
TOEIC®では、問題用紙への書き込みが禁止されています。
普段から問題を解く際にメモを取ったり、印をつけたりしている人は注意が必要です。
この記事では、問題用紙への書き込みとはどのようなことを指すのか、なぜ書き込みが禁止されているのかについてくわしく解説します。
よくある疑問や書き込み禁止に備える対策も紹介しますので、TOEIC®受験を控えている人はぜひ参考にしてください。
TOEIC®は問題用紙への書き込み禁止
TOEIC® Listening & Readingでは問題用紙への書き込みが禁止されています。
「書き込み」とは具体的にどのようなことを指すのか解説します。
「書き込み」に含まれるもの
TOEIC®公式サイトによると、「書き込み」には以下のものを含むと明記されています。
- メモを取る
- 線を引く
- 〇、×、レなどの印をつける
リスニング中に聞き取った内容のメモを取ったり、長文問題で大事な箇所に線を引いたりしながら問題を解いている人もいるでしょう。
TOEIC®では、これらの行為が「書き込み」とみなされます。
「わからなかった問題を後で解き直すために、目印をつけておく」などもいけません。
TOEIC®では、問題用紙に何も書かないようにしましょう。
スラッシュの書き込みも禁止
Part7の長文問題では、英文をスラッシュで区切りながら読む「スラッシュリーディング」を取り入れている人もいるでしょう。
スラッシュを活用すると、複雑な文章でも構造がわかりやすくなり、英文を読み進めるスピードが上がるなどの効果が得られます。
しかし、このスラッシュも問題用紙への書き込みとみなされるため、注意してください。
試験当日に戸惑うことのないよう、日頃からスラッシュを書き込まずに読む練習をしておきましょう。
解答用紙への書き込みはできる?
TOEIC®では、解答用紙も所定欄以外への書き込みが禁止されています。
名前や解答を記入する箇所以外には、書き込みができません。
問題用紙と同じく、〇や×、レなどの印も含め、すべての書き込みが禁止されています。
リスニング中に「間違っている選択肢に×をつけていく」という行為も違反にあたります。
TOEIC®問題用紙への書き込みはなぜ禁止?3つの理由
TOEIC®問題用紙への書き込みが禁止されている理由として、以下の3つが考えられます。
- カンニングを防ぐため
- 試験問題の漏えいを防ぐため
- 生きた英語力を正確に測るため
ひとつずつ解説します。
カンニングを防ぐため
書き込みを許可すると、問題用紙に答えを記入し、周りの人に見せるなどのカンニング行為につながる可能性があります。
会場によって、受験者数が多かったり隣の人との席が近かったりする場合もあるため、このようなカンニング行為を完全に防ぐことは困難です。
カンニングできてしまうと、テストの公平性が保たれないだけでなく、正確な英語力を測れません。
書き込みを禁止することで、試験中の不正行為を未然に防ぎ、試験の公平性を保っています。
試験問題の漏えいを防ぐため
問題用紙への書き込みを許可すると、出題された内容や単語をメモに残す人があらわれる可能性があり、試験問題の漏えいにつながる恐れがあります。
なぜ試験問題が漏れてはいけないのかというと、TOEIC®では過去に出題した試験問題を一部再利用して、問題を作成しているからです。
試験問題が流出してしまうと、特定の問題の正答率に影響が出て、正確な英語力を測ることが難しくなります。
これではTOEIC®主催団体(IIBC)が重視している、テストの信頼性や公平性が損なわれてしまいます。
TOEIC®の問題用紙は試験後に回収されるため、もともと情報漏えいのリスクは少ないのですが、さらにそのリスクを減らすために書き込みを禁止しているのです。
生きた英語力を正確に測るため
TOEIC®は、知識や教養としての英語力ではなく、ビジネスや日常生活における実用的な英語のコミュニケーション能力を測定するテストです。
日常会話でわざわざメモを取って話を聞いたり、文章を読むときに印をつけたりする人は少ないのではないでしょうか。
書き込みができるようであれば、TOEIC®が測りたい「生きた英語力」を測れるテストになっていません。
より実用的な英語力を測れるよう、問題用紙への書き込みを禁止し、英語を聞いて(読んで)すぐに解答することが求められています。
TOEIC®問題用紙に書き込みをしたらどうなる?
