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中小企業診断士の科目別攻略法と勉強順はコレ!科目合格・科目免除も解説

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【スタディング 中小企業診断士講座】


短期合格のコツ!科目の関連と優先順位

中小企業診断士試験

中小企業診断士試験の筆記試験は、1次試験(マークシートによる選択式)は7科目、2次試験(記述式)は4科目です。1次、2次試験ともに、全科目の平均が60点以上で、かつ40点未満の科目が無ければ合格です。

なお2次の筆記試験に合格すると口述試験(面接)がありますが、近年ほぼ全員が合格しています。

まず1次試験・2次試験(筆記)の試験概要と、科目の関連性と優先順位について解説します。

1次・2次(筆記)の試験科目・試験時間・合格基準

▼1次試験の試験科目・試験時間・配点

試験科目

配点

実施時間

1日目

A.経済学・経済政策

100点

09:50~10:50(60分)

B.財務・会計

100点

11:30~12:30(60分)

C.企業経営理論

100点

13:30~15:00(90分)

D.運営管理

100点

15:40~17:10(90分)

2日目

E.経営法務

100点

09:50~10:50(60分)

F.経営情報システム

100点

11:30~12:30(60分)

G.中小企業経営・政策

100点

13:30~15:00(90分)

▼1次試験の合格基準

  • 総点数の 60% 以上
  • 1科目でも満点の 40% 未満のないこと


▼2次試験(筆記)の試験科目・試験時間・配点

試験科目

配点

実施時間

A. 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 I
組織(人事を含む)を中心とした経営戦略や経営管理に関する事例

100点

9:40~11:10(80分)

B. 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 Ⅱ
マーケティングや流通を中心とした経営戦略・経営管理に関する事例

100点

11:40~13:00(80分)

C. 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅲ
マーケティングや流通を中心とした経営戦略・経営管理に関する事例

100点

14:00~15:20(80分)

D. 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅳ
財務や会計を中心とした経営戦略、経営管理に関する事例

100点

16:00~17:20(80分)

▼2次試験(筆記)の合格基準

  • 総点数の 60% 以上
  • 1科目でも満点の 40% 未満のないこと

1次試験・2次試験の科目の関連と優先順位について

筆記試験を制するコツは、1次試験と2次試験の科目別の関連度を把握してから勉強することです。


関連度 科目
特に関連度が高い 企業経営理論、財務・会計、運営管理
関連がある 経営情報システム
やや関連がある 中小企業経営・中小企業政策

特に関連度が高い企業経営理論、財務・会計、運営管理は、1次試験の全科目の中でも優先的に取り組むと効率的です。

また、勉強するときは最初から2次試験(記述式)を意識して勉強することで最終合格を掴みやすくなります。

1次試験の勉強順・勉強時間・科目別難易度

診断士1次試験_優先順位

1次試験の勉強順・勉強時間・科目別難易度をまとめました。

なお各科目の勉強時間は、一般的に中小企業診断士の合格に必要な勉強時間とされる「1,000時間」を総勉強時間とする場合の目安です。

勉強順 科目 勉強時間(目安) 難易度
1 企業経営理論 150時間 普~難
2 財務・会計 180時間
3 運営管理 150時間
4 経営情報システム 80時間 普~難
5 経済学・経済政策 100時間
6 経営法務 80時間 易~普
7 中小企業経営・政策 60時間 易~普

※難易度はあくまで傾向や目安です。学習状況、ご経験によって個人差が生じやすく、試験年度によっても変化します。


【あわせて読みたい】中小企業診断士の勉強時間は1,000時間!1次・2次・科目別の時間は?



