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中小企業にとって、経営コンサルタントはどんな存在?

中小企業にとって経営コンサルタントはどんな存在?

中小企業にとっての経営コンサルタントとは?

経営コンサルタントの役割は、財務や人事など企業の経営状況を的確に診断し、それに応じて具体的なアドバイスを提供すること。診断とアドバイスを通して組織再生を図ることから、「経営のドクター」とも呼ばれます。

そんな経営コンサルタントに経営上の悩みを打ち明けるのが、中小企業の経営者たちです。限られた資本で事業活動を展開する零細企業は、ひとつの課題を放置するだけで経営に大きな影響を与えます。反対に、たったひとつのアイデアだけで驚くほど企業体質が改善されるケースも珍しくありません。組織の上層部にいながら財務・労務・人事に関する「病変」に気付いたとしても、その原因が何で、どんな治療法を試みれば改善に向かうのか、分からなければ手の打ちようがないわけです。その課題に対応するのは、高度な経営知識とすぐれた問題解決能力を備えた経営コンサルタントがもっともふさわしいと言えます。

ただ知識があるだけでは、経営改革のためのアドバイス提供や課題処理はできません。そのため、経営コンサルタントとして活動する専門家のほとんどは、実際に中小企業の経営経験がある方々です。組織のトップに立って会社を動かしてきた経験があるからこそ、コンサルタントを任せられるという側面もあります。

「診断」で終わらせず、具体的なアドバイスと実行が求められる

経営コンサルタントとして大切なことは、経営状況の把握といった「診断」だけで終わらせず、課題解決のためには何をすべきか、具体的なアドバイスを通して示唆を与えることです。一般的に「診断=コンサルティング」と言う考えもありますが、経営コンサルタントならば、経営上のさまざまな問題を解決し、実行までを見守っていくサポーターでなければなりません。

中小企業が抱える課題は、以下の五つのカテゴリーに属する場合がほとんどです。
  • 経営戦略(創業・事業拡大・海外進出など)
  • 財務状況(資金・融資・コスト対策・節税など)
  • 企業体質(組織風土・理念・方針など)
  • 業務・サービス(生産性・設備導入・仕組み作りなど)
  • 雇用環境(人事管理・労務管理・人材育成など)

評論家ではない経営コンサルタントは、冷静に状況を分析し、解決のための工程をロジカルに分かりやすく示さなければなりません。現場主義に即しながらも、あくまで第三者的視点からの改善アプローチが求められます

「企業=中小企業」という実態があるからこそ、重要な役割

経営コンサルタントとしての能力を認定する唯一の国家資格が、中小企業診断士です。国は中小企業診断士制度を設けて経営コンサルタントの育成・輩出を後押しし、中小企業の成長力を促すことで経済の活性化を目指しています。

なぜ「中小企業診断士」と呼ばれるか。それは、日本企業の99.7%が中小企業である実態を見れば分かるでしょう。日本で言う企業とは中小企業を指す、と言っても言い過ぎではありません。多くの日本人が中小企業に属し、市場経済を回している実態がある限り、これらの企業を経営面でサポートすることは日本経済を考えるうえで非常に大切であると言えるのです。

これだけ中小企業が多いにもかかわらず、経営コンサルタントの人材は不足している現状があります。中小企業が元気に活動する姿が増えていく状況を作るためにも、中小企業診断士制度がより有効活用されることが望まれます