TOEIC®では、適切な試験環境を維持するために、試験中には試験官が教室内を巡回しています。
問題用紙への書き込みを含め、違反行為が見つかった場合は、試験官から注意や警告を受ける場合があります。
「注意や警告だけなら大丈夫なのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、以下の対応が行われる場合もあります。
- 試験会場から退室させられる
- 手荷物を確認される
- 採点してもらえない
- IIBCまたはETSの運営するテストに関する受験資格を剥奪される
- IIBCまたはETSの運営するテストに関するスコアが無効になる(過去に受験したテストのスコアもすべて含む)
現在受験しているテストだけでなく、過去に受験したテストのスコアもすべて無効となるケースもあるようです。
せっかく勉強を続けてきたのに、すべてのスコアが無効になってしまっては、これまでの努力が水の泡になってしまいます。
万が一スコアが無効になった場合で、企業や学校、団体などからスコアに関する照会があったときには、当該スコアが無効である旨が通知されます。
後々大きな問題に発展する可能性があることも、覚えておきましょう。
TOEIC®問題用紙への書き込みに関するよくある疑問3選
TOEIC®の問題用紙への書き込みに関して、よくある疑問を3つ紹介します。
- うっかり書き込みをしてしまった場合はどうすればいい?
- どの程度の書き込みならOK?
- 注意されなかったらセーフ?
それぞれみていきましょう。
うっかり書き込みをしてしまった場合はどうすればいい?
試験中はいつもより緊張したり、集中したりしているものです。
うっかり書き込みをしてしまうこともあるでしょう。
その場合、気づいた時点ですぐに消しゴムで消しましょう。
たとえ消しゴムで消したとしても、問題用紙への書き込みは禁止されている行為です。
「後で消すから大丈夫」といって、書き込みを続けるのはよくありません。
その後は書き込みをしないよう徹底しましょう。
どの程度の書き込みならOK?
冒頭でも述べたように、TOEIC®では線や〇、×、レなどの記号も含め、すべての書き込みが禁止されています。
「小さな印だったらOK」といった程度の問題ではありません。
問題用紙への書き込みは一切しないよう気をつけましょう。
注意されなかったらセーフ?
「試験中に注意されなければ、書き込みをしても大丈夫なのでは?」と考える人もいるでしょう。
タイミングによっては書き込みをしていても、試験官に見つからないことがあるかもしれません。
TOEIC®では試験後、解答用紙だけでなく問題用紙も回収されます。
たとえ試験中に書き込みが見つからなくても、試験後に発覚するケースもあります。
見つからないからといって、書き込みをするのはやめましょう。
TOEIC®問題用紙への書き込み禁止に備えるには?3つの対策
TOEIC®問題用紙への書き込み禁止に備える、3つの対策を紹介します。
- 普段から書き込みをしない習慣をつける
- 公式問題集を徹底的に解く
- 速読力を強化する
順番に解説します。
普段から書き込みをしない習慣をつける
普段から問題用紙に書き込みをしない習慣をつけることが大切です。
メモを取ったり印をつけたりすることが習慣づいていると、本番でもうっかり書き込んでしまう可能性があります。
演習問題を解く際は、本番と同じように問題用紙に書き込まないようにして解くとよいでしょう。
できるだけ本番と同じ環境で練習しておくことで、試験当日も書き込み禁止に動揺せずにすみ、解答に集中できます。
公式問題集を徹底的に解く
TOEIC®の出題形式は基本的に毎回同じです。
TOEIC®公式問題集には本番と同じ形式の問題が掲載されているため、公式問題集を繰り返し解けば、問題の形式や出題傾向を把握できます。
リスニングで聞き取るべきポイントや、長文問題で読み取るべきポイントなども、少しずつ掴めるようになるでしょう。
必要な情報を正しく聞き取れる(読み取れる)ようになれば、問題用紙に書き込まなくてもスムーズに解答できます。
速読力を強化する
問題用紙に書き込まないで解答できるよう、速読力を強化するのもポイントです。
速読力を身につけることで、メモに頼らず素早く内容を理解できるようになります。
読むスピードを上げるには、英語を日本語に訳すことなく、英語のまま理解する力が必要です。
英語を英語のまま理解できるようになると、文章の内容を素早く読み取ることができ、書き込まなくても解答できます。
