TOEIC®で評価される点数の目安は?大学生やビジネスパーソンなどケース別に解説

TOEIC®は大学入試や大学の単位認定、就職・転職などさまざまな場面で英語力を測る指標として活用されています。

しかし、「TOEIC®の受験を決めたけど、何点を目指せばいいんだろう?」と悩む方は多いでしょう。

本記事では、TOEIC®で評価される点数の目安について、大学生やビジネスパーソンなどケース別に解説します。

TOEIC®に挑戦しようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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TOEIC®スコアの仕組み

ここでは、TOEIC®のスコアについて以下4つのポイントで見ていきます。

  • TOEIC®は990点満点の試験
  • リスニング100問・リーディング100問で構成
  • TOEIC®のスコア分布
  • TOEIC®の平均点

なお、一般的にTOEIC®といえば「TOEIC®L&R公開テスト」を意味するため、この記事でもTOEIC®L&R公開テストについてご紹介します。

TOEIC®は990点満点の試験

TOEIC®は、ビジネスでも活用できる実践的な英語力を測定する、世界共通のテストです。

Listening & Readingの試験は990点満点で、10〜990点の間を5点刻みで採点します。

TOEICは、英語初心者から上級者まで同じ問題が出題され、合否ではなく、スコアで受験者の英語力を示します。

学生から社会人まで誰でも受けられ、受験の目的もさまざまです。

受験に向けてリスニング力・リーディング力を身に付けることで、ビジネスシーンで求められる実践的な英語力を習得できます。

また、英語力を証明するテストであるため、キャリアアップにもつながります。

スコアを昇格や昇進の判断基準とする企業もあり、就職・転職時のアピールにも有効です。

リスニング100問・リーディング100問で構成

試験はリスニングとリーディングの2セクションで構成され、それぞれ100問が出題されます。

リスニングは約45分間で、会話やナレーションを聞いて設問に答えます。

英文を読んで解答するリーディングは約75分間で、合計で約2時間となります。

試験は主にビジネスシーンにフォーカスした内容で、英文でのみ出題されます。

マークシートでの回答で、3つまたは4つの選択肢の中から最も適切なものを選ぶ択一形式です。

試験の構成は以下の通りです。

分類パート出題内容問題数
リスニングパート1写真描写問題6問
パート2応答問題25問
パート3会話問題39問
パート4説明文問題30問
リーディングパート5短文穴埋め問題30問
パート6長文穴埋め問題16問
パート71つの文書・複数の文書54問

リスニングは、アメリカやカナダ、イギリスなど英語圏のネイティブの発音によって出題されます。

リーディングは、文法知識だけでなく、文章を読み理解する力も問われます。

TOEIC®のスコア分布

2023年度TOEIC®テストのスコア分布は下記の通りです。

スコア割合
895〜9904.4%
845〜8905.0%
795〜8406.8%
745〜7908.2%
695〜7409.4%
645〜69010.4%
595〜64010.6%
545〜59010.3%
495〜5409.2%
445〜4908.0%
395〜4406.6%
345〜3905.1%
295〜3403.3%
245〜2901.8%
195〜2400.7%
145〜1900.2%
95〜1400.02%
45〜900.01%
10〜400.02%