ここからは、1次試験の7科目について次の3点を解説します。

  • 出題傾向
  • 科目別の合格率
  • 科目免除対象者

※科目免除については、後の項目で説明しています。

【1次試験】企業経営理論(優先順位:★★★)

企業運営理論は、中小企業診断士のメイン業務である経営コンサルティングに求められる経営戦略論や組織論、マーケティングに関する理解が求められる科目です。

中小企業診断士の試験対策においても特に優先順位が高くなります。

単純な知識問題は少なく、理論などを深く理解しなければ高得点の獲得が難しい科目であり、十分な時間を割いて対策を行う必要があります。


出題傾向

この科目で出題されることの多い分野は組織の多角化やPPM、経営資源といった企業戦略、成長戦略です。

また、競争優位の戦略や差別化などの事業戦略、そしてイノベーションや製品アーキテクチャといった技術経営(MOT)分野からの出題も多い傾向にあります。

問題の傾向としては問題文が長文となっているものも多く、読解力や思考力などが試されます。単に知識を増やすだけでなく応用的な考え方が必要になる科目です。

科目別の合格率

企業経営理論の合格率の推移は以下のとおりとなっています。

年度 科目受験者数 科目合格者数 科目合格率
令和4(2022) 14,472 2,498 17.3%
令和3(2021) 15,117 3,026 20.0%
令和2(2020) 11,462 2,226 19.4%
令和元(2019) 15,026 1,625 10.8%

【1次試験】財務・会計(優先順位:★★★)

財務・会計は経営において重要な資源となる「資金」に関する科目です。経営コンサルティングを行う上で、経営を数字で診断するスキルは必須であり、重要科目となっています。

出題傾向

主に「会計:アカウンティング」と「財務:ファイナンス」の2つの分野から出題されます。

計算問題が非常に多いものの、1次試験では電卓持ち込み不可となっているため、計算スピードも求められる試験です。

出題形式はある程度決まっているので過去問を解きながら計算問題の練習を重ねることが合格に向けてのポイントです。

決して難易度の低い科目ではありませんが、繰り返すことによって対策可能です。

科目別の合格率

財務・会計の科目別合格率の推移は以下のとおりです。

年度 科目受験者数 科目合格者数 合格率
令和4(2022) 15,660 2,087 13.3%
令和3(2021) 15,386 3,026 19.6%
令和2(2020) 10,738 1,161 10.8%
令和元(2019) 14,157 2,310 16.3%

科目免除対象者

財務・会計は、一定の資格を保持している方は科目免除の対象となります。免除対象となるのは公認会計士、公認会計士試験合格者、税理士、税理士試験合格者などです。

【参考】一般社団法人 中小企業診断協会「中小企業診断士第1次試験他資格等保有による科目免除」

【1次試験】運営管理(優先順位:★★★)

企業を実際に運営する上で求められる現場のオペレーション管理などに関する科目です。

特に中小企業のコンサルティングを行う上で、現場管理に関する知識は必須となるため、重要科目のひとつです。

製品の生産や販売などに関する知識も求められるため、勉強しなければならない範囲が広い上、暗記しなければならない情報も多いため、ある程度の時間を割いて準備する必要があります。

出題傾向

主に生産管理と店舗・販売管理という2つの分野から出題されます。

2次試験の事例2、事例3とも深く関連するため、単に知識として情報を覚えることに加え、深く理解して知識を応用できるようになることも重要です。

具体的に現場をイメージしながら答えを導き出さなければならない問題も多いため、過去問などにできるだけ多く触れて慣れておくことがポイントとなります。

科目別の合格率

運営管理の科目別合格率の推移は以下のとおりです。

年度 科目受験者数 科目合格者数 科目合格率
令和4(2022) 16,029 2,580 16.1%
令和3(2021) 15,118 2,796 18.4%
令和2(2020) 9,745 912 9.3%
令和元(2019) 12,795 2,921 22.8%

【1次試験】経営情報システム(優先順位:★★☆)

近年の企業や組織を運営する上で欠かせないのが経営情報システムです。これまでご紹介してきた科目より優先順位はやや落ちますが、2次試験にも関連する重要な科目となります。

技術系の科目ということもあり、得意・不得意が別れる科目のひとつです。また分野的にも、情報のアップデートが速く新出のテーマも多い科目のため、難しく感じる方もいるかもしれません。

