中小企業診断士と簿記1級はどっちの難易度が高い?ダブルライセンスについても解説

中小企業診断士と簿記1級は、どちらもビジネスに役立つ人気の資格です。

どちらを取るべきかや、ダブルライセンスのメリットを知りたい方は多いでしょう。

本記事では中小企業診断士と簿記1級について、それぞれの概要や難易度、ダブルライセンスのメリットについて解説します。

中小企業診断士と簿記1級のいずれか、または双方に興味があるという方は、ぜひ参考にしてみてください。

スキマ時間で中小企業診断士になる
短期合格者の勉強法
【スタディング 中小企業診断士講座】

中小企業診断士・簿記1級の概要

ここでは、中小企業診断士と簿記1級それぞれの資格についてご紹介します。

中小企業診断士とは

中小企業診断士は経営コンサルタントとして必要な知識・スキルを証明できる国家資格です。

経営に関する幅広い知識を活かして企業の経営状況を診断し、適切なアドバイスを行なうのが主な仕事です。

日本版のMBA(経営学修士)ともいわれ、独立開業してコンサルタントになったり企業内のキャリアアップに役立てたりと、活躍の場が広がる人気の資格です。

中小企業診断士の試験は1次試験と2次試験で構成されており、1次ではマークシート形式の試験7科目、2次では筆記試験4科目と口述試験が行なわれます。

過去問の傾向を見ると、中小企業診断士の試験で簿記の知識が問われるのは、1次試験の「財務・会計」と2次試験の事例Ⅳです。

企業の経営を分析するうえで財務・会計の状況を的確に把握する能力は不可欠であるため、しっかり学んでおくことで実務でも大いに役立つでしょう。

簿記1級とは

簿記資格のなかでも、就職を控える大学生や社会人に人気なのが日商簿記です。

その日商簿記のなかでもっとも難易度が高いのが1級であり、合格すれば経理・会計のスペシャリストとして多くの企業で重宝されます。

日商簿記1級の試験は商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算という4つの科目で構成されており、出題内容が専門的かつ幅広い試験です。

1級を取得すれば、大企業の連結決算などにも対応できる専門性の高い人材と評価され、多くの企業から求められるようになるでしょう。

簿記はビジネスパーソン全般に必須の知識としても広く認知されているため、経理・会計以外の職種であっても就職・転職などの際に有利に働くはずです。

中小企業診断士と簿記1級はどっちの難易度が高い?

ここでは、中小企業診断士と日商簿記1級の難易度について以下2つのポイントで解説します。

  • 資格取得は中小企業診断士のほうが難しい
  • 会計分野に限定すれば簿記1級のほうが難しい

資格取得は中小企業診断士のほうが難しい

試験合格に必要な勉強時間や合格率の観点から、日商簿記1級よりも中小企業診断士のほうが資格取得は難しいといえます。

まず、合格までに必要な勉強時間の目安はそれぞれ以下の通りです。

  • 中小企業診断士:1,000時間程度
  • 日商簿記1級:400~700時間(簿記2級レベルの知識を持っている前提)

中小企業診断士は、財務・会計以外にもさまざまな出題科目があり、経営全般について幅広く学ぶ必要があります。

そのため目安勉強時間も1,000時間程度と多くなっており、1日3時間の勉強を1年間続けてようやく合格できるレベルです。

合格率も1次が25%程度、2次が18%前後となっており、全体を通して5%前後と難易度の高い試験です。

日商簿記1級も簿記資格のなかではもっとも難易度の高い資格の1つであり、勉強時間は400~700時間、合格率は10%前後となっています。

しかし、中小企業診断士と比較すれば難易度は少し下がるといえるでしょう。

会計分野に限定すれば簿記1級のほうが難しい

前述の通り、試験の合格自体は中小企業診断士のほうが日商簿記1級より難しいでしょう。

しかし、出題科目のうち会計分野の難易度に限定して比較すると、日商簿記1級のほうが難しいといえます。

中小企業診断士の試験に必要な簿記の知識は日商簿記2級レベルであり、1級ほどの専門性は求められない傾向にあります。

経営の専門家として会計に精通している必要はあるものの、経理の実務を行なうわけではないため、当然ともいえるかもしれません。

日商簿記2級以上を取得している方にとっては、勉強内容も取り組みやすいものが多いでしょう。

中小企業診断士と簿記1級はどっちを取るべき?