速読力を身につけるには、文法や単語の基礎英語力の強化が必要です。単語は、ぱっとみて意味が思い浮かぶまで徹底的に覚えましょう。
また、速読トレーニングもおすすめです。同じ英文を何度も時間を意識して読むことで、次第に読むスピードが速くなっていきます。
問題用紙への書き込み以外にもある!TOEIC®テストで禁止されている7つの行為
TOEIC®では、問題用紙への書き込み以外にも禁止されている行為が7つあります。
- 撮影・録画・録音・複写・通信にあたる行為
- 問題用紙・解答用紙の持ち出し
- 試験問題の再現
- 試験教室内での食事
- 自分の実力以外の手段を用いる行為
- 決められた時間を超えて解答する行為
- 試験運営の妨害
試験前にすべて確認しておきましょう。
撮影・録画・録音・複写・通信にあたる行為
TOEIC®では試験問題の漏えい防止の観点から、撮影・録画・録音・複写・通信にあたる行為はすべて禁止されています。
携帯電話やスマートフォン、スマートウォッチなどは、受付時間終了後から試験教室を退室するまでの間、必ず電源を切っておきましょう。
試験中にアラーム音や着信音を発生させた場合、その場で退出しなければなりません。
その後の試験を受けられなくなってしまうので、気をつけましょう。
問題用紙・解答用紙の持ち出し
問題用紙と解答用紙は書き込みだけでなく、試験教室からの持ち出しも禁止されています。
どちらも試験終了後に回収されます。
試験後に答え合わせをしたくなるかと思いますが、持ち帰ることはできません。
試験問題の再現
TOEIC®では試験問題の再現や問題の概要を、第三者に公開することが禁止されています。
インターネット・テレビ・ラジオ・メール・文書・講義など、どのような手段でも公開してはいけません。
問題を覚えておき、試験後にSNSで公開するなどの行為はルール違反です。
先ほど述べたように、TOEIC®では一部の過去問を再利用して問題が作られています。
過去問が漏れてしまうと正確な英語力を測れなくなってしまうため、試験問題の再現は禁止されています。
試験教室内での食事
試験教室内では、ガム・飴などを含む食事はすべて禁止されています。
水分補給については、試験中を含め終日可能です。
必要な人は飲み物を持参しましょう。
ただし、容器を落としたり倒したりすると、音が出て試験に影響が出る場合があります。
飲み物を飲む際は、じゅうぶん注意してください。
容器を開ける際の音や飲料水のにおいなどには、周囲への配慮が必要です。
自分の実力以外の手段を用いる行為
TOEIC®では自分の実力以外の手段を用いる行為も禁止されています。
具体的には、カンニングや、受験者以外の人が受験者本人になりすまして試験を受ける行為などがこれにあたります。
試験中に他人に援助を与える行為、不正受験または不正受験に関与したとみなされる行為も禁止です。
これらの行為は、受験資格の剥奪やスコアの無効化などにもつながるので絶対にしてはいけません。
決められた時間を超えて解答する行為
TOEIC®では試験時間が決められています。
決められた時間を超えて解答してはいけません。
試験開始前や終了後に問題を見たり解いたりする行為もルール違反です。
リスニングとリーディングの解答時間は、それぞれ別で設定されています。
リスニング中にリーディングの問題を見たり解いたりする行為もNGです。
TOEIC®は問題数が多いので時間が足りず、「もう少しだけ」とつい解答を続けたくなりますが、ルール違反にならないよう、試験官から終了の合図があった時点ですぐに解答をやめましょう。
試験運営の妨害
TOEIC®では試験運営を妨げるような行為も禁止されています。
具体的には、暴力行為・器物破損・他受験者への迷惑行為などが含まれます。
周りの受験者や、試験の運営スタッフの迷惑になる行為はしないよう気をつけてください。
ルールやモラルを守って、気持ちよく試験を受けられるようにしましょう。
まとめ
この記事のポイントは以下のとおりです。
- TOEIC®の問題用紙には線や記号なども含め、すべての書き込みが禁止
- 禁止の理由は、カンニング防止や試験問題の漏えい防止、生きた英語力を測るためだと考えられる
- 書き込みをすると、試験教室からの退出、受験資格の剥奪、スコアの無効化などのおそれもある
- 書き込みをしてしまった場合は、すぐに消しゴムで消す
- 書き込みをしないために、普段から書き込みをしない習慣をつけよう
TOEIC®を受験する際は、試験勉強だけでなく、受験ルールについても事前に確認しておきましょう。