それだけにしっかりと対策して得意科目にできれば、中小企業診断士試験合格に向けて大きな武器となってくれます。

出題傾向

1次試験では情報システムの技術的な知識が求められる問題が多い傾向にあります。

基本となる部分をしっかりと理解しながら、重要なキーワードを暗記しながら知識の量を増やしていくといった対策が必要です。

前述のとおり得意・不得意が別れる科目なので高得点狙い、合格点狙い、足切り回避など目的を明確にして勉強の計画を立てることも大切です。

科目別の合格率

経営情報システムの科目別合格率の推移は以下のとおりです。

年度 科目受験者数 科目合格者数 科目合格率
令和4(2022) 16,305 3,018 18.5%
令和3(2021) 13,695 1,457 10.6%
令和2(2020) 9,985 2,868 28.7%
令和元(2019) 12,285 3,271 26.6%

科目免除対象者

経営情報システムについては、技術士(情報工学部門登録者)や応用情報技術者などの、対象となる分野の情報処理技術者試験合格者は科目免除の対象となります。

【参考】一般社団法人 中小企業診断協会「中小企業診断士第1次試験他資格等保有による科目免除」

【1次試験】経済学・経済政策(優先順位:★★☆)

1次試験で最初に受験する科目は経済学・経済政策です。2次試験にはほとんど関係しないこともあり、優先順位は他の科目と比較するとやや低くなります。

数式や理論などに関する問題が多く、グラフなどの理解力も求められる科目です。

出題傾向

主にミクロ経済学とマクロ経済学の2つの分野から出題されます。数式とグラフが多く登場するため、試験に出題される箇所を繰り返し解いて慣れていくことが重要です。

また、数式やグラフなどを具体例に置き換えながら理解することも重要となります。

科目別の合格率

経済学・経済政策の科目別合格率の推移は以下のとおりです。

年度 科目受験者数 科目合格者数 科目合格率
令和4(2022) 15,752 1,661 10.5%
令和3(2021) 14,373 3,026 21.0%
令和2(2020) 9,849 2,311 23.4%
令和元(2019) 12,564 3,241 25.7%

科目免除対象者

経済学・経済政策は大学などの経済学の教授、准教授、旧助教授として通算3年以上従事した方、経済学博士、公認会計士試験において経済学に合格した者、不動産鑑定士試験合格者などは科目免除となります。

【参考】一般社団法人 中小企業診断協会「中小企業診断士第1次試験他資格等保有による科目免除」



【1次試験】経営法務(優先順位:★☆☆)

経営法務は企業の経営に必要な法律に関する科目です。こちらも2次試験にはほとんど関係せず、出題範囲もそれほど広くはないことから、対策の優先順位は低くなります。

出題傾向

頻出分野が明確であり、知的財産権と会社法の2分野だけで全体の約2割を占めています。この分野の対策をしっかりと行うことが対策です。

法律に関する科目なので令文などをしっかりと覚えて理解するといった勉強が中心となります。

科目別の合格率

経営法務の科目別合格率は以下のとおりです。

年度 科目受験者数 科目合格者数 科目合格率
令和4(2022) 16,642 4,470 26.9%
令和3(2021) 15,683 2,013 12.8%
令和2(2020) 11,568 1,390 12.0%
令和元(2019) 15,075 1,530 10.1%

科目免除対象者

経営法務は弁護士、司法試験合格者、旧司法試験第2次試験合格者は免除となります。


【参考】一般社団法人 中小企業診断協会「中小企業診断士第1次試験他資格等保有による科目免除」

【1次試験】中小企業経営・政策(優先順位:★☆☆)

全科目の中で、特に中小企業に特化した経営や政策に関するものです。こちらも2次試験にはほとんど関係しないことから優先順位は低くなります。とはいえ、非常に多くの知識が求められる科目なのでしっかりとした対策が必要です。

出題傾向

試験問題の多くは、試験の前年度の「中小企業白書」の内容から出題されます。白書は毎年刊行され内容が変わるので、必ず受験年度に標準をあわせた学習をする必要があります。

