いきなりですが、下の20個の単語のうち、意味を知っているものがどのくらいあるか確認してください。
- confirm
- currently
- recommend
- postpone
- meal
- inspect
- reduce
- significant
- effective
- valid
- prevent
- length
- comparison
- accurate
- approve
- extensive
- unanimous
- expedite
- verify
- preserve
上から5単語ごとに区切っていますが、徐々に難しくなっていったと思います。
最初の5個(1~5)が最も基本的なレベルで、500点を目指す場合は知っておきたいものです。次の6~10は600点レベルです。さらに、11~15が730点レベル。最後の16~20が860点以上レベルです。
なお、知らなかった単語の意味を調べたい気持ちが出てきたかもしれませんが、調べなくてOKです。どうしても気になる単語がある場合には、この記事を読み終わってからにしてください。
ぜひ、このまま読み進めてみてください!
どのくらいの単語力が必要?
では、TOEICで目標スコアを達成するためには、どのくらいの単語力が必要なのでしょうか。中学や高校で学んできた単語や英検のために学んだ単語はもちろん基礎として活用できます。しかし、TOEICはビジネス場面がメインとなりますから、仕事の場面で使われる単語の割合も多くなります。もちろん、単語レベルで「日常の英語」と「仕事の英語」を明確に分けることは難しいため、「決定」や「注文」のように、両方にまたがるものもあります。一方で、「合意」や「仕様」など仕事寄りの単語も数多くあります。
500点に必要なレベル
日常生活でも多く使われる単語のほか、求人広告で使われる単語や、文書の提出や予定の変更など、ビジネスにおける基本的な行動や状態、シンプルな文脈で使用される語彙の理解が必要です。特に基本的な名詞や動詞を理解しておくことで、「何がどうする」という文のポイントを理解することができます。
600点に必要なレベル
500点レベルの語彙力に加えて、ビジネスの場面で使われる一般的な語彙を知っているかどうかがポイントです。「確認する」ではなく「点検する」、「減る」ではなく「減少する」といった、日常レベルを少し高めた単語の知識が求められます。「確認する」であればcheck、「減る」であればdecreaseですが、それぞれのレベルを高めた「点検する」はinspect、「減少する」はreduceのようなビジネス寄りの動詞や名詞の知識が求められます。
730点に必要なレベル
500点レベル・600点レベルの語彙力に加えて、やや抽象的で複雑な描写や、形容詞や副詞を用いて性質や程度の大きさなどを正確に理解する力が求められます。また単語そのものの意味を知っていることはもちろんのこと、そこから内容の正確の理解や推測へとつながるリスニング力やリーディング力も必要です。たとえば、商品についてit won’t last long.(長くは残っていません)という表現を読み「すぐに買うことを催促している」という判断をするなど、書かれている内容の意図を読み取る力も大切なスキルです。
860点に必要なレベル
730点までに必要な語彙力に加えて、やや使用頻度が低いもののビジネスでは重要な単語の知識や、程度の差異を読み取る正確さが必要です。また、選択肢で大きく言い換えられていても意味が共通していることを把握したり、論理的な推測をしたりする力を備えることで、ハイスコアに必要な単語力となります。
リスニング/リーディングに必要な単語力とは
単語力が不足していては、いくら問題を解く練習をしても理解度アップにはつながりません。しかし、学校の単語テスト向けの勉強のように、「英語=日本語訳」という形で覚えても、理解度が上がらないケースも多くあります。
なぜなら、TOEICには純粋に単語の意味だけを問うものはなく、単語が使われた文の理解が求められるからです。
理想的な単語力の状態を確認してみましょう。以下の英語を日本語にしてみてください。
Thank you very much.