ここでは、中小企業診断士と日商簿記1級の共通点や違いを踏まえ、それぞれの資格を取るべきなのはどのような人か解説します。

どの資格を取るべきか悩んでいるという方は、ぜひ参考にしてみてください。

中小企業診断士がおすすめな人

中小企業診断士の取得がおすすめなのは、以下のような人です。

  • 経営コンサルティングに携わりたい
  • 将来的に独立したい
  • 会計以外の経営知識も習得したい
  • キャリアアップを目指したい

中小企業診断士は、経営コンサルタントとしての活躍が期待される国家資格です。

資格を取得すれば、コンサルティング会社への就職・転職はもちろん、実績や人脈次第では独立も十分視野に入るでしょう。

また、試験勉強を通じて学ぶ分野は財務・会計だけでなく、経営理論やマーケティング、法務、ITなど多岐にわたります。

コンサルティング会社以外の一般的な企業においても知識やスキルを活かせる場面は多く、キャリアアップにつながりやすいといえます。

簿記1級がおすすめな人

一方、日商簿記1級の取得がおすすめなのは以下のような方です。

  • 会計のスペシャリストとして活躍したい
  • ビジネスパーソンとして会計の知識を身につけたい

日商簿記1級は、経理・会計の分野において公認会計士や税理士などの難関資格に次ぐレベルの高い資格だといえます。

連結決算など大手企業の経理・会計担当者に必要な知識が身につくため、日商簿記1級を取得することでより規模の大きな企業に転職するといった可能性も広がるでしょう。

また、簿記自体がビジネスパーソンにとっての必須知識として広く認知されており、企業の管理職研修などにも採用されています。

簿記の基礎知識を身につけることが目的なら2級レベルで十分ともいえますが、1級を取得しておけばより大きな強みになるはずです。

中小企業診断士と簿記のダブルライセンスは意味がある?

中小企業診断士と簿記をどちらも取得し、ダブルライセンスの状態になることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは、以下4つのポイントで解説します。

  • 中小企業診断士と簿記2級のダブルライセンスは意味がある?
  • 中小企業診断士と簿記1級のダブルライセンスは意味がある?
  • 中小企業診断士と簿記はどっちを先に取るべき?
  • 中小企業診断士と相性のよいその他の資格は?

中小企業診断士と簿記2級のダブルライセンスは意味がある?

中小企業診断士と日商簿記2級のダブルライセンスは、ビジネスシーンにおける相乗効果はあまりないといえます。

中小企業診断士を取得するだけで一定の会計知識が備わっていると判断されるため、追加で日商簿記2級を取得する意味は大きくないでしょう。

ただし、日商簿記2級の知識を先に習得しておけば中小企業診断士試験の対策は進めやすくなるはずです。

また、日商簿記2級の合格に必要な勉強時間の目安は100~250時間程度であるうえ、ネット試験の導入によって柔軟に受験日程を設定できるため、比較的短期間で取得しやすいというメリットがあります。

就職や転職を見据えて履歴書に書ける資格を早めに取得したいという場合は、検討の余地があるでしょう。

このように、中小企業診断士へのステップアップを見据えて先に日商簿記2級を取得し、結果的にダブルライセンスになるというケースなら意味はあるといえます。

ただし、中小企業診断士には科目合格の制度もあるため、試験日程を待てる場合は中小企業診断士に絞って挑戦するのもありです。

中小企業診断士と簿記1級のダブルライセンスは意味がある?