2023年度は平均点が612点ということもあり、595~640点のスコア帯がもっとも多くなっていました。

2023年度のTOEIC®L&R公開テスト受験者数が74万6,178人であったことから、約8万人が595~640点を取得したことがわかります。

なお、TOEIC®は合格・不合格ではなく、スコアによって英語力を評価するテストです。

英語力を正しく評価するためには、テストの難易度によってスコアに差が出てしまっては意味がありません。

難易度によってスコアの差が生じないようにするため、TOEIC®のスコアは統計処理によって算出されていることを頭に入れておきましょう。

TOEIC®スコアの仕組みについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

TOEIC®の平均点

TOEIC®の平均点はおよそ600点です。以下に近年の平均点を示します。

 2021年度2022年度2023年度
全体611点608点612点
リスニング311点331点335点
リーディング279点277点278点

TOEIC®は990点満点、リスニング・リーディングのパートはそれぞれ495点満点です。

上記の表から、リスニングのほうがリーディングよりも平均点が高い傾向にあるとわかります。

また2023年度の平均点を属性別に見ると、社会人は639点、大学生は596点でした。

社会人の平均点は全体よりもやや高め、大学生の平均点は全体よりもやや低めという結果です。

この傾向は2023年度に限ったものではなく、毎年同様の結果が出ているようです。

おそらく社会人のほうが「実務で必要」「キャリアアップに必要」といったように、目的がはっきりしていることが多いと考えられます。

TOEIC®を受ける際の気持ちの度合いがスコアにも影響しているのでしょう。

TOEIC®の平均点について、さらにくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

【目的別】TOEIC®で評価される点数の目安

TOEIC®は、大学入試や大学での単位取得、就職などに活用したいという目的から受験を検討する人も多いテストです。

目的がはっきりとしている場合は、目的に応じたスコアを目指し、勉強を進めるとよいでしょう。

ここからは評価されるTOEIC®スコアの目安について、目的別に紹介します。

大学入試【バラつきあり】

2022年度大学入学試験において、TOEIC®L&Rを活用している大学は236校でした。

これらの学校では、出願資格や判定優遇、合否参考、加点などにTOEIC®が活用されています。

実際に大学入試にTOEIC®L&Rを活用している大学の例と、その活用方法、基準スコアを以下の表にまとめました。

大学名基準スコア活用方法
北海道大学工学部環境社会工学科(社会基盤学コース)550点総合型入試における出願資格
横浜市立大学データサイエンス学部データサイエンス学科800点総合型入試における加点
同志社大学文学部英文学科600点学校推薦型入試における出願資格・判定優遇・合否参考

上記の表からもわかるように、基準スコアにはバラつきがあり、スコアの目安をお伝えすることは難しいです。

ご自身が受験したい大学ではどのように活用されているのか、あらかじめ確認しておいてください。

なお、TOEIC®L&Rを単独で活用している大学だけでなく、TOEIC®S&Wと組み合わせて活用している大学も多く見られます。

大学などでの単位認定【600~700点】

TOEIC® Programは大学や短期大学などでの単位認定にも活用されています。

IIBCによると、2021年度の単位認定におけるTOEIC® Programの活用校は、大学が334校・短期大学が56校・高等専門学校が44校とのことです。

TOEIC®L&Rを活用している学校が多いものの、TOEIC®S&Wを活用している学校やTOEIC®L&RとS&Wの両方を活用している学校もあります。

大学などでの単位認定の目安は、600~700点前後です。

実際に単位認定にTOEIC®L&Rを活用している大学例と、その活用方法、基準スコアを以下の表にまとめました。

学校名基準スコア活用方法
お茶の水女子大学680点4単位
大阪大学外国語学部730点2単位
駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部650点10単位

国立・私立にかかわらず多くの学校が単位認定にTOEIC®を活用しています。

大学生の就職や社会人の転職【600点以上】

就職や転職で評価されるTOEIC®スコアの目安は600点です。

入社までにTOEIC®600点を求めている企業もあるようです。

就職や転職に活用するためにTOEIC®を受験する人は、平均点を目指すとよいでしょう。

ただし、業界や業種、企業によってはもっと高いスコアが求められるケースもあります。

たとえば、海外との取引が多い業界やマスメディア業界では高いスコアが求められる傾向にあるようです。

「ファーストリテイリング」や「トヨタ自動車」など、基準とするTOEIC®スコアを公表している企業もあります。

就職・転職を希望する企業がTOEIC®スコアを公表しているのか確認しておくとよいでしょう。

ビジネスパーソンのキャリアアップ【600点以上】

TOEIC®スコアを昇進・昇格の要件としていたり、参考にしていたりする企業もあります。

目安は600~700点程度で、役職が上位になるほど求められるスコアも高くなる傾向が見られます。

また海外への赴任を希望する際にも、TOEIC®スコアを参考に選考されることもあるようです。

企業が海外部門の社員に期待するTOEIC®L&Rスコアの目安は570~810点です。

TOEIC®で高いスコアを取得できていれば、大きなアピールになるでしょう。

TOEIC®の点数でわかる英語力の目安

TOEIC®で取得したスコアがどの程度の英語力を示すのか、以下にまとめました。

スコアレベル/目安
400点未満簡単な会話も部分的にしか理解できない
400点台相手がゆっくり話してくれると限定的にコミュニケーションがとれる
500点台簡単なフレーズ程度には理解可能だが、長文や複雑は表現にはついていけない
600点台仕事関係での短い文章を理解でき、海外旅行で買い物や食事に困らない
700点台英語での仕事ができるようになり、日常生活にあまり不自由がなくなってくる
800点台会議で自分の意見を述べたり、複雑な会話でも適切に対応できたりするようになる
900点台ネイティブレベルディスカッションや専門書の読解ができる

 上記は、あくまでもわかりやすくするために大まかな目安を記載しています。

くわしくはTOEICの公式ページに「Score Descriptor Table(レベル別評価の一覧表)」が掲載されていますので、あわせてご覧ください。

400点台は中学卒業程度、500点台だと高校卒業程度の英語力となります。

英語力を証明するスコアとしては心もとなく、アピールとして使うのは難しいでしょう。

600点台で仕事や海外旅行で簡単な英語が理解できるレベル、700点なら難しい文法の知識や長文読解力も身についているといえます。

800点を突破すれば英語でのコミュニケーションが不自由なくでき、900点以上の点数なら英語でのコミュニケーションでほぼ完璧な実力を持っていることが証明できます。

スコアごとの英語力の目安を踏まえ、自分に合った目標を設定していきましょう。

TOEIC®スコア、何点からすごい?

