中小試験診断士になるためには試験に合格する必要があります。試験は以下の3ステップでクリアして行くことになります。
①1次試験(筆記試験)
↓
②2次試験(筆記試験)
↓
③2次試験(口述試験)
ここではこの試験の日程だけでなく、受験できる会場や申し込みなども含めて詳しいスケジュールをご紹介します。
中小企業診断士の試験は、例年以下の日程で行われています。
試験内容 | 試験時期 |
1次試験(筆記試験) | 8月上旬の土・日曜日の2日間 |
2次試験(筆記試験) | 10月下旬の日曜日 |
2次試験(口述試験) | 翌年1月下旬の日曜日 |
このように、例年決まった時期に試験が行われています。正式な試験日程は例年では4月頃に公表されます。
令和4年度(2022年度)は以下の日程です。
試験内容 | 試験日 | 合格発表 |
1次試験(筆記試験) | 令和4年8月6日(土)・7日(日) | 令和4年9月6日(火) |
2次試験(筆記試験) | 令和4年10月30日(日) | 令和5年1月12日(木) |
2次試験(口述試験) | 令和5年1月22日(日) | 令和5年2月1日(水) |
いずれも合格発表から次の試験までの期間が短いため、前もってしっかりと準備をしておくことが大切です。
【あわせて読みたい】令和4年度(2022年度) 中小企業診断士試験の試験日程
中小企業診断士試験は全国各地で行われますが、すべての都道府県で実施されるわけではないため注意が必要です。また、1次試験と2次試験でも試験会場の数は異なるため、事前の確認は欠かせません。
令和4年度(2022年度)の中小企業診断士試験会場は以下の通りです。
試験内容 | 試験会場 |
1次試験 | 札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、那覇(8会場) |
2次試験 | 札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡(7会場) |
地域によっては近くに試験会場が設けられていないケースもあるため、スケジュールの調整や移動手段、宿泊場所(1次試験は2日制)などの確保は早めに行う必要があります。
中小企業診断士の1次試験では受験資格は設けられていません。そのため、誰でも受験することができます。
中小企業診断士の受験料は1次試験が1万4,500円 、2次試験が1万7,800円です。令和4年度(2022年度)より改訂されているため、注意してください。
中小企業診断士試験を受験するためにはまず申し込みが必要です。ここでは申し込み期間と方法について詳しくご紹介します。
▼申し込み期間
令和4年度(2022年度)の中小企業診断士試験の申し込み期間は以下の通りです。※1次試験の申し込みは5月31日(火)をもって終了しています。
試験内容 | 申し込み期間 |
1次試験(筆記試験) | 令和4年4月28日(木)〜5月31日(火) |
2次試験(筆記試験) | 令和4年8月26日(金)〜9月22日(木) |
2次試験(口述試験) | 筆記試験と同様(実施日は令和5年1月22日(日)) |
申し込み期間は1次試験、2次試験ともに1ヶ月もないため、受験を予定している方は早めに準備するようにしてください。
▼申し込み方法
【要注意】
中小企業診断士試験はオンラインでの申し込みや必要書類の請求ができません。試験案内・受験申込書(願書)の入手は非常に重要なので、スケジュールに余裕をもって準備しましょう。
試験案内・受験申込書は「郵送による請求」あるいは「指定窓口での受け取り」にて入手します。
郵送の場合、封筒に「中小企業診断士1次試験案内請求」と明記した上で、返信先の郵便番号、住所、氏名など記入した返信用角形2号封筒に140円分の切手を貼ったものを入れてください。その後、地区の一般社団法人中小企業診断協会に郵送します。
直接の受け取りは、全国8地区に設けられた一般社団法人中小企業診断協会の窓口で行っています。前述の申し込み期間内の土日祝日を除く平日の午前9時〜午後5時の時間帯で受け取り可能です。
中小企業診断士の試験は、選択式の第1次試験に合格後、筆記式の第2次試験を受験します。
1次、2次試験ともに、全科目の平均が60点以上で、かつ40点未満の科目が無ければ合格です。
2次の筆記試験に合格すると、口述試験(面接)がありますが、近年ほぼ全員が合格しています。
最終試験である口述試験に合格後、実務補習を修了して初めて中小企業診断士として正式に登録できます。
1次試験は、7科目の筆記試験(マークシートによる選択式)が実施されます。口述試験はありません。
▼試験科目・試験時間・配点
試験科目 |
配点 |
実施時間 |
|
---|---|---|---|
1日目 |
A.経済学・経済政策 |
100点 |
09:50~10:50(60分) |
B.財務・会計 |
100点 |
11:30~12:30(60分) | |
C.企業経営理論 |
100点 |
13:30~15:00(90分) | |
D.運営管理 |
100点 |
15:40~17:10(90分) | |
2日目 |
E.経営法務 |
100点 |
09:50~10:50(60分) |
F.経営情報システム |
100点 |
11:30~12:30(60分) | |
G.中小企業経営・政策 |
100点 |
13:30~15:00(90分) |
1次試験の科目ごとの特徴や攻略方法は、こちらの記事で解説しています。
2次試験は、まず4科目(記述式)の筆記試験が実施されます。
▼試験科目・試験時間・配点
試験科目 | 配点 | 実施時間 |
---|---|---|
A. 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 I | 100点 | 9:40~11:10(80分) |
B. 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 Ⅱ | 100点 | 11:40~13:00(80分) |
C. 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅲ | 100点 | 14:00~15:20(80分) |
D. 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅳ | 100点 | 16:00~17:20(80分) |
▼合格基準
2次試験の科目ごとの特徴や攻略方法は、こちらの記事で解説しています。
【あわせて読みたい】中小企業診断士の2次試験対策!合格をつかむ3つの基本戦略を解説
2次試験の筆記試験を突破すると、口述試験に進むことができます。これに合格できれば試験に合格です。試験時間は1人10分間程度です。
これまでの筆記試験と異なるのは、口述受験者のほぼ全員が合格するという点です。落とすための試験ではありませんので、準備をしっかりして、受験生活の総まとめをキッチリと行いましょう。
口述試験の内容と対策については、こちらの記事で解説しています。
中小企業診断士の試験は科目数が多いこともあり、1次試験に科目合格や科目免除という制度が設けられています。
「科目合格」は過去の試験で科目合格によって次回から申請することで試験が免除になるという制度のこと。一方「科目免除」は、他の資格を保有していることで一部科目が免除になる制度です。名前は似ているものの違う制度なので注意しましょう。
科目合格は、1次試験の全7科目の総合点で合格基準を満たせず不合格になっても、科目別の合格が翌年、翌々年の試験で反映されるという制度です。つまり、個別の合格基準を一度満たすことができれば、翌年、翌々年は免除を受けることができるため、他の科目の勉強に集中できるのです。
各科目の合格基準は満点の60%とされていますが、最終的には試験委員会が相当と認めた得点比率を獲得することで科目合格が認められます。
先述の通り、科目合格をしていても、翌年、翌々年の試験で自動的に免除になるわけではありません。申請が必要となるので、制度を利用する予定の方は注意してください。
科目合格は一度合格すればずっと有効というわけではありません。有効期限が設けられており、その期間は2年間です。つまり、科目合格をすると翌年と翌々年の試験では免除を受けることができます。
例えば3年連続で中小企業診断士の試験を受験する場合、3年目は1年目と2年目の科目合格の適用を受けることができます。
具体例を知りたい方は、試験実施機関のWebサイトで詳しく確認できます。
【参考】一般社団法人 中小企業診断協会「第1次試験科目合格パターン例」
一見すると科目合格したのであれば免除を受けた方が有利に思えるかもしれません。事実試験免除が受けられれば、その分別の科目の勉強に集中することができるといったメリットがあります。
その一方で、免除を受けると合格基準は「受験した科目の総得点の60%、かつ全ての科目で40%未満がない」というものになります。
中小企業診断士試験の各科目の難易度には毎年ある程度のバラつきがあります。特定の科目の難易度が高いという可能性もあるため、受験科目があまりに少なくなるとリスクが高くなるのです。
特に得意科目は高得点を獲得しやすいことから「総得点の60%以上」という条件を満たすためにあえて得意科目の免除を受けず受験するという戦略も考えられます。
【あわせて読みたい】中小企業診断士の1次試験の科目合格制度について
ここからは科目免除について詳しくご紹介します。すでにご紹介した通り、科目合格による免除と混同されてしまいがちですが、まったく異なる制度です。
科目免除はすでに他の資格を保有しているといった特定の条件を満たした際に、1次試験の一部科目が免除されるという制度です。
免除申請ができるのは以下の科目です。
科目免除も資格を保有しているだけで自動で免除されるのではなく、事前の申請が必要です。制度を利用する予定の方は注意してください。
科目免除を受けることによって、試験勉強に必要な時間も少なくなるといったメリットがあります。しかし、この制度を利用する際にはよく検討する必要があります。
そもそも、科目免除を受けられる資格を保有しているということは、該当科目について一定以上の知識を持っている、つまり高得点を取りやすいと考えられます。
中小企業診断士試験の合格基準のひとつに「受験科目全体の60%以上の得点を獲得する」というものがあります。科目免除を利用するのではなく、あえて得意科目を受験することによって総得点を押し上げるという効果が期待できます。
このように、科目免除を利用しないことのメリットもあるということを頭に入れて検討してみてください。
資格試験を受験する際にはさまざまな疑問が浮かんでくるものです。これらが解決できないことで受験に踏み出せないという方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは中小企業診断士試験においてよくある質問をピックアップして回答します。
中小企業診断士は国家資格の中でも難関のひとつに分類されるものです。1次試験の合格率は20〜35%、2次試験の合格率は20%前後、最終的な合格率は4〜6%となっています。
同じく難関とされる社労士で4〜6%、司法書士で4〜5%であることを考えると、法律系知識が求められる国家資格の中でもトップレベルの難易度の試験であると言えます。
その一方で、1次試験には科目合格といった制度もあるため複数年をかけて合格を目指すことが可能な資格でもあります。
【あわせて読みたい】中小企業診断士試験の難易度は?合格率・科目・学習スタイルから分析
試験合格に必要な勉強時間は、勉強の効率や集中力などによって異なります。そのため、一概に何時間勉強すれば合格できると断言することはできません。しかし、試験対策のスケジュールを立てるためにはある程度の目安を知る必要があります。
中小企業診断士合格のために必要な勉強時間は一般的に1,000時間ほどと言われています。科目合格という制度もありますが、1年間でストレートでの合格を目指すのであれば1週間に20時間、1日に3時間ほどの勉強時間の確保が必要です。
【あわせて読みたい】中小企業診断士合格に必要な勉強時間はどれくらい?
【あわせて読みたい】中小企業診断士にストレート合格する人の特徴は?
中小企業診断士の資格を取得することによって、企業の状況などを診断してさまざまな角度からアドバイスすることができます。つまり、経営コンサルタントとして活躍する上でとても有利に働く資格であると言えます。
経営コンサルタントとして独立・開業できるのみでなくコンサルティング会社などに所属してキャリアアップを目指すことができます。
コンサルティングに対する需要は高いこともあり、将来性の高い資格であるとも言えます。
【あわせて読みたい】中小企業診断士とは?どんな仕事?試験制度は?
中小企業診断士試験に合格しても、そのまますぐに中小企業診断士として企業コンサルティングなどの業務を行えるわけではありません。通常は2次試験に合格した後に「実務補習」を受ける必要があります。
「実務補習」は2次試験合格後3年以内に受ける必要があります。内容は複数人(5人程度)のグループで指導員の指導を受けながら経営コンサルティングの実務を行います。5日間で1社のコンサルティングを行い、合計で3社、15日間の実務を行うことで中小企業診断士としての登録が可能となります。
「実務補習」を受ける以外にもコンサルティング会社などに所属して診断実務を15日以上行うことでも登録要件を満たすことができます。しかし、いきなり診断実務を行うのは難しいこともあり「実務補習」を受けるのが一般的です。
今回は中小企業診断士試験の日程や内容、そして科目合格や科目免除といったシステムについて詳しくご紹介しました。それでは、ポイントを改めておさらいしましょう。
中小企業診断士試験は国家資格の中でも難関のひとつ。しかし、しっかりと準備することで独学で合格を目指すことが可能です。キャリアアップにも有効な資格なので資格取得を考えているのであれば有力な候補のひとつとなるでしょう。
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