中小企業診断士の合格者年齢
中小企業診断士試験の受験要件に、年齢制限はありません。そのため、毎年幅広い年齢層の受験者が本試験に挑戦し、一部が合格を果たしています。平成28年度に実施された中小企業診断士試験の合格者年齢データをみてみましょう。
<1次試験>
- 合格者数:2,404名
- 最多世代:30~39歳(898名)
<2次試験>
- 合格者数:842名
- 最多世代:30~39歳(360名)
中小企業診断士試験の合格者は、30代・40代が中心です。この層で全体の7割近くを占めています。
日本の中小企業経営者の平均年齢は、66歳くらいといわれます。(※2017年版中小企業白書より)ここ20年間で20歳近く高齢化している現状。そのような状況の中、経営コンサルティングの世界は若い世代を中心に支えられています。
また、20代で経営コンサルタントを目指す若者も少なくありません。
昨今は、従来型のビジネスモデルや雇用モデルが崩れ、既成の枠にとらわれない経営スタイルや業務スキームの構築も求められます。
これまでも、斬新でエッジの効いたビジネスモデルの芽は若い世代を中心に生み出されてきました。その点を考えると、20代~40代の年齢層に合格者が集まるのは必然といえるかもしれません。
30代で診断士になるメリット・デメリット
中小企業支援法によると、中小企業診断士の職務は、「経営の診断および経営に関する助言」とされます。
経営状況を細かくチェック・分析し、課題発見や解決をバックアップするのが彼らの役割。クライアントは主に経営者や会社の重役、上層部で、日本企業の実態を考えると経営に関するアドバイスや相談対応をする相手は50代~60代が中心と考えられます。
上記の説明のとおり、中小企業診断士の合格者は30代~40代が多い傾向です。年齢が高めの経営者に対し、年下の中小企業診断士が対応することのメリットとデメリットは何でしょうか?
まずメリットは、若者の発想をうまく使うことで、行き詰まった経営の新陳代謝が期待できます。
傾きはじめた経営を建て直すには、時に大胆な改革が必要であり、その障害となりやすいのが旧態依然としたシステムや古い慣例、価値観です。これらの打破を目指すうえで、新しい価値観・新しい発想を取り入れるプロセスは、改革に向けた大きな原動力となりえます。
メリットに対し、考えられるデメリットは、経験不足です。60代の経営者からみれば、30代診断士はまだ経験の面でネガティブな印象を持たれるかもしれません。
たとえ十分な経験を備えていたとしても、先入観や外見の印象などからそうとられる可能性もあるため、信頼関係を構築するためのコミュニケーションが重要となります。
経営者出身も多い
中小企業診断士の合格者の中には、自ら事業を興し、会社を持つ方も少なくありません。
自ら会社経営の実績と経験があれば、現場に即した経営診断やアドバイスもしやすくなります。クライアントにとっても、診断士に経営実績があるかないかで抱く印象も寄せる信頼感も大きく異なるでしょう。
中小企業診断士試験を受けるには、経営経験が必ずしも必要というわけではありません。
もちろん、経営経験がなくとも立派に診断業務をこなせる方はいるでしょう。実績がすべてではないにしても、実体経済の中で変化する経営のかじ取りにおいて、経験値の有無が大きくものをいうことは確かです。