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弁護士が中小企業診断士を取る理由とは?

弁護士が中小企業診断士の資格を取る理由とは? 記事画像

企業法務に精通できる

弁護士の中には、インハウスロイヤーというかたちで企業法務に従事する方も少なくありません。

この立場の弁護士は、紛争処理や法的トラブルの予防などに努めるとともに、経営戦略にも深くコミットします。

事業継承や再生、M&Aなどの事案について、企業法務のスペシャリストとして的確なアドバイスを送るには、会社法などの法律に精通するだけでなく、経営学や会計学にも理解を深める必要があるのです。

弁護士資格を取得すると、自動的に税理士や行政書士、社会保険労務士などの独占業務も行えることになっていますが、中小企業診断士や公認会計士といった経営関連の専門資格の取得・登録は認められません。

これは、法律知識と実際の経営スキルはまったく別物であることの証左ともいえるでしょう。実際、すべての弁護士が最初から企業法務に明るいとは限らず、経営や会計に詳しくないばかりに業務が滞るといった例もみられます。

企業法務においてこのような問題を解決するには、弁護士自身が経営実務のスキルをもつことが最良の方策といえます。

中小企業診断士を取得する弁護士が増えているのは、そうした事情と無関係ではありません。

紛争予防に役立つ

弁護士の仕事は主に「紛争の解決」と思われがちですが、どの企業もできることなら紛争など起こしたくないと考えるでしょう。そのほうが、はるかにコストメリットがあり、イメージダウンや信頼低下などのリスクを防げるからです。事案によっては、たったひとつの法的トラブルで会社は傾きます。企業としては、紛争処理より紛争予防分野に対する投資や取り組みが重要視されるのです。

企業法務を予防の観点から支援するには、経営課題を的確に発見し、リスクマネジメントにつなげるノウハウをもつ弁護士が適任だと思われます。経営を進めるうえで法律上の問題点がないか常にチェック機能が働くうえ、何か起きた際は問題解決に向けて陣頭指揮を任せることもできます。そのニーズに応えられるのが、「弁護士+中小企業診断士」という組み合わせです。

自らの事務所経営に役立つ

弁護士が経営スキルを磨くことは、クライアントにばかり恩恵があるとはいえません。

自らの法律事務所の経営を軌道に乗せ、持続的に成長させる原動力ともなりえます。クライアントからの信頼も勝ち取れるうえ、事務所経営の知的資源ともなるわけですから、弁護士と中小企業診断士のダブルライセンスはまさに一石二鳥といえるのです。

弁護士として独立する以上、法律家と経営者双方の視点が必要です。いずれもプロフェッショナルとしての自覚も求められるでしょう。

事務員や補助者を雇えば、労務条件や雇用環境に関する知見も重視され、法律上の知識だけではマネジメントも難しいかもしれません。

経営や会計、財務について一から学ぶうえで最適の資格が中小企業診断士であり、独立型の弁護士が取得して損はないといえます。

苦学の末弁護士資格を取っても、誰もが生き残れるわけではありません。弁護士の世界も競争社会であり、その中を生き抜くには経営者としてのセンスと実力も問われるのです。弁護士を取り巻く厳しい現状も、ダブルライセンスへ向かわせる大きな要因といえます。