「中小企業診断士」と一口にいっても、転職して独立されている方や社内診断士など、内容によってさまざまな属性が考えられます。
中小企業診断士の収入に関するアンケート結果とともに、そこから考えられることを見ていきましょう。
データから見る中小企業診断士の年収
回答数 | 構成比(%) | |
---|---|---|
300万円以内 |
65 |
12.2 |
301~400万円以内 |
47 |
8.8 |
401~500万円以内 |
55 |
10.3 |
501~800万円以内 |
106 |
19.9 |
801~1,000万円以内 |
58 |
10.9 |
1,001~1,500万円以内 |
87 |
16.3 |
1,501~2,000万円以内 |
40 |
7.5 |
2,001~2,500万円以内 |
22 |
4.1 |
2,501~3,000万円以内 |
10 |
1.9 |
3,001万円以上 |
32 |
6.0 |
無回答 |
12 |
2.2 |
合計 |
534 |
100.0 |
年収区分を見ると、「501万~800万円」が全体の19.9%を占めており、構成比が最も高くなっていることがわかります。そして16.3%の「1,001万~1,500万円」に続きます。この数字はあくまで年間売上のデータであり厳密には平均年収とは異なりますが、コンサルタント業務はあまり原価がかかりませんので年収に近いデータであると参考にしてよいでしょう。
ただし、スタッフを雇用してコンサルティング会社として運営している売上が含まれている場合などは、当然売上と年収の数字はかなり異なってくるでしょう。
中小企業診断士の年収は1,000万円超えが3割
データを見てみると、800万円以内の構成比を合計すると51.2%に上ります。つまり、中小企業診断士の2分の1は年収800万円以内、もう半分は800万円を超えるというわけです。1,000万円超で絞っても全体の約3割以上であり、高収入の割合が多い職業であるとわかります。これだけを見ると、「診断士は儲かる資格」と思われるかもしれません。実際に中小企業診断士として稼いでいる方はたくさんいます。
ただ、注意しておきたいのは、このデータが年間のコンサルティング業務が100日以上の人を対象として集計されたものだということです。そのため、診断士として独立した活動をしている人ばかりでなく、企業内のほか、金融機関やコンサルティング会社に勤めている人なども入っている可能性は高いでしょう。
金融機関の管理職やコンサルティング会社のマネージャークラスともなれば、800万~1,000万円以上の収入の方も多い傾向です。また、診断士資格だけではなく公認会計士や税理士などの資格も持っているダブルライセンスの人や、監査法人に勤務する人、会計事務所の経営者なども考えられます。
一方で、年間売上300万円以下の区分も一定の割合を占めています。さまざまなワークスタイルが考えられますが、「定年後、これまで勉強した知識や経験を活かして公的機関の窓口相談業務を100日程度行っている」「自分のペースで週何日か働いている」というケースが多いのではないかとアップした情報から推測されます。診断士として独立して活躍している人も皆一様ではありません。行政機関や商工会議所などの公的機関の仕事がメインの人、民間のコンサルティングがメインの人、企業研修を多く行っている人など、さまざまな業務を行っているのが特徴です。
また、単にコンサルティングといっても、起業・創業支援もあれば成長支援、事業再生問題など多彩な業務があります。業種に限って考えても、マーケティング、人事、IT、生産など、その専門分野は多様です。独占業務のある税理士や社会保険労務士ですら、合格しても収入の個別差が大きいものですが、さまざまな分野で活動している中小企業診断士の場合は、さらなる幅があることがわかりました。中小企業診断士を取得しただけで収入が確保されるものではありませんが、自分次第で高収入を目指すこともできる意義の大きい資格といえるでしょう。
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