TOEICスコアによって給料に差が出てくるのかどうか、気になる方は多いかもしれません。答えは、Yesでもあり、Noでもあります。
まず、TOEICスコアに応じて直接的に収入に関わるのはスコアに応じた報奨金がある場合です。
かつて、ソフトバンクでは、TOEIC 900点以上取得した社員に100万円の報奨金がありました。また、英語公用語化で有名な楽天では、TOEIC 800点に満たない場合は給料が一部カットされるというケースもあります。こうなると、スコアが年収に関わりますね。
しかし、スコアのみで年収が決まるということは多くありません。その意味では、TOEICスコアと年収の「直接的な関連はない」と言ってもよいかもしれません。
とはいえ、TOEICスコアが昇進要件になっている場合は、スコアを満たさない限りは昇進することができず、よって年収も上がることはありません。また、TOEICスコアは英語を活用した仕事に携わる要件になっていたりするため、スコアをきっかけとしたキャリアアップにおいて、年収に差が出てくることは間違いありません。実際に、某社社員の方から「730点を境に年収に100万円の差がある」ということを聞いたことがあります。
今回は、TOEICスコアと年収の関係について詳しく解説してきたいと思います。
この記事を書いた人 早川 幸治
スタディング TOEIC講座主任講師。株式会社ラーニングコネクションズ代表取締役。 |
それはスコアが高い人たちのほうが、英語を使う仕事に従事することが多いためと考えられます。いわゆる「グローバル人材」の市場価値は高く、より広い市場で活躍できることからも給与に反映されることが多い状況があります。日本企業よりも外資系企業の平均年収のほうが高い理由もここにあります。
もちろん、「TOEICでハイスコアを取る=英語が使える」というわけではありません。英語ができる以前に、仕事に必要な知識やスキルが前提となることは言うまでもありません。
TOEICスコアはあくまで英語力の証明として使われます。これは運転免許証のようなものです。英語力としての証明を持つ英語力のある人材に対して、会社は英語での仕事の場を提供します。これはプログラミングのスキルを持つ人物にプログラミングの仕事の場を提供するのと同様です。その英語環境の中で仕事をする中で、英語スキルがさらに高まります。
その結果、会社への貢献度もアップします。その貢献に合わせて、収入がアップします。この流れを具体的に見てみましょう。
英語を使って仕事をしている人たちのTOEIC平均スコアは730点くらいと言われています。平均ですから、実際には600点の方もいらっしゃれば、800点以上の方もいらっしゃいます。会社でスコア設定がされている場合は、その基準となるスコアを取ることで、英語力を証明することができます。まさに運転免許証を手にした状態です。
英語力を証明することができれば、英語を使う仕事を割り当ててもらいやすくなります。自分で希望する場合もあれば、会社から与えられる場合もあるでしょう。いずれにしても、英語を使った業務に就くことで、英語の環境へと入ることができます。もちろん、TOEICでスコアを取ることと英語で仕事をすることは同じではありませんから、最初からスムーズに英語でのやり取りができないケースも多いかもしれません。
しかし、日本語の業務においても最初からスムーズにいくことの方が少ないはずです。英語環境に入ったことで、成長へのスタートラインに立ったことは間違いありません。
スポーツや楽器演奏などの上達と同様に、英語で業務をすればするほど、知識やスキルが身に付いてきます。全ての仕事にはある程度の「型」があります。メール業務にもメールの書き方の「型」がありますし、プレゼンテーションにおいても伝えた方の「型」があります。
これらは知識として頭に入れておくだけでなく、実践する中でスキルとなって体得できるものです。最初はひとつひとつ確認しながら時間がかかるかもしれませんが、繰り返し実践すればするほどスキルとして身につき、自動化されていきます。
スキルが高まることで、会社への貢献度が高まります。人によって、プレイヤーとしての貢献という部分もあるでしょうし、昇進することでマネージャーとしての貢献もあるでしょう。日本企業の場合は、昇進してマネジメント層に近づくほどに英語が必要となる場合が多いですが、海外展開や顧客によってはプレイヤー層から英語でのやり取りが必要になる場合もあります。
市場規模でいえば、国内よりも海外のほうが圧倒的に大きいため、「利益を出す」というビジネス活動においての貢献度は英語ができることにより、さらに大きなものとなります。
会社への貢献度が高ければ高いほど、収入につながりやすくなります。企業によっては、優秀な人材の流出を防ぐために給料を上げる措置を取っているケースも見られます。
なお、外資系企業の年収が高い理由は、優秀な人材を確保しておくためです。日本企業においても、外資系企業を参考に、優秀な人材を確保するためや流出を防ぐために平均よりも高い給料を出しているところもあります。
また、英語での業務を行えるようになることで、転職によるさらなるキャリアアップを追及する方もいらっしゃいます。もちろん、転職による収入アップも見込めます。
その結果、売上も下がることになります。人口減少や国内市場縮小はネガティブな側面も強いものの確実に進行することが予測可能なため、対処することも不可能ではありません。ビジネスにおいては、顧客を海外に増やすことがひとつの解決策です。その際に求められるのが、ビジネスの共通語である英語です。英語力は一朝一夕に身につけられるものではありません。
しかし、歌を覚えることと同じように、時間をかければ誰でもできるようになるスキルです。英語を身につけることで、すでに持っている専門性を使って、より広い市場で活躍することができます。その環境を手にするために、まずは免許証であるTOEICスコアを取ることは、年収アップのための第一歩となるはずです。
しかし、英語を身につけることは、すでにある専門性を拡大する武器となります。TOEICスコアを取ることはその第一段階です。「TOEICでハイスコアを持っていても使うことができない」という批判を耳にすることがあるかもしれません。
しかし、それは「英語を使う環境にいないから」というのが理由です。ハイスコアを取った後、英語を使う環境に入ることで、高いスコアを持っているほど、速く英語を使いこなせるようになります。
TOEICスコアを年収アップにつなげられるかどうかは、TOEICスコアを取った後にどのようなキャリアパスを辿るかによって変わってきます。ぜひTOEICスコアを、英語環境へと入るチケットに変えてください。
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