間の目安は、1,000時間程度とされています。
前述の通り、中小企業診断士の合格率は5%前後と低い傾向にあります。
必要な勉強時間や合格率の観点から、国家資格のなかでも難易度の高い「すごい」資格だといえるでしょう。
社会人が合格を目指すには、スキマ時間などをうまく使って効率よく勉強を進めていく必要があります。

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中小企業診断士の将来性は?「やめとけ」との意見もある?
取得すればすごいといわれる中小企業診断士ですが、一方で「やめとけ」との意見もあります。
ここでは、中小企業診断士の将来性について以下3つのポイントで解説します。
- 「やめとけ」といわれる理由
- スキル次第で高い収入を得られる資格
- ほかの診断士・コンサルタントとの差別化が重要
「やめとけ」といわれる理由
中小企業診断士について「やめとけ」といわれる理由の一つは、独占業務がないことでしょう。
独占業務とは、資格取得者のみが独占的に行える業務のことです。
例えば、税理士であれば税務書類の作成や税務相談といった独占業務があります。
しかし、中小企業診断士にはこうした独占業務がありません。
資格を取得していない人でも、経営コンサルティングなどの業務は自由に行うことができるのです。
また中小企業診断士の仕事は、資格さえ取得できればうまくいくというものではありません。
「仕事を獲得できるか」「うまくコンサルティングできるか」は、本人のスキル次第です。
このような理由から、中小企業診断士の資格を取得しても意味がないと考える人がいるのかもしれません。
スキル次第で高い収入を得られる資格
独占業務がない点や結局はコンサルティングのスキル次第である点から、中小企業診断士は「やめとけ」という意見もあります。
しかし、前述の通り中小企業診断士のなかには年間売上または年収が1,000万円を超える人が少なくありません。
中小企業診断士という資格を所持していることが顧客からの信頼獲得につながったり、試験対策を通じて身につけた経営の知識が実務に役立ったりすることで、高い収入を得やすくなることは間違いないでしょう。
資格に合格するだけではたしかにあまり意味はないかもしれませんが、うまく活用できればキャリアアップや年収アップにつながる可能性の高い魅力ある資格だといえます。

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ほかの診断士・コンサルタントとの差別化が重要
中小企業診断士には、前述の通り独占業務がありません。
そのため、競争を勝ち残っていくためにはほかの診断士やコンサルタントとの差別化が重要です。
具体的には、得意分野を作ったりほかの資格と組み合わせたダブルライセンスにしたりといった方法が考えられます。
例えば、近年ではIT技術の進歩や企業によるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を背景に、IT人材のニーズが急速に高まっています。
IT領域に特化したり、IT関連の資格を取得したりといった方法で差別化を図るのは有効な手段だといえるでしょう。

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まとめ
本記事では、中小企業診断士はすごい資格なのか、難易度や必要な勉強時間の目安、年収、将来性などさまざまな観点で解説しました。
ポイントをまとめると、以下の通りです。
- 中小企業診断士はさまざまな知識を備えており、それらは会社員としての業務にも活かせる
- コンサルティング会社での勤務や企業内診断士、独立、起業、副業など選択肢が広がる
- 資格取得者には年間売上または年収で1,000万円以上を得る人が一定数いる
- 合格率が低く、一定期間にわたる勉強が求められることから、取得すれば「すごい」といえる難関資格
- 独占業務がないため「やめとけ」といわれることもあるが、スキル次第で高収入を得られる
- 差別化をするには得意分野を作ったりダブルライセンスを目指したりするのがよい
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