もちろん、「ありがとうございます」です。ここで大切なのは、それぞれの単語の意味を訳して理解しているのではなく、Thank you very much.という塊として意味を理解しています。だからこそ、素早く処理できるのです。
もしThank you very much.を単語レベルで理解すると、Thankは「感謝する」、youで「あなたに」、さらにvery muchで「とても」と感謝の程度を強めています。このような理解の仕方では、瞬時にリスニングやリーディングに対応することができません。
ほかにも、eat lunchやwork hard、If you have any questionsなどは、フレーズや構文として理解しているため、時間をかけずに理解することができます。TOEICスコアアップのためだけでなく、実際に使いこなせるようになるためにも、この状態を作るための単語学習が効果的です。
「覚えられない」を克服する単語学習法
ここからは効果的な単語学習についてご紹介します。英語学習の中で、最も多い悩みの1つが「単語が覚えられない・・・」というものです。「私は記憶力が悪いので・・・」とか、「私はもう歳なので・・・」とか、覚えられないことを正当化しようとして自分を納得させている人も少なくありません。
単語は「記憶力」という力技で覚えるものではありません。これまでの単語学習法で単語が覚えられなかったとしたら、それは「脳の働き」を無視した学習をしていたからです。そもそも、脳のデフォルトは「覚えること」ではなく「忘れること」です。目にした情報や耳にした情報で、重要でないと脳が判断したものはどんどん忘れていきます。まさに、夏の暑い日にアイスクリームを置いておくと溶けてしまうように、何もしなければ忘れてしまうのです。
だからこそ、単語学習に大切なことは、脳が重要だと判断してくれる仕組みと仕掛けを活用しつつ、脳が単語の意味を思い出しやすい状態を作ることです。お店で買ったアイスクリームが溶けないようするためにドライアイスを周りに置きますが、学んだ単語を忘れないようにするためにも、単語学習用のドライアイスを活用するのです。
「ドライアイス式」単語学習法
「ドライアイス式」単語学習法は、学習した単語を忘れにくく、かつ思い出しやすくするための仕組みかつ仕掛けです。ここでは「ドライアイス」の役割を持つ6つについてご紹介します。
1. 日本語訳を活用する
おそらく誰しもが最初に活用するのが日本語訳でしょう。英語=日本語の対訳は、瞬時に意味を理解できるため努力がいらないためのですが、忘れるスピードも速いのです。たとえば、expediteという動詞があります。「促進する」とか「早める」という意味ですが、おそらくすぐに忘れてしまう単語のひとつです。
他にも、unanimous(全会一致の)やapprove(承認する)なども、日本語訳だけ覚えてもすぐに忘れてしまう人も多いでしょう。「単語」と呼びますが、そもそも単体で使うことは少ないでしょう。特に、動詞・形容詞・副詞については、日本語でも「促進する」「承認する」「全会一致の」「著しく」のように単語単体で使うことはほとんどありません。
2. フレーズで学習する
そこで効果的なのが、フレーズで学習することです。動詞を学ぶ場合には、目的語や副詞とセットで覚えることで意味だけでなく、使い方や場面がイメージしやすくなります。形容詞を学ぶ場合には名詞とセットで、また副詞を学ぶ場合には動詞や形容詞とセットで学ぶことが効果的です。
たとえば、「expedite=促進する」だけでは意味はわかるものの、使い方や使われているシーンを理解することは難しいでしょう。
そこで、expedite the processというフレーズで学ぶことで「プロセスを高速化する」のように手続きや手順を速める際に使われることがわかります。unanimous(全会一致の)は、unanimous agreement(全会一致の合意)やunanimous decision(全会一致の決定)のように、何かを決める際に使われることが伝わってきますし、approve(承認する)はapprove the plan(計画を承認する)のように、こちらも決定に関する内容で使われるとわかります。
フレーズでの学習に慣れてきたら、センテンスまるごと活用して学習することで、さらに使い方を理解することができます。
3. 音声を活用する
文字だけの学習では、意外と思い出せないことが多いのですが、これを「記憶力が悪い」と捉えてしまうのかもしれません。そもそも私たちは日常的に文字だけで覚えることがどれだけあるでしょうか。
ところで、あなたは自分の電話番号をすぐに言えますか?「090-XXXX-XXXX」のようにパッと出てきますよね。でもそれは、数字を思い出しているのではなく、音を思い出しているのではないですか?
ちなみに、先ほどと同じ電話番号を、英語で言ってみてください。日本語と同じスピードでは言えなかったと思います。0から9までの数字を英語で知っているのに、スムーズに言えなかったのは、音で覚えていないからです。小学生の時に覚えた掛け算九九も同様に、計算式を暗記したのではなく、「サザンガク、サンシジュウニ、サンゴジュウゴ・・・」のように何度も繰り返して声に出しながら音で覚えたからこそ、そのまま思い出せるのです。
音楽の授業やカラオケで、歌詞を覚えた時も文字だけを見て暗記したわけではないと思います。文字を確認しながら何度も歌うことで、文字を思い出さなくても音を思い出せるのです。かなり時間が経っていても意外と思い出せるのは、何度も繰り返して歌ったからです。
単語学習も同じです。上でオススメしたように、フレーズやセンテンスの学習をする際には、必ず音声を活用して、真似をして声を出すことで、正しい発音やリズムも一緒に身につけることができます。音声を活用することは、学習したものが思い出しやすくなるだけでなく、正しく音声化できることは、リスニングやリーディングの力としても転化されやすくなります。
4. ジャンル別に学習する
日本語で「捕獲」という単語を見ると、「サルが民家に迷い込んできたのかな」と推測したり、「片道」という単語を見ると「旅行かな」と、何となく内容の方向性を推測したりすることができます。これは、文脈の中で学んだことによる副産物です。