とはいえ、基本的にほとんど暗記問題を中心とした出題です。そのため、しっかりと準備さえすれば難易度はそれほど高くはありません。

暗記ツールなどを活用し、試験直前に集中的に勉強するのも効果的です。

【参考】中小企業庁「中小企業白書」

科目別の合格率

中小企業経営・政策の科目別合格率は以下のとおりです。

年度 科目受験者数 科目合格者数 科目合格率
令和4(2022) 17,319 1,888 10.9%
令和3(2021) 15,446 1,093 7.0%
令和2(2020) 11,614 1,905 16.4%
令和元(2019) 13,229 737 5.5%

【2次試験】最重要は事例Ⅳ:財務・会計

2次試験の筆記試験は記述式です。中小企業の診断および助言に関する実務について4つの事例が出題されます。

事例 科目
事例Ⅰ 組織(人事を含む)
事例Ⅱ マーケティング・流通
事例Ⅲ 生産・技術
事例Ⅳ 財務・会計


それぞれの事例について「与件文」で中小企業の状況や課題などが出題されます。与件文は2,000~3,000文字程度です。事例Ⅳは財務諸表なども指示として出てくるため、与件文は短くなり、1,000文字程度です。


そして、各事例で5問程度の問題が出題されます。それぞれに解答の文字数制限が設けられていることが多く、短ければ20字程度から長ければ200字程度であることが多い傾向です。

記載されている情報を分析して、出題者の意図やヒントを分析して解答できるように勉強する必要があります。


なお、事例Ⅳ計算問題が多く出題されます。苦手な人は、過去問を多く解いて答案や参考、解説を読み、答えを導き出す能力などを磨くことが重要です。


【あわせて読みたい】中小企業診断士の2次試験対策!合格をつかむ3つの基本戦略を解説

1次試験の「科目合格」「科目免除」とは?

中小企業診断士の試験は科目数が多いこともあり、1次試験に科目合格科目免除という制度が設けられています。


「科目合格」は過去の試験で科目合格によって次回から申請することで試験が免除になるという制度のこと。

一方「科目免除」は、他の資格を保有していることで一部科目が免除になる制度です。名前は似ているものの違う制度なので注意しましょう。


科目合格と科目免除はこちらの記事でくわしく解説しています。

【あわせて読みたい】中小企業診断士の試験日程・内容は?科目合格・科目免除は戦略的に使おう

1次試験の科目合格は履歴書に書ける

資格試験に合格し、資格を取得すれば履歴書に記載することができます。

中小企業診断士も同様ですが、同試験においては科目合格した時点でその分野に関する専門的知識を習得していることが認められます。

そのため、1次試験で科目に合格すれば、その旨を履歴書に記載することができます。記載例は以下のとおりです。

「第一次試験一部科目合格者:◯◯年度中小企業支援科目合格者(科目名)」

中小企業診断士の資格を取得するためには全科目の合格が必要ですが、一部科目だけでも合格することで一定の知識を有することの証明になるため、就職や転職、キャリアアップに役立てられるでしょう。

【参考】中小企業庁「中小企業診断士 第一次試験合格者(科目合格者含む)の皆さまへ」

まとめ

ここでは中小企業診断士の科目別の攻略法や優先順位について詳しくご紹介しました。それでは改めて内容をおさらいしましょう。

  • 中小企業診断士の1次試験には7つの科目がある
  • 科目合格することによって、翌年、翌々年の試験免除を受けることができる
  • 科目別に攻略法や優先順位は異なるため、重要度や難易度に合わせて計画的な勉強が必要
  • 科目合格は履歴書にも記載することができる


中小企業診断士は合格率も低く、難関試験のひとつです。しかし、独立・開業も可能であり、キャリアアップにも有効な資格であるため、チャレンジする価値のある資格でもあります。

これから資格取得を検討している方は、中小企業診断士も視野に入れてみてください。

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