「TOEIC®は何点かすごいのか」という質問に対して、一概に「〇点」とお答えすることはできません。

TOEIC®を受験する人の属性や背景によって、周りから「すごい」と評価されるスコアが異なるからです。

以上のことを前提に、ここでは一般的にどのくらいのスコアを取得していると「すごい」と言われるのかを考えていきます。

2023年度のスコア分布によると、845点以上取得した人は全体の9.4%であり、受験者全体の上位1割に入ります。

845点以上取得できれば、どのようなシーンでも「すごい」と評価されるのではないでしょうか。

一方で「800点以上のスコアなら自慢できる」と考える人が多いという調査結果もあります。

スコア分布によると、795点以上は上位15%程度であるため、たしかに十分「すごい」と言えるでしょう。

もちろんここまで高得点でなくても、大学や就職・転職などで評価の対象となり得ます。

「すごい」と思われるスコアは人によっても目的によっても異なるため、周りの意見に振り回されず、自分の目標を立てることが大切です。

【目標スコア別】TOEIC®のリスニング・リーディングでそれぞれ必要な点数は?

ここではTOEIC®の目標スコア別に、リスニング・リーディングでそれぞれ必要な点数を目安でご紹介します。

2023年度の平均スコアは612点で、リスニングが335点、リーディングが278点でした。

リスニングのほうがややスコアが高い傾向にあることから、点数配分を「リスニング:リーディング=55:45」としています。

目標スコアリスニング点数リーディング点数
300点165点135点
400点220点180点
500点275点225点
600点330点270点
700点385点315点
800点440点360点
900点495点405点
990点495点495点

目標スコアの達成に向けて、リスニング・リーディングそれぞれで何点取る必要があるのか、目安を持っておくとよいでしょう。

TOEIC®のスコアアップに必要な勉強時間の目安

TOEIC®で現在のスコアから100点アップするには、一般的に200〜300時間が必要といわれています。

例えば、現在450点の人が650点を目指す場合、450時間が目安です。

650点の人が850点を目指すならば、500時間が目安となります。

もちろん、どのような基礎力が身についているか、どのような学習をしていくかによっても異なります。

TOEIC®は、コツコツと時間をかけて学習する必要があります。

無理のないプランを立てることが、継続のコツです。

目標スコアを決めて学習を進めるためには、まずは実力を知ることから始めましょう。

スタディングなら実力診断テストが無料で受験できます。

TOEICで出題される全パートを体験できる20問のテストです。

解答すると、目指せるスコアの判定が表示されます。

また、個別の学習アドバイスや診断テストの解答・解説もついているので、目標スコアに向けてどのように学習していけばよいか分からない方は、ぜひ参考にしてみてください。

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TOEIC®の点数をアップさせるには?

TOEIC®で点数をアップさせるには、次の6つのステップで勉強を進めましょう。

  1. TOEICの頻出単語を覚える
  2. 基本的な文法を理解する
  3. 英語の音に慣れる
  4. 早く正確に読む練習をする
  5. TOEICの出題パターンに慣れる
  6. 実践練習に挑戦する

点数アップには、まずは頻出単語を覚え、基本的な英文法を理解しておくことが必要です。

中学〜高校レベルの基本的な英文法を、難なく使いこなせるレベルまで身に付けておけば、スムーズに問題に取り組めます。

また、リスニングのスコアを上げるには、英語の音に慣れておく必要があります。

英語を聞きながら同時に文字を書き起こす「ディクテーション」や、聞きながら追いかけるように発音する「シャドーイング」もおすすめです。

リーディングは、十分な語彙と基本的な文法を身に付けることに加え、英語の文章を読む練習を重ねるとよいでしょう。

問題集を繰り返し解いて出題パターンに慣れたら、本番同様の時間設定で実践練習にも挑戦してみてください。

まとめ

今回のまとめは以下の通りです。

  • TOEIC®L&R公開テストの平均点は約600点
  • 社会人の平均点は全体より高く、大学生の平均点は全体より低い傾向にある
  • 何点からすごいかは人によるため一概には言えない
  • TOEIC®スコアは大学入試や学校での単位認定、就職などで役立つが、目安となるスコアはそれぞれ異なるため事前に調べておくとよい

TOEIC®で何点を目指せばよいかわからない場合は、まず600点を目指してみてはいかがでしょうか。

平均点以上を取得できていれば、スコアを活用できるシーンが増えます。

平均点を超えられるよう勉強を進めていきましょう。