英語学習においても、このように文脈の中で単語を学ぶことで、「どのような場面で使われやすい単語か」ということまで身につけることができます。たとえば、求人広告というジャンルで単語学習をすると、次のような表現をまとめて学ぶことができます。
seek engineers(エンジニアを募集する)
serve as the regional manager(地域マネージャーとして勤務する)
job responsibilities / job duties(職務)
qualified applicant(資格のある応募者)
be required for the position(職に必須である)
be preferred(望ましい)
at least four years of managerial experience(最低4年のマネージャーの経験)
apply for the position(職に応募する)
application form(応募用紙)
submit your resume(履歴書を提出する)
a list of references(照会先のリスト)
no later than October 30(10月30日までに)
このような表現をバラバラに学ぶよりも、「求人広告」というジャンルで学ぶことで、seek engineersという表現を見ただけで、求人広告だと判断できるようになり、その後の展開が読みやすくなります。また、ジャンル別に学ぶことで、難しく感じる単語もまとめて覚えやすくなる効果もあります。
ジャンル別に学習する方法は、ジャンル別に収録した単語教材を使うのが手っ取り早いですが、Part 7の本文を活用して学習する方法もあります。Part 7の本文を活用する場合、すでに解答練習をしたことのある教材をお持ちであれば、そちらを使うこともできます。答えを覚えてしまっている場合は解く練習はできませんが、本文を活用した単語学習を行うことはできます。
5. 同義語を関連付ける
出合う頻度が低く覚えにくいと感じる単語は、すでに知っている易しめの単語と関連付けることで思い出しやすくなります。
たとえば、acquire(習得する)やpreserve(保護する)などの単語は、acquire skills(スキルを習得する)やpreserve nature(自然を保護する)のようにフレーズで学ぶことに加えて、それぞれの同義語を関連付けて学ぶとよいでしょう。
たとえば、acquireはgetというシンプルな単語が同義語ですし、preserveもsaveの同義語です。このように、同義語と関連づけることで、日本語の意味を忘れてしまったとしても、同義語を思い出せれば意味を正確につかむことができます。
同義語の調べ方は、電子辞書をお使いの方は、「類語辞典」(「同義語辞典」「Thesaurus」など)がインストールされているかもしれません。また、オンラインでも無料で使える類語辞典(https://www.thesaurus.com/ など)がたくさんあります。
ちなみに、動詞verifyの同義語を調べると、checkやconfirmなどが出てきます。そうすると、日本語訳だけでなく、「なるほど、checkすることをverifyというのか」という発見もありますし、verify = checkと関連させることで、思い出しやすくなります。
また、形容詞extensiveの同義語は、broadやlargeがあります。つまり、程度の大きさを表す際に使われるというのがわかります。フレーズで確認するとextensive research(大規模なリサーチ)やextensive survey(幅広い調査)などがあり、broadやlargeの意味をそのまま感じることができます。
6. ルー語にする
「藪からスティック」や「寝耳にウォーター」といった、英語と日本語を混ぜて話すことを芸風としているタレントのルー大柴さんをご存知でしょうか。この話し方は「ルー語」と呼ばれたりしますが、単語学習においてルー大柴さんのように日本語の中に英単語を盛り込むことで、文脈がわかりやすくなるという効果があります。
英文で学習することが難しいと感じている初級学習者や、中級以上の学習者でも、どうしても覚えられない単語があるという場合には特にオススメです。
たとえば、increase significantly(大幅に増加する)というフレーズを学習する際には、「これだけ勉強してるんだから、TOEICのスコアがincrease significantlyしてほしい!」のように口に出すことで、increase significantlyが「大幅なスコアアップ」と関連づきます。もちろん、TOEICのテストの中で「大幅なスコアアップ」という文脈で登場することはありませんが、イメージで覚えたことで、Sales have increased significantly.という英文に出合った時に「大幅な増加」を思い出しやすくなります。
また、in the proximity(近くに)という覚えにくそうな表現を学ぶ場合にも「私は駅のin the proximityに住んでます」というように自分事として文を作ることで、日本語訳だけで覚えるのとは異なり、感覚的に学びやすくなります。ルー語にする際のコツは、自分事の内容にすることです。自分自身の経験や状況、希望などを使って文を作ることで、自分事として思い出しやすい状態を作ることができます。
まとめ
「ドライアイス式」単語学習法はいかがでしたでしょうか。6つのうち、なるべく多くを組み合わせることで、より思い出しやすい状態を作ることができます。その中でも特に大切なのが、「フレーズで学習する」と「音声を活用する」です。日本語をどのように身につけたかは覚えていないかもしれませんが、この2つは必ず活用したはずです。英語学習にもぜひ取り入れてください。
そして、英語学習に限らず、何かを覚えなくてはいけないことは今後もたくさんあると思います。全ての学習に応用できるのが、今回の「ドライアイス式」の学習法です。私たちが「覚えられない」と思っているのは記憶力のせいではなく、思い出しやすくする仕組みや仕掛けをうまく活用できていないからです。
今後何かを覚える際には、「記憶力のせい」や「歳のせい」にすることなく、思い出しやくする学習法を取り入れてください!