中小企業診断士と日商簿記1級のダブルライセンスであれば、経営全般に精通しながらも、特に会計領域で高い専門性があることをアピールできます。

日商簿記のなかでもっとも難易度の高い1級を所持していれば、高度な専門知識を有すると判断され、企業の財務・会計に関する経営課題の解決を期待されるでしょう。

このように中小企業診断士として会計領域の専門性を高めるため、日商簿記1級の資格取得を目指すのはありだといえます。

企業の経営コンサルティングを実施するなかで会計知識の不足を感じる場合は、日商簿記1級の取得を検討してみるとよいでしょう。

中小企業診断士と簿記はどっちを先に取るべき?

中小企業診断士と簿記のどちらを先に取るべきかは、資格取得の目的によって異なります。

「一度の受験で中小企業診断士試験に合格する自信がない」「早い段階でアピールできる資格が欲しい」といった場合は、先に日商簿記2級を取得するのもよいでしょう。

中小企業診断士と比較すれば、かなり短い期間でアピール可能な資格を取得できる可能性があります。

ただし、経営コンサルタントとして働くのが目的なら、最初から中小企業診断士だけに絞るのも1つの手です。

一度で合格出来なかった場合でも、中小企業診断士試験には科目合格制度があるため、合格した科目については専門知識を持っていることをアピールできます。

中小企業診断士の合格後、会計分野を強みにしたい場合は日商簿記1級の取得を検討するとよいでしょう。

中小企業診断士と相性のよいその他の資格は?

中小企業診断士と相性のよい資格は、簿記のほかに以下のようなものがあります。

  • IT系資格
  • 社労士(社会保険労務士)
  • 税理士
  • 公認会計士
  • 行政書士
  • 弁理士

IT系資格は、昨今のIT技術の進歩や企業のDX推進にともないニーズが高まっており、より専門的なIT知識をもとに経営コンサルティングができることは大きなアドバンテージになるでしょう。

経営コンサルティングと相性のよいIT系資格としては、ITストラテジストや情報処理安全確保支援士などが挙げられます。

社労士や税理士、公認会計士、行政書士、弁理士といった資格も相性がよく、取得すればそれぞれの専門知識を活かしたコンサルティングができたり、企業からの依頼をワンストップで対応できたりといったメリットがあります。

例えば、本来なら経営コンサルタントと行政書士に別々に業務を依頼すべきところ、まとめて対応してもらえればクライアントにとってはありがたいはずです。

相性のよい資格を取得してタブルライセンスになれば、中小企業診断士としてクライアントに提供できる価値が高まります。

まとめ

本記事では中小企業診断士と簿記1級について、それぞれの概要や難易度、ダブルライセンスのメリットについて解説しました。

ポイントをまとめると、以下の通りです。

  • 中小企業診断士は経営コンサルタント、日商簿記1級は経理・会計のスペシャリストを目指す方におすすめの資格
  • 勉強時間や合格率の観点から見れば、日商簿記1級よりも中小企業診断士のほうが難しい
  • ただし、会計分野の難易度だけで比較すれば日商簿記1級のほうが難しい
  • 経営コンサルティングに携わりたい方や将来独立したい方には中小企業診断士がおすすめ
  • 会計のスペシャリストとして活躍したい方には日商簿記1級がおすすめ
  • 中小企業診断士と日商簿記2級のダブルライセンスに大きな相乗効果は期待できない
  • 中小企業診断士と日商簿記1級のダブルライセンスなら、会計領域に強い経営コンサルタントとしてアピールできる
  • 簿記のほかにもIT系資格や税理士、行政書士などがダブルライセンスにおすすめ

これから中小企業診断士の取得を目指すという方は、スタディング「中小企業診断士講座」の無料体験をぜひお試しください。

スキマ時間にオンラインで手軽に学べるため、効率よく学